48 / 290
学院初等部 2学年生
新学期スタート
しおりを挟む
グクラン辺境伯家から帰って、お義父様と玄関ホールを浄化する。幸い麻疹の発症者は出なかった。グクラン辺境伯家も症状はすぐに終息したそうだ。
夏期休暇が終わると、芸術祭の準備がすぐに始まった。今年はローレンスお義兄様も生徒会執行役員じゃないから、比較的のんびりしている。それでも前年度の事を聞かれたり、忙しそうではあるけれど。
「せっかくのキャシーとの時間がっ」
「仕方ないだろ?兄貴は前会長と共に、アドバイザーという立場なんだから」
「明らかに前会長に聞きに行く方が少ない」
「会長職同士で話し合っているようだしねぇ」
サロンでのフェルナー家のお茶会に、なぜかサミュエル先生とバージェフ先輩、ララ様まで加わっている。ララ様はお茶を淹れたりお茶菓子を持ってきてくれたり、侍女のような事をしてくれている。私は安定のローレンスお義兄様の隣に座らされている。お膝抱っこを主張するローレンスお義兄様との戦いに勝利した私を、誰か褒めてほしい。
「キャシーちゃんは4属性かぁ」
「使いこなせる気がしないんですが」
「こうなるとバージェフ君も判定を受けた方が良いかもね」
「『テンセイシャ』だからじゃないんですか?」
「それだとローレンス君が弱いながらも光魔法が発現した説明がつかない。バージェフ君はずっとみんなと一緒にポーションを研究してきたし、もしかすると、という事も考えられる」
「私は光属性だけで良いんですが」
「公表はしない方が良いだろうけどね。水か風が後発現しているかもよ?」
「嬉しくない気がします」
のんびりまったり。芸術祭に私達は出ない。私は薬草研究会が忙しくてピアノ倶楽部も満足に行けていないし、競いあって代表を取りたいとは思わない。ララ様も芸術系の授業外活動はしていなかったし、バージェフ先輩も同様だ。
「ところでフランシス・エンヴィーオは持ち直したようだね」
「私が最後にお見舞いに伺った際には、ずいぶん良くなっておられましたから」
フランシス・エンヴィーオは、夏期休暇開けに退院したらしい。学院での接触は無いし、退院したというのも他の先輩から聞いたにすぎない。ローレンスお義兄様もランベルトお義兄様もフランシス・エンヴィーオについては一切話題に出さないんだもの。私から進んで話題に出したいわけでもないしね。
「あぁ、そうだ。バージェフ君に言っておくね。フランシス・エンヴィーオ君が薬草研究会に入部したいそうだ」
「「「反対です」」」
即座にローレンスお義兄様、ランベルトお義兄様、ララ様が反対した。
「確実にキャシー目当てじゃないですか」
「入部させたらキャシーちゃんに付き纏うに決まっているわ」
「エンヴィーオを入れたら、他のもって言いそうだ」
「間違ってはないけどね。口は慎むように」
間違ってはないんだ。そこは否定しないんだ。サミュエル先生ったら。
「でも、なんだって薬草研究会なんでしょう?」
「キャシーと一緒に居たいんじゃない?」
「キャシーを口説こうとか思っていそう」
「認めてもらいたいんじゃないの?キャシーちゃんに」
「フェルナー嬢だけだっただろうからね。見舞いに行ったのは」
「私だけ?」
「やっぱりね、ああいった騒ぎを起こしたし、エンヴィーオ家自体が捜査機関から聴取されているし、近付きたくないんだよ。その中でフェルナー嬢だけが話を聞いてくれた。嬉しかったと思うよ。ローレンス先輩がいる事は知っているだろうから恋愛対象や婚約云々はないだろうけど、側に居たいんじゃないかな?」
「えっと……懐かれちゃったって事?」
「キャシーちゃんってば、人タラシよねぇ」
「人タラシって……」
「それはあるかもしれないね。自分の事を認めてくれたって思うのかも。私の時もそうだったしね。ポーションを認めてくれたのって、嬉しかったんだよ?」
「自己流とか言いながらも、味の改良とか熱心にやっておられたではありませんか。その努力に対して賛辞を贈るのは当然です」
「その当然をやらないんだよ、貴族ってやつは」
そんな貴族ばかりじゃないと思うけど。困ってローレンスお義兄様を見るとニッコリと微笑まれた。
「で、どうする?フランシス・エンヴィーオ君の入部願い」
「「反対」」
「キャシーちゃんは?反対しないの?」
「反対したい気持ち半分、大丈夫なんじゃないかな?って気持ち半分です」
「それは何故?」
「信じたいっていうのもあるんです。妹様の為という目標がある気がして。それに反省はしているようでしたし」
「妹の為?」
あ、そっか。妹様の事を知っているのは、私とサミュエル先生とローレンスお義兄様だけだっけ。プライベートな事だから、他の人には言ってないんだった。
「エンヴィーオ家は複雑だからね。査察の人間が頭を抱えてたよ。色々と表に出せない事が多すぎて」
サミュエル先生が誤魔化してくれたけど、誤魔化されてくれたんだろうか?
「キャシーは優しいね」
ローレンスお義兄様が、私の肩を引き寄せて、頭にキスを落とした。ついでとばかりに髪を掬ってそこにも口付けする。
「うわぁ、ローレンス様ってば隠さなくなったわね」
「なんていうか、いたたまれない気がする」
ローレンスお義兄様が笑顔で私の頭を撫でているのを見て、ララ様とバージェフ先輩がため息混じりに言っていた。
サロンでのお茶会が終わってみんなが引き上げた後、サミュエル先生に呼び止められた。
「フランシス・エンヴィーオ君の件、どうする?」
「私に一任されてしまいますの?」
「当事者だからね。反対に言えばキャシーちゃんが嫌だと言ったら入部は無し。何があってもね」
ここでも決断を迫られるのか。
「少し考えさせてください」
考えながらサロンを出る。
「キャシーちゃん、どうかしたの?」
ララ様が待っていてくれた。ローレンスお義兄様は生徒会執行部の人に呼ばれたらしい。
「ララ様、私、どうすれば良いのでしょうか」
「キャシーちゃん?」
「フランシス・エンヴィーオ先輩のやった事は許せないんです。あの時の事は思い出したくない。でも、少し信じたい気持ちもあるんです。お見舞いに行ってエンヴィーオ家の内情を知っちゃったし……」
「同情しちゃったの?」
「分かりません」
ララ様はエンヴィーオ家の内情を知らない。それでもなんとなく察したんだと思う。
「エンヴィーオ家の内情は知らないけど、キャシーちゃんが納得出来る方を選べばいいわ。入部を認めて、最初はキャシーちゃんは別行動でも良いし、認めなくても良い。バージェフ君もそう言っていたわ。フランシス・エンヴィーオに直接害を与えられたのはキャシーちゃんなんだから、キャシーちゃんが決めて良いのよ。私もバージェフ君もフォローするから大丈夫よ」
「ララ様……」
ソッと抱き締められた。あ、ララ様って案外ボリュームがある。そんな的外れな事を考えてた。
結局、フランシス・エンヴィーオの入部は認めた。最初は先輩達が指導して、私や初等部のみんなは関わらない。そう決められた。
フランシス・エンヴィーオは意外にも熱心に取り組んでいた。植物魔法を持っているらしく、器用に薬草を増やしたり、プランターで育てている薬草の世話も進んでやっていた。分からない事は先輩方に聞いて、自分なりにやれる事を増やしていった。
「あれなら良いんじゃないかな?」
「今のところはフェルナー嬢に絡みに行く事はないわね。でも、もう少し様子を見た方がいいわ」
「どうしてだい?」
「キャスリーンちゃんを見ているのよ。切なそうに。あれは恋をしているわね」
「いやいやいや。それは君の感想だろう?彼の努力も認めてあげた方が良いんじゃないかな?」
夏期休暇が終わると、芸術祭の準備がすぐに始まった。今年はローレンスお義兄様も生徒会執行役員じゃないから、比較的のんびりしている。それでも前年度の事を聞かれたり、忙しそうではあるけれど。
「せっかくのキャシーとの時間がっ」
「仕方ないだろ?兄貴は前会長と共に、アドバイザーという立場なんだから」
「明らかに前会長に聞きに行く方が少ない」
「会長職同士で話し合っているようだしねぇ」
サロンでのフェルナー家のお茶会に、なぜかサミュエル先生とバージェフ先輩、ララ様まで加わっている。ララ様はお茶を淹れたりお茶菓子を持ってきてくれたり、侍女のような事をしてくれている。私は安定のローレンスお義兄様の隣に座らされている。お膝抱っこを主張するローレンスお義兄様との戦いに勝利した私を、誰か褒めてほしい。
「キャシーちゃんは4属性かぁ」
「使いこなせる気がしないんですが」
「こうなるとバージェフ君も判定を受けた方が良いかもね」
「『テンセイシャ』だからじゃないんですか?」
「それだとローレンス君が弱いながらも光魔法が発現した説明がつかない。バージェフ君はずっとみんなと一緒にポーションを研究してきたし、もしかすると、という事も考えられる」
「私は光属性だけで良いんですが」
「公表はしない方が良いだろうけどね。水か風が後発現しているかもよ?」
「嬉しくない気がします」
のんびりまったり。芸術祭に私達は出ない。私は薬草研究会が忙しくてピアノ倶楽部も満足に行けていないし、競いあって代表を取りたいとは思わない。ララ様も芸術系の授業外活動はしていなかったし、バージェフ先輩も同様だ。
「ところでフランシス・エンヴィーオは持ち直したようだね」
「私が最後にお見舞いに伺った際には、ずいぶん良くなっておられましたから」
フランシス・エンヴィーオは、夏期休暇開けに退院したらしい。学院での接触は無いし、退院したというのも他の先輩から聞いたにすぎない。ローレンスお義兄様もランベルトお義兄様もフランシス・エンヴィーオについては一切話題に出さないんだもの。私から進んで話題に出したいわけでもないしね。
「あぁ、そうだ。バージェフ君に言っておくね。フランシス・エンヴィーオ君が薬草研究会に入部したいそうだ」
「「「反対です」」」
即座にローレンスお義兄様、ランベルトお義兄様、ララ様が反対した。
「確実にキャシー目当てじゃないですか」
「入部させたらキャシーちゃんに付き纏うに決まっているわ」
「エンヴィーオを入れたら、他のもって言いそうだ」
「間違ってはないけどね。口は慎むように」
間違ってはないんだ。そこは否定しないんだ。サミュエル先生ったら。
「でも、なんだって薬草研究会なんでしょう?」
「キャシーと一緒に居たいんじゃない?」
「キャシーを口説こうとか思っていそう」
「認めてもらいたいんじゃないの?キャシーちゃんに」
「フェルナー嬢だけだっただろうからね。見舞いに行ったのは」
「私だけ?」
「やっぱりね、ああいった騒ぎを起こしたし、エンヴィーオ家自体が捜査機関から聴取されているし、近付きたくないんだよ。その中でフェルナー嬢だけが話を聞いてくれた。嬉しかったと思うよ。ローレンス先輩がいる事は知っているだろうから恋愛対象や婚約云々はないだろうけど、側に居たいんじゃないかな?」
「えっと……懐かれちゃったって事?」
「キャシーちゃんってば、人タラシよねぇ」
「人タラシって……」
「それはあるかもしれないね。自分の事を認めてくれたって思うのかも。私の時もそうだったしね。ポーションを認めてくれたのって、嬉しかったんだよ?」
「自己流とか言いながらも、味の改良とか熱心にやっておられたではありませんか。その努力に対して賛辞を贈るのは当然です」
「その当然をやらないんだよ、貴族ってやつは」
そんな貴族ばかりじゃないと思うけど。困ってローレンスお義兄様を見るとニッコリと微笑まれた。
「で、どうする?フランシス・エンヴィーオ君の入部願い」
「「反対」」
「キャシーちゃんは?反対しないの?」
「反対したい気持ち半分、大丈夫なんじゃないかな?って気持ち半分です」
「それは何故?」
「信じたいっていうのもあるんです。妹様の為という目標がある気がして。それに反省はしているようでしたし」
「妹の為?」
あ、そっか。妹様の事を知っているのは、私とサミュエル先生とローレンスお義兄様だけだっけ。プライベートな事だから、他の人には言ってないんだった。
「エンヴィーオ家は複雑だからね。査察の人間が頭を抱えてたよ。色々と表に出せない事が多すぎて」
サミュエル先生が誤魔化してくれたけど、誤魔化されてくれたんだろうか?
「キャシーは優しいね」
ローレンスお義兄様が、私の肩を引き寄せて、頭にキスを落とした。ついでとばかりに髪を掬ってそこにも口付けする。
「うわぁ、ローレンス様ってば隠さなくなったわね」
「なんていうか、いたたまれない気がする」
ローレンスお義兄様が笑顔で私の頭を撫でているのを見て、ララ様とバージェフ先輩がため息混じりに言っていた。
サロンでのお茶会が終わってみんなが引き上げた後、サミュエル先生に呼び止められた。
「フランシス・エンヴィーオ君の件、どうする?」
「私に一任されてしまいますの?」
「当事者だからね。反対に言えばキャシーちゃんが嫌だと言ったら入部は無し。何があってもね」
ここでも決断を迫られるのか。
「少し考えさせてください」
考えながらサロンを出る。
「キャシーちゃん、どうかしたの?」
ララ様が待っていてくれた。ローレンスお義兄様は生徒会執行部の人に呼ばれたらしい。
「ララ様、私、どうすれば良いのでしょうか」
「キャシーちゃん?」
「フランシス・エンヴィーオ先輩のやった事は許せないんです。あの時の事は思い出したくない。でも、少し信じたい気持ちもあるんです。お見舞いに行ってエンヴィーオ家の内情を知っちゃったし……」
「同情しちゃったの?」
「分かりません」
ララ様はエンヴィーオ家の内情を知らない。それでもなんとなく察したんだと思う。
「エンヴィーオ家の内情は知らないけど、キャシーちゃんが納得出来る方を選べばいいわ。入部を認めて、最初はキャシーちゃんは別行動でも良いし、認めなくても良い。バージェフ君もそう言っていたわ。フランシス・エンヴィーオに直接害を与えられたのはキャシーちゃんなんだから、キャシーちゃんが決めて良いのよ。私もバージェフ君もフォローするから大丈夫よ」
「ララ様……」
ソッと抱き締められた。あ、ララ様って案外ボリュームがある。そんな的外れな事を考えてた。
結局、フランシス・エンヴィーオの入部は認めた。最初は先輩達が指導して、私や初等部のみんなは関わらない。そう決められた。
フランシス・エンヴィーオは意外にも熱心に取り組んでいた。植物魔法を持っているらしく、器用に薬草を増やしたり、プランターで育てている薬草の世話も進んでやっていた。分からない事は先輩方に聞いて、自分なりにやれる事を増やしていった。
「あれなら良いんじゃないかな?」
「今のところはフェルナー嬢に絡みに行く事はないわね。でも、もう少し様子を見た方がいいわ」
「どうしてだい?」
「キャスリーンちゃんを見ているのよ。切なそうに。あれは恋をしているわね」
「いやいやいや。それは君の感想だろう?彼の努力も認めてあげた方が良いんじゃないかな?」
222
お気に入りに追加
467
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
私が出て行った後、旦那様から後悔の手紙がもたらされました
新野乃花(大舟)
恋愛
ルナとルーク伯爵は婚約関係にあったが、その関係は伯爵の妹であるリリアによって壊される。伯爵はルナの事よりもリリアの事ばかりを優先するためだ。そんな日々が繰り返される中で、ルナは伯爵の元から姿を消す。最初こそ何とも思っていなかった伯爵であったが、その後あるきっかけをもとに、ルナの元に後悔の手紙を送ることとなるのだった…。
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?
傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~
キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。
両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。
ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。
全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。
エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。
ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。
こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。
暗闇に輝く星は自分で幸せをつかむ
Rj
恋愛
許婚のせいで見知らぬ女の子からいきなり頬をたたかれたステラ・デュボワは、誰にでもやさしい許婚と高等学校卒業後にこのまま結婚してよいのかと考えはじめる。特待生として通うスペンサー学園で最終学年となり最後の学園生活を送る中、許婚との関係がこじれたり、思わぬ申し出をうけたりとこれまで考えていた将来とはまったく違う方向へとすすんでいく。幸せは自分でつかみます!
ステラの恋と成長の物語です。
*女性蔑視の台詞や場面があります。
(完結)嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
【完結】今世は我儘なぐーたら令嬢を目指します
くま
恋愛
一つ下の妹のキャンディは愛嬌は良く可愛い妹だった。
「私ね、お姉様が大好きです!」
「私もよ」
私に懐く彼女を嫌いなわけがない。
公爵家の長女の私は、常に成績トップを維持し、皆の見本になるようにしていた。
だけど……どんなに努力をしていても、成績をよくしていても
私の努力の結果は《当たり前》
来月私と結婚を控えている愛しい婚約者のアッサム様……
幼馴染であり、婚約者。とても優しい彼に惹かれ愛していた。
なのに……結婚式当日
「……今なんと?」
「……こ、子供が出来たんだ。キャンディとの」
「お、お姉様……ごめんなさい…わ、私…でも、ずっと前からアッサム様が好きだったの!お姉様を傷つけたくなくて……!」
頭が真っ白になった私はそのまま外へと飛びだして馬車に引かれてしまった。
私が血だらけで倒れていても、アッサム様は身籠もっているキャンディの方を心配している。
あぁ……貴方はキャンディの方へ行くのね…
真っ白なドレスが真っ赤に染まる。
最悪の結婚式だわ。
好きな人と想い合いながらの晴れ舞台……
今まで長女だからと厳しいレッスンも勉強も頑張っていたのに…誰も…誰も私の事など…
「リゼお嬢様!!!」
「……セイ…」
この声は我が家の専属の騎士……口も態度も生意気の奴。セイロンとはあまり話したことがない。もうセイロンの顔はよく見えないけれど……手は温かい……。
「俺はなんのために‥‥」
セイロンは‥‥冷たい男だと思っていたけど、唯一私の為に涙を流してくれるのね、
あぁ、雨が降ってきた。
目を瞑ると真っ暗な闇の中光が見え、
その瞬間、何故か前世の記憶を思い出す。
色々と混乱しつつも更に眩しい光が現れた。
その光の先へいくと……
目を覚ました瞬間‥‥
「リゼお姉様?どうしたんですか?」
「…え??」
何故16歳に戻っていた!?
婚約者になる前のアッサム様と妹の顔を見てプツンと何かが切れた。
もう、見て見ぬフリもしないわ。それに何故周りの目を気にして勉強などやらなければならいのかしら?!もう…疲れた!!好きな美味しいお菓子食べて、ぐーたら、したい!するわ!
よくわからないけれど……今世は好き勝手する!まずは、我慢していたイチゴケーキをホールで食べましょう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる