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学院中等部 5学年生
歌唱隊の活動
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話し合いの結果、当面の活動は週に3回。私は医師資格取得の特別講座があるから、その件は了承してもらった。時間の拘束は避けられないからね。
もっともその事を知っている人は多い。全く知らなかったのは1学年生だけで「聞いてはいたけれど、あれって本当だったんだ」と言ったのが3人。後の3人は救民院で奉仕活動をした事があるから知っているらしい。「有名ですもの」なんて言われてしまった。
その活動もメイト先生からの楽譜が上がってこないと出来ないし、ほとんどの生徒が楽器を弾けるから、知っている曲を歌おうって事になった。
最初の歌唱隊の活動の日、まずは教会で歌われる聖歌を歌う事になった。伴奏に立候補してくれたのはヴァイオリンのレナリア・スペンサー様と、ピアノのブリタニー・ニール様。どちらも男爵家の方で、王宮女官を目指しているそうだ。
聖歌である『かみがみのいつくしみ』の伴奏が流れる。ピュリオンヴェルッティ教では天父神シュターディルと地母神マーテルを奉っているから、愛を説いたり夫婦円満なんて歌が多い。たいていは初等部の最初に覚えるから、全員歌えるはずというチョイスだ。
ただし歌詞はともかく旋律が難しいんだよね。今回は楽譜をお借りして試しに歌ってみたんだけど、なんというかバラバラな感じがする。
「バラバラですわね」
「やはり指導者は必要ですわよね」
「とりあえずは主旋律のみで歌ってみませんこと?」
みんなであれこれ試行錯誤して練習が終わった。
「フェルナー様、メイト先生にご指導を仰げませんかしら?」
「そうですわね。ご指導していただける方が居ないと、どうにもなりませんわ」
「代表者のフェルナー様にお頼みしますわ。私達はもう少し各自で頑張ってみますから」
要するに面倒事はお前がやれよ、って事よね?こういう時、「ではあなたがやってください」なんて言っちゃうと、「高位貴族である事を鼻にかけている」とか言われちゃうのよね。面倒事を押し付けたいだけのクセに。
「では私は交渉して参りますが、皆様方はもう1段技術をあげておいてくださいませね」
にっこり笑って言うと、押し付けようとした同級生、上級生の顔がひきつった。サボろうとしていましたね?
練習室を出てメイト先生の元に向かおうとすると、シェーン様に引き留められた。
「ハリス嬢の護衛も要るのでしょう?ダニエルを呼びます」
「呼びますって、それまで待っているのですか?」
「すぐに来ますよ。どうせ見ているでしょうから」
見ているってどこから?疑問符を頭の上に浮かべていると、シェーン様がなにか合図をしたらしい。ダニエル様が不貞腐れた顔で現れた。
「あの嬢ちゃんの護衛ね。目立たないようにってんなら、お前の方が適任だろうに」
「私はキャスリーン様の護衛がある。離れるわけにいかない」
「そっちを代わってやるよ」
「冗談を言うな。このお役目だけは誰にも譲らないし、譲れない」
「そーかよ。嬢ちゃん、明日は俺だからね。こんな硬っ苦しい奴と離れて、2人で仲良くしようね」
「不埒な事を考えるな。キャスリーン様が穢れる」
どうでも良いけど、早く行きたいのですが?ジトッと2人を見ると、気不味げに目を逸らされた。
ダニエル様にエマちゃんの護衛に残ってもらって、シェーン様と一緒にメイト先生の所に行く。
「あら、フェルナー様、どうされたのかしら?」
「先生、お忙しいところ申し訳ございません。歌唱隊なのですが、練習法が分からなくて。ご指導をお願い出来ませんでしょうか」
「あらあら。分かりましたわ。これだけ片付けたらすぐに行きますね。ちなみに今は何を練習しているのかしら?」
「聖歌の『かみがみのいつくしみ』ですわ。初等部も歌える曲ですと、これしか思い付かなくて。楽譜はお借りしてまいりました」
「『かみがみのいつくしみ』ですか。ちょっと難易度が高いかもしれませんね」
「そうなのですか?」
「楽譜を借りたって事は、図書館でしょう?あそこのは本格的すぎるのです。分かりました。私の手持ちのをお貸しします」
「ありがとうございます」
そうこうしている間に仕事が終わったらしい。メイト先生も一緒に練習室に向かった。
「フェルナー様、彼は護衛なんでしょう?スゴいですね。個人付きの護衛なんて」
「私は不要だと申し上げたのですが、さすがに学院内で2度も巻き込まれてしまうと」
「2度?巻き込まれ?」
「先生はご存じなかったのですか?1度目は婚約を強要されました。奴隷契約のような物にサインをさせられそうになりました。2度目は……あれは何をしたかったのでしょう?ものすごい恐怖でしたけれど」
「いったい何を?」
「薬物入りの紅茶を飲まされて手足を縛られた上で、閉じ込められました」
「え?」
「ご存じなかったのですか?」
「え、えぇ。聞いていません」
知っている先生と知らない先生が居るという事は、なんらかの情報統制がなされたんだろうと思う。私とシド・アルウィンの名誉に関わってくるからだろう。
「フェルナー嬢、その位で」
シェーン様からストップが入った。
「そんな事があったのですね」
「安全なはずの学院内での出来事ですから、護衛が付いたのです」
「そうだったんですか。ごめんなさい」
「先生?」
「事情を知らない教職員で、フェルナー様は依怙贔屓されているんじゃないかって言っていたんですよ。護衛が付いているのは光魔法使いの侯爵令嬢だからって認識だったから」
「先生、広めないでくださいね?」
「どうして?こういうのは広めた方が良いのでは?」
「学院内で知っている教職員と知らない教職員がいる。つまり、誰かが情報を操作しているんです。それが出来るのって少なくとも教職員に命令出来る立場の人ですよね?その存在に背く事になってしまいます。先生の立場が悪くなってしまいます。ですから今まで通り、お願いいたします」
メイト先生が黙ってしまった。
練習室に着くと、ダニエル様がドアの前で座っていた。
「何をしてるんだ?貴様は」
「中の様子を見れば分かる。真面目なやつなんて2人を除いて居ないじゃん」
その言葉にメイト先生がドアを開けた。真面目に練習しているのはエマちゃんと中等部のレイリー・バークレー様だけ。後は好き勝手やっている。
「皆様、私を追い出したかったのは、だからでしたのね」
「あ、帰ってきた」
「帰ってきた、ではございません。スペンサー様、ニール様。楽器に水分は厳禁ではございませんでしたの?お2人の手持ちの楽器ならともかく、弁償なんて事になっても知りませんわよ?他の皆様もそのおやつ類はどこから持ち込みましたの?」
口調は怒っているけれど、別に本気じゃないですよ。そんな真剣になる事もないし。エマちゃんが悪目立ちしなかったら良いんです。
「えぇっと……」
「真面目に練習してゆくゆくは発表をなんて考えてはいませんけどね。楽しく歌えれば良いんですから」
「そうですわよね?」
「ただし、メイト先生に来ていただいたのに、このていたらくでは締まりませんわよ?」
「フェルナー様、良いのですよ」
って先生?どうして混じっちゃってんですか?良いですけど。薬草研究会にもお茶の時間はあるものね。
「シェーン様、少しだけ薬草研究会に行ってまいります」
「何故?とお聞きしても?」
「バージェフ先輩に、同好会の運営法をお聞ききしてこようと思いまして」
「あの男にですか?」
「サミュエル先生にでも良いんですけどね」
お茶会に突入した同好会の面々とメイト先生に話をして、薬草研究会に行く。エマちゃんの護衛はみんながが居るし大丈夫だよね?
もっともその事を知っている人は多い。全く知らなかったのは1学年生だけで「聞いてはいたけれど、あれって本当だったんだ」と言ったのが3人。後の3人は救民院で奉仕活動をした事があるから知っているらしい。「有名ですもの」なんて言われてしまった。
その活動もメイト先生からの楽譜が上がってこないと出来ないし、ほとんどの生徒が楽器を弾けるから、知っている曲を歌おうって事になった。
最初の歌唱隊の活動の日、まずは教会で歌われる聖歌を歌う事になった。伴奏に立候補してくれたのはヴァイオリンのレナリア・スペンサー様と、ピアノのブリタニー・ニール様。どちらも男爵家の方で、王宮女官を目指しているそうだ。
聖歌である『かみがみのいつくしみ』の伴奏が流れる。ピュリオンヴェルッティ教では天父神シュターディルと地母神マーテルを奉っているから、愛を説いたり夫婦円満なんて歌が多い。たいていは初等部の最初に覚えるから、全員歌えるはずというチョイスだ。
ただし歌詞はともかく旋律が難しいんだよね。今回は楽譜をお借りして試しに歌ってみたんだけど、なんというかバラバラな感じがする。
「バラバラですわね」
「やはり指導者は必要ですわよね」
「とりあえずは主旋律のみで歌ってみませんこと?」
みんなであれこれ試行錯誤して練習が終わった。
「フェルナー様、メイト先生にご指導を仰げませんかしら?」
「そうですわね。ご指導していただける方が居ないと、どうにもなりませんわ」
「代表者のフェルナー様にお頼みしますわ。私達はもう少し各自で頑張ってみますから」
要するに面倒事はお前がやれよ、って事よね?こういう時、「ではあなたがやってください」なんて言っちゃうと、「高位貴族である事を鼻にかけている」とか言われちゃうのよね。面倒事を押し付けたいだけのクセに。
「では私は交渉して参りますが、皆様方はもう1段技術をあげておいてくださいませね」
にっこり笑って言うと、押し付けようとした同級生、上級生の顔がひきつった。サボろうとしていましたね?
練習室を出てメイト先生の元に向かおうとすると、シェーン様に引き留められた。
「ハリス嬢の護衛も要るのでしょう?ダニエルを呼びます」
「呼びますって、それまで待っているのですか?」
「すぐに来ますよ。どうせ見ているでしょうから」
見ているってどこから?疑問符を頭の上に浮かべていると、シェーン様がなにか合図をしたらしい。ダニエル様が不貞腐れた顔で現れた。
「あの嬢ちゃんの護衛ね。目立たないようにってんなら、お前の方が適任だろうに」
「私はキャスリーン様の護衛がある。離れるわけにいかない」
「そっちを代わってやるよ」
「冗談を言うな。このお役目だけは誰にも譲らないし、譲れない」
「そーかよ。嬢ちゃん、明日は俺だからね。こんな硬っ苦しい奴と離れて、2人で仲良くしようね」
「不埒な事を考えるな。キャスリーン様が穢れる」
どうでも良いけど、早く行きたいのですが?ジトッと2人を見ると、気不味げに目を逸らされた。
ダニエル様にエマちゃんの護衛に残ってもらって、シェーン様と一緒にメイト先生の所に行く。
「あら、フェルナー様、どうされたのかしら?」
「先生、お忙しいところ申し訳ございません。歌唱隊なのですが、練習法が分からなくて。ご指導をお願い出来ませんでしょうか」
「あらあら。分かりましたわ。これだけ片付けたらすぐに行きますね。ちなみに今は何を練習しているのかしら?」
「聖歌の『かみがみのいつくしみ』ですわ。初等部も歌える曲ですと、これしか思い付かなくて。楽譜はお借りしてまいりました」
「『かみがみのいつくしみ』ですか。ちょっと難易度が高いかもしれませんね」
「そうなのですか?」
「楽譜を借りたって事は、図書館でしょう?あそこのは本格的すぎるのです。分かりました。私の手持ちのをお貸しします」
「ありがとうございます」
そうこうしている間に仕事が終わったらしい。メイト先生も一緒に練習室に向かった。
「フェルナー様、彼は護衛なんでしょう?スゴいですね。個人付きの護衛なんて」
「私は不要だと申し上げたのですが、さすがに学院内で2度も巻き込まれてしまうと」
「2度?巻き込まれ?」
「先生はご存じなかったのですか?1度目は婚約を強要されました。奴隷契約のような物にサインをさせられそうになりました。2度目は……あれは何をしたかったのでしょう?ものすごい恐怖でしたけれど」
「いったい何を?」
「薬物入りの紅茶を飲まされて手足を縛られた上で、閉じ込められました」
「え?」
「ご存じなかったのですか?」
「え、えぇ。聞いていません」
知っている先生と知らない先生が居るという事は、なんらかの情報統制がなされたんだろうと思う。私とシド・アルウィンの名誉に関わってくるからだろう。
「フェルナー嬢、その位で」
シェーン様からストップが入った。
「そんな事があったのですね」
「安全なはずの学院内での出来事ですから、護衛が付いたのです」
「そうだったんですか。ごめんなさい」
「先生?」
「事情を知らない教職員で、フェルナー様は依怙贔屓されているんじゃないかって言っていたんですよ。護衛が付いているのは光魔法使いの侯爵令嬢だからって認識だったから」
「先生、広めないでくださいね?」
「どうして?こういうのは広めた方が良いのでは?」
「学院内で知っている教職員と知らない教職員がいる。つまり、誰かが情報を操作しているんです。それが出来るのって少なくとも教職員に命令出来る立場の人ですよね?その存在に背く事になってしまいます。先生の立場が悪くなってしまいます。ですから今まで通り、お願いいたします」
メイト先生が黙ってしまった。
練習室に着くと、ダニエル様がドアの前で座っていた。
「何をしてるんだ?貴様は」
「中の様子を見れば分かる。真面目なやつなんて2人を除いて居ないじゃん」
その言葉にメイト先生がドアを開けた。真面目に練習しているのはエマちゃんと中等部のレイリー・バークレー様だけ。後は好き勝手やっている。
「皆様、私を追い出したかったのは、だからでしたのね」
「あ、帰ってきた」
「帰ってきた、ではございません。スペンサー様、ニール様。楽器に水分は厳禁ではございませんでしたの?お2人の手持ちの楽器ならともかく、弁償なんて事になっても知りませんわよ?他の皆様もそのおやつ類はどこから持ち込みましたの?」
口調は怒っているけれど、別に本気じゃないですよ。そんな真剣になる事もないし。エマちゃんが悪目立ちしなかったら良いんです。
「えぇっと……」
「真面目に練習してゆくゆくは発表をなんて考えてはいませんけどね。楽しく歌えれば良いんですから」
「そうですわよね?」
「ただし、メイト先生に来ていただいたのに、このていたらくでは締まりませんわよ?」
「フェルナー様、良いのですよ」
って先生?どうして混じっちゃってんですか?良いですけど。薬草研究会にもお茶の時間はあるものね。
「シェーン様、少しだけ薬草研究会に行ってまいります」
「何故?とお聞きしても?」
「バージェフ先輩に、同好会の運営法をお聞ききしてこようと思いまして」
「あの男にですか?」
「サミュエル先生にでも良いんですけどね」
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