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学院中等部 5学年生
レオナルド様と
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今回はラッセル様も宿泊施設に泊まるらしい。フェルナー邸には泊まらないのね。
「レオナルド様は前回は王都に用があったと仰っておられましたが、今回もご用事が?」
「用事っていうか、カミーユのおっさんに付いてきたっていうか」
「護衛というか、ヴィドゥールというか」
「ヴィドゥール?」
「ボディーガードだよ、キャスリーン」
「ヴィドゥールというのは?」
「どうしても出ちゃうんだよね。ほら、このところ前世の言語に触れていたし」
「こんな事を言っちゃいるが、キャスリーンに良いカッコをしたかっただけだ」
「レオナルド様、呼び方が……」
「あぁ悪い。フェルナー嬢」
ちゃんと呼び直してくれたけど、本当に気を付けてください。と、いうか、レオナルドってファーストネームよね?私も気を付けた方が良い?
「フェルナー嬢にならなんと呼ばれても構わない。ステージネームみたいなものだし」
「というか、おもいっきり偽名だよね。どう名乗ろうが自由だけど」
「前世の言語に触れていたって、あの翻訳のお仕事をずっと続けてらっしゃったんですか?」
「頼まれてね。たまに行ってるよ」
「ご無理はなさらないようにしてくださいませね」
「ありがとう。フェルナー嬢の優しさが沁みるねぇ」
「俺にも優しくしてほしい」
「十分優しく接しておりますが?」
「うんうん。フェルナー嬢は優しいよね。レオナルド君の言う優しさは『自分だけに』って言葉が入るからね」
「悪いかよ」
「悪くはないよ。フェルナー嬢にっていうのが間違ってるだけで」
レオナルド様がガックリと項垂れたところで、ララ様の明るい声が響いた。
「あー、レオナルドさんじゃん。元気してた?ラッセルさんもお久しぶりです」
「ノックス嬢は相変わらず元気だね」
「あ、もうノックスじゃないので。ララって呼んでください」
「ララ様、ノックスじゃないと仰るのは?」
「私の稼ぎは家に入れろって煩いから、縁を切ったの」
「今は……?」
「この近くに住んでるわよ。司祭様が心配してくれて、色々手配してくれたの」
「ララ様のお家は商家だと伺ったのですが?」
「祖父様が居るからね。両親に任せたら店を潰しちゃう。兄貴もいるから大丈夫よ」
「それならよろしいのですが」
「そんな顔をしないの。キャシーちゃんは笑顔が一番よ。他の時も可愛いけどね」
ララ様にニカッと笑いかけられると、気分が明るくなる。
「それで、今日はキャシーちゃんに会いに来たの?」
「ちょっとフェルナー嬢に話をね」
「私に?」
「他の人に聞かれたくないんだけどね」
「俺達もか?」
「うーん、騒ぎ立てないなら良いけど」
ラッセル様がちょいちょいと手招きする。
「フェルナー嬢って光の聖女様って呼ばれてるよね?他に聖女、聖人君子が居るのは知ってる?」
「いいえ。他にいらっしゃるんですか?」
「噂だよ。でも、僕がまだ働いてた頃、トンエビア帝国出身の水の聖人がいるって聞いた事があるんだよね」
「トンエビア帝国って、キプァ国の対岸の?」
「そう。今のところ友好国だけど、4代前の皇帝は野心家だったらしいね。常に戦争を仕掛けてたって。その所為で貴重な資料が喪われたらしいね」
「聞いた事があるわ。100年続いたって」
「実際は泥沼化して、まともな戦いは5年だったけどね。後は政治的なアレコレ」
「どちらにしても戦争は嫌です」
「そうだよね。それで水の聖人でしょ?ちょっと気になって色々調べたら、炎の聖人に接触できた」
「接触って、危険じゃないのですか?」
「ちょっとコネを使ってね。炎の聖人は他に水と風がいるって言ったんだよ」
「聖人とか聖女って複数人ですの?」
「その時にね、聖王猊下が後は光と闇って言っていたらしいんだよね」
「闇ですか?魔法属性に闇ってありましたっけ?」
「僕は知らないね」
「俺も知らない」
「私も知らないわ。でも考えてみると、光があるのに対っぽい闇がないのは不自然よね?」
「光の対が闇ですか?」
「光は正義、闇は悪って感じじゃない?」
「私は光と闇は表裏一体の方が、しっくりときますわ」
「光と闇は表裏一体、か。確かに言われれば?」
「太陰太極図が頭にあるからかもしれませんが」
「たいいん……なんとかって?」
「勾玉みたいな模様が2つ上下になってるのって見た事はありませんか?」
「うーん、あるかも?」
女子高生だったからだろうか?それともこういうのって知らなくて普通?
「この世は森羅万象、光と陰、ポジティブとネガティブ、暑い寒い、表と裏のように全ての物が陰と陽の要素でできているという事ですけど、ララ様、大丈夫ですか?」
「何となく分かったかも?」
クエスチョンマークが付きましたね?
「光と闇は表裏一体って、どうして?」
「影って光が無いと出来ないんですよ。同じ様に光って闇が無いと光として認識されないんです」
「分かったような……気がする」
光と闇って意識しないからね。魔道灯のお陰で夜が完全に闇に沈む事が無い王都だけど、前世に比べれば断然暗い。そしてこの世界では夜に出歩かないのが常識になっている。王都は治安が良いけれど、人さらいとか普通に出るし、盗賊も居るらしいから。
「王都でも郊外なら闇も分かりやすいけどね。お年頃のお嬢さんを連れ出すわけにいかないしね」
「山の中なら簡単なんだがな」
山の中にはなおさら連れていけません。
「シンラバンショーって何?」
「この世の全ての物です」
確かそういう意味だったはず。
「キャスリーンは物知りだな」
「レオナルド様?」
「っと、フェルナー嬢」
「本当にお気を付けくださいませ?」
「良いじゃないか。同じ転生者なんだし」
「ですから、前も言いましたよね?私は貴族の娘です。貴族の一員としてそれを受け入れかねると」
「キャシーちゃんは婚約者も居るしね。キャシーちゃんが許してもローレンス様が許すと思えないわ」
ララ様もレオナルド様を諌めてくれた。
「なんだよ。同じ転生者同士、親睦を深めちゃダメなのかよ」
「では、レオナルド様、ご自分に置き換えてお考えください。レオナルド様に愛する婚約者が居て、それとは別に同郷の女の子が居る。その女の子はレオナルド様に婚約者が居ても話しかけ、接触してくる。どう思われますか?」
「……ダメだな、それは。婚約者が居るんだ。その時点で馴れ馴れしく話しかける……。そういう事か」
元貴族だっただけあって、容易に想像が付いたようだ。貴族社会の女性は、案外守られていない。同じ事をしても男性なら許される事が、女性だと許されないなんて事が多い。その一つが貞操観念だ。男性ならある程度の遊びは「甲斐性だ」戸かで許されるが女性が同じ事をすると「はしたない」になってしまう。
「親睦を深めるのは良いと思います。ただ、私は貴族としての枠組みから逸脱出来ません。それをご了承ください」
「フェルナー嬢は一番年下なのに、一番しっかりしているねぇ。でも考えてみればそうだよね。配慮が足りなかったね」
「もう会わない方が良いのか?」
「会って話をする程度なら良いと思います。2人きりはNGですけれど」
「清く正しく、か。そういうのも嫌だったんだよな、息苦しくて」
「平民も同じですわよ?」
「そうよね。人としてどうか、って話になってくるわ」
ララ様にまで言われてしまって、レオナルド様が若干落ち込んだように見えた。
「教会でなら会ってくれるか?」
「私ですか?えぇ、それは構いません。学生ですので会うとなると休暇中になりますが」
「婚約者は良いのかよ」
「ローレンス様はそこまで狭量ではございませんわ」
私がそう言うと、ラッセル様とララ様が揃って「それはどうだろう」と首をかしげた。いくらローレンス様でも、話すくらいなら不機嫌にはなりませんって。
「レオナルド様は前回は王都に用があったと仰っておられましたが、今回もご用事が?」
「用事っていうか、カミーユのおっさんに付いてきたっていうか」
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「ヴィドゥール?」
「ボディーガードだよ、キャスリーン」
「ヴィドゥールというのは?」
「どうしても出ちゃうんだよね。ほら、このところ前世の言語に触れていたし」
「こんな事を言っちゃいるが、キャスリーンに良いカッコをしたかっただけだ」
「レオナルド様、呼び方が……」
「あぁ悪い。フェルナー嬢」
ちゃんと呼び直してくれたけど、本当に気を付けてください。と、いうか、レオナルドってファーストネームよね?私も気を付けた方が良い?
「フェルナー嬢にならなんと呼ばれても構わない。ステージネームみたいなものだし」
「というか、おもいっきり偽名だよね。どう名乗ろうが自由だけど」
「前世の言語に触れていたって、あの翻訳のお仕事をずっと続けてらっしゃったんですか?」
「頼まれてね。たまに行ってるよ」
「ご無理はなさらないようにしてくださいませね」
「ありがとう。フェルナー嬢の優しさが沁みるねぇ」
「俺にも優しくしてほしい」
「十分優しく接しておりますが?」
「うんうん。フェルナー嬢は優しいよね。レオナルド君の言う優しさは『自分だけに』って言葉が入るからね」
「悪いかよ」
「悪くはないよ。フェルナー嬢にっていうのが間違ってるだけで」
レオナルド様がガックリと項垂れたところで、ララ様の明るい声が響いた。
「あー、レオナルドさんじゃん。元気してた?ラッセルさんもお久しぶりです」
「ノックス嬢は相変わらず元気だね」
「あ、もうノックスじゃないので。ララって呼んでください」
「ララ様、ノックスじゃないと仰るのは?」
「私の稼ぎは家に入れろって煩いから、縁を切ったの」
「今は……?」
「この近くに住んでるわよ。司祭様が心配してくれて、色々手配してくれたの」
「ララ様のお家は商家だと伺ったのですが?」
「祖父様が居るからね。両親に任せたら店を潰しちゃう。兄貴もいるから大丈夫よ」
「それならよろしいのですが」
「そんな顔をしないの。キャシーちゃんは笑顔が一番よ。他の時も可愛いけどね」
ララ様にニカッと笑いかけられると、気分が明るくなる。
「それで、今日はキャシーちゃんに会いに来たの?」
「ちょっとフェルナー嬢に話をね」
「私に?」
「他の人に聞かれたくないんだけどね」
「俺達もか?」
「うーん、騒ぎ立てないなら良いけど」
ラッセル様がちょいちょいと手招きする。
「フェルナー嬢って光の聖女様って呼ばれてるよね?他に聖女、聖人君子が居るのは知ってる?」
「いいえ。他にいらっしゃるんですか?」
「噂だよ。でも、僕がまだ働いてた頃、トンエビア帝国出身の水の聖人がいるって聞いた事があるんだよね」
「トンエビア帝国って、キプァ国の対岸の?」
「そう。今のところ友好国だけど、4代前の皇帝は野心家だったらしいね。常に戦争を仕掛けてたって。その所為で貴重な資料が喪われたらしいね」
「聞いた事があるわ。100年続いたって」
「実際は泥沼化して、まともな戦いは5年だったけどね。後は政治的なアレコレ」
「どちらにしても戦争は嫌です」
「そうだよね。それで水の聖人でしょ?ちょっと気になって色々調べたら、炎の聖人に接触できた」
「接触って、危険じゃないのですか?」
「ちょっとコネを使ってね。炎の聖人は他に水と風がいるって言ったんだよ」
「聖人とか聖女って複数人ですの?」
「その時にね、聖王猊下が後は光と闇って言っていたらしいんだよね」
「闇ですか?魔法属性に闇ってありましたっけ?」
「僕は知らないね」
「俺も知らない」
「私も知らないわ。でも考えてみると、光があるのに対っぽい闇がないのは不自然よね?」
「光の対が闇ですか?」
「光は正義、闇は悪って感じじゃない?」
「私は光と闇は表裏一体の方が、しっくりときますわ」
「光と闇は表裏一体、か。確かに言われれば?」
「太陰太極図が頭にあるからかもしれませんが」
「たいいん……なんとかって?」
「勾玉みたいな模様が2つ上下になってるのって見た事はありませんか?」
「うーん、あるかも?」
女子高生だったからだろうか?それともこういうのって知らなくて普通?
「この世は森羅万象、光と陰、ポジティブとネガティブ、暑い寒い、表と裏のように全ての物が陰と陽の要素でできているという事ですけど、ララ様、大丈夫ですか?」
「何となく分かったかも?」
クエスチョンマークが付きましたね?
「光と闇は表裏一体って、どうして?」
「影って光が無いと出来ないんですよ。同じ様に光って闇が無いと光として認識されないんです」
「分かったような……気がする」
光と闇って意識しないからね。魔道灯のお陰で夜が完全に闇に沈む事が無い王都だけど、前世に比べれば断然暗い。そしてこの世界では夜に出歩かないのが常識になっている。王都は治安が良いけれど、人さらいとか普通に出るし、盗賊も居るらしいから。
「王都でも郊外なら闇も分かりやすいけどね。お年頃のお嬢さんを連れ出すわけにいかないしね」
「山の中なら簡単なんだがな」
山の中にはなおさら連れていけません。
「シンラバンショーって何?」
「この世の全ての物です」
確かそういう意味だったはず。
「キャスリーンは物知りだな」
「レオナルド様?」
「っと、フェルナー嬢」
「本当にお気を付けくださいませ?」
「良いじゃないか。同じ転生者なんだし」
「ですから、前も言いましたよね?私は貴族の娘です。貴族の一員としてそれを受け入れかねると」
「キャシーちゃんは婚約者も居るしね。キャシーちゃんが許してもローレンス様が許すと思えないわ」
ララ様もレオナルド様を諌めてくれた。
「なんだよ。同じ転生者同士、親睦を深めちゃダメなのかよ」
「では、レオナルド様、ご自分に置き換えてお考えください。レオナルド様に愛する婚約者が居て、それとは別に同郷の女の子が居る。その女の子はレオナルド様に婚約者が居ても話しかけ、接触してくる。どう思われますか?」
「……ダメだな、それは。婚約者が居るんだ。その時点で馴れ馴れしく話しかける……。そういう事か」
元貴族だっただけあって、容易に想像が付いたようだ。貴族社会の女性は、案外守られていない。同じ事をしても男性なら許される事が、女性だと許されないなんて事が多い。その一つが貞操観念だ。男性ならある程度の遊びは「甲斐性だ」戸かで許されるが女性が同じ事をすると「はしたない」になってしまう。
「親睦を深めるのは良いと思います。ただ、私は貴族としての枠組みから逸脱出来ません。それをご了承ください」
「フェルナー嬢は一番年下なのに、一番しっかりしているねぇ。でも考えてみればそうだよね。配慮が足りなかったね」
「もう会わない方が良いのか?」
「会って話をする程度なら良いと思います。2人きりはNGですけれど」
「清く正しく、か。そういうのも嫌だったんだよな、息苦しくて」
「平民も同じですわよ?」
「そうよね。人としてどうか、って話になってくるわ」
ララ様にまで言われてしまって、レオナルド様が若干落ち込んだように見えた。
「教会でなら会ってくれるか?」
「私ですか?えぇ、それは構いません。学生ですので会うとなると休暇中になりますが」
「婚約者は良いのかよ」
「ローレンス様はそこまで狭量ではございませんわ」
私がそう言うと、ラッセル様とララ様が揃って「それはどうだろう」と首をかしげた。いくらローレンス様でも、話すくらいなら不機嫌にはなりませんって。
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