86 / 231
学院初等部 3学年生
プレ社交会のパートナー
しおりを挟む
ブレンダ様のお母様の栄養状態は、ものすごくゆっくりだけど、着実に回復していった。残念な事に私は冬季休暇が終わってしまって、完全回復には立ち会えなかった。代わりにララ様とローレンス様がマメに手紙で経過を知らせてくれた。
それによると、ブレンダ様のお母様、チェルシーさんは20日後には怪我も癒え、体力も少しずつ戻ってきたのだそうだ。ブレンダ様とも対面を果たして抱き合って喜んでいたらしい。ブレンダ様は男爵家に引き取られたけれど男爵夫人に日々虐待されていたそうだ。それに気が付いたケネス・ハートラー様がこっそりと連れ出して、救民院に連れてきたのだそうだ。
男爵家の思惑はブレンダ様をどこかの有力な商人に嫁がせて、男爵家に金を入れてもらう事だったそうだ。ハートラー男爵の浮気はなんと夫人の公認だったそうだ。公認のわりに虐待してたのね。
ブレンダ様の話ではハートラー家に来たのは、ケネス様が冬季休暇で戻った1ヶ月前。ブレンダ様は今、12歳だけど学院には通っていない。商人に嫁がせる予定だったから通わせなくて良いと判断したらしい。お金が惜しかったという理由もあるそうだ。
チェルシーさんを囲ったのは子供を産ませる為。もう1人も同様だったようで、子供が居なかったから最低限の生活の保証はされていたようだ。軟禁状態だったそうだけど。外から鍵をかけられていたらしいし。チェルシーさんも同様だ。
ハートラー男爵は貴族院での取り調べで「誠意をもって誠実に付き合っていた」と供述したそうだけど、誠意って、誠実ってなんだろう?少なくともハートラー男爵のいう誠意、誠実と、世間一般の誠意、誠実はまったく違うと思う。
ケネス様は今は寮に戻っているけれど、週末毎に救民院に通っていると聞いた。ハートラー男爵の件は貴族社会でちょっとした騒ぎになったそうだ。これはお義父様からの手紙で知ったんだけど、ハートラー男爵の浮気のおかげで、第2夫人というか側室制度の撤廃に向けて弾みがついたらしい。
ケネス様とは少しだけ話すようになった。主にブレンダ様からの手紙を届けてくれている。ブレンダ様ははじめ文字を書けなかった。ケネス様が教えて、たどたどしいながらも少しずつ書けるようになって、私への手紙が良い練習になっているようだ。読む方も同様で、今はセパオン寓話集のヴィリス語バージョンを読んでいるらしい。
最初の手紙には、ひたすら名前が書いてあったんだよね。ブレンダ様の名前と私の名前がいくつも。
そしてケネス様からの情報によると、お母様の介護をしながらララ様と一緒に軽症者の話相手をしているらしい。ララ様からも同様の内容の手紙が届いた。ブレンダ様は甲斐甲斐しくチェルシーさんを介護していて、チェルシーさんはブレンダ様を頼りながらも懸命にリハビリ中なんだそうだ。
「エスコートの申し出を受けていただき、感謝します、フェルナー嬢」
プレ社交会の前に、ウェイン・ミッチェル伯爵令息とダンスを合わせた。ミッチェル様は父親に「光の聖女と懇意にしておけ」と命令されたらしく、最初は誘おうか悩んだそうだ。何故なら父親が嫌いだから。それでも申し込んでくれたのは異母姉の「父親はどうでも良いけど、自分の為にも繋がりは持っておいた方が良い」との言葉から。
ミッチェル様のアンジェリカ様とは、学院で顔を合わせた。ウェイン様は後妻の子だそうで、アンジェリカ様との仲は良好。私に断られたら兄妹でペアになる予定だったそうだ。
「アンジェリカ様のパートナーはどうされますの?」
「異父母兄が同学年に居りますのよ。その方に誘われておりますの」
異父母兄って他人じゃない?
「異父母兄って、文字通りなんですよ。ちょっと複雑なんですけど」
ミッチェル姉弟の話によると、ミッチェル伯爵が最初に娶ったのはアンジェリカ様のお母様。アンジェリカ様のお母様はアンジェリカ様が2歳の時に亡くなり、ミッチェル伯爵はほぼ間をおかず後妻を招き入れた。それが異父母兄の母親。異父母兄は連れ子だったそうだ。その女性と別れた後ウェイン様のお母様とご結婚されたらしい。
「異父母兄の母親は父親の浮気癖に愛想を尽かしたんですよ。私も呆れましたけど。ウェインの母親と異父母兄の母親は元々知り合いで、友人に手を出したと怒って出ていったのですけど」
「アンジェリカ様はお辛くございませんでしたの?」
「異父母兄のお母様も良い方だったのですよ。なさぬ仲の私を可愛がってくださいましたし。ウェインが生まれてからも」
「えっと?」
「私は元々庶子だったのですよ」
ニコニコとウェイン様は言うけれど、ちょっとついていけません。ようするに跡を継がせようと思っていた異父母兄を連れて2番目の奥様が出ていったから、浮気相手だったウェイン様のお母様を娶ったと。
ちなみに異父母兄のお母様とは交流があるらしく、当然3人も交流していて仲は良好なんだそうだ。
その異父母兄様とは、プレ社交会の3日前に対面した。アンジェリカ様がダンス練習の場に引っ張ってきたんだそうだ。
「ウェイン、また大物を釣り上げたな」
「やめてよね、兄さん。フェルナー嬢に失礼な事を言わないでよ」
「だって光の聖女様だぞ?しかもフェルナー侯爵家のご令嬢だ」
「フェルナー嬢の目の前で言うセリフじゃありませんでしてよ?」
「はじめまして。キャスリーン・フェルナーにございます」
「あ、あぁ。はじめまして。ジャネット・スタンリーと言います」
異父母兄は、ウェイン様を可愛がっているのが丸分かりだ。アンジェリカ様もニコニコと見ている。
「スタンリーって、マダムスタンリーのお店の?」
フェルナー家とは取引はないけど、最近評判になっているプレタポルテのお店がマダムスタンリーの店だったはず。プレタポルテのお店だけどオートクチュールも請け負ってくれると評判で、お義母様の担当デザイナーさんも話題に出していた。
「そうですよ。ご存じでしたか」
「義母の担当デザイナーが話しておりました。丁寧な縫製と刺繍で、質も良いと。プレタポルテの方も安っぽくならず、下級貴族にも手の届くお値段でとても良心的だと」
「母に伝えますよ。光の聖女様が褒めていたとね」
「あら、褒めていたのは私ではなく、マダムリュシュランですわよ」
「マダムリュシュラン?って、あの?」
「はい。エーデルシュタインのマダムリュシュランです」
エーデルシュタインは元々アクセサリーのお店だったそうだ。とある貴族がそのアクセサリーに合うドレスをと注文したのがきっかけで、オートクチュールの店に発展した。マダムリュシュランは現在のエーデルシュタインのナンバー2で、顧客にも上位貴族が多い。
「さすがフェルナー侯爵家のご令嬢」
「私には何の力もありません。力を持っているのは、お義父様と侯爵家ですわ」
「光の聖女様が何を言っておられるのです?」
ミッチェル姉弟とスタンリー様に呆れられてしまった。
ウェイン様とダンスを合わせ、一応スタンリー様とも合わさせてもらった。スタンリー様は背が高くて、少し踊りにくい。ローレンス様との最初のダンス練習を思い出してしまった。
「フェルナー嬢はダンスがお上手ですね」
「おそれいります」
「苦手な物って無かったんじゃなかった?」
「ありますよ。オリジナルの刺繍が苦手です」
「オリジナルの刺繍?」
「はい。お手本があると良いのですけれど、完全にオリジナルとなると」
「意外ですわね」
それによると、ブレンダ様のお母様、チェルシーさんは20日後には怪我も癒え、体力も少しずつ戻ってきたのだそうだ。ブレンダ様とも対面を果たして抱き合って喜んでいたらしい。ブレンダ様は男爵家に引き取られたけれど男爵夫人に日々虐待されていたそうだ。それに気が付いたケネス・ハートラー様がこっそりと連れ出して、救民院に連れてきたのだそうだ。
男爵家の思惑はブレンダ様をどこかの有力な商人に嫁がせて、男爵家に金を入れてもらう事だったそうだ。ハートラー男爵の浮気はなんと夫人の公認だったそうだ。公認のわりに虐待してたのね。
ブレンダ様の話ではハートラー家に来たのは、ケネス様が冬季休暇で戻った1ヶ月前。ブレンダ様は今、12歳だけど学院には通っていない。商人に嫁がせる予定だったから通わせなくて良いと判断したらしい。お金が惜しかったという理由もあるそうだ。
チェルシーさんを囲ったのは子供を産ませる為。もう1人も同様だったようで、子供が居なかったから最低限の生活の保証はされていたようだ。軟禁状態だったそうだけど。外から鍵をかけられていたらしいし。チェルシーさんも同様だ。
ハートラー男爵は貴族院での取り調べで「誠意をもって誠実に付き合っていた」と供述したそうだけど、誠意って、誠実ってなんだろう?少なくともハートラー男爵のいう誠意、誠実と、世間一般の誠意、誠実はまったく違うと思う。
ケネス様は今は寮に戻っているけれど、週末毎に救民院に通っていると聞いた。ハートラー男爵の件は貴族社会でちょっとした騒ぎになったそうだ。これはお義父様からの手紙で知ったんだけど、ハートラー男爵の浮気のおかげで、第2夫人というか側室制度の撤廃に向けて弾みがついたらしい。
ケネス様とは少しだけ話すようになった。主にブレンダ様からの手紙を届けてくれている。ブレンダ様ははじめ文字を書けなかった。ケネス様が教えて、たどたどしいながらも少しずつ書けるようになって、私への手紙が良い練習になっているようだ。読む方も同様で、今はセパオン寓話集のヴィリス語バージョンを読んでいるらしい。
最初の手紙には、ひたすら名前が書いてあったんだよね。ブレンダ様の名前と私の名前がいくつも。
そしてケネス様からの情報によると、お母様の介護をしながらララ様と一緒に軽症者の話相手をしているらしい。ララ様からも同様の内容の手紙が届いた。ブレンダ様は甲斐甲斐しくチェルシーさんを介護していて、チェルシーさんはブレンダ様を頼りながらも懸命にリハビリ中なんだそうだ。
「エスコートの申し出を受けていただき、感謝します、フェルナー嬢」
プレ社交会の前に、ウェイン・ミッチェル伯爵令息とダンスを合わせた。ミッチェル様は父親に「光の聖女と懇意にしておけ」と命令されたらしく、最初は誘おうか悩んだそうだ。何故なら父親が嫌いだから。それでも申し込んでくれたのは異母姉の「父親はどうでも良いけど、自分の為にも繋がりは持っておいた方が良い」との言葉から。
ミッチェル様のアンジェリカ様とは、学院で顔を合わせた。ウェイン様は後妻の子だそうで、アンジェリカ様との仲は良好。私に断られたら兄妹でペアになる予定だったそうだ。
「アンジェリカ様のパートナーはどうされますの?」
「異父母兄が同学年に居りますのよ。その方に誘われておりますの」
異父母兄って他人じゃない?
「異父母兄って、文字通りなんですよ。ちょっと複雑なんですけど」
ミッチェル姉弟の話によると、ミッチェル伯爵が最初に娶ったのはアンジェリカ様のお母様。アンジェリカ様のお母様はアンジェリカ様が2歳の時に亡くなり、ミッチェル伯爵はほぼ間をおかず後妻を招き入れた。それが異父母兄の母親。異父母兄は連れ子だったそうだ。その女性と別れた後ウェイン様のお母様とご結婚されたらしい。
「異父母兄の母親は父親の浮気癖に愛想を尽かしたんですよ。私も呆れましたけど。ウェインの母親と異父母兄の母親は元々知り合いで、友人に手を出したと怒って出ていったのですけど」
「アンジェリカ様はお辛くございませんでしたの?」
「異父母兄のお母様も良い方だったのですよ。なさぬ仲の私を可愛がってくださいましたし。ウェインが生まれてからも」
「えっと?」
「私は元々庶子だったのですよ」
ニコニコとウェイン様は言うけれど、ちょっとついていけません。ようするに跡を継がせようと思っていた異父母兄を連れて2番目の奥様が出ていったから、浮気相手だったウェイン様のお母様を娶ったと。
ちなみに異父母兄のお母様とは交流があるらしく、当然3人も交流していて仲は良好なんだそうだ。
その異父母兄様とは、プレ社交会の3日前に対面した。アンジェリカ様がダンス練習の場に引っ張ってきたんだそうだ。
「ウェイン、また大物を釣り上げたな」
「やめてよね、兄さん。フェルナー嬢に失礼な事を言わないでよ」
「だって光の聖女様だぞ?しかもフェルナー侯爵家のご令嬢だ」
「フェルナー嬢の目の前で言うセリフじゃありませんでしてよ?」
「はじめまして。キャスリーン・フェルナーにございます」
「あ、あぁ。はじめまして。ジャネット・スタンリーと言います」
異父母兄は、ウェイン様を可愛がっているのが丸分かりだ。アンジェリカ様もニコニコと見ている。
「スタンリーって、マダムスタンリーのお店の?」
フェルナー家とは取引はないけど、最近評判になっているプレタポルテのお店がマダムスタンリーの店だったはず。プレタポルテのお店だけどオートクチュールも請け負ってくれると評判で、お義母様の担当デザイナーさんも話題に出していた。
「そうですよ。ご存じでしたか」
「義母の担当デザイナーが話しておりました。丁寧な縫製と刺繍で、質も良いと。プレタポルテの方も安っぽくならず、下級貴族にも手の届くお値段でとても良心的だと」
「母に伝えますよ。光の聖女様が褒めていたとね」
「あら、褒めていたのは私ではなく、マダムリュシュランですわよ」
「マダムリュシュラン?って、あの?」
「はい。エーデルシュタインのマダムリュシュランです」
エーデルシュタインは元々アクセサリーのお店だったそうだ。とある貴族がそのアクセサリーに合うドレスをと注文したのがきっかけで、オートクチュールの店に発展した。マダムリュシュランは現在のエーデルシュタインのナンバー2で、顧客にも上位貴族が多い。
「さすがフェルナー侯爵家のご令嬢」
「私には何の力もありません。力を持っているのは、お義父様と侯爵家ですわ」
「光の聖女様が何を言っておられるのです?」
ミッチェル姉弟とスタンリー様に呆れられてしまった。
ウェイン様とダンスを合わせ、一応スタンリー様とも合わさせてもらった。スタンリー様は背が高くて、少し踊りにくい。ローレンス様との最初のダンス練習を思い出してしまった。
「フェルナー嬢はダンスがお上手ですね」
「おそれいります」
「苦手な物って無かったんじゃなかった?」
「ありますよ。オリジナルの刺繍が苦手です」
「オリジナルの刺繍?」
「はい。お手本があると良いのですけれど、完全にオリジナルとなると」
「意外ですわね」
148
お気に入りに追加
359
あなたにおすすめの小説
婚約者のいる側近と婚約させられた私は悪の聖女と呼ばれています。
鈴木べにこ
恋愛
幼い頃から一緒に育ってきた婚約者の王子ギルフォードから婚約破棄を言い渡された聖女マリーベル。
突然の出来事に困惑するマリーベルをよそに、王子は自身の代わりに側近である宰相の息子ロイドとマリーベルを王命で強制的に婚約させたと言い出したのであった。
ロイドに愛する婚約者がいるの事を知っていたマリーベルはギルフォードに王命を取り下げるように訴えるが聞いてもらえず・・・。
カクヨム、小説家になろうでも連載中。
※最初の数話はイジメ表現のようなキツイ描写が出てくるので注意。
初投稿です。
勢いで書いてるので誤字脱字や変な表現が多いし、余裕で気付かないの時があるのでお気軽に教えてくださるとありがたいです٩( 'ω' )و
気分転換もかねて、他の作品と同時連載をしています。
【書庫の幽霊王妃は、貴方を愛することができない。】
という作品も同時に書いているので、この作品が気に入りましたら是非読んでみてください。
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
運命の歯車が壊れるとき
和泉鷹央
恋愛
戦争に行くから、君とは結婚できない。
恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。
他の投稿サイトでも掲載しております。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる