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エピローグ
「愛しているよ、これからずっと」
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冬の間、優輝は修行をしつつも、銀籠との時間も大事にし、共に過ごしていた。
一緒にゲームをしたり、占いをしたり。
神楽もゲームをする時は参戦、三人の笑い声が部屋の中に響いていた。
そんな、楽しい時間はあっという間に過ぎ、春になる。
春は新しい歳の始まりと、別れの季節。
神楽と優輝は高校三年生となり、夕凪はまた日本を離れなければならなくなってしまった。
今は、夕凪との最後の時を楽しく過ごすため、宴会の真っ最中。
銀籠はだいぶ人に慣れる事が出来たため、宴会場に出席はしていた。
だが、やはりまだ少し怖いため、壁側で銀と優輝に囲まれ飲み物を堪能していた。
もちろん、飲み物は優輝と同じジュース。銀はお酒を楽しんでいる。
「優輝は行かなくて良いのか? 美味そうな飯を食いながら、人間達が酒を片手に楽しんでおるぞ?」
「そもそも俺は未成年だからお酒飲めないし、大人のノリについて行くの大変だし。ここが一番落ち着く」
「そうなのか?」
片手に持っているオレンジジュースを飲み、ほっと一息。本当に落ち着いているなぁと思いながら、銀籠はくすくすと笑った。
銀は邪魔してはいけないなとソッとその場を離れ、開成達と合流し酒を楽しみ始めた。
見回してみると、夕凪の隣はいつの間にか神楽が陣取っており、楽しく女子トークを繰り広げている。
銀籠は、笑みを浮かべながら楽しそうに盛り上がっている陰陽師達を見回した。
前までは人を一目見ただけで体は震え、立っていられなかった。
それなのに、今は笑みを浮かべる余裕すらある。
そんな彼を横目で見て、優輝はふっと笑った。
「銀籠さん」
「なんだ?」
「人の事、まだ怖いですか?」
優輝はジィと銀籠の銀色の瞳を見つめ、問いかけた。
優輝の水色の瞳に見つめられ、心臓がトクンと跳ねる。
頬が自然と赤く染まり、恥ずかしそうに口元を手で押さえ、照れているのを隠すように目を逸らす。
「銀籠さん?」
「あ、あまり見るでない。照れてしまう…………」
「その照れ顔を見せてください」
「目をかっぴらいで言うな。冷めたわ」
「ちっくしょぉぉぉお!!」
優輝の必死な形相に、銀籠は一瞬にして冷めてしまいスンと真顔になってしまった。
悔し気に歯ぎしりしている優輝を見て、銀籠は薄く笑みを浮かべると、腰を折り顔を覗かせた。
「優輝よ、先ほどの質問、答えても良いか?」
「あ、はい」
姿勢を正し、銀籠に向き直した。
水色と銀色の瞳が交差する。
心地のよい沈黙、銀籠は微笑み優輝はキョトンと目を丸くする。
覚悟を決め、銀籠は白い歯を見け笑いながら言い切った。
「――――我はもう、人は怖くないぞ」
今の言葉には、一切の迷いは無い。
銀籠からそのような言葉を聞くことができ、優輝は満面な笑みを浮かべた。
「それなら、良かった――……」
二人はその後、宴会場からこっそり抜け出した。
銀と開成は気づいていながらも見て見ぬふり。それは、神楽も同じ。
抜け出した二人は、外へと出て夜の散歩。
その時、優輝が銀籠を引き寄せた。
「銀籠さん」
「む? なんだ、優輝」
「愛しているよ、これからずっと」
月が照らす中、二人の影はゆっくりと近づき、そして、重なった――……
一緒にゲームをしたり、占いをしたり。
神楽もゲームをする時は参戦、三人の笑い声が部屋の中に響いていた。
そんな、楽しい時間はあっという間に過ぎ、春になる。
春は新しい歳の始まりと、別れの季節。
神楽と優輝は高校三年生となり、夕凪はまた日本を離れなければならなくなってしまった。
今は、夕凪との最後の時を楽しく過ごすため、宴会の真っ最中。
銀籠はだいぶ人に慣れる事が出来たため、宴会場に出席はしていた。
だが、やはりまだ少し怖いため、壁側で銀と優輝に囲まれ飲み物を堪能していた。
もちろん、飲み物は優輝と同じジュース。銀はお酒を楽しんでいる。
「優輝は行かなくて良いのか? 美味そうな飯を食いながら、人間達が酒を片手に楽しんでおるぞ?」
「そもそも俺は未成年だからお酒飲めないし、大人のノリについて行くの大変だし。ここが一番落ち着く」
「そうなのか?」
片手に持っているオレンジジュースを飲み、ほっと一息。本当に落ち着いているなぁと思いながら、銀籠はくすくすと笑った。
銀は邪魔してはいけないなとソッとその場を離れ、開成達と合流し酒を楽しみ始めた。
見回してみると、夕凪の隣はいつの間にか神楽が陣取っており、楽しく女子トークを繰り広げている。
銀籠は、笑みを浮かべながら楽しそうに盛り上がっている陰陽師達を見回した。
前までは人を一目見ただけで体は震え、立っていられなかった。
それなのに、今は笑みを浮かべる余裕すらある。
そんな彼を横目で見て、優輝はふっと笑った。
「銀籠さん」
「なんだ?」
「人の事、まだ怖いですか?」
優輝はジィと銀籠の銀色の瞳を見つめ、問いかけた。
優輝の水色の瞳に見つめられ、心臓がトクンと跳ねる。
頬が自然と赤く染まり、恥ずかしそうに口元を手で押さえ、照れているのを隠すように目を逸らす。
「銀籠さん?」
「あ、あまり見るでない。照れてしまう…………」
「その照れ顔を見せてください」
「目をかっぴらいで言うな。冷めたわ」
「ちっくしょぉぉぉお!!」
優輝の必死な形相に、銀籠は一瞬にして冷めてしまいスンと真顔になってしまった。
悔し気に歯ぎしりしている優輝を見て、銀籠は薄く笑みを浮かべると、腰を折り顔を覗かせた。
「優輝よ、先ほどの質問、答えても良いか?」
「あ、はい」
姿勢を正し、銀籠に向き直した。
水色と銀色の瞳が交差する。
心地のよい沈黙、銀籠は微笑み優輝はキョトンと目を丸くする。
覚悟を決め、銀籠は白い歯を見け笑いながら言い切った。
「――――我はもう、人は怖くないぞ」
今の言葉には、一切の迷いは無い。
銀籠からそのような言葉を聞くことができ、優輝は満面な笑みを浮かべた。
「それなら、良かった――……」
二人はその後、宴会場からこっそり抜け出した。
銀と開成は気づいていながらも見て見ぬふり。それは、神楽も同じ。
抜け出した二人は、外へと出て夜の散歩。
その時、優輝が銀籠を引き寄せた。
「銀籠さん」
「む? なんだ、優輝」
「愛しているよ、これからずっと」
月が照らす中、二人の影はゆっくりと近づき、そして、重なった――……
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読んで頂きありがとうございます!!
そのように言っていただけて嬉しいです❀.(*´▽`*)❀.
更新、これからも頑張ります💪( ・᷅ὢ・᷄ 💪)
作品読まさせて頂きました。お気に入り登録もさせて頂きました!
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今後も執筆頑張ってください!