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学院初等部 2学年生
受難未遂
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無事に2学年生に進級出来た。でも、ガビーちゃんとはクラスが別れてしまった。ここのクラス分けは成績順でも爵位順でもないから、誰と一緒になるかは運の要素が強いと思う。もちろん、クラス分けには何らかの基準があるんだろうけど、私達には知らされていないし。
「おい」
「はい?」
進級して2ヶ月位経った時、薬草研究会に行こうと廊下を歩いていると、唐突に呼び止められた。たぶん上級生だ。クラスでは見た事がないし、周りにいる人達にも見覚えがない。
「キャスリーン・フェルナーはどの女だ?」
「私ですが」
「付いてこい」
「申し訳ございませんが」
一緒にいたクラスメートが私達から離れた。誰かを呼びに行ってくれたのだと信じたい。
「オレの誘いを断るのか?」
「申し訳ございません。不勉強であなた様がどなたかが分かっておりません。名乗りをいただけますと幸いです」
ここまで言ってやっと分かってくれたらしい。
「初等部4学年生のフランシス・エンヴィーオだ」
エンヴィーオ家って伯爵家だったよね?
「ありがとうございます。私も名乗らせていただきます。フェルナー侯爵家の、キャスリーン・フェルナーにございます」
「家の名を出すな」
「何故でございます?家名は大切な物だと教育されて参りましたが、認識の齟齬がございましたでしょうか」
「生意気な女だな。お前、これにサインしろ」
差し出されたのは婚約契約書。
「私の一存ではサインは出来ません。それにザッと契約内容に目を通しましたが、明らかにこちらが不利な契約内容です。婚約が結ばれた場合、エンヴィーオ家はフェルナー家の財産を自由に使用出来る、婚約後、フェルナー家はエンヴィーオ家に対して便宜を図らねばならない。なんですか?これ。これは婚約契約書ではなく、奴隷契約書と同等です」
私が読み上げた内容に、周りがザワザワしている。
「こちら、お預かりしてよろしいですか?よろしいですわよね?」
契約書を仕舞おうとしたら慌てて取り返されちゃったけど。
「何の騒ぎだ」
良かった。誰かが来てくれた。前からと後ろから。前からはサミュエル先生、後ろからは分かんないけど。
「フランシス・エンヴィーオ、2学年生の教室前で何をしている」
「フェルナー侯爵令嬢に呼び出されたんですよ」
「それを信じると思っているのか?何やら良からぬ計画を立てていたと、報告が上がっているが?」
「良からぬ計画を立てたのはフェルナー侯爵令嬢ですって」
「サミュエル先生、その方、私と婚約したいそうですわ。奴隷契約書紛いの婚約契約書にサインしろと迫られましたもの。魔法契約紙でしたから始末は出来ないと思います」
「魔法契約紙ねぇ」
魔法契約紙で結んだ契約書は、それに触れた人間にしか破棄出来ない。
「先程私も魔法契約紙に触れて、魔力を流しましたから、簡単には処分出来ないと思います」
「魔力を流したって……」
魔法契約紙に魔力を流す時は、契約締結時か契約破棄時のみ。
「契約締結はしておりません」
「まぁ、その魔法契約紙を確かめれば分かるな。エンヴィーオ、魔法契約紙を出しなさい」
「嫌です」
「身体検査をしても良いが、ここで行うと家名に瑕疵が残るな」
しぶしぶフランシス・エンヴィーオが、魔法契約紙をサミュエル先生に渡した。
「これを用意したのは?」
「親父だよ」
「ふむ」
「先生、ここではいささか醜聞になります。場所を移してはどうでしょう」
「フェルナー嬢は甘いね」
「これが家ぐるみですと、侯爵家乗っ取りを企てた事になります。お家乗っ取りは貴族法一級第一種犯罪。調査をされた方が良いかと」
「本当に……。大人の出番も残しておいてくれるかな?」
「ですから時間稼ぎはいたしましたよ?それにサミュエル先生が来てくださったお陰で、優位に立てました」
「とりあえず話を聞こうか。2人は来なさい。他の生徒は戻るように」
「先生、ちょっと気がかりがあるんですが」
「兄君には知らせてないよ。寸前で阻止出来た」
「それはそれで怖いですね」
私とサミュエル先生と、ダニエル様にガッチリと拘束されたフランシス・エンヴィーオの4人でサミュエル先生の部屋に入る。
「座りたまえ」
向かいあったソファーに、私とフランシス・エンヴィーオが座る。サミュエル先生は斜め前の1人掛けのソファーに、ゆったりと座った。ダニエル様はフランシス・エンヴィーオの後ろに立っている。
「まず、事実確認なんだが、フランシス・エンヴィーオがキャスリーン・フェルナーに婚約を結ばせようと強引な手に出た、で合ってるね?」
「はい」
「そっ……」
フランシス・エンヴィーオが何かを言いかけて黙った。
「この魔法契約紙での契約は、王家か教会でしか有効締結出来ない。それは分かっていたね」
フランシス・エンヴィーオは何も言わなかった。ただ、じっと目の前に置かれた婚約契約書を見ている。
「まったく、今年は早いねぇ」
サミュエル先生がボヤキながら、何かの魔道具に魔法契約紙を乗せた。
「魔力を無効化しているんだよ。契約紙自体の魔力もね」
「魔力の無効化?」
「そもそも魔法契約紙は王家管理の品物だ。横流しにしろ、強奪にしろ、重い刑が下される」
「さっき今年は早いって言っていたのは?」
「強引な婚約締結事件」
あぁ。
「これが家ぐるみでない事を祈ります。調査はされますよね?どうせ知らぬ存ぜぬで通そうとしても、何らかの手段はあるのでしょう?」
「あるけどね。どういう手段だと思う?」
「知りません。が、ロクでもない事でしょう。肉体的な苦痛か精神的な苦痛か、それとも魔道具を使うか。精神を操るなんて手段があれば、そちらでしょうか」
「……怖い事を言うね」
「問いかけられましたので、知識の中からお答えしたまでです」
地球でだって肉体的精神的拷問は行われてきた。育ってきた日本では現在行われていないと信じているけど、大声での取調べも拷問だと、そう思う人もいる。確かに正常な判断が出来なくなる可能性はゼロではない。
「とにかく、フランシス・エンヴィーオを拘束しての取調べを行う」
「……はい」
促されたフランシス・エンヴィーオがノロノロと立ち上がる。
「君は……」
「はい?」
「君は本当に2学年生か?」
ボソリと聞かれた。
「ヒドいですね。そんなに年齢が上に見えますか?」
「そうじゃない。見た目は御しやすい可愛らしい女性だ。だが中身と合っていない気がする」
「中身と合っていない、ですか」
「気を悪くしないでほしい」
傲慢さをすっかり消し去って、フランシス・エンヴィーオは連れていかれた。
「これから彼はどうなるんですか?」
「取調べだよ。さっき自分で言っていたよね?」
「ちょっとやりきれません。こういうのも飲み込まなきゃいけないんでしょうけど」
「キャシーちゃんは慣れない方がいいね。こういった事は私達の仕事だ」
「取り調べる方も人間です。人を追い詰めたりする事に快楽を見出だす性癖の方もいらっしゃいますが、ストレスが溜まらない訳はないんです。先生もご自愛ください」
「ははは、ありがとう」
その時、ドアが性急にノックされて、応えも許可も無い内にローレンスお義兄様が飛び込んできた。
「キャシー、キャシー、無事?何もされてない?」
「お義兄様?どうしてここに?」
「2学年生の子が知らせてくれたんだよ。変な先輩に絡まれて、連れていかれたって」
「先生?」
「ちゃんと阻止はしたんだけどね」
私をぎゅっと抱き締めて、つむじやこめかみにキスを落とす。
「見てると恥ずかしくなるね」
「なら見てなければいいでしょう」
「ここは私の教員室なんだけど?」
「だから?ここにあなたがキャシーを連れ込んだのでしょう?大切なキャシーを強欲な男から守ってどこが悪いのです?」
「なんだか語弊のある言い方だね?!」
「事実でしょう?」
「おい」
「はい?」
進級して2ヶ月位経った時、薬草研究会に行こうと廊下を歩いていると、唐突に呼び止められた。たぶん上級生だ。クラスでは見た事がないし、周りにいる人達にも見覚えがない。
「キャスリーン・フェルナーはどの女だ?」
「私ですが」
「付いてこい」
「申し訳ございませんが」
一緒にいたクラスメートが私達から離れた。誰かを呼びに行ってくれたのだと信じたい。
「オレの誘いを断るのか?」
「申し訳ございません。不勉強であなた様がどなたかが分かっておりません。名乗りをいただけますと幸いです」
ここまで言ってやっと分かってくれたらしい。
「初等部4学年生のフランシス・エンヴィーオだ」
エンヴィーオ家って伯爵家だったよね?
「ありがとうございます。私も名乗らせていただきます。フェルナー侯爵家の、キャスリーン・フェルナーにございます」
「家の名を出すな」
「何故でございます?家名は大切な物だと教育されて参りましたが、認識の齟齬がございましたでしょうか」
「生意気な女だな。お前、これにサインしろ」
差し出されたのは婚約契約書。
「私の一存ではサインは出来ません。それにザッと契約内容に目を通しましたが、明らかにこちらが不利な契約内容です。婚約が結ばれた場合、エンヴィーオ家はフェルナー家の財産を自由に使用出来る、婚約後、フェルナー家はエンヴィーオ家に対して便宜を図らねばならない。なんですか?これ。これは婚約契約書ではなく、奴隷契約書と同等です」
私が読み上げた内容に、周りがザワザワしている。
「こちら、お預かりしてよろしいですか?よろしいですわよね?」
契約書を仕舞おうとしたら慌てて取り返されちゃったけど。
「何の騒ぎだ」
良かった。誰かが来てくれた。前からと後ろから。前からはサミュエル先生、後ろからは分かんないけど。
「フランシス・エンヴィーオ、2学年生の教室前で何をしている」
「フェルナー侯爵令嬢に呼び出されたんですよ」
「それを信じると思っているのか?何やら良からぬ計画を立てていたと、報告が上がっているが?」
「良からぬ計画を立てたのはフェルナー侯爵令嬢ですって」
「サミュエル先生、その方、私と婚約したいそうですわ。奴隷契約書紛いの婚約契約書にサインしろと迫られましたもの。魔法契約紙でしたから始末は出来ないと思います」
「魔法契約紙ねぇ」
魔法契約紙で結んだ契約書は、それに触れた人間にしか破棄出来ない。
「先程私も魔法契約紙に触れて、魔力を流しましたから、簡単には処分出来ないと思います」
「魔力を流したって……」
魔法契約紙に魔力を流す時は、契約締結時か契約破棄時のみ。
「契約締結はしておりません」
「まぁ、その魔法契約紙を確かめれば分かるな。エンヴィーオ、魔法契約紙を出しなさい」
「嫌です」
「身体検査をしても良いが、ここで行うと家名に瑕疵が残るな」
しぶしぶフランシス・エンヴィーオが、魔法契約紙をサミュエル先生に渡した。
「これを用意したのは?」
「親父だよ」
「ふむ」
「先生、ここではいささか醜聞になります。場所を移してはどうでしょう」
「フェルナー嬢は甘いね」
「これが家ぐるみですと、侯爵家乗っ取りを企てた事になります。お家乗っ取りは貴族法一級第一種犯罪。調査をされた方が良いかと」
「本当に……。大人の出番も残しておいてくれるかな?」
「ですから時間稼ぎはいたしましたよ?それにサミュエル先生が来てくださったお陰で、優位に立てました」
「とりあえず話を聞こうか。2人は来なさい。他の生徒は戻るように」
「先生、ちょっと気がかりがあるんですが」
「兄君には知らせてないよ。寸前で阻止出来た」
「それはそれで怖いですね」
私とサミュエル先生と、ダニエル様にガッチリと拘束されたフランシス・エンヴィーオの4人でサミュエル先生の部屋に入る。
「座りたまえ」
向かいあったソファーに、私とフランシス・エンヴィーオが座る。サミュエル先生は斜め前の1人掛けのソファーに、ゆったりと座った。ダニエル様はフランシス・エンヴィーオの後ろに立っている。
「まず、事実確認なんだが、フランシス・エンヴィーオがキャスリーン・フェルナーに婚約を結ばせようと強引な手に出た、で合ってるね?」
「はい」
「そっ……」
フランシス・エンヴィーオが何かを言いかけて黙った。
「この魔法契約紙での契約は、王家か教会でしか有効締結出来ない。それは分かっていたね」
フランシス・エンヴィーオは何も言わなかった。ただ、じっと目の前に置かれた婚約契約書を見ている。
「まったく、今年は早いねぇ」
サミュエル先生がボヤキながら、何かの魔道具に魔法契約紙を乗せた。
「魔力を無効化しているんだよ。契約紙自体の魔力もね」
「魔力の無効化?」
「そもそも魔法契約紙は王家管理の品物だ。横流しにしろ、強奪にしろ、重い刑が下される」
「さっき今年は早いって言っていたのは?」
「強引な婚約締結事件」
あぁ。
「これが家ぐるみでない事を祈ります。調査はされますよね?どうせ知らぬ存ぜぬで通そうとしても、何らかの手段はあるのでしょう?」
「あるけどね。どういう手段だと思う?」
「知りません。が、ロクでもない事でしょう。肉体的な苦痛か精神的な苦痛か、それとも魔道具を使うか。精神を操るなんて手段があれば、そちらでしょうか」
「……怖い事を言うね」
「問いかけられましたので、知識の中からお答えしたまでです」
地球でだって肉体的精神的拷問は行われてきた。育ってきた日本では現在行われていないと信じているけど、大声での取調べも拷問だと、そう思う人もいる。確かに正常な判断が出来なくなる可能性はゼロではない。
「とにかく、フランシス・エンヴィーオを拘束しての取調べを行う」
「……はい」
促されたフランシス・エンヴィーオがノロノロと立ち上がる。
「君は……」
「はい?」
「君は本当に2学年生か?」
ボソリと聞かれた。
「ヒドいですね。そんなに年齢が上に見えますか?」
「そうじゃない。見た目は御しやすい可愛らしい女性だ。だが中身と合っていない気がする」
「中身と合っていない、ですか」
「気を悪くしないでほしい」
傲慢さをすっかり消し去って、フランシス・エンヴィーオは連れていかれた。
「これから彼はどうなるんですか?」
「取調べだよ。さっき自分で言っていたよね?」
「ちょっとやりきれません。こういうのも飲み込まなきゃいけないんでしょうけど」
「キャシーちゃんは慣れない方がいいね。こういった事は私達の仕事だ」
「取り調べる方も人間です。人を追い詰めたりする事に快楽を見出だす性癖の方もいらっしゃいますが、ストレスが溜まらない訳はないんです。先生もご自愛ください」
「ははは、ありがとう」
その時、ドアが性急にノックされて、応えも許可も無い内にローレンスお義兄様が飛び込んできた。
「キャシー、キャシー、無事?何もされてない?」
「お義兄様?どうしてここに?」
「2学年生の子が知らせてくれたんだよ。変な先輩に絡まれて、連れていかれたって」
「先生?」
「ちゃんと阻止はしたんだけどね」
私をぎゅっと抱き締めて、つむじやこめかみにