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学院中等部 6学年生
病科見学
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ウィルム医院は庶民街の中にあった。敷地が広くて馬車も停められるけど、周りは庶民的な建物ばかりで、何軒かの家から子供や奥さんと思わしき女性が顔を覗かせていた。
「あれ?この前の……」
シェアラー先生の顔を覚えていたらしい女性に、声をかけられた。
「先週はどうもお世話になりました。今週もお騒がせします」
「いやいや。未来のお医者さん達だろ?将来が楽しみ……」
奥さんの声が止まった。私を凝視している。
「フェルナー嬢、中に入って」
7学年生の先輩に促されて、ウィルム医院に急いで入る。
「私、来ない方が良かったのでしょうか?」
「フェルナー嬢は顔を知られているからね。でも大丈夫だと思うよ」
「ご迷惑がかかってしまったりとか」
「その辺りはどうだろうね。でもルイス先生も名簿は受け取っているはずだから、迷惑だと思ったら断りが来ているんじゃないかな」
本当に大丈夫なんだろうか。ご迷惑をかけてしまうんじゃないかとビクビクしてたんだけど、ルイス医師はそんな事はまったく気にしなかったらしい。診察時間前に氏名確認と今日学びたい事を聞かれたんだけど、極々普通に会話して終わった。
診察が始まった。
最初の患者は、風邪をひいた女の子。症状は5日続く熱と咳。
「うーん。風邪だね。お薬を出しておくから頑張って飲んでくれるかな?」
処方されたのは解熱剤と抗菌剤。それとシロップ。薬師様が「あのシロップは痛み止めですよ。それから咳を抑える成分が入ってますね」と教えてくれた。鎮咳剤って事かな?
ルイス医師は、主に聴診器と木製舌圧子を使って診察している。名前と使い方は全員知っているけど、実際に使った事は無いから、実際に使っている様子を熱心にメモしていた。
私は使った事がある。もちろん本来の使い方じゃない。使用期限切れの舌圧子を軟膏塗りに使っていた。本来は駄目なんだって。添付文書に書いてあるのよ。禁忌として「口腔、咽頭の検診以外の使用禁止」ならびに「再使用禁止」って。ちゃんと滅菌した上でだけどね。
その後も訪れる患者の訴えをきちんと聞いて、適切に処置していく。執刀科相当の患者には、その理由を丁寧に説明していた。
午前中の患者数は40人。個人医としては適当な数なのかな?医師はひとりだけだし、庶民と言えどこの辺りは比較的余裕のある暮らしの人達ばかりのようだ。
お昼休みにルイス医師との、質疑応答の時間がもうけられた。
「本日はお忙しい中貴重な時間を私達に割いていただき、ありがとうございます」
7学年生のそんな言葉から始まった質疑応答。リリス様はやはり執刀科に進まない事のメリット、デメリットが気になったようで、質問していた。
「病科のみでやっていくメリットは、やはり患者との距離が近いという事かな?貴族お抱えだったら執刀科もけいけんしておいて損はないけど、こんな庶民街でやっていくなら、執刀科相当の患者は執刀科専門医に任せた方がいい。もちろん、患者を説得出来るだけの知識は必要だ。それに信頼出来る執刀科専門医との連携。デメリットも実は同じなんだよね。執刀科の腕が無いから、執刀科専門医に任せるしかないし、患者を説得出来なければ意味がない。結局は自分の知識と経験が、何よりも信頼出来るようになってくるんだよ。だから医師資格を取得してしばらくは、修行した方がいいと思っているよ」
「修行ですか?」
「先輩方のやり方を学ぶんだよ。こういう時はこうした方が、とかね。自分ひとりに患者の命、責任、信頼がかかってくるから、生半可な覚悟なら開業はやめた方がいい」
厳しい言葉に皆が黙り込む。
「この中に光魔法使いがいるって聞いたけど」
「はい。私ですが」
「君はなぜ医師資格取得を?こう言ってはなんだけど、医師資格なんか要らないでしょ?」
「医師資格が無いと、教会以外で活動出来ませんから。光魔法は医師が手に負えないと判断せざるを得なくなった患者の、最後の希望だと思っています。救いたいけど救えなかった医師の負担も軽減出来ると考えております」
「それじゃ君が潰れちゃうよ?」
「私は、救えるのに目の前で命の灯火が消えるのを見るのは、嫌なんです。私がいれば、なんて烏滸がましい事は考えておりませんが、それでも救えるなら、救いたいんです。私のような思いは誰にもしてほしくありません」
「君は……」
「フェルナー嬢、ちょっと落ち着こうか。他のみんなは見学に戻りなさい」
シェアラー先生がそう言って、私だけを連れ出した。
「フェルナー嬢、大丈夫かい?大まかな事情は、ブランジット様から聞いているよ。さっき言った事は他の誰も知らないよね?」
「たぶんとしか言えません。私は積極的に言ってはおりませんから。ただ、少し調べれば分かる事です。公的な記録に残っておりますから」
「でも珍しいね。フェルナー嬢があそこまで自分の感情を出すのは」
「お恥ずかしいですわ」
「詳しくは聞かないよ。見学に戻りなさい」
その後見学に戻った私を、薬師様以外は何も無かったように接してくれた。薬師様は私の言葉に何かを感じたのか、それとも気を使ったのか、私の質問には他のみんな以上に丁寧に答えてくれた。
診察が全て終了し、ルイス医師に簡単な挨拶をして、帰寮の為に馬車にに乗ろうとすると、男の子が走ってきた。
「お兄さん、お姉さん。今日はお疲れさま」
大人びた挨拶をしながら、私達に包みを手渡す。
「これね、母ちゃんが持ってけって。ショートブレッドだよ。母ちゃんのショートブレッドは世界一美味しいんだ。その、そっちの光の聖女様に似ているお姉さんにも、どうぞって」
たぶんみんな知ってるんだ。私が光の聖女と呼ばれている本人だって。でもシェアラー先生が『学院生の見学だ』と言ったから、見て見ぬふりというか、素知らぬ風を装ってくれている。
グイッと押し出されて、男の子から包みを受け取った。
「ありがとう。お母さんにもお礼を言っておいてね」
「うん。じゃあね」
普段なら手作りの物は受け取らないし、受け取ったとしても、絶対に口にはしない。何が入っているか分からないし、そういう教育を受けてきたから。
「何を頂いたんだい?」
「ショートブレッドだそうです。あの子のお母様お手作りの」
「それは食べないわけにいかないね」
先輩が言って、シェアラー先生の許可を取って馬車の中でショートブレッドをいただく。ショートブレッドはバターが少なめでミルクがたっぷり使われていて、優しい味でとても美味しかった。
帰る途中で病科についての話になった。
「病科って診断するだけじゃないのですね」
「当然といえば当然ですけど、患者の事を考え、最善を常に探しているという印象を受けました」
「それに薬師は処方された薬だけを作っている訳じゃないというのも。フェルナー嬢は救民院に行っているよね?そちらでもあんな感じなのかな?」
「私は分かりませんの。光魔法使いとして行っておりますから。そういう事ならリリス様の方がお詳しいかと」
「わ、私っ?」
「えぇ。リリス様は軽症者を担当しておられるでしょう?」
「そうですけど。一緒に居られるお医者様も、ルイス先生と同じ感じでしたわ。患者の話を聞いてお薬を処方して。救民院では育てた薬草を使いますから、そのお手伝いをして帰る患者も居りますの。その薬草の効能や育て方も、教えていただいております」
「フェルナー嬢はどこで何をしてるんだい?」
「私は重症者区画を担当しております。重症者が居なければ中症者を。救民院の患者は軽症者が多いものですから」
「重症者区画には近付くなと言われております。重い感染症患者もいるからと」
「大丈夫なのかい?」
「浄化を使っております。魔道具もございますし」
とってもお高いけど、浄化の魔道具はある。短い通路のような形でそこに1分位居なきゃならないけど。クリーンルーム前のエアシャワーみたいだと思ってしまった。
「あれ?この前の……」
シェアラー先生の顔を覚えていたらしい女性に、声をかけられた。
「先週はどうもお世話になりました。今週もお騒がせします」
「いやいや。未来のお医者さん達だろ?将来が楽しみ……」
奥さんの声が止まった。私を凝視している。
「フェルナー嬢、中に入って」
7学年生の先輩に促されて、ウィルム医院に急いで入る。
「私、来ない方が良かったのでしょうか?」
「フェルナー嬢は顔を知られているからね。でも大丈夫だと思うよ」
「ご迷惑がかかってしまったりとか」
「その辺りはどうだろうね。でもルイス先生も名簿は受け取っているはずだから、迷惑だと思ったら断りが来ているんじゃないかな」
本当に大丈夫なんだろうか。ご迷惑をかけてしまうんじゃないかとビクビクしてたんだけど、ルイス医師はそんな事はまったく気にしなかったらしい。診察時間前に氏名確認と今日学びたい事を聞かれたんだけど、極々普通に会話して終わった。
診察が始まった。
最初の患者は、風邪をひいた女の子。症状は5日続く熱と咳。
「うーん。風邪だね。お薬を出しておくから頑張って飲んでくれるかな?」
処方されたのは解熱剤と抗菌剤。それとシロップ。薬師様が「あのシロップは痛み止めですよ。それから咳を抑える成分が入ってますね」と教えてくれた。鎮咳剤って事かな?
ルイス医師は、主に聴診器と木製舌圧子を使って診察している。名前と使い方は全員知っているけど、実際に使った事は無いから、実際に使っている様子を熱心にメモしていた。
私は使った事がある。もちろん本来の使い方じゃない。使用期限切れの舌圧子を軟膏塗りに使っていた。本来は駄目なんだって。添付文書に書いてあるのよ。禁忌として「口腔、咽頭の検診以外の使用禁止」ならびに「再使用禁止」って。ちゃんと滅菌した上でだけどね。
その後も訪れる患者の訴えをきちんと聞いて、適切に処置していく。執刀科相当の患者には、その理由を丁寧に説明していた。
午前中の患者数は40人。個人医としては適当な数なのかな?医師はひとりだけだし、庶民と言えどこの辺りは比較的余裕のある暮らしの人達ばかりのようだ。
お昼休みにルイス医師との、質疑応答の時間がもうけられた。
「本日はお忙しい中貴重な時間を私達に割いていただき、ありがとうございます」
7学年生のそんな言葉から始まった質疑応答。リリス様はやはり執刀科に進まない事のメリット、デメリットが気になったようで、質問していた。
「病科のみでやっていくメリットは、やはり患者との距離が近いという事かな?貴族お抱えだったら執刀科もけいけんしておいて損はないけど、こんな庶民街でやっていくなら、執刀科相当の患者は執刀科専門医に任せた方がいい。もちろん、患者を説得出来るだけの知識は必要だ。それに信頼出来る執刀科専門医との連携。デメリットも実は同じなんだよね。執刀科の腕が無いから、執刀科専門医に任せるしかないし、患者を説得出来なければ意味がない。結局は自分の知識と経験が、何よりも信頼出来るようになってくるんだよ。だから医師資格を取得してしばらくは、修行した方がいいと思っているよ」
「修行ですか?」
「先輩方のやり方を学ぶんだよ。こういう時はこうした方が、とかね。自分ひとりに患者の命、責任、信頼がかかってくるから、生半可な覚悟なら開業はやめた方がいい」
厳しい言葉に皆が黙り込む。
「この中に光魔法使いがいるって聞いたけど」
「はい。私ですが」
「君はなぜ医師資格取得を?こう言ってはなんだけど、医師資格なんか要らないでしょ?」
「医師資格が無いと、教会以外で活動出来ませんから。光魔法は医師が手に負えないと判断せざるを得なくなった患者の、最後の希望だと思っています。救いたいけど救えなかった医師の負担も軽減出来ると考えております」
「それじゃ君が潰れちゃうよ?」
「私は、救えるのに目の前で命の灯火が消えるのを見るのは、嫌なんです。私がいれば、なんて烏滸がましい事は考えておりませんが、それでも救えるなら、救いたいんです。私のような思いは誰にもしてほしくありません」
「君は……」
「フェルナー嬢、ちょっと落ち着こうか。他のみんなは見学に戻りなさい」
シェアラー先生がそう言って、私だけを連れ出した。
「フェルナー嬢、大丈夫かい?大まかな事情は、ブランジット様から聞いているよ。さっき言った事は他の誰も知らないよね?」
「たぶんとしか言えません。私は積極的に言ってはおりませんから。ただ、少し調べれば分かる事です。公的な記録に残っておりますから」
「でも珍しいね。フェルナー嬢があそこまで自分の感情を出すのは」
「お恥ずかしいですわ」
「詳しくは聞かないよ。見学に戻りなさい」
その後見学に戻った私を、薬師様以外は何も無かったように接してくれた。薬師様は私の言葉に何かを感じたのか、それとも気を使ったのか、私の質問には他のみんな以上に丁寧に答えてくれた。
診察が全て終了し、ルイス医師に簡単な挨拶をして、帰寮の為に馬車にに乗ろうとすると、男の子が走ってきた。
「お兄さん、お姉さん。今日はお疲れさま」
大人びた挨拶をしながら、私達に包みを手渡す。
「これね、母ちゃんが持ってけって。ショートブレッドだよ。母ちゃんのショートブレッドは世界一美味しいんだ。その、そっちの光の聖女様に似ているお姉さんにも、どうぞって」
たぶんみんな知ってるんだ。私が光の聖女と呼ばれている本人だって。でもシェアラー先生が『学院生の見学だ』と言ったから、見て見ぬふりというか、素知らぬ風を装ってくれている。
グイッと押し出されて、男の子から包みを受け取った。
「ありがとう。お母さんにもお礼を言っておいてね」
「うん。じゃあね」
普段なら手作りの物は受け取らないし、受け取ったとしても、絶対に口にはしない。何が入っているか分からないし、そういう教育を受けてきたから。
「何を頂いたんだい?」
「ショートブレッドだそうです。あの子のお母様お手作りの」
「それは食べないわけにいかないね」
先輩が言って、シェアラー先生の許可を取って馬車の中でショートブレッドをいただく。ショートブレッドはバターが少なめでミルクがたっぷり使われていて、優しい味でとても美味しかった。
帰る途中で病科についての話になった。
「病科って診断するだけじゃないのですね」
「当然といえば当然ですけど、患者の事を考え、最善を常に探しているという印象を受けました」
「それに薬師は処方された薬だけを作っている訳じゃないというのも。フェルナー嬢は救民院に行っているよね?そちらでもあんな感じなのかな?」
「私は分かりませんの。光魔法使いとして行っておりますから。そういう事ならリリス様の方がお詳しいかと」
「わ、私っ?」
「えぇ。リリス様は軽症者を担当しておられるでしょう?」
「そうですけど。一緒に居られるお医者様も、ルイス先生と同じ感じでしたわ。患者の話を聞いてお薬を処方して。救民院では育てた薬草を使いますから、そのお手伝いをして帰る患者も居りますの。その薬草の効能や育て方も、教えていただいております」
「フェルナー嬢はどこで何をしてるんだい?」
「私は重症者区画を担当しております。重症者が居なければ中症者を。救民院の患者は軽症者が多いものですから」
「重症者区画には近付くなと言われております。重い感染症患者もいるからと」
「大丈夫なのかい?」
「浄化を使っております。魔道具もございますし」
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