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学院中等部 6学年生
ミザリア伯爵の治療 ①
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ミザリア伯爵の手を握って、光の魔力を通す。慎重にならなくても分かってしまった。悪性新生物だ。しかも癌メタしてる。
原発巣はどこか分からない。全身にメタが起きている。
「フェルナー嬢?」
「……悪性新生物、です。全身にメタしてます」
「ん?フェルナー嬢、悪いが……」
あ、この世界では知られていない言葉を使っちゃった。
「ミザリア伯爵様は、キャンサーです。最初に癌に侵された部位は分かりませんが、全身に転移してます」
「キャンサー……。治癒は?」
「……閣下、光魔法使いは、教会外では医師の指示が無いと治癒を使えないのです」
「使えない?」
「決められております」
「なんだその馬鹿げた決まりは。どこの誰がそんな事を決めた。答えよ、フェルナー嬢」
「存じ上げません。サミュエル先生から教えていただきました」
「ブランジットの小倅めがっ」
「サミュエル先生が決めたわけではございません。おそらくは教会や聖国辺りが関与しているものと」
「医師の指示なら良いのだな?」
「はい」
私が頷くとファレンノーザ公爵は、恐ろしい顔で部屋を出ていった。
少しして何か喚く声とファレンノーザ公爵の怒鳴り声が、近付いてきた。
「お医者様をお連れになったのでしょうか?」
「そうでしょうな。フェルナー嬢、いえ、光の聖女様。お手数をお掛けしますが、頼めますかな?」
「かしこまりました」
乱暴にドアが開き、ファレンノーザ公爵が縄でグルグル巻きにされたお医者様を、乱暴に引きずってきた。
「許可を出せ。フェルナー嬢に治療の許可を」
「いくら優秀な光魔法使いでも無理ですって。私の薬でも効かなかったんですよ?」
「貴様の薬など効く訳があるかっ。このクワックがっ」
「なんという事を!!」
「えぇい、五月蝿い。疾くせよっ」
「ウィル様、そのように乱暴には……」
「クリスは黙っておれ」
「閣下、そのように締め上げられては、お医者様は許可が出せません。落ち着いてくださいませ」
「邪魔をするなっ」
ファレンノーザ公爵の手が乱暴に振り抜かれ、私の顔に当たった。
「きゃあぁ!!」
私の身体は、簡単に吹っ飛んでしまった。身体は柔らかい絨毯の上で守られたけど、公爵の手が当たった頬が痛む。
「ウィル様!!落ち着かれよ!!」
ミザリア伯爵の威厳のある声が響く。その声にファレンノーザ公爵がビクッとした。
「大丈夫ですか?」
ハロルドさんが助け起こしてくれた。
「ありがとうございます」
「頬が腫れております。ご無理はなさいませんよう」
ハロルドさんの向こうでは、ファレンノーザ公爵がミザリア伯爵にお説教されている。
「頬をお治しになっては?」
「ミザリア伯爵様の治療に、どれ程の魔力が必要か分かりません。魔力は温存しておきたいんです」
「しかし……」
「終われば治します」
ハロルドさんは気遣ってくれるけど、ミザリア伯爵のあの癌メタを全て治すなら、きっと相当な魔力が必要となる。それなら少しでも温存しておきたい。
「フェルナー嬢、待たせた……。どうしたんだね、その頬は」
「お話は済みましたか?伯爵様」
「あぁ、可愛らしいお顔がこのような事に。私は良いからすぐに治しなさい」
「でも……」
「でも、ではないんだよ。私の病気は今すぐに治さなければいけないものなのかい?」
「そんな事はありませんが」
「それなら明日でも良いよ。先に自分を治しなさい」
「はい」
頬に触るとピリピリした痛みがあった。心なしか腫れているような気もする。
頬に手を当てて、治癒を使う。自分に治癒を使うのは初めてだから、ちょっと緊張する。ホワッと温かさが頬に沁みていった。
痛みが治まっていく。
「治ったようだね。今日は泊まっていきなさい。ウィル様から聞いたけど、ラーフェニックの方も世話になったのだろう?それにウィリアムが謝りたいと言っているらしい」
「謝ると言われましても」
私より先に、ミザリア伯爵に謝ってほしい。
その日はミザリア領城に泊まる事になった。
「フェルナー嬢、良いだろうか?」
夕食後、ハロルドさんに付き添われたウィリアムさんに、話しかけられた。
「その、すまなかった」
「それは何に対しての謝罪でしょうか?私は、ウィリアム様に謝罪されるような心当たりが無いのですが」
「最初の態度に対する謝罪だ」
「不要です。ウィリアム様はあの時何も知らなかったのでしょう?そんな中現れた私を不審に思っても仕方がないかと」
なおもウィリアムさんが申し訳なさそうなので、ミザリア家の人物関係を聞いてみる事にした。
「ラーフェニック様がミザリア伯爵様のご嫡男で、マリーテレザちゃんはラーフェニック様のお子様。グレイス夫人はハロルドさんの奥様で、ハロルドさんはラーフェニック様の専属侍従の1人」
「それからエイドリアンとアーノルドはラーフェニック叔父上の弟だね。僕はエイドリアンの息子だよ」
「跡継ぎ問題で揉めていると、聞いていたのですが?」
「ラーフェニック叔父上が急にお倒れになったからね。お祖父様も体調が思わしくなかったし。まさか呪詛に毒とは……」
「ウィリアム様は何もご存じなかったのですか?」
「父から、お祖父様がラーフェニック叔父上には任せられないから、話し合っておけと言われたと聞いたんだ」
今頃エイドリアンとアーノルドは、ファレンノーザ公爵の取り調べを受けていると思う。ファレンノーザ公爵は幼少期にミザリア伯爵から、武芸の手解きを受けていたそうだ。それでミザリア伯爵様と親しそうだったのね。ミザリア伯爵様に一喝されて小さくなっていたし。
「お祖父様のご病気は、難しいのかい?」
「キャンサーです。しかも全身に転移しております。相当な痛みがあると思います」
「キャンサーか……」
癌はシャーマニー語でクレープスという。でも世間一般には、キャンサーの方が浸透している。過去の転生者が使っていたのかもしれない。その辺りの事情は分からないけど、医療用語でもシャーマニー語じゃない単語があったりする。他の専門用語も同様だったりする。そういうものだと納得するしかないんだよね。
翌日からミザリア伯爵の治癒を始めた。光魔法で一気に治してしまう事も出来るけど、そうするとミザリア伯爵の体力が大きく削られてしまう。それに私の魔力もどれだけ要るか分からない。
まずは胃の癌細胞を正常に生まれ変わらせる。やってみて分かったけど、ものすごく魔力を使う。ミザリア伯爵の体力も相当使っているようで、胃の治癒だけで2人でフラフラになってしまった。護衛としてダニエル様とマリアさんも部屋にいるし、ウィリアム様も付いていていてくれる。
私が当初考えていたのは、癌細胞を死滅させるというもの。こちらのやり方は一気に行ってもミザリア伯爵の体力は、さほど削られない。ただし痛みを伴う。お試しでやってみた大腸部分は、伯爵からギブアップされてしまった。痛すぎて耐えられないとの事だ。次に試したのが、細胞を正常に生まれ変わらせる方法。こちらは痛みがそこまでじゃないと言ってもらえたので、こちらを採用した。
「フェルナー嬢、大丈夫かい?」
「はい。ミザリア伯爵様こそ、ご無理はなさいませんよう」
「やっぱり体力は落ちてるね。情けないね」
「そんな事はございませんわ。健康になられましたら、いろいろな事が出来ますわよ」
「あぁ、楽しみだね」
原発巣はどこか分からない。全身にメタが起きている。
「フェルナー嬢?」
「……悪性新生物、です。全身にメタしてます」
「ん?フェルナー嬢、悪いが……」
あ、この世界では知られていない言葉を使っちゃった。
「ミザリア伯爵様は、キャンサーです。最初に癌に侵された部位は分かりませんが、全身に転移してます」
「キャンサー……。治癒は?」
「……閣下、光魔法使いは、教会外では医師の指示が無いと治癒を使えないのです」
「使えない?」
「決められております」
「なんだその馬鹿げた決まりは。どこの誰がそんな事を決めた。答えよ、フェルナー嬢」
「存じ上げません。サミュエル先生から教えていただきました」
「ブランジットの小倅めがっ」
「サミュエル先生が決めたわけではございません。おそらくは教会や聖国辺りが関与しているものと」
「医師の指示なら良いのだな?」
「はい」
私が頷くとファレンノーザ公爵は、恐ろしい顔で部屋を出ていった。
少しして何か喚く声とファレンノーザ公爵の怒鳴り声が、近付いてきた。
「お医者様をお連れになったのでしょうか?」
「そうでしょうな。フェルナー嬢、いえ、光の聖女様。お手数をお掛けしますが、頼めますかな?」
「かしこまりました」
乱暴にドアが開き、ファレンノーザ公爵が縄でグルグル巻きにされたお医者様を、乱暴に引きずってきた。
「許可を出せ。フェルナー嬢に治療の許可を」
「いくら優秀な光魔法使いでも無理ですって。私の薬でも効かなかったんですよ?」
「貴様の薬など効く訳があるかっ。このクワックがっ」
「なんという事を!!」
「えぇい、五月蝿い。疾くせよっ」
「ウィル様、そのように乱暴には……」
「クリスは黙っておれ」
「閣下、そのように締め上げられては、お医者様は許可が出せません。落ち着いてくださいませ」
「邪魔をするなっ」
ファレンノーザ公爵の手が乱暴に振り抜かれ、私の顔に当たった。
「きゃあぁ!!」
私の身体は、簡単に吹っ飛んでしまった。身体は柔らかい絨毯の上で守られたけど、公爵の手が当たった頬が痛む。
「ウィル様!!落ち着かれよ!!」
ミザリア伯爵の威厳のある声が響く。その声にファレンノーザ公爵がビクッとした。
「大丈夫ですか?」
ハロルドさんが助け起こしてくれた。
「ありがとうございます」
「頬が腫れております。ご無理はなさいませんよう」
ハロルドさんの向こうでは、ファレンノーザ公爵がミザリア伯爵にお説教されている。
「頬をお治しになっては?」
「ミザリア伯爵様の治療に、どれ程の魔力が必要か分かりません。魔力は温存しておきたいんです」
「しかし……」
「終われば治します」
ハロルドさんは気遣ってくれるけど、ミザリア伯爵のあの癌メタを全て治すなら、きっと相当な魔力が必要となる。それなら少しでも温存しておきたい。
「フェルナー嬢、待たせた……。どうしたんだね、その頬は」
「お話は済みましたか?伯爵様」
「あぁ、可愛らしいお顔がこのような事に。私は良いからすぐに治しなさい」
「でも……」
「でも、ではないんだよ。私の病気は今すぐに治さなければいけないものなのかい?」
「そんな事はありませんが」
「それなら明日でも良いよ。先に自分を治しなさい」
「はい」
頬に触るとピリピリした痛みがあった。心なしか腫れているような気もする。
頬に手を当てて、治癒を使う。自分に治癒を使うのは初めてだから、ちょっと緊張する。ホワッと温かさが頬に沁みていった。
痛みが治まっていく。
「治ったようだね。今日は泊まっていきなさい。ウィル様から聞いたけど、ラーフェニックの方も世話になったのだろう?それにウィリアムが謝りたいと言っているらしい」
「謝ると言われましても」
私より先に、ミザリア伯爵に謝ってほしい。
その日はミザリア領城に泊まる事になった。
「フェルナー嬢、良いだろうか?」
夕食後、ハロルドさんに付き添われたウィリアムさんに、話しかけられた。
「その、すまなかった」
「それは何に対しての謝罪でしょうか?私は、ウィリアム様に謝罪されるような心当たりが無いのですが」
「最初の態度に対する謝罪だ」
「不要です。ウィリアム様はあの時何も知らなかったのでしょう?そんな中現れた私を不審に思っても仕方がないかと」
なおもウィリアムさんが申し訳なさそうなので、ミザリア家の人物関係を聞いてみる事にした。
「ラーフェニック様がミザリア伯爵様のご嫡男で、マリーテレザちゃんはラーフェニック様のお子様。グレイス夫人はハロルドさんの奥様で、ハロルドさんはラーフェニック様の専属侍従の1人」
「それからエイドリアンとアーノルドはラーフェニック叔父上の弟だね。僕はエイドリアンの息子だよ」
「跡継ぎ問題で揉めていると、聞いていたのですが?」
「ラーフェニック叔父上が急にお倒れになったからね。お祖父様も体調が思わしくなかったし。まさか呪詛に毒とは……」
「ウィリアム様は何もご存じなかったのですか?」
「父から、お祖父様がラーフェニック叔父上には任せられないから、話し合っておけと言われたと聞いたんだ」
今頃エイドリアンとアーノルドは、ファレンノーザ公爵の取り調べを受けていると思う。ファレンノーザ公爵は幼少期にミザリア伯爵から、武芸の手解きを受けていたそうだ。それでミザリア伯爵様と親しそうだったのね。ミザリア伯爵様に一喝されて小さくなっていたし。
「お祖父様のご病気は、難しいのかい?」
「キャンサーです。しかも全身に転移しております。相当な痛みがあると思います」
「キャンサーか……」
癌はシャーマニー語でクレープスという。でも世間一般には、キャンサーの方が浸透している。過去の転生者が使っていたのかもしれない。その辺りの事情は分からないけど、医療用語でもシャーマニー語じゃない単語があったりする。他の専門用語も同様だったりする。そういうものだと納得するしかないんだよね。
翌日からミザリア伯爵の治癒を始めた。光魔法で一気に治してしまう事も出来るけど、そうするとミザリア伯爵の体力が大きく削られてしまう。それに私の魔力もどれだけ要るか分からない。
まずは胃の癌細胞を正常に生まれ変わらせる。やってみて分かったけど、ものすごく魔力を使う。ミザリア伯爵の体力も相当使っているようで、胃の治癒だけで2人でフラフラになってしまった。護衛としてダニエル様とマリアさんも部屋にいるし、ウィリアム様も付いていていてくれる。
私が当初考えていたのは、癌細胞を死滅させるというもの。こちらのやり方は一気に行ってもミザリア伯爵の体力は、さほど削られない。ただし痛みを伴う。お試しでやってみた大腸部分は、伯爵からギブアップされてしまった。痛すぎて耐えられないとの事だ。次に試したのが、細胞を正常に生まれ変わらせる方法。こちらは痛みがそこまでじゃないと言ってもらえたので、こちらを採用した。
「フェルナー嬢、大丈夫かい?」
「はい。ミザリア伯爵様こそ、ご無理はなさいませんよう」
「やっぱり体力は落ちてるね。情けないね」
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