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学院初等部 4学年生
チェルシー様のこれから
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翌日も救民院で奉仕をする為にローレンス様と一緒に教会に行く。昨日のノボリッチ伯爵の事を話すと、ローレンス様とエドワード様の元にすでに報告が行っていたそうだ。
「あの幼女趣味のノボリッチ伯爵が、キャシーと真剣に語らっていたと聞いているよ」
間違いではないけれど。
「初対面で子供扱いせずに真剣に話を聞いてくださった方は久しぶりです。ノボリッチ伯爵様は私が転生者だと、ご存じ無いのですわよね?」
「そのはずだよ。その気になれば調べられるだろうけど、目的を記入しなきゃならないから、不審に思われるだろうし」
「私がフェルナー侯爵家の娘だとは知られているでしょうし、それ以上は不審者ですものね」
教会に着くと、金ぴか馬車が来ていた。
「朝早くから、まったく。キャシー目当てだろうね」
「困ります」
教会の裏手からララ様が走ってきた。
「おはようございます、ローレンス様。キャシーちゃん、ロリコン伯爵が待っているわよ」
「ろりこん?」
「幼女趣味って意味ですよ、ローレンス様」
ララ様が答えたけど、ローレンス様の警戒度が上がっただけだった。
「ノボリッチ伯爵様が待っていらっしゃる?」
「正確にはチェルシー様とブレンダ様、キャシーちゃんと私ね。男の人の意見も聞きたいとは言っていたけど」
「何の目的でしょう?」
「用件を聞く前に出てきちゃったのよね」
「チェルシー様とブレンダ様を放ってきちゃったんですか?」
「神官達が居るわよぉ。私だってその位は考えます」
ララ様に案内されたのは、何故か教会の多目的スペース。その会議室だった。
「失礼します。フェルナー侯爵令嬢とフェルナー侯爵令息がいらっしゃいました」
「光の聖女様が!?」
ウキウキしたノボリッチ伯爵の声が聞こえたとたん、ローレンス様の周囲の気温が下がった。涼しくなっていいんだけどね。夏だし。
「ローレンス様、抑えてくださいませ。冷気が漏れております」
「悪い。でもね」
「分かりますわよ。私も躊躇しますし。正直に言うと入りたくありません」
でも、そういうわけにいかないよね。覚悟を決めて室内に入ると、ニコニコのノボリッチ伯爵に隣に誘われた。ご遠慮申し上げましたけど。ローレンス様の視線の圧力に、ノボリッチ伯爵もひきつった笑みで隣は諦めてくれた。
机に広げられていたのは子供服のデザイン画。
「ノボリッチ伯爵様、おはようございます」
「おはようございます、光の聖女様、フェルナー侯爵令息様」
むすっとして挨拶もしないローレンス様に少し笑って、この状況について聞く。
「ノボリッチ伯爵様、これはいったい?」
「我がノボリッチ領は製糸業が盛んでしてな。ただ、それをいまいち活かしきれていない。そこで庶民でも手が届く服でもと思いましてね。大人用も男児用も思い浮かぶのですが、女児用がなかなか。一昨年でしたか。教会で光の聖女様を見たとたんにイメージが湧いたのですよ」
「お待ちください。伯爵様が直々にデザインを?」
「暇なのが私だけだったのですよ」
暇なのがって……。相変わらず私に対してはニコニコの笑顔を崩さないノボリッチ伯爵と、私の隣で『フロストエィル』と化しているローレンス様の対比が酷い事になっています。間に挟まれる私の身にもなってほしい。
「あのぉ、伯爵様、こういった服って、毎年流行って変わりませんか?」
「毎年は変わらないと思うけど?」
ララ様とノボリッチ伯爵が子供服について議論している間に、ローレンス様とそっと部屋を抜け出した。ローレンス様はエドワード様の補佐という仕事があるし、私も奉仕に来ている。こんな事でこんな所で、時間は取られたくないというのが本音だ。
「光の聖女様、ローレンス様、本日は遅うございましたね」
「ノボリッチ伯爵に捕まった」
途中で会ったリチャード神官に無愛想に言い捨てて、ローレンス様がエドワード様の執務室に入っていった。
「どうなさったんですか?」
「私に対するノボリッチ伯爵様の態度に、不機嫌になっちゃって」
「あぁ。3年程前から光の聖女様に会いたいと仰っておられましたね」
「一昨年に教会でって、本当だったんですね」
「その時のイメージ画をお預かりしまして、ローレンス様にお渡ししたのですが」
「届いてませんね。ローレンス様が秘匿したか廃棄したかでしょう」
「秘匿か廃棄ですか」
リチャード神官がちょっと笑って言う。
今日は重症者区画にひとり患者が居るだけで、そちらはお医者様が担当してくれているらしい。
中軽症者の区画にはリリス様がいて、お医者様と共に患者と軽口を叩きあいながら治療していた。
「キャスリーン様、おはようございます」
