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凛
「俺のもんだな」
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地図アプリを駆使し家に帰った真珠は今、自分の部屋のベットの上に寝っ転がりながら、魔蛭から貰った飴を眺めていた。
「願いが叶う、叶ったら代償はいらない。でも、なんで叶ったらいらないんだろう。普通、叶ったら払うものじゃないの?」
カラフルに電気の光を反射している飴を眺めながら呟き、ベットの上で寝返りを打ちながら考え込む。
この飴を舐めれば星を戻す事も出来るし、虐めだって無くす事が出来るかもしれない。
だが、なぜか真珠はもう一歩。前に踏み出す事が出来ないでいた。
何度か飴を袋から取り出し口に運ぼうとするが、途中で手を止めてしまう。
「………明日の夕方。それまでに決めればいい、んだよね……」
自分にそう言い聞かせ、部屋の電気を消し、意識を夢の中へと沈めていった。
※
次の日の朝、真珠は学校が休みだったため星の入院している病院に訪れていた。
雪凪の話だと、星の容態は医者に見てもらっても全く症状が分からなかったらしい。
明人の話が本当なのであれば、それは仕方がない事だ。
真珠の今の服装は白いTシャツにパーカー。下はスキニーズボンを履いている。
背中には、小さめなリュックが背負われていた。
リュックを何度か確認し、病院の中に入ろうとドアに手を触れようとした瞬間。足元を白い何かが横切った。
「きゃっ?! 何?!」
咄嗟に避けようとして転びそうになった体に力を込め転倒を回避した後、バッと顔を横に向ける。そこには、子供の狐が真珠を見上げている姿があった。
その目はまるで、真珠の悩みや思考を読み取ろうとしているように感じ、見つめられ続けると見られてはいけないものまで見つかってしまいそうになり、彼女は体を震わせた。
「の、野良狐……?」
真珠は唖然としながら狐を見ているとドアがいきなり開き、出てきた人に謝罪しながら避ける。
もう一度子狐が居た方向に目を向けると、そこにはもう何もいなかった。
「………可愛かったな」
まだ見ていたかった気持ちを抑え、真珠は今度こそ病院の中に入り受け付けに向かった。
※
「えっと、星の病室は──ここか」
受付で星の病室を聞き、彼女は真っ直ぐ向かっていた。
ここの病院は腕利きの医師が居るため人気の病院。
そのため、どこを向いても患者や看護師などが沢山歩いている。
周りの人に気をつけながら病室へと向かい、中に入る。
星が横になっているベットの横まで行くと、悲しげな表情を浮かべてしまった。
今の様子が、昨日森の中にいた時と全く同じで治る気配を見せない。
「星……」
小さく名前を呼び、真珠はリュックを下ろしベットに腰かけた。
窓から差し込む陽光は、今の真珠の気持ちと反比例しており、理不尽に苛立たせる。
星の手を優しく握り、名前を呼ぶ。だが、返答はない。
ふと、真珠は自身が持ってきたリュックを見て、スっと手を伸ばした。
チャックを開け中から取り出した物は、昨日魔蛭から貰った"願いが叶う飴"だった。
昨日は飲む事が出来なかったが、今の星の様子を目の当たりにして覚悟が決まり、袋からピンク色の飴を一粒取り出した。
まじまじと見たあと、眉を釣り上げ。
真珠は覚悟を決め願いを言いながら、飴を口の中に放り込んだ。
「星が元に戻り、また楽しくテニスが出来ますように」
胸辺りで祈るように手を合わせる真珠。
口の中には、ほんのりと桃の味が広がり甘かった。
・
・
・
・
・
・
数分、飴をコロコロと転がし、味を楽しんでいた真珠だったが、肝心の星の容態は全く変わらない。
諦めきれず、星の顔に近づき本当に変化がないか確認した。
星は変わらず虚ろな目をしており、感情が読めない表情を浮かべている。
その様子を確認すると、真珠は舌打ちをして座り直した。
「やっぱり、ただの飴か……」
肩を落とし、彼女をじっと見続けている。
少しだけでも期待していた真珠としては、この事態は相当ショックだ。
目が細められ、縁には涙が溜まり始める。
すると、なぜか突如目を開き、恐怖の色を見せた。
「なっ、なんか……嫌だ……。なに……、体が……熱い……。目が………霞む」
体に突如として襲ってきた異変。
真珠は自分の体を抱え込むようにして肩を摩り、なんとか持ちこたえようとしていた。
それでも、徐々に体の容態は悪化していき、大きく震わせる。
「いや、いやぁぁぁぁぁあああ!!」
悲痛の叫びが病室に響き、充血した目を見開きながらベットに倒れ込んでしまった。
・
・
・
・
・
・
真珠が倒れてしまってから数分後、病室のドアが開き、明人がいつものジーンズとポロシャツでベットへ近づいて行った。
「まったく……、なんで俺には任せないで、こんな怪しい物に手を伸ばすかねぇ」
「それは、明人がこの飴より怪しすぎるからではないかい?」
「そんな事ねぇよ」
明人の隣を人の姿でついてきていたカクリは、冷めた声で返答。
その言葉に明人はイラついた声で返した。
相当機嫌が悪く、顔をひきつらせ貧乏揺すりをしている。
「………まだいけるか。おい、それを寄越せ」
大きなため息を吐いたあと、明人はカクリに手を伸ばした。
カクリは言われた通り、ポケットに入れていた小瓶を取り出し明人へと渡す。
「………これは、少し黒いが抜き取るほどでは無い。ちっ、ふざけるなよ。こんな事をすんのは──」
「俺しかいないって? そんな事ないだろう」
病室のドアから人を嘲笑うような声が聞こえ、明人は眉間に皺を寄せ勢いよく振り向いた。
そこにはダッフルコート主体の服を着こなしている、明人と同じくらいの背丈の男性。悪陣魔蛭が口元に笑みを浮かべながら立っていた。
隣には、カクリより少し身長が低い少年、ベルゼが鋭い瞳をある一点に向けて立っている。
「おいおい、それは俺が貰うべきハコというものだろ? なんでお前が持ってんだ?」
魔蛭は明人の手にしている小瓶に目を向けながら、怪訝そうに問いかる。
その小瓶には薄いピンク色の液体が入っており、光を反射していた。
黒くなっている部分はあるが、それでも綺麗に輝いている。
小瓶の中に入っているのは真珠の、抜き取られてしまった匣。
この匣は、魔蛭がベルゼの力を利用し抜き取ったもの。
それがなぜ、明人が持っているのか。
明人は魔蛭の行動を予測し、カクリに見張りをするように言っていた。
飴を食べ、匣が抜き取られた瞬間、真実を操る力で自分の手元へと引き寄せたため、無事に魔蛭の手に届く前に奪い取る事が出来たのだった。
「そんなのどうでもいいだろ。もうこれは俺の手にある、お前のじゃねぇよ、残念だったな」
「そうか、手に入れれば自分の物にしていいのか。それは分かりやすくていいな」
口元に笑みを浮かべると突然、魔蛭は明人へと一瞬のうちに近づき、小瓶が握られている手を蹴りあげた。
「いっ?!」
「これで、俺のもんだな」
蹴りあげられた事により、小瓶は宙を舞って魔蛭の手へと渡ってしまった。
「明人よ、無事か!?」
カクリは焦りながら明人へと近寄ろうとすると、先程まで黙っていたベルゼが動きだした。
手の平から影のような物を出し、それがみるみるうちにナイフへと変形していく。
電球の光を反射し、鋭く光っている刃先は、明人へ走っているカクリの背中へと向けられた。
狙いを定め、背中を向けているカクリへと、黒いナイフを投げた。
「なっ──」
「カクリ!」
投げられたナイフは一寸の狂いなく、カクリの背中に命中。
明人は体勢を立て直し、魔蛭を逃さぬように見据えた。
カクリも痛みに何とか耐えながら立ち上がり、床を赤く染めながらもベルゼを横目で見続けた。
「願いが叶う、叶ったら代償はいらない。でも、なんで叶ったらいらないんだろう。普通、叶ったら払うものじゃないの?」
カラフルに電気の光を反射している飴を眺めながら呟き、ベットの上で寝返りを打ちながら考え込む。
この飴を舐めれば星を戻す事も出来るし、虐めだって無くす事が出来るかもしれない。
だが、なぜか真珠はもう一歩。前に踏み出す事が出来ないでいた。
何度か飴を袋から取り出し口に運ぼうとするが、途中で手を止めてしまう。
「………明日の夕方。それまでに決めればいい、んだよね……」
自分にそう言い聞かせ、部屋の電気を消し、意識を夢の中へと沈めていった。
※
次の日の朝、真珠は学校が休みだったため星の入院している病院に訪れていた。
雪凪の話だと、星の容態は医者に見てもらっても全く症状が分からなかったらしい。
明人の話が本当なのであれば、それは仕方がない事だ。
真珠の今の服装は白いTシャツにパーカー。下はスキニーズボンを履いている。
背中には、小さめなリュックが背負われていた。
リュックを何度か確認し、病院の中に入ろうとドアに手を触れようとした瞬間。足元を白い何かが横切った。
「きゃっ?! 何?!」
咄嗟に避けようとして転びそうになった体に力を込め転倒を回避した後、バッと顔を横に向ける。そこには、子供の狐が真珠を見上げている姿があった。
その目はまるで、真珠の悩みや思考を読み取ろうとしているように感じ、見つめられ続けると見られてはいけないものまで見つかってしまいそうになり、彼女は体を震わせた。
「の、野良狐……?」
真珠は唖然としながら狐を見ているとドアがいきなり開き、出てきた人に謝罪しながら避ける。
もう一度子狐が居た方向に目を向けると、そこにはもう何もいなかった。
「………可愛かったな」
まだ見ていたかった気持ちを抑え、真珠は今度こそ病院の中に入り受け付けに向かった。
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「えっと、星の病室は──ここか」
受付で星の病室を聞き、彼女は真っ直ぐ向かっていた。
ここの病院は腕利きの医師が居るため人気の病院。
そのため、どこを向いても患者や看護師などが沢山歩いている。
周りの人に気をつけながら病室へと向かい、中に入る。
星が横になっているベットの横まで行くと、悲しげな表情を浮かべてしまった。
今の様子が、昨日森の中にいた時と全く同じで治る気配を見せない。
「星……」
小さく名前を呼び、真珠はリュックを下ろしベットに腰かけた。
窓から差し込む陽光は、今の真珠の気持ちと反比例しており、理不尽に苛立たせる。
星の手を優しく握り、名前を呼ぶ。だが、返答はない。
ふと、真珠は自身が持ってきたリュックを見て、スっと手を伸ばした。
チャックを開け中から取り出した物は、昨日魔蛭から貰った"願いが叶う飴"だった。
昨日は飲む事が出来なかったが、今の星の様子を目の当たりにして覚悟が決まり、袋からピンク色の飴を一粒取り出した。
まじまじと見たあと、眉を釣り上げ。
真珠は覚悟を決め願いを言いながら、飴を口の中に放り込んだ。
「星が元に戻り、また楽しくテニスが出来ますように」
胸辺りで祈るように手を合わせる真珠。
口の中には、ほんのりと桃の味が広がり甘かった。
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数分、飴をコロコロと転がし、味を楽しんでいた真珠だったが、肝心の星の容態は全く変わらない。
諦めきれず、星の顔に近づき本当に変化がないか確認した。
星は変わらず虚ろな目をしており、感情が読めない表情を浮かべている。
その様子を確認すると、真珠は舌打ちをして座り直した。
「やっぱり、ただの飴か……」
肩を落とし、彼女をじっと見続けている。
少しだけでも期待していた真珠としては、この事態は相当ショックだ。
目が細められ、縁には涙が溜まり始める。
すると、なぜか突如目を開き、恐怖の色を見せた。
「なっ、なんか……嫌だ……。なに……、体が……熱い……。目が………霞む」
体に突如として襲ってきた異変。
真珠は自分の体を抱え込むようにして肩を摩り、なんとか持ちこたえようとしていた。
それでも、徐々に体の容態は悪化していき、大きく震わせる。
「いや、いやぁぁぁぁぁあああ!!」
悲痛の叫びが病室に響き、充血した目を見開きながらベットに倒れ込んでしまった。
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真珠が倒れてしまってから数分後、病室のドアが開き、明人がいつものジーンズとポロシャツでベットへ近づいて行った。
「まったく……、なんで俺には任せないで、こんな怪しい物に手を伸ばすかねぇ」
「それは、明人がこの飴より怪しすぎるからではないかい?」
「そんな事ねぇよ」
明人の隣を人の姿でついてきていたカクリは、冷めた声で返答。
その言葉に明人はイラついた声で返した。
相当機嫌が悪く、顔をひきつらせ貧乏揺すりをしている。
「………まだいけるか。おい、それを寄越せ」
大きなため息を吐いたあと、明人はカクリに手を伸ばした。
カクリは言われた通り、ポケットに入れていた小瓶を取り出し明人へと渡す。
「………これは、少し黒いが抜き取るほどでは無い。ちっ、ふざけるなよ。こんな事をすんのは──」
「俺しかいないって? そんな事ないだろう」
病室のドアから人を嘲笑うような声が聞こえ、明人は眉間に皺を寄せ勢いよく振り向いた。
そこにはダッフルコート主体の服を着こなしている、明人と同じくらいの背丈の男性。悪陣魔蛭が口元に笑みを浮かべながら立っていた。
隣には、カクリより少し身長が低い少年、ベルゼが鋭い瞳をある一点に向けて立っている。
「おいおい、それは俺が貰うべきハコというものだろ? なんでお前が持ってんだ?」
魔蛭は明人の手にしている小瓶に目を向けながら、怪訝そうに問いかる。
その小瓶には薄いピンク色の液体が入っており、光を反射していた。
黒くなっている部分はあるが、それでも綺麗に輝いている。
小瓶の中に入っているのは真珠の、抜き取られてしまった匣。
この匣は、魔蛭がベルゼの力を利用し抜き取ったもの。
それがなぜ、明人が持っているのか。
明人は魔蛭の行動を予測し、カクリに見張りをするように言っていた。
飴を食べ、匣が抜き取られた瞬間、真実を操る力で自分の手元へと引き寄せたため、無事に魔蛭の手に届く前に奪い取る事が出来たのだった。
「そんなのどうでもいいだろ。もうこれは俺の手にある、お前のじゃねぇよ、残念だったな」
「そうか、手に入れれば自分の物にしていいのか。それは分かりやすくていいな」
口元に笑みを浮かべると突然、魔蛭は明人へと一瞬のうちに近づき、小瓶が握られている手を蹴りあげた。
「いっ?!」
「これで、俺のもんだな」
蹴りあげられた事により、小瓶は宙を舞って魔蛭の手へと渡ってしまった。
「明人よ、無事か!?」
カクリは焦りながら明人へと近寄ろうとすると、先程まで黙っていたベルゼが動きだした。
手の平から影のような物を出し、それがみるみるうちにナイフへと変形していく。
電球の光を反射し、鋭く光っている刃先は、明人へ走っているカクリの背中へと向けられた。
狙いを定め、背中を向けているカクリへと、黒いナイフを投げた。
「なっ──」
「カクリ!」
投げられたナイフは一寸の狂いなく、カクリの背中に命中。
明人は体勢を立て直し、魔蛭を逃さぬように見据えた。
カクリも痛みに何とか耐えながら立ち上がり、床を赤く染めながらもベルゼを横目で見続けた。
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