39 / 48
仲冬
「銀籠さんが変わりに痛みを感じる必要はない!」
しおりを挟む
夕凪と優輝は、目の前にある黒い球体を見て唖然。
何がどうなっているのか理解ができない。
「…………なにが、どうなって…………?」
「わからない。突然、黒い霧みたいなものが二人を包み込んだと思ったら、目の前にある球体が作り出されたとしか……」
眉を顰める、先程の光景を思い出すが、やはり分からない。
今、球体の中では戦闘が繰り広げられているのだろうか。
もし、戦闘が行われているのなら、銀籠は大丈夫なのか。
怪我はしていないか、無理はしていないか。
優輝は、何も出来ない自分に苛立ち歯を食いしばる。
手を強く握り、足で地面を強く叩いた。
明らかに苛立っている優輝を横目で見て、夕凪は肩幅に足を広げた。
「今は、何が起きても直ぐ行動に起こせるように準備をしておきましょう。それしか、私達にできることはないわ」
「――――そうだね。球体の中で何が起きているのかわからないけど、準備しておくに越したことはない」
警戒態勢を作り、険しい顔で球体を見上げる。
二人が見続けていると、なんの前触れもなく球体に小さなヒビが刻まれ始めた。
「な、何!?」
夕凪が大きな声を上げ愕然とする。
その場から動くことが出来ずにいると、ヒビは徐々に広がってしまう。
全体にヒビが回ると、二人の目を晦ませる程の強い光が辺りを照らし出す。
瞼を閉じ、手で目を隠し光が落ち着くのを待った。
辺りを照らす光は、二人が目を閉じてから数秒で落ち着き、暗くなる。
薄く目を開くと、優輝は目の前の光景に体が震えた。
「あっ……」
黒い球体から姿を現したのは二人。
人の姿をしている銀と、長い髪を揺らし、狼のような耳をぴくぴくと動かし立っている銀籠。
二人はその場で立ち止まり、動こうとしない。
優輝は銀籠が無事だったと安堵するも、その場から一切動かないため、どこか怪我をしてしまったんじゃないかと徐々に不安が募る。
「……銀籠さん!」
我慢が出来なくなり、二人へ駆け寄り名前を呼んだ。
「銀籠さん! あ、あの、大丈夫? 怪我、してない?」
近づけば近づくほど、銀籠が纏っている空気が異様なのを肌で感じ震えるが、怖い訳では無い。
逆に空気は澄んでおり、危険は無いと分かる。
それでも、なぜか近づいた優輝の体には鳥肌がたち、小刻みに震えてしまう。
心配だが、今以上に近づけない。
優輝は戸惑いつつも、息を飲み覚悟を決めたように眉をつり上げる。
少し離れた距離で止まっていた足を動かし、手を伸ばした。
銀籠の肩に、優輝の手が触れる。
「っ、!」
やっと、銀籠は動き出し、自身の肩に手を置く優輝を見た。
銀色の瞳は鋭く光り、体に突き刺さる。
一瞬にして彼の瞳に捕らわれてしまい、視線を外すことが出来なくなってしまった
この、体に走る痺れは、なんだろうか。
この、視線を外すことが出来ない、体に走る悪寒はなんだろうか。
考えるが、優輝には理解出来ず困惑するのみ。
肩に手を置いてから声すらかけることが出来ない優輝の手に、ソッと。銀籠も自身の手を重ね、優しく包み込む。
「ぎんっ――――わっ!」
どうしたのかと、優輝が名前を呼ぼうとしたとき、銀籠は掴んだ手を肩から離させ、グイッと自身へ引き寄せた。
――――ギュッ
「――――え」
突如、優輝は暖かい温もりに包まれた。
「良かった、優輝が無事で、本当に、良かった…………」
優輝の肩に顔を埋め、震える声で何度も何度も「良かった」と銀籠は繰り返す。
何が起きたのかすぐに理解できない優輝だったが、銀籠の涙声と温もりでハッと我に返る。
名前を呼び抱きしめ返そうと考えた時、カタカタと。銀籠の体が微かに震えていることに気づいた。
この震えは、人間が怖いからというものでは無い。
優輝が無事でよかったと、心の底から安心し、涙を堪えている時の震えだ。
銀籠の震える体を落ち着かせたいのと、自身が彼に触れたいという気持ちとで、自然と両手が動き銀籠の背中に回される。
ぎゅっと優輝も抱きしめ返し、目を細めた。
「銀籠さんも、無事でよかった。まったく、本当に、無理しないでよ。俺も、怖かったんだから」
言葉を発すると、我慢していた涙が決壊し、優輝の頬を濡らす。
嗚咽を零し、銀籠の肩に顔を埋めた。
「すまん、優輝が傷ついている姿を見ると、どうしても許せなかったのだ」
ゆっくりと体を離し、優輝の涙を拭いてあげる。
それと同時に、額に右手を伸ばした。
淡い光が照らされ、優輝の傷が塞がる。すぐに、銀籠の額に、優輝と同じ傷が現れ血が流れ出てしまった。
「え、なっ! 銀籠さん!? な、なんで!?」
「我は半妖。父上のように怪我を完全に癒す事が出来ないのだ。だから、優輝の傷を我に移した。人間より、あやかしである我の方が体は頑丈、問題はない」
「それって……。っ、じゃぁ、前に俺の右肘を治した時も? 本当は自分に痛みを、移していたって事?」
「うむ、そうだ。嘘をついてすまなかった」
「なっ、ば、ばっかじゃないの!?」
「っ!? え、す、済まない。嘘をついてしまっていたことは謝る! そんなに怒らんでくれ……」
「いや、そこじゃないから!」
「え、そこでは無い……?」
今まで聞いたことがないような声量で怒られ、銀籠は狼狽える。
なぜ、ここまで怒っているのか、なぜ怒らているのか。
嘘を吐いたことでは無いと否定されたため、銀籠はなぜ優輝がこんなに怒っているのか分からない。
そんな、何もわからない銀籠の額を見て、怪我の度合いを確認しながら優輝は口を開いた。
