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学院初等部 3学年生
光魔法の重要性
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サミュエル先生達の壁を最初に乗り越えたのは、救民院で出会ったあの男性だった。
「ひかっ、フェルナー侯爵令嬢様、先だっては申し訳ございませんでした」
「ひかっ」て、光の聖女様って言いかけたよね?言わないようにとか言ってくれたのかしら?
「頭をあげて、椅子に座ってください」
「いいえ。このままで」
「話がしづらいんです。いくら私の背が低くても、そのままだと私も床に座らなければなりません」
だって、床に跪いて両手を組んでいるんだもの。この姿勢はこれまた遠い昔の転生者が伝えたらしい。最上級の謝罪のしかただって。その転生者は中国出身だったらしくて、今では最上級の謝罪の仕方として下跪という文化が根付いている。
「しかし……」
なおもグズグズとしているから、私も床に座った。シェーン様やスペンサー・フィッツシモンズやトバイア・ポールソンがギョッとして近付こうとしたけど、首を振って拒否した。正座は特に苦にはならない。
「フェルナー侯爵令嬢様……」
「お話はあなたの領に来てほしい、でしたか?」
「はっ、はいっ」
「申し訳ございませんが、私は学生です。長く学院を離れる事は出来かねます」
「そうですよね……」
「私を必要とされている方は、お身内ですか?」
「はい。あの、フェルナー侯爵令嬢様、お立ちください」
「あなたが立てば私も立ちます。どうぞ椅子にお掛けください」
「しかし……はい」
私の後ろのシェーン様が何かをしたらしい。男性が慌てて立ち上がった。それを確かめて私も立とうとしたら、シェーン様に立ち上がらせられた。
「ありがとうございます」
「いいえ。お安いご用です。が……」
分かってますよ。淑女が床に座るなんてって言うんでしょ?
「お説教は後で聞きます。今はこの方のお話です」
苦虫を噛み潰したような表情のシェーン様に告げる。シェーン様は引き下がってくれた。
「まずは、お名前をお教えください」
「オジー・トゥンリーと申します」
「トゥンリー領というと、準男爵領ですね」
シェーン様が教えてくれた。準男爵ってほぼ村長の立場だよね?なのに王都まで光魔法使いの為に来たんだ。本当は行ってあげたいんだけど。
「トゥンリー領は王都からどの位ですか?」
「馬車で5日です」
「5日ですか」
それじゃあ無理だと思う。往復で10日はかかってしまうし、とんぼ返りは現実的じゃない。治療の時間もかかるし。
「時間的にも難しいですね」
「そう……ですよ、ね」
「参考までにお聞かせください。患者はどのような症状ですか?」
「外出出来ません」
「は?」
おそらくスペンサー・フィッツシモンズだと思う。ものすごく怪訝な声が聞こえた。
「それは足がお悪いとか?」
「いいえ。日に当たると痒がって赤くなったりブツブツが出来たりします。掻きむしって見ていられなくて。神官様には何らかの呪いだろうと言われてしまいました」
「日光過敏症だと思います。日光を悪い物と認識しちゃうんですね。呪いではありませんけど、治療手段が……」
「どうすればいいのでしょう?」
「日に当たらない事が重要です。長袖や帽子、日傘で日光を遮ってください。部屋の中でも薄いカーテンを使って日光を和らげるとか」
「やってみます」
オジー・トゥンリーは来た時と打って変わって、晴れやかな顔で帰っていった。
次にやって来たのは生徒のひとり。怪我の治療かと思ったらそれだけじゃないらしい。
「えっと、これなんだけど」
差し出されたのは指輪。ただしなんだか少し黒ずんでる。
「あ、呪いの指輪とかじゃないよ?」
「まぁ、嫌な感じはしませんけど。どうしたんですか?これ」
「拾った。その反応を見るに、フェルナー嬢のじゃないんだね?」
「違いますね。そもそも指輪は所持しておりませんし」
「え?ローレンス先輩と婚約したって聞いたけど?」
「婚約はいたしましたわ。でも指輪は所持しておりません。学院で着けるのは校則違反でしょう?それにお義母様が指も成長するからもう少し待った方が良いと仰って」
「たしかに。はぁ、じゃあ誰だろう?」
「学院の遺失物として届けられては?」
「それも考えたんだけど、これが誰かからの贈り物で、それがバレたら可哀想じゃない?」
気持ちは分かるけど……。
「失礼。この話をフェルナー嬢に持ってきた、その意図は?」
「材質も良さそうだし、フェルナー先輩ならこの位は贈りそうだなって思って」
「材質?」
「これ、プラチナだと思うんだよね。それに小さいけど色石も入ってるし」
「あ、本当だ。サファイア?」
「うん。だからフェルナー嬢だと思ったんだ」
たしかに婚約指輪に自分の色石を入れてプレゼントするというのは、貴族で流行ってる。相手に自分の色を身に付けていてほしいという意味だそうだ。
ローレンス様の瞳の色はサファイアブルー。条件には当てはまるけど。
改めて指輪を見る。あ、刻印発見。でもこれってイニシャルではないし、そもそも文字なんだろうか?
「その刻印は、魔術文字らしいよ」
「魔術文字?」
「詳しくはないけどね。サミュエル先生がそう言ってた」
指輪を返す。
「申し訳ございませんが、私には……」
「気にしないで。こっちの早とちりでもあるんだから」
怪我の処置をしてから話していたから、少し遅くなった。
その後も2人が私との面会を望んだ。いずれも男爵家の関係者で家族や長年仕えてくれた使用人が病気、あるいは怪我で、その治療の依頼だった。自分はまだ学生で、時間的にも難しい事を伝えると、予想していたのかすぐに引き下がってくれた。
「シェーン様、お話を伺った方の領地ってどの辺りかお分かりですか?」
「簡単な地図はありますから、そちらに印を付けましょうか?」
「お願いいたします」
詳細な地図は国家機密扱いで、大まかな地図、だいたいの領の位置を示した地図が一般に売られている。地図はいずれも書写職人と呼ばれる人の手書きだ。
「紙がそこまで普及してないのは何故だろう?」
「キャスリーン様?」
「転生者は今までも居たし、伝えられていてもおかしくはないのに」
「それは戦争の所為ですよ」
「あぁ、歴史で習いました。200年前に10年戦争があったと」
「その後も戦争までいかなくても内乱や紛争は起きています。その中で技術者が亡くなってしまったり資料が失われたりして、残っていない技術も多いんです」
「もしかして医療分野も?」
「はい。他国にはなりますが、奇跡と呼ばれたほどの医師が居たそうです。この医師も戦争の犠牲となりました。書き溜めていた資料も焼けてしまったらしく……」
「病気の原因が知られていないのは、だからですか」
転生者がいくら技術や知識を伝えても、争いでぶち壊してしまったら何の意味もない。
「ですから、現在分かっている『テンセイシャ』にはひそかに護衛が付けられております。他国でも同様です」
ん?護衛?
「シェーン様、私にもシェーン様以外に護衛がおりますの?」
「今は私だけですね」
護衛ってひとりでは出来ないって、聞いた事があるんだけど。
「学院に居られる間は、ですよ。ご卒業されたら護衛は増えます。それと分からないように配慮はいたしますが」
「ララ様にも付いているのでしょうか?」
「はい」
誰だろう?教えてはくれないだろうな。そういえばレオナルド様にはどうなんだろう?あの方は山野で暮らしているけど。
「庶民の方でも護衛は付いていますよ。スタヴィリス国に在住している『テンセイシャ』は、キャスリーン様を含め5名。時折6名に増えますが。そこは各国連携を取っています」
「5名?」
って事は、スタヴィリス国内にもうひとり、まだ会った事の無い転生者が居るのか。会ってみたいなぁ。
「ひかっ、フェルナー侯爵令嬢様、先だっては申し訳ございませんでした」
「ひかっ」て、光の聖女様って言いかけたよね?言わないようにとか言ってくれたのかしら?
「頭をあげて、椅子に座ってください」
「いいえ。このままで」
「話がしづらいんです。いくら私の背が低くても、そのままだと私も床に座らなければなりません」
だって、床に跪いて両手を組んでいるんだもの。この姿勢はこれまた遠い昔の転生者が伝えたらしい。最上級の謝罪のしかただって。その転生者は中国出身だったらしくて、今では最上級の謝罪の仕方として下跪という文化が根付いている。
「しかし……」
なおもグズグズとしているから、私も床に座った。シェーン様やスペンサー・フィッツシモンズやトバイア・ポールソンがギョッとして近付こうとしたけど、首を振って拒否した。正座は特に苦にはならない。
「フェルナー侯爵令嬢様……」
「お話はあなたの領に来てほしい、でしたか?」
「はっ、はいっ」
「申し訳ございませんが、私は学生です。長く学院を離れる事は出来かねます」
「そうですよね……」
「私を必要とされている方は、お身内ですか?」
「はい。あの、フェルナー侯爵令嬢様、お立ちください」
「あなたが立てば私も立ちます。どうぞ椅子にお掛けください」
「しかし……はい」
私の後ろのシェーン様が何かをしたらしい。男性が慌てて立ち上がった。それを確かめて私も立とうとしたら、シェーン様に立ち上がらせられた。
「ありがとうございます」
「いいえ。お安いご用です。が……」
分かってますよ。淑女が床に座るなんてって言うんでしょ?
「お説教は後で聞きます。今はこの方のお話です」
苦虫を噛み潰したような表情のシェーン様に告げる。シェーン様は引き下がってくれた。
「まずは、お名前をお教えください」
「オジー・トゥンリーと申します」
「トゥンリー領というと、準男爵領ですね」
シェーン様が教えてくれた。準男爵ってほぼ村長の立場だよね?なのに王都まで光魔法使いの為に来たんだ。本当は行ってあげたいんだけど。
「トゥンリー領は王都からどの位ですか?」
「馬車で5日です」
「5日ですか」
それじゃあ無理だと思う。往復で10日はかかってしまうし、とんぼ返りは現実的じゃない。治療の時間もかかるし。
「時間的にも難しいですね」
「そう……ですよ、ね」
「参考までにお聞かせください。患者はどのような症状ですか?」
「外出出来ません」
「は?」
おそらくスペンサー・フィッツシモンズだと思う。ものすごく怪訝な声が聞こえた。
「それは足がお悪いとか?」
「いいえ。日に当たると痒がって赤くなったりブツブツが出来たりします。掻きむしって見ていられなくて。神官様には何らかの呪いだろうと言われてしまいました」
「日光過敏症だと思います。日光を悪い物と認識しちゃうんですね。呪いではありませんけど、治療手段が……」
「どうすればいいのでしょう?」
「日に当たらない事が重要です。長袖や帽子、日傘で日光を遮ってください。部屋の中でも薄いカーテンを使って日光を和らげるとか」
「やってみます」
オジー・トゥンリーは来た時と打って変わって、晴れやかな顔で帰っていった。
次にやって来たのは生徒のひとり。怪我の治療かと思ったらそれだけじゃないらしい。
「えっと、これなんだけど」
差し出されたのは指輪。ただしなんだか少し黒ずんでる。
「あ、呪いの指輪とかじゃないよ?」
「まぁ、嫌な感じはしませんけど。どうしたんですか?これ」
「拾った。その反応を見るに、フェルナー嬢のじゃないんだね?」
「違いますね。そもそも指輪は所持しておりませんし」
「え?ローレンス先輩と婚約したって聞いたけど?」
「婚約はいたしましたわ。でも指輪は所持しておりません。学院で着けるのは校則違反でしょう?それにお義母様が指も成長するからもう少し待った方が良いと仰って」
「たしかに。はぁ、じゃあ誰だろう?」
「学院の遺失物として届けられては?」
「それも考えたんだけど、これが誰かからの贈り物で、それがバレたら可哀想じゃない?」
気持ちは分かるけど……。
「失礼。この話をフェルナー嬢に持ってきた、その意図は?」
「材質も良さそうだし、フェルナー先輩ならこの位は贈りそうだなって思って」
「材質?」
「これ、プラチナだと思うんだよね。それに小さいけど色石も入ってるし」
「あ、本当だ。サファイア?」
「うん。だからフェルナー嬢だと思ったんだ」
たしかに婚約指輪に自分の色石を入れてプレゼントするというのは、貴族で流行ってる。相手に自分の色を身に付けていてほしいという意味だそうだ。
ローレンス様の瞳の色はサファイアブルー。条件には当てはまるけど。
改めて指輪を見る。あ、刻印発見。でもこれってイニシャルではないし、そもそも文字なんだろうか?
「その刻印は、魔術文字らしいよ」
「魔術文字?」
「詳しくはないけどね。サミュエル先生がそう言ってた」
指輪を返す。
「申し訳ございませんが、私には……」
「気にしないで。こっちの早とちりでもあるんだから」
怪我の処置をしてから話していたから、少し遅くなった。
その後も2人が私との面会を望んだ。いずれも男爵家の関係者で家族や長年仕えてくれた使用人が病気、あるいは怪我で、その治療の依頼だった。自分はまだ学生で、時間的にも難しい事を伝えると、予想していたのかすぐに引き下がってくれた。
「シェーン様、お話を伺った方の領地ってどの辺りかお分かりですか?」
「簡単な地図はありますから、そちらに印を付けましょうか?」
「お願いいたします」
詳細な地図は国家機密扱いで、大まかな地図、だいたいの領の位置を示した地図が一般に売られている。地図はいずれも書写職人と呼ばれる人の手書きだ。
「紙がそこまで普及してないのは何故だろう?」
「キャスリーン様?」
「転生者は今までも居たし、伝えられていてもおかしくはないのに」
「それは戦争の所為ですよ」
「あぁ、歴史で習いました。200年前に10年戦争があったと」
「その後も戦争までいかなくても内乱や紛争は起きています。その中で技術者が亡くなってしまったり資料が失われたりして、残っていない技術も多いんです」
「もしかして医療分野も?」
「はい。他国にはなりますが、奇跡と呼ばれたほどの医師が居たそうです。この医師も戦争の犠牲となりました。書き溜めていた資料も焼けてしまったらしく……」
「病気の原因が知られていないのは、だからですか」
転生者がいくら技術や知識を伝えても、争いでぶち壊してしまったら何の意味もない。
「ですから、現在分かっている『テンセイシャ』にはひそかに護衛が付けられております。他国でも同様です」
ん?護衛?
「シェーン様、私にもシェーン様以外に護衛がおりますの?」
「今は私だけですね」
護衛ってひとりでは出来ないって、聞いた事があるんだけど。
「学院に居られる間は、ですよ。ご卒業されたら護衛は増えます。それと分からないように配慮はいたしますが」
「ララ様にも付いているのでしょうか?」
「はい」
誰だろう?教えてはくれないだろうな。そういえばレオナルド様にはどうなんだろう?あの方は山野で暮らしているけど。
「庶民の方でも護衛は付いていますよ。スタヴィリス国に在住している『テンセイシャ』は、キャスリーン様を含め5名。時折6名に増えますが。そこは各国連携を取っています」
「5名?」
って事は、スタヴィリス国内にもうひとり、まだ会った事の無い転生者が居るのか。会ってみたいなぁ。
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