真実の愛なんてクソ喰らえ

第一章

血の味を知った者②

さらに一週間が経った頃。私は今ーー、南京錠で固く閉じられた扉の前にいる。

何故この場所にいるのかと説明すると、時を遡る事1時間前。

私は午後3時に毎日恒例にもなったおやつの苺のタルトを楽しんでいた。




…



「…美味しい」



この時、ギンさんは仕事に行っていて、部屋の中はがらんとしていた。

同様に、いつもは傍にいるはずの執事や使用人が、今日は慌ただしく部屋から居なくなった。

当然不思議に思ったけれど、自分には関係のない事だとドライに考え、いつものようにタルトを食べていたのだ。






ガシャンーー。

ドン、




「…？」





けれど、もうひと口食べようとした時。遠くの場所から硬い金属がぶつかるような音が響いて来て、思わずフォークを持つ手を止めた。

今の、何の音だろう？

外で何かあったのだろうか…？

今までに聞いた事のない音に驚き、私は椅子から立ち上がって部屋の扉を開けて顔を覗かせた。







ドォン、




「っえ、…」





顔を出して数分も経たないうちにまた大きな音が廊下に響き渡る。

これはどう考えても気の所為ではないだろう。

廊下の先からハッキリと聞こえた音に、何故か嫌な予感がして首の後ろにじわりと汗が滲む。