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学院中等部 6学年生
ジルベール叔父様
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「はい。ただ、私の植物魔法は香りによる効果が強いらしく、その、花しか咲かないんです」
「おや、それは珍しい。植物魔法で拘束する場合は?」
「蔓バラが出現して、バラが咲きます」
「ははっ」
「殺傷能力の強い物だと、毒草が咲きました」
「……その場合の効果は?」
「香りが辺りに満ちて、捕獲してあった狼が一瞬で……」
「それは……」
「2度と使わないと決めました」
「危険が迫ったら使うんだよ?身を守る為なんだから」
「攻撃魔法って苦手です」
「水魔法の訓練、するかい?」
「水魔法って突き詰めると氷魔法になりますよね?そっちを訓練したいです」
「この湖を凍らせて、スケートでもするかい?」
「しません。じゃなくて、最初にローレンス様が見せてくれた氷のお人形が動くの、やってみたいです」
「あれかい?あれはローレンスに教わった方が、良いと思うよ」
「ローレンス様に?」
「キャスリーンに見せたくて頑張ったらしいから」
そうだったんだ。
「この頃、水魔法って、ブレシングアクア位しか使ってません」
「メインは光魔法?」
「はい。後はお花に水をあげたりとか、水分を取り除いたりとか」
「見事に平和的な利用法だけだね。今の学院ではそういう利用法しか教えない?」
「はい。後は男性生徒の剣術とか体術に使ったり。女性生徒は魔法の基礎はやりますが、発展系は教わりません」
「そこまで衰退したか」
「ジルベール叔父様の時は、もっと高度な魔法を教わっていたんですの?」
「そうだね。もっと高度な事をやってた。とはいっても100年前ほど高度な魔法は使えないけどね。マルムクヴィスト博士が魔法研究について発表してくれて、でも実践的にそこまで進んでないんだよね。光魔法を除いて」
「光魔法を除いて?」
「キャスリーンはブランジット様に教わっているから疑問に思ってないだろうけど、他の光魔法使いってキャスリーン程上手に治癒魔法を使えないからね?」
「そうなのですか?」
「ゼンセの記憶も作用しているんだろうね。王都の教会に居る、えっと、ラナ・ノックスだっけ?」
「ララ様ですわ。ララ・ノックス様です」
「彼女もね、キャスリーン程じゃないけどあっという間に怪我は治すし、一般的な光魔法使いとは違うと感じたよ」
そういわれても、サミュエル先生に教えられたようにやっているだけだ。ララ様も同じだと思う。
「キャスリーン、ゴーヴィリス国に行ってもらえないかな?」
「第3王子殿下のご婚約者様の件ですよね?叔父様にもお話がいきましたの?」
「知ってたんだ」
「はい。以前にもお話はお聞きして、今は日程の調整待ちの状態です」
「ブランジット様と行くのかい?」
「私の師ですから」
「この夏期休暇中に?」
「になると思います」
「それは……。キャスリーンはまだ学生なんだよ?良いのかい?」
「だってお話を伺っていますと、この問題が解決しない限りミリアディス様とエドワード様のご結婚が、遠のきそうなのですもの」
「はっ、ははっ。確かにね。国家間の問題にもなってくるし、仕方がない、か。兄上やローレンスはどう言ってる?」
「最初は難色を示されました。ですが、説得いたしました。特にローレンス様は、付いていくと言い張って大変でした」
「結局付いてくるのかい?」
「いいえ。戻ったら1日、デートのお約束で、説得いたしました」
「評判の良いスィーツ店でも調べておこうか?デートはどこで?フェルナー領?王都?」
「行って帰ってきた都合ですね。日程が未定なので」
「無理はしないんだよ?」
「はい」
「一応、姫の症状を書き留めておいたけど、必要かい?」
「必要です。が、叔父様はどうやってこれを?」
「城の侍女達にちょっとね」
「叔父様、危ない事をしないでくださいませ?」
「……危ない事なんてしてないよ」
「何が恨みを買うか分からないのですわよ?」
「聡すぎるのも、考えものだね。大丈夫だよ。十分気を付けるから」
ジルベール叔父様は非常におモテになるらしい。今回城の侍女に聞いたというのも、それを利用したのだと思う。恋愛感情を抱かせて話を聞き出して、それを複数に繰り返すとか。
3日も放置すれば無精髭なんて簡単に作れる。無精髭風ならお手入れをしなきゃならないけど、人相を隠すなら放っておけば良いんだもの。10日も放置すれば完璧だと思う。
髪型は常にグシャグシャっとしておけば良いんだし、最初にここに来たように汚れた服を着ておけば。よく見なければバレないと思うのよね。実際にはそう簡単じゃないだろうけど。
「そんなに見つめられるとテレるね」
「そのような意図では見ておりません」
「……キャスリーンにそういう風に言われると、変な性癖に目覚めそうだよ」
「お止めくださいませね?」
薬草の香り成分の効能についての、考察のレポートを進める。タウンハウスから運んできた参考書籍と自分が咲かせた花を押し花にした物と、これまでの経験からの推察。香り成分がどうだとか、その辺は載っていないし書けないけど、推察だから大胆な予想も出来る。所詮は学生の書いた物だ。多少の暴論は許されると思う。
この世界にも調香師やエッセンシャルオイル作成者は居るし、香りの効能についても知られている。だから私の植物魔法で安眠を意識するとラベンダーやカモミールが咲いても、安眠目的だと察してもらえる。
「キャスリーンの植物魔法は香りの強い物じゃないと咲かないのかな?」
「いいえ。香りの弱い物も咲きます。ただ、その花の効能を考えないと、大変な事になるというか……」
「あぁ、ラベンダーやカモミールと、ローズマリーやペパーミント、柑橘系の香りとかが混ざると混乱しそうだね」
「試した事はございませんけど」
「誰に試すかも重要だしね」
試すの?
「そんな目をしないの。可愛い顔が台無し……にはなってないね」
「どっちですか?」
ジルベール叔父様から渡された、フロレシア姫の症状を読み込む。食欲減退、肌荒れ、体重減少、疲れやすく頭痛を訴えるようになった、外出しなくなった、ふらつきが頻繁に見られるなど。後は月の物の乱れ。申し訳なさそうに書かれたその1文に叔父様の心情が見える気がした。
好物はお菓子類。近頃は食事はホンのわずかに手を付ける程度。肉類はほとんど食べず、野菜嫌い。魚は生臭いと手を付けず。
「よくまぁ、ここまで調べられましたわね」
「役に立つかな?」
「立ちますけど、これは私の仕事というか、管理栄養士の仕事のような気がします。もしくは調理人」
「どうしてだい?」
「これだけ読むと、栄養失調と推察されるんです。姫様の居られるのは王城で、栄養失調は考えられないのですが、最初のきっかけがなんであれ、このような食生活では体を壊すのが当たり前です。ここに書かれている食事内容は以前からでしょうか?」
「前からだったけど、この1年で顕著になってきたって」
「ストレス、でしょうか?」
「ん?」
「月の物の乱れって、ストレスも関係してくるんです。それに栄養失調。なにかが気になったとか、なにかを言われたとか。思い悩む性格ですと、些細な事でもストレスになりますから」
「問題解決?」
「まさか。実際に診てお話を伺わないと診断は出来ません」
「結局行くしかないんだね」
「はい」
これってなにかレシピを考えた方がいいのかしら?セシルさんや誰かに協力要請したい気がする。まずはフェルナー家の調理長かしら?
「おや、それは珍しい。植物魔法で拘束する場合は?」
「蔓バラが出現して、バラが咲きます」
「ははっ」
「殺傷能力の強い物だと、毒草が咲きました」
「……その場合の効果は?」
「香りが辺りに満ちて、捕獲してあった狼が一瞬で……」
「それは……」
「2度と使わないと決めました」
「危険が迫ったら使うんだよ?身を守る為なんだから」
「攻撃魔法って苦手です」
「水魔法の訓練、するかい?」
「水魔法って突き詰めると氷魔法になりますよね?そっちを訓練したいです」
「この湖を凍らせて、スケートでもするかい?」
「しません。じゃなくて、最初にローレンス様が見せてくれた氷のお人形が動くの、やってみたいです」
「あれかい?あれはローレンスに教わった方が、良いと思うよ」
「ローレンス様に?」
「キャスリーンに見せたくて頑張ったらしいから」
そうだったんだ。
「この頃、水魔法って、ブレシングアクア位しか使ってません」
「メインは光魔法?」
「はい。後はお花に水をあげたりとか、水分を取り除いたりとか」
「見事に平和的な利用法だけだね。今の学院ではそういう利用法しか教えない?」
「はい。後は男性生徒の剣術とか体術に使ったり。女性生徒は魔法の基礎はやりますが、発展系は教わりません」
「そこまで衰退したか」
「ジルベール叔父様の時は、もっと高度な魔法を教わっていたんですの?」
「そうだね。もっと高度な事をやってた。とはいっても100年前ほど高度な魔法は使えないけどね。マルムクヴィスト博士が魔法研究について発表してくれて、でも実践的にそこまで進んでないんだよね。光魔法を除いて」
「光魔法を除いて?」
「キャスリーンはブランジット様に教わっているから疑問に思ってないだろうけど、他の光魔法使いってキャスリーン程上手に治癒魔法を使えないからね?」
「そうなのですか?」
「ゼンセの記憶も作用しているんだろうね。王都の教会に居る、えっと、ラナ・ノックスだっけ?」
「ララ様ですわ。ララ・ノックス様です」
「彼女もね、キャスリーン程じゃないけどあっという間に怪我は治すし、一般的な光魔法使いとは違うと感じたよ」
そういわれても、サミュエル先生に教えられたようにやっているだけだ。ララ様も同じだと思う。
「キャスリーン、ゴーヴィリス国に行ってもらえないかな?」
「第3王子殿下のご婚約者様の件ですよね?叔父様にもお話がいきましたの?」
「知ってたんだ」
「はい。以前にもお話はお聞きして、今は日程の調整待ちの状態です」
「ブランジット様と行くのかい?」
「私の師ですから」
「この夏期休暇中に?」
「になると思います」
「それは……。キャスリーンはまだ学生なんだよ?良いのかい?」
「だってお話を伺っていますと、この問題が解決しない限りミリアディス様とエドワード様のご結婚が、遠のきそうなのですもの」
「はっ、ははっ。確かにね。国家間の問題にもなってくるし、仕方がない、か。兄上やローレンスはどう言ってる?」
「最初は難色を示されました。ですが、説得いたしました。特にローレンス様は、付いていくと言い張って大変でした」
「結局付いてくるのかい?」
「いいえ。戻ったら1日、デートのお約束で、説得いたしました」
「評判の良いスィーツ店でも調べておこうか?デートはどこで?フェルナー領?王都?」
「行って帰ってきた都合ですね。日程が未定なので」
「無理はしないんだよ?」
「はい」
「一応、姫の症状を書き留めておいたけど、必要かい?」
「必要です。が、叔父様はどうやってこれを?」
「城の侍女達にちょっとね」
「叔父様、危ない事をしないでくださいませ?」
「……危ない事なんてしてないよ」
「何が恨みを買うか分からないのですわよ?」
「聡すぎるのも、考えものだね。大丈夫だよ。十分気を付けるから」
ジルベール叔父様は非常におモテになるらしい。今回城の侍女に聞いたというのも、それを利用したのだと思う。恋愛感情を抱かせて話を聞き出して、それを複数に繰り返すとか。
3日も放置すれば無精髭なんて簡単に作れる。無精髭風ならお手入れをしなきゃならないけど、人相を隠すなら放っておけば良いんだもの。10日も放置すれば完璧だと思う。
髪型は常にグシャグシャっとしておけば良いんだし、最初にここに来たように汚れた服を着ておけば。よく見なければバレないと思うのよね。実際にはそう簡単じゃないだろうけど。
「そんなに見つめられるとテレるね」
「そのような意図では見ておりません」
「……キャスリーンにそういう風に言われると、変な性癖に目覚めそうだよ」
「お止めくださいませね?」
薬草の香り成分の効能についての、考察のレポートを進める。タウンハウスから運んできた参考書籍と自分が咲かせた花を押し花にした物と、これまでの経験からの推察。香り成分がどうだとか、その辺は載っていないし書けないけど、推察だから大胆な予想も出来る。所詮は学生の書いた物だ。多少の暴論は許されると思う。
この世界にも調香師やエッセンシャルオイル作成者は居るし、香りの効能についても知られている。だから私の植物魔法で安眠を意識するとラベンダーやカモミールが咲いても、安眠目的だと察してもらえる。
「キャスリーンの植物魔法は香りの強い物じゃないと咲かないのかな?」
「いいえ。香りの弱い物も咲きます。ただ、その花の効能を考えないと、大変な事になるというか……」
「あぁ、ラベンダーやカモミールと、ローズマリーやペパーミント、柑橘系の香りとかが混ざると混乱しそうだね」
「試した事はございませんけど」
「誰に試すかも重要だしね」
試すの?
「そんな目をしないの。可愛い顔が台無し……にはなってないね」
「どっちですか?」
ジルベール叔父様から渡された、フロレシア姫の症状を読み込む。食欲減退、肌荒れ、体重減少、疲れやすく頭痛を訴えるようになった、外出しなくなった、ふらつきが頻繁に見られるなど。後は月の物の乱れ。申し訳なさそうに書かれたその1文に叔父様の心情が見える気がした。
好物はお菓子類。近頃は食事はホンのわずかに手を付ける程度。肉類はほとんど食べず、野菜嫌い。魚は生臭いと手を付けず。
「よくまぁ、ここまで調べられましたわね」
「役に立つかな?」
「立ちますけど、これは私の仕事というか、管理栄養士の仕事のような気がします。もしくは調理人」
「どうしてだい?」
「これだけ読むと、栄養失調と推察されるんです。姫様の居られるのは王城で、栄養失調は考えられないのですが、最初のきっかけがなんであれ、このような食生活では体を壊すのが当たり前です。ここに書かれている食事内容は以前からでしょうか?」
「前からだったけど、この1年で顕著になってきたって」
「ストレス、でしょうか?」
「ん?」
「月の物の乱れって、ストレスも関係してくるんです。それに栄養失調。なにかが気になったとか、なにかを言われたとか。思い悩む性格ですと、些細な事でもストレスになりますから」
「問題解決?」
「まさか。実際に診てお話を伺わないと診断は出来ません」
「結局行くしかないんだね」
「はい」
これってなにかレシピを考えた方がいいのかしら?セシルさんや誰かに協力要請したい気がする。まずはフェルナー家の調理長かしら?
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