「あやかしだろうと人だろうと関係ない。確かに、人はあやかしと比べると弱いし、すぐに死ぬ。でも、痛みは同じのはず。傷を痛いと感じるのも、痛いのが辛いと思うのも、それはあやかしだろうと同じ。俺は、銀籠さんが辛いと思うのは嫌だ、痛いと思うのは嫌だ、苦しむのは嫌だよ!! だから、早く傷を返して! それは俺が油断してできた傷なんだ、俺が不甲斐ないから出来たものなんだよ。銀籠さんが変わりに痛みを感じる必要はない!」
必死に訴える優輝に何も言えず、銀籠は目を見張る。
まさか、人にそのようなことを言われるなんて思っておらず。人に、そんなことを思われるとは思っておらず。
今まで、人を恐怖の対象と見ていたのに、今は人の温もりで自身が救われているのを感じ、様々な感情が芽生えなんと言えばいいのかわからない。
優輝は銀籠の額から流れる赤い血を拭き、銀籠の瞳を見上げた。
その時、助け舟というように、銀がやっと二人の間に入りやれやれと肩を落とした。
「まったく、おいおい。ぬしらはワシをお忘れか?」
にんまりと口角を上げ、呆れたように銀が言うと、二人は同時に彼を見た。
二人からの視線を受けると、銀は銀籠の額に手を当て、淡い光を放つ。
血が流れ止まらなかった深い傷は、ものの数秒できれいさっぱり無くなった。
何がどうなっているのか理解ができない。
「…………なにが、どうなって…………?」
「わからない。突然、黒い霧みたいなものが二人を包み込んだと思ったら、目の前にある球体が作り出されたとしか……」
眉を顰める、先程の光景を思い出すが、やはり分からない。
今、球体の中では戦闘が繰り広げられているのだろうか。
もし、戦闘が行われているのなら、銀籠は大丈夫なのか。
怪我はしていないか、無理はしていないか。
優輝は、何も出来ない自分に苛立ち歯を食いしばる。
手を強く握り、足で地面を強く叩いた。
明らかに苛立っている優輝を横目で見て、夕凪は肩幅に足を広げた。
「今は、何が起きても直ぐ行動に起こせるように準備をしておきましょう。それしか、私達にできることはないわ」
「――――そうだね。球体の中で何が起きているのかわからないけど、準備しておくに越したことはない」
警戒態勢を作り、険しい顔で球体を見上げる。
二人が見続けていると、なんの前触れもなく球体に小さなヒビが刻まれ始めた。
「な、何!?」
夕凪が大きな声を上げ愕然とする。
その場から動くことが出来ずにいると、ヒビは徐々に広がってしまう。
全体にヒビが回ると、二人の目を晦ませる程の強い光が辺りを照らし出す。
瞼を閉じ、手で目を隠し光が落ち着くのを待った。
辺りを照らす光は、二人が目を閉じてから数秒で落ち着き、暗くなる。
薄く目を開くと、優輝は目の前の光景に体が震えた。
「あっ……」
黒い球体から姿を現したのは二人。
人の姿をしている銀と、長い髪を揺らし、狼のような耳をぴくぴくと動かし立っている銀籠。
二人はその場で立ち止まり、動こうとしない。
優輝は銀籠が無事だったと安堵するも、その場から一切動かないため、どこか怪我をしてしまったんじゃないかと徐々に不安が募る。
「……銀籠さん!」
我慢が出来なくなり、二人へ駆け寄り名前を呼んだ。
「銀籠さん! あ、あの、大丈夫? 怪我、してない?」
近づけば近づくほど、銀籠が纏っている空気が異様なのを肌で感じ震えるが、怖い訳では無い。
逆に空気は澄んでおり、危険は無いと分かる。
それでも、なぜか近づいた優輝の体には鳥肌がたち、小刻みに震えてしまう。
心配だが、今以上に近づけない。
優輝は戸惑いつつも、息を飲み覚悟を決めたように眉をつり上げる。
少し離れた距離で止まっていた足を動かし、手を伸ばした。
銀籠の肩に、優輝の手が触れる。
「っ、!」
やっと、銀籠は動き出し、自身の肩に手を置く優輝を見た。
銀色の瞳は鋭く光り、体に突き刺さる。
一瞬にして彼の瞳に捕らわれてしまい、視線を外すことが出来なくなってしまった
この、体に走る痺れは、なんだろうか。
この、視線を外すことが出来ない、体に走る悪寒はなんだろうか。
考えるが、優輝には理解出来ず困惑するのみ。
肩に手を置いてから声すらかけることが出来ない優輝の手に、ソッと。銀籠も自身の手を重ね、優しく包み込む。
「ぎんっ――――わっ!」
どうしたのかと、優輝が名前を呼ぼうとしたとき、銀籠は掴んだ手を肩から離させ、グイッと自身へ引き寄せた。
――――ギュッ
「――――え」
突如、優輝は暖かい温もりに包まれた。
「良かった、優輝が無事で、本当に、良かった…………」
優輝の肩に顔を埋め、震える声で何度も何度も「良かった」と銀籠は繰り返す。
何が起きたのかすぐに理解できない優輝だったが、銀籠の涙声と温もりでハッと我に返る。
名前を呼び抱きしめ返そうと考えた時、カタカタと。銀籠の体が微かに震えていることに気づいた。
この震えは、人間が怖いからというものでは無い。
優輝が無事でよかったと、心の底から安心し、涙を堪えている時の震えだ。
銀籠の震える体を落ち着かせたいのと、自身が彼に触れたいという気持ちとで、自然と両手が動き銀籠の背中に回される。
ぎゅっと優輝も抱きしめ返し、目を細めた。
「銀籠さんも、無事でよかった。まったく、本当に、無理しないでよ。俺も、怖かったんだから」
言葉を発すると、我慢していた涙が決壊し、優輝の頬を濡らす。
嗚咽を零し、銀籠の肩に顔を埋めた。
「すまん、優輝が傷ついている姿を見ると、どうしても許せなかったのだ」
ゆっくりと体を離し、優輝の涙を拭いてあげる。
それと同時に、額に右手を伸ばした。
淡い光が照らされ、優輝の傷が塞がる。すぐに、銀籠の額に、優輝と同じ傷が現れ血が流れ出てしまった。
