203 / 290
学院中等部 6学年生
芸術祭 ②
しおりを挟む
控室に戻って着替えとメイク直しを行う。舞台上では舞台用のガッツリメイクだったから、普通の生活には相応しくないのよね。だからメイクも直すんだけど、今は込み合っていてスペースが空いていない。イザベラ様はメインだったから優先的にメイク直しをしているけれど。
ドレスだけ着替えてひと息吐いていると、劇団員のひとりに乱暴に腕を掴まれた。
「こちらに来なさい」
言われるままに付いていくと、1番端のメイク鏡の前に座らされた。
「あなた、あんな場所で何をしていたの?」
「メイク直しの順番待ちを」
「メイク直し?まぁ良いわ。私がしてあげる。こんなに小さいのに舞台に出てたのね」
「あの、私は6学年生です」
「え?ごめんなさいっ。てっきりもっと小さいのだと」
「身長が伸びないんですよね」
見ず知らずの普段は会話する事もない、劇団の女性。少し言動は乱暴な気がするけれど、悪い気はしない。
劇団員のお姉さん、エリーさんは、手早くメイクを落とし、私に合ったメイクを施してくれた。
「あなたの場合、リップを塗る位で良いと思うのよね。それも薄い色。濃すぎるとそこだけ浮いちゃうわ。髪も直して良い?」
「お願いします。あ、でも、子供っぽくしないで欲しいです」
「ふふん。任せなさい」
エリーさんのヘアメイク技術は本当にスゴくて、あっという間に仕上がってしまった。髪型も編み込みやみつ編みを駆使して、自分じゃ到底再現不可能な髪型にされた。ふんわりしているけど子供っぽくなくて、可愛いのにキチンとしている。
「スゴい」
「気に入った?」
「はい」
お礼を言って控室から出る。控室から出た所で、息急ききったランベルトお義兄様が駆け寄ってきた。
「キャシー、どこに居たんだ?」
「どこって控室の中ですわ。メイクと髪型を直してもらっていましたの」
「アンバーが控室に居なかったと言うから探してたんだ。良かった。最悪の事態を考えたぞ?」
最悪の事態って、誘拐とかだろうか。あり得ないと言いきれないのが辛い。
「ご心配をおかけしました」
「こっちが勝手に心配しただけだからな。キャシーは悪くない」
纏めてもらった髪をワシワシと乱暴に撫でられた。
やがてアンバー様も戻ってきて、私に抱き付いて見付かった事を喜んでくれた。
「この後はどうする?」
「歌唱隊の歌を聞きたいです」
「キャシーは最初に関わったからな。分かった。行こう」
お義兄様とアンバー様に挟まれて、客席に向かう。2階席が取ってくれてあって、そこで観賞した。
舞台上では、歌唱隊の歌とダンスの発表が予定されている。楽器の演奏は明日行われる予定だ。
歌唱隊の歌は、流行歌2曲と聖歌2曲と、エマちゃんのオリジナル曲。最初の頃に比べて格段に上手になっている。
「なんというか、元気が湧いてくる曲だな」
「えぇ。勇気を奮い立たせてくれるというか」
エマちゃんのオリジナル曲の評判は上々だったと思う。少なくとも私の周りの人は褒めていたし、私自身すごく良かったと思った。
ダンスはスローフォックストロットとクイックステップも取り入れられていて、めまぐるしく動くステップに、私には真似出来ないなと思ってしまった。
スローフォックストロットはキツネが駆け抜けるような、スピード感あふれる激しい踊りにゆったりとした優雅なワルツの動きを合わせたダンスだ。
クイックステップはさらに早い。テンポの速い音楽に乗って、フロアを縦横無尽に、駆け回るイメージのダンスだ。 ワルツのようなスイングダンスから、急に跳ねたり、走ったり、スキップしたりする。
「へぇ。足捌きの良い訓練になりそうだ」
「お義兄様ったら。どんな事でも剣術に結びつけますのね」
「剣に生きる者にとっての性だから、仕方がない」
「そんな事を仰って。そうだわ。ねぇ、お義兄様。領地経営の授業は男性のみですわよね?」
「いいや?確か女性も受ける授業があったと。なぁ、アンバー」
「補佐の補佐というか、当主や当主代理が不在の時に夫人が慌てなくてすむようにという事で、9学年生で1年間授業がありますよ。希望者には高等部でさらに発展系を講義してくれます」
「そうだったのですね」
「私も迷ったのですが、一応講義は受けてます。男女別ですから、ランベルト様はご存じなかったと思いますが」
「は?何の為に?兄貴も俺もいるんだ。必要無いだろう?」
「フェルナーのお義母様から、受けておいて欲しいと言われたので。何があるか分からないのだから、受けておいて損はないと笑っておられました」
「母上……」
「アンバー様、私も受けられるのでしょうか?」
「えぇ。もちろんですわ。でもお忙しいのではなくて?医師資格取得の講座もございますのでしょう?」
「人生、何があるか分かりませんから」
「それはそうなのですけれど」
どことなく気掛かりな視線のアンバー様。無理しないか、とか考えているんだろうな。
舞台発表が終わると、芸術祭の1日目は終了する。明日は楽器の演奏だけど、今年は鑑賞しないと決めている。そのかわり刺繍倶楽部や手芸倶楽部や他の倶楽部の作品を見たり、薬草研究会に顔を出そうと決めている。
「キャスリーン様ぁ」
「エマちゃん。聞いていましてよ。すごくお上手でした」
「えへへ。キャスリーン様がどこにいらっしゃるか分からなくて、ちょっと落ち込んでたんです。でも絶対に聞いてくださっているからって、バージェフ先輩が言ってくれ……っと、仰って」
「最近は薬草研究会にも行けていなくて。エマちゃんはまだ所属してるんですわよね?」
「はい。皆様色々教えてくださって、薬草の名前とか効能とか、たくさん覚えました」
ニコニコと報告してくれるエマちゃんをお義兄様が胡乱な目で見ていた。
「キャシー、その子は?」
「エマニュエル・ハリス様ですわ。2学年生です」
「ハリス?ハリスってどこかで聞いた気が?」
「ランベルト様、ちょっと……」
アンバー様がお義兄様を引っ張って少し離れた。
「あのぉ?」
「お義兄様と婚約者のアンバー・エスクーア様です。どちらも青学年生ですわ。お義兄様はバージェフ先輩と同級生ですわね」
「あっ、思い出しました。時々ポーションを取りに来る人」
「身体は大きいですけれど、お優しいのですよ」
「はい。私にも声をかけてくれて」
お義兄様、お声がけまでしている子を、忘れてしまわれたのですか?それはちょっとどうなんでしょう?
お義兄様とアンバー様が戻ってきた。
「薬草研究会で時々会うな。忘れてた」
「すみません。私もです」
アンバー様が呆れた顔をしている。気持ちは分かります。
私とアンバー様の気も知らないで、お義兄様とエマちゃんは楽しそうに話をしている。
良いけどね。「仲良き事は美しきかな」って前世で有名な誰かが言ってたし。
お義兄様とエマちゃんのお話が終わったようなので、アンバー様も一緒に寮に帰る。夕食まで少し時間があったから、医師資格取得の為の勉強をしているとリリス様がやって来た。隣で教えあいをしていると、イザベラ様とガブリエラ様が邪魔をしに来た。邪魔っていっても私達の勉強内容を見て「ここって何?」とか「これはどうなってるの?」とか聞いてくるだけだけどね。復習になるかな?と思ってリリス様と答える。
「いつ見ても意味不明ですわ」
「病気と薬草の関係は分かりますわよ?異なる薬草を合わせると効果を発揮する物があるとか。でも外傷に何故胃薬を出しますの?」
「お薬で胃が荒れるのを防ぐ為ですわ」
「強いお薬はどうしても胃を荒らしますから」
リリス様と交互に答えて、その日は終わった。
ドレスだけ着替えてひと息吐いていると、劇団員のひとりに乱暴に腕を掴まれた。
「こちらに来なさい」
言われるままに付いていくと、1番端のメイク鏡の前に座らされた。
「あなた、あんな場所で何をしていたの?」
「メイク直しの順番待ちを」
「メイク直し?まぁ良いわ。私がしてあげる。こんなに小さいのに舞台に出てたのね」
「あの、私は6学年生です」
「え?ごめんなさいっ。てっきりもっと小さいのだと」
「身長が伸びないんですよね」
見ず知らずの普段は会話する事もない、劇団の女性。少し言動は乱暴な気がするけれど、悪い気はしない。
劇団員のお姉さん、エリーさんは、手早くメイクを落とし、私に合ったメイクを施してくれた。
「あなたの場合、リップを塗る位で良いと思うのよね。それも薄い色。濃すぎるとそこだけ浮いちゃうわ。髪も直して良い?」
「お願いします。あ、でも、子供っぽくしないで欲しいです」
「ふふん。任せなさい」
エリーさんのヘアメイク技術は本当にスゴくて、あっという間に仕上がってしまった。髪型も編み込みやみつ編みを駆使して、自分じゃ到底再現不可能な髪型にされた。ふんわりしているけど子供っぽくなくて、可愛いのにキチンとしている。
「スゴい」
「気に入った?」
「はい」
お礼を言って控室から出る。控室から出た所で、息急ききったランベルトお義兄様が駆け寄ってきた。
「キャシー、どこに居たんだ?」
「どこって控室の中ですわ。メイクと髪型を直してもらっていましたの」
「アンバーが控室に居なかったと言うから探してたんだ。良かった。最悪の事態を考えたぞ?」
最悪の事態って、誘拐とかだろうか。あり得ないと言いきれないのが辛い。
「ご心配をおかけしました」
「こっちが勝手に心配しただけだからな。キャシーは悪くない」
纏めてもらった髪をワシワシと乱暴に撫でられた。
やがてアンバー様も戻ってきて、私に抱き付いて見付かった事を喜んでくれた。
「この後はどうする?」
「歌唱隊の歌を聞きたいです」
「キャシーは最初に関わったからな。分かった。行こう」
お義兄様とアンバー様に挟まれて、客席に向かう。2階席が取ってくれてあって、そこで観賞した。
舞台上では、歌唱隊の歌とダンスの発表が予定されている。楽器の演奏は明日行われる予定だ。
歌唱隊の歌は、流行歌2曲と聖歌2曲と、エマちゃんのオリジナル曲。最初の頃に比べて格段に上手になっている。
「なんというか、元気が湧いてくる曲だな」
「えぇ。勇気を奮い立たせてくれるというか」
エマちゃんのオリジナル曲の評判は上々だったと思う。少なくとも私の周りの人は褒めていたし、私自身すごく良かったと思った。
ダンスはスローフォックストロットとクイックステップも取り入れられていて、めまぐるしく動くステップに、私には真似出来ないなと思ってしまった。
スローフォックストロットはキツネが駆け抜けるような、スピード感あふれる激しい踊りにゆったりとした優雅なワルツの動きを合わせたダンスだ。
クイックステップはさらに早い。テンポの速い音楽に乗って、フロアを縦横無尽に、駆け回るイメージのダンスだ。 ワルツのようなスイングダンスから、急に跳ねたり、走ったり、スキップしたりする。
「へぇ。足捌きの良い訓練になりそうだ」
「お義兄様ったら。どんな事でも剣術に結びつけますのね」
「剣に生きる者にとっての性だから、仕方がない」
「そんな事を仰って。そうだわ。ねぇ、お義兄様。領地経営の授業は男性のみですわよね?」
「いいや?確か女性も受ける授業があったと。なぁ、アンバー」
「補佐の補佐というか、当主や当主代理が不在の時に夫人が慌てなくてすむようにという事で、9学年生で1年間授業がありますよ。希望者には高等部でさらに発展系を講義してくれます」
「そうだったのですね」
「私も迷ったのですが、一応講義は受けてます。男女別ですから、ランベルト様はご存じなかったと思いますが」
「は?何の為に?兄貴も俺もいるんだ。必要無いだろう?」
「フェルナーのお義母様から、受けておいて欲しいと言われたので。何があるか分からないのだから、受けておいて損はないと笑っておられました」
「母上……」
「アンバー様、私も受けられるのでしょうか?」
「えぇ。もちろんですわ。でもお忙しいのではなくて?医師資格取得の講座もございますのでしょう?」
「人生、何があるか分かりませんから」
「それはそうなのですけれど」
どことなく気掛かりな視線のアンバー様。無理しないか、とか考えているんだろうな。
舞台発表が終わると、芸術祭の1日目は終了する。明日は楽器の演奏だけど、今年は鑑賞しないと決めている。そのかわり刺繍倶楽部や手芸倶楽部や他の倶楽部の作品を見たり、薬草研究会に顔を出そうと決めている。
「キャスリーン様ぁ」
「エマちゃん。聞いていましてよ。すごくお上手でした」
「えへへ。キャスリーン様がどこにいらっしゃるか分からなくて、ちょっと落ち込んでたんです。でも絶対に聞いてくださっているからって、バージェフ先輩が言ってくれ……っと、仰って」
「最近は薬草研究会にも行けていなくて。エマちゃんはまだ所属してるんですわよね?」
「はい。皆様色々教えてくださって、薬草の名前とか効能とか、たくさん覚えました」
ニコニコと報告してくれるエマちゃんをお義兄様が胡乱な目で見ていた。
「キャシー、その子は?」
「エマニュエル・ハリス様ですわ。2学年生です」
「ハリス?ハリスってどこかで聞いた気が?」
「ランベルト様、ちょっと……」
アンバー様がお義兄様を引っ張って少し離れた。
「あのぉ?」
「お義兄様と婚約者のアンバー・エスクーア様です。どちらも青学年生ですわ。お義兄様はバージェフ先輩と同級生ですわね」
「あっ、思い出しました。時々ポーションを取りに来る人」
「身体は大きいですけれど、お優しいのですよ」
「はい。私にも声をかけてくれて」
お義兄様、お声がけまでしている子を、忘れてしまわれたのですか?それはちょっとどうなんでしょう?
お義兄様とアンバー様が戻ってきた。
「薬草研究会で時々会うな。忘れてた」
「すみません。私もです」
アンバー様が呆れた顔をしている。気持ちは分かります。
私とアンバー様の気も知らないで、お義兄様とエマちゃんは楽しそうに話をしている。
良いけどね。「仲良き事は美しきかな」って前世で有名な誰かが言ってたし。
お義兄様とエマちゃんのお話が終わったようなので、アンバー様も一緒に寮に帰る。夕食まで少し時間があったから、医師資格取得の為の勉強をしているとリリス様がやって来た。隣で教えあいをしていると、イザベラ様とガブリエラ様が邪魔をしに来た。邪魔っていっても私達の勉強内容を見て「ここって何?」とか「これはどうなってるの?」とか聞いてくるだけだけどね。復習になるかな?と思ってリリス様と答える。
「いつ見ても意味不明ですわ」
「病気と薬草の関係は分かりますわよ?異なる薬草を合わせると効果を発揮する物があるとか。でも外傷に何故胃薬を出しますの?」
「お薬で胃が荒れるのを防ぐ為ですわ」
「強いお薬はどうしても胃を荒らしますから」
リリス様と交互に答えて、その日は終わった。
117
お気に入りに追加
467
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
私が出て行った後、旦那様から後悔の手紙がもたらされました
新野乃花(大舟)
恋愛
ルナとルーク伯爵は婚約関係にあったが、その関係は伯爵の妹であるリリアによって壊される。伯爵はルナの事よりもリリアの事ばかりを優先するためだ。そんな日々が繰り返される中で、ルナは伯爵の元から姿を消す。最初こそ何とも思っていなかった伯爵であったが、その後あるきっかけをもとに、ルナの元に後悔の手紙を送ることとなるのだった…。
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?
傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~
キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。
両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。
ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。
全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。
エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。
ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。
こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。
暗闇に輝く星は自分で幸せをつかむ
Rj
恋愛
許婚のせいで見知らぬ女の子からいきなり頬をたたかれたステラ・デュボワは、誰にでもやさしい許婚と高等学校卒業後にこのまま結婚してよいのかと考えはじめる。特待生として通うスペンサー学園で最終学年となり最後の学園生活を送る中、許婚との関係がこじれたり、思わぬ申し出をうけたりとこれまで考えていた将来とはまったく違う方向へとすすんでいく。幸せは自分でつかみます!
ステラの恋と成長の物語です。
*女性蔑視の台詞や場面があります。
(完結)嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
【完結】今世は我儘なぐーたら令嬢を目指します
くま
恋愛
一つ下の妹のキャンディは愛嬌は良く可愛い妹だった。
「私ね、お姉様が大好きです!」
「私もよ」
私に懐く彼女を嫌いなわけがない。
公爵家の長女の私は、常に成績トップを維持し、皆の見本になるようにしていた。
だけど……どんなに努力をしていても、成績をよくしていても
私の努力の結果は《当たり前》
来月私と結婚を控えている愛しい婚約者のアッサム様……
幼馴染であり、婚約者。とても優しい彼に惹かれ愛していた。
なのに……結婚式当日
「……今なんと?」
「……こ、子供が出来たんだ。キャンディとの」
「お、お姉様……ごめんなさい…わ、私…でも、ずっと前からアッサム様が好きだったの!お姉様を傷つけたくなくて……!」
頭が真っ白になった私はそのまま外へと飛びだして馬車に引かれてしまった。
私が血だらけで倒れていても、アッサム様は身籠もっているキャンディの方を心配している。
あぁ……貴方はキャンディの方へ行くのね…
真っ白なドレスが真っ赤に染まる。
最悪の結婚式だわ。
好きな人と想い合いながらの晴れ舞台……
今まで長女だからと厳しいレッスンも勉強も頑張っていたのに…誰も…誰も私の事など…
「リゼお嬢様!!!」
「……セイ…」
この声は我が家の専属の騎士……口も態度も生意気の奴。セイロンとはあまり話したことがない。もうセイロンの顔はよく見えないけれど……手は温かい……。
「俺はなんのために‥‥」
セイロンは‥‥冷たい男だと思っていたけど、唯一私の為に涙を流してくれるのね、
あぁ、雨が降ってきた。
目を瞑ると真っ暗な闇の中光が見え、
その瞬間、何故か前世の記憶を思い出す。
色々と混乱しつつも更に眩しい光が現れた。
その光の先へいくと……
目を覚ました瞬間‥‥
「リゼお姉様?どうしたんですか?」
「…え??」
何故16歳に戻っていた!?
婚約者になる前のアッサム様と妹の顔を見てプツンと何かが切れた。
もう、見て見ぬフリもしないわ。それに何故周りの目を気にして勉強などやらなければならいのかしら?!もう…疲れた!!好きな美味しいお菓子食べて、ぐーたら、したい!するわ!
よくわからないけれど……今世は好き勝手する!まずは、我慢していたイチゴケーキをホールで食べましょう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる