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一章

44、夜の寝室で【2】

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 レナーテは素直になることに慣れていない。無論、羞恥心と潔癖な環境で育ったことが原因だろう。
 まったく困ったものだ。

 レナーテの胸を指で掴む。さほど大きいわけでないが、柔らかくて指が食い込んでいくほどだ。
 白い胸に、俺の指の痕が残らぬよう力加減には気をつけているつもりだが。

「ん……んぅ……ぁ」

 くちづけを交わしながら、なおも彼女の胸を責める。敏感なレナーテはそれだけでも、ひどく感じて腰を浮かしてしまう。
 自分では気づいていないだろうが。体は正直に反応を教えてくれる。

 散々弄った所為で、胸の先端は普段よりも赤く染まっている。
 そっと彼女の下腹部に手を伸ばし、気づかれぬ内に腿の間に指を滑り込ませた。

「い……ぁ、やっ、そこ、だめ」
「俺にはそうは思えないが」
「……ぁ、あっ」

 花弁に隠された部分を指で触れ、それをレナーテに見せつけた。俺が指先で少し触れただけで、彼女はもう荒い息をしている。

 俺の指は月光に照らされて、しっとりと濡れている。
 それが何を意味するのか、レナーテは悟ったようだ。頬がかっと赤く染まるのが見えた。

「わたし……」
「これからどうして欲しい?」

 レナーテは左右の腕で自分の顔を隠してしまう。駄目だよ、全部俺に見せないと。
 苦しそうな表情も、恍惚とした表情も、何もかも俺のものだから。

「ふ……触れて、ください」

 目許は腕で隠されているから、唇だけが微かに動いた。 
 うん、素直でよろしい。
 だが、触れるだけで終わるつもりはないのだが。それは言わない方が良さそうだ。

 室内は静かで。窓を閉めているから月の光は入るが、外の風の音は聞こえない。
 ただレナーテに触れるたびに、ちゅく……という水音が聞こえ。それを彼女は恥ずかしがって、顔を背けようとする。

「ちゃんと聞いていなさい。貴女が感じている証の音だから」

 ふるふると首を振り、眉をしかめて瞼を閉じるレナーテ。そんな表情も見逃したくはない。

「ほら、もっと濡れてきた。ああ、こんなにも」
「仰らないで……」
「そうは言ってもなぁ」

 呑気そうに答えながらも、指の動きは止めてやらない。俺に翻弄されるレナーテがあまりにも可愛くて。

「は……ぁ、ぁ……ん、んんっ」

 俺は彼女の腿の内側に手を置いて、足を広げさせた。
 とっくに俺に蕩けさせられているレナーテは、もはや抵抗もできない。

 ああ、服が邪魔だ。いっそボタンを引き千切って、寝間着を脱いでしまいたいが。それではレナーテを怖がらせてしまう。
 もどかしい思いでボタンを外し、俺は着ているものを脱ぎ捨てた。

◇◇◇

 エルヴィンさまが、わたしの足を開かせたのは気付いていました。
 でも、抗うこともできなかったの。

 彼の長くて節くれだった指が、わたしに触れて。
 ぴちゃ……という淫靡な水音が耳に届くのと、彼が与えてくれる快感に溺れていくのが分かったの。

「あ……ぁ、だめ、き……そう、です」
「可愛いレナーテ。今はまだ駄目だよ」

 もう少しで達しそうなのに。エルヴィンさまはその先を与えてくださいません。
 もどかしくて、なのに「もっとしてください」なんて、はしたないことは口に出すこともできず。
 何度そんな風に、途中で放置されたのでしょう。
 エルヴィンさまも苦しそうなのに。眉をしかめて、わたしを見下ろしていらっしゃるのに。
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