「おはようございます、リリス様。いかがですか?」
「皆様に良くしていただいて、机に向かうだけでは得られない学びを受けております」
「硬い、硬いよ、リリスちゃん。もっとくだけていいんだよ」
常連のおじ様達が言う。リリス様は真面目だし、いきなりそこまでくだけられないと思うけど。
「リリス様は真面目な方ですから。まだ日も浅いですしそこまでくだけられないと思いますわよ?」
「光の聖女様も硬いんだよなぁ」
おっと、こっちにまで飛び火した。
「そうは仰られましても」
「私達は小さな頃からこの口調ですもの」
「まだ2人共小さいって」
「そうそう。ワシらから見りゃ、まだまだ子供よ」
おじ様、おば様達は何も含まずに、純粋に私達を思って言ってくれているのは分かるんだけど、口調は染み付いちゃってるんだよね。
「仰っている事は分かりますけれど、ご容赦くださいませ」
「ごめんよ。困らせちまったかい?」
「後で叱っておくからね。聖女様とリリス様は気にしないどくれ」
別のおば様が言ってくれた。
お昼休憩になったけど、ララ様が戻ってこない。救民院に来ている時はここで休憩すると聞いていたチェルシー様とブレンダ様も戻ってこない。様子を見に行った神官が、リチャード神官にそっと耳打ちをした。
「ノックス嬢とブレンダ嬢を迎えに行ってきます」
「チェルシー様は?」
「チェルシーさんはノボリッチ伯爵様と、非常に気が合ったようでして、その……」
つまりはそういう事ね。雰囲気は分からないけれど、2人の空間を作っていると。
リチャード神官はララ様とブレンダ様を連れて帰ってきた。最初にあの部屋にいた女性神官もいる。こっちは叱られたらしく、暗い顔で俯いている。
「キャシーちゃん、途中で居なくなっちゃったからノボリッチ伯爵が残念がっていたわよ。その分チェルシーさんと子供服のデザインに熱が入ったみたいだけど」
「あ、フェルナー様、母が服が出来たら着てみてほしいと言っていました」
「試着を私が?」
「それに伴って、採寸をさせてほしいと」
「光の聖女様に相応しい服を作るって、2人して張り切っていたわね」
「採寸は良いのですけれど」
良いんだけどね。ノボリッチ伯爵にもサイズを知られちゃう?それはちょっと嫌だなぁ。ドレスほど詳細な採寸ではないだろうけど。
「チェルシー様は縫製の道に進まれますの?」
お得意だと聞いているし、縫製で活計を立てていた事も知っている。ノボリッチ伯爵の元で得意な事を活かせるならそれに越した事はない。
「母さんはその気は無いみたい、です。私はノボリッチ伯爵領に行くのも良いと思うんですけど」
難しい問題よね。私達が口を出す事でもないし。
「あの幼女趣味のノボリッチ伯爵が、キャシーと真剣に語らっていたと聞いているよ」
間違いではないけれど。
「初対面で子供扱いせずに真剣に話を聞いてくださった方は久しぶりです。ノボリッチ伯爵様は私が転生者だと、ご存じ無いのですわよね?」
「そのはずだよ。その気になれば調べられるだろうけど、目的を記入しなきゃならないから、不審に思われるだろうし」
「私がフェルナー侯爵家の娘だとは知られているでしょうし、それ以上は不審者ですものね」
教会に着くと、金ぴか馬車が来ていた。
「朝早くから、まったく。キャシー目当てだろうね」
「困ります」
教会の裏手からララ様が走ってきた。
「おはようございます、ローレンス様。キャシーちゃん、ロリコン伯爵が待っているわよ」
「ろりこん?」
「幼女趣味って意味ですよ、ローレンス様」
ララ様が答えたけど、ローレンス様の警戒度が上がっただけだった。
「ノボリッチ伯爵様が待っていらっしゃる?」
「正確にはチェルシー様とブレンダ様、キャシーちゃんと私ね。男の人の意見も聞きたいとは言っていたけど」
「何の目的でしょう?」
「用件を聞く前に出てきちゃったのよね」
「チェルシー様とブレンダ様を放ってきちゃったんですか?」
「神官達が居るわよぉ。私だってその位は考えます」
ララ様に案内されたのは、何故か教会の多目的スペース。その会議室だった。
「失礼します。フェルナー侯爵令嬢とフェルナー侯爵令息がいらっしゃいました」
「光の聖女様が!?」
ウキウキしたノボリッチ伯爵の声が聞こえたとたん、ローレンス様の周囲の気温が下がった。涼しくなっていいんだけどね。夏だし。
「ローレンス様、抑えてくださいませ。冷気が漏れております」
「悪い。でもね」
「分かりますわよ。私も躊躇しますし。正直に言うと入りたくありません」
でも、そういうわけにいかないよね。覚悟を決めて室内に入ると、ニコニコのノボリッチ伯爵に隣に誘われた。ご遠慮申し上げましたけど。ローレンス様の視線の圧力に、ノボリッチ伯爵もひきつった笑みで隣は諦めてくれた。
机に広げられていたのは子供服のデザイン画。
「ノボリッチ伯爵様、おはようございます」
「おはようございます、光の聖女様、フェルナー侯爵令息様」
むすっとして挨拶もしないローレンス様に少し笑って、この状況について聞く。
「ノボリッチ伯爵様、これはいったい?」
「我がノボリッチ領は製糸業が盛んでしてな。ただ、それをいまいち活かしきれていない。そこで庶民でも手が届く服でもと思いましてね。大人用も男児用も思い浮かぶのですが、女児用がなかなか。一昨年でしたか。教会で光の聖女様を見たとたんにイメージが湧いたのですよ」
「お待ちください。伯爵様が直々にデザインを?」
「暇なのが私だけだったのですよ」
暇なのがって……。相変わらず私に対してはニコニコの笑顔を崩さないノボリッチ伯爵と、私の隣で『フロストエィル』と化しているローレンス様の対比が酷い事になっています。間に挟まれる私の身にもなってほしい。
「あのぉ、伯爵様、こういった服って、毎年流行って変わりませんか?」
「毎年は変わらないと思うけど?」
ララ様とノボリッチ伯爵が子供服について議論している間に、ローレンス様とそっと部屋を抜け出した。ローレンス様はエドワード様の補佐という仕事があるし、私も奉仕に来ている。こんな事でこんな所で、時間は取られたくないというのが本音だ。
「光の聖女様、ローレンス様、本日は遅うございましたね」
「ノボリッチ伯爵に捕まった」
途中で会ったリチャード神官に無愛想に言い捨てて、ローレンス様がエドワード様の執務室に入っていった。
「どうなさったんですか?」
「私に対するノボリッチ伯爵様の態度に、不機嫌になっちゃって」
「あぁ。3年程前から光の聖女様に会いたいと仰っておられましたね」
「一昨年に教会でって、本当だったんですね」
「その時のイメージ画をお預かりしまして、ローレンス様にお渡ししたのですが」
「届いてませんね。ローレンス様が秘匿したか廃棄したかでしょう」
「秘匿か廃棄ですか」
リチャード神官がちょっと笑って言う。
今日は重症者区画にひとり患者が居るだけで、そちらはお医者様が担当してくれているらしい。
中軽症者の区画にはリリス様がいて、お医者様と共に患者と軽口を叩きあいながら治療していた。
「キャスリーン様、おはようございます」
「おはようございます、リリス様。いかがですか?」
「皆様に良くしていただいて、机に向かうだけでは得られない学びを受けております」
「硬い、硬いよ、リリスちゃん。もっとくだけていいんだよ」
常連のおじ様達が言う。リリス様は真面目だし、いきなりそこまでくだけられないと思うけど。
「リリス様は真面目な方ですから。まだ日も浅いですしそこまでくだけられないと思いますわよ?」
「光の聖女様も硬いんだよなぁ」
おっと、こっちにまで飛び火した。
「そうは仰られましても」
「私達は小さな頃からこの口調ですもの」
「まだ2人共小さいって」
「そうそう。ワシらから見りゃ、まだまだ子供よ」
おじ様、おば様達は何も含まずに、純粋に私達を思って言ってくれているのは分かるんだけど、口調は染み付いちゃってるんだよね。
「仰っている事は分かりますけれど、ご容赦くださいませ」
「ごめんよ。困らせちまったかい?」
「後で叱っておくからね。聖女様とリリス様は気にしないどくれ」
別のおば様が言ってくれた。
お昼休憩になったけど、ララ様が戻ってこない。救民院に来ている時はここで休憩すると聞いていたチェルシー様とブレンダ様も戻ってこない。様子を見に行った神官が、リチャード神官にそっと耳打ちをした。
「ノックス嬢とブレンダ嬢を迎えに行ってきます」
「チェルシー様は?」
「チェルシーさんはノボリッチ伯爵様と、非常に気が合ったようでして、その……」
つまりはそういう事ね。雰囲気は分からないけれど、2人の空間を作っていると。
リチャード神官はララ様とブレンダ様を連れて帰ってきた。最初にあの部屋にいた女性神官もいる。こっちは叱られたらしく、暗い顔で俯いている。
「キャシーちゃん、途中で居なくなっちゃったからノボリッチ伯爵が残念がっていたわよ。その分チェルシーさんと子供服のデザインに熱が入ったみたいだけど」
「あ、フェルナー様、母が服が出来たら着てみてほしいと言っていました」
「試着を私が?」
「それに伴って、採寸をさせてほしいと」
「光の聖女様に相応しい服を作るって、2人して張り切っていたわね」
「採寸は良いのですけれど」
良いんだけどね。ノボリッチ伯爵にもサイズを知られちゃう?それはちょっと嫌だなぁ。ドレスほど詳細な採寸ではないだろうけど。
「チェルシー様は縫製の道に進まれますの?」
お得意だと聞いているし、縫製で活計を立てていた事も知っている。ノボリッチ伯爵の元で得意な事を活かせるならそれに越した事はない。
「母さんはその気は無いみたい、です。私はノボリッチ伯爵領に行くのも良いと思うんですけど」
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