真実の愛なんてクソ喰らえ

第二章

愛と復讐③

「……、」




次に目が覚めた時、私はよく知っているベッドの中にいた。

そこは弾力もあってフカフカであり、寝心地の良い場所だ。

身体に掛けられているのは羽毛布団で私の体温が篭っているおかげか、その中はとても暖かい。

額には冷却シートが貼られていて。寝ている間、誰かに看病されていた事が分かった。

ここは確か、ギンさんの家の…。




「雅姫ちゃん、起きた…？」

「…、」




薄く目を開き、視線を動かして周りを確認していた時、傍で時雨さんの声がした。

ここはギンさんの家なのにどうして…？




「…っ、良かった…」




覚醒していない脳で考えながらも、声がした方向に顔を向けるとそこには涙ぐんでいる時雨さんがいて。ぱっちり視線が合うと夢中で抱き締められた。

傍で感じる硬い胸板に、ぐえ、と苦しくなるものの…。
こんな風に泣いて喜ばれると拒否する言葉を出す事も出来なくて、少しの間大人しく止まっていた。

どうして、彼は泣いているのだろうか…？



「ケホケホ…、」



喉もカラカラしていて、少しでも声を出そうとするとピリッと痛みが走って噎せてしまう。



「本当に目覚めてよかった…、あなた車で気を失って二日も寝たきりだったのよ…っ、」

「……！？」




その理由は聞き出す必要もなく、私を抱き締めている彼の口から語られた。

二日も寝たきりだった…？

確かに熱が上がったような感覚があって意識も朦朧としていたけれど、二日も寝たきりになるほどに体調が悪い認識は無かった。

ただの熱だと思っていたのに…。

二日間、目覚めた記憶もなければ、何かを口にした記憶もない。

だから喉も痛いのかな…？

喉元に手を当てて再度声を出そうとしてみても、やはり出るのは咳だけだった。