「え、なっ! 銀籠さん!? な、なんで!?」
「我は半妖。父上のように怪我を完全に癒す事が出来ないのだ。だから、優輝の傷を我に移した。人間より、あやかしである我の方が体は頑丈、問題はない」
「それって……。っ、じゃぁ、前に俺の右肘を治した時も? 本当は自分に痛みを、移していたって事?」
「うむ、そうだ。嘘をついてすまなかった」
「なっ、ば、ばっかじゃないの!?」
「っ!? え、す、済まない。嘘をついてしまっていたことは謝る! そんなに怒らんでくれ……」
「いや、そこじゃないから!」
「え、そこでは無い……?」
今まで聞いたことがないような声量で怒られ、銀籠は狼狽える。
なぜ、ここまで怒っているのか、なぜ怒らているのか。
嘘を吐いたことでは無いと否定されたため、銀籠はなぜ優輝がこんなに怒っているのか分からない。
そんな、何もわからない銀籠の額を見て、怪我の度合いを確認しながら優輝は口を開いた。
「あやかしだろうと人だろうと関係ない。確かに、人はあやかしと比べると弱いし、すぐに死ぬ。でも、痛みは同じのはず。傷を痛いと感じるのも、痛いのが辛いと思うのも、それはあやかしだろうと同じ。俺は、銀籠さんが辛いと思うのは嫌だ、痛いと思うのは嫌だ、苦しむのは嫌だよ!! だから、早く傷を返して! それは俺が油断してできた傷なんだ、俺が不甲斐ないから出来たものなんだよ。銀籠さんが変わりに痛みを感じる必要はない!」
必死に訴える優輝に何も言えず、銀籠は目を見張る。
まさか、人にそのようなことを言われるなんて思っておらず。人に、そんなことを思われるとは思っておらず。
今まで、人を恐怖の対象と見ていたのに、今は人の温もりで自身が救われているのを感じ、様々な感情が芽生えなんと言えばいいのかわからない。
優輝は銀籠の額から流れる赤い血を拭き、銀籠の瞳を見上げた。
その時、助け舟というように、銀がやっと二人の間に入りやれやれと肩を落とした。
「まったく、おいおい。ぬしらはワシをお忘れか?」
にんまりと口角を上げ、呆れたように銀が言うと、二人は同時に彼を見た。
二人からの視線を受けると、銀は銀籠の額に手を当て、淡い光を放つ。
血が流れ止まらなかった深い傷は、ものの数秒できれいさっぱり無くなった。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
この噛み痕は、無効。
ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋
α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。
いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。
千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。
そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。
その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。
「やっと見つけた」
男は誰もが見惚れる顔でそう言った。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!
時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」
すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。
王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。
発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。
国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。
後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。
――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか?
容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。
怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手?
今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。
急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…?
過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。
ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!?
負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。
-------------------------------------------------------------------
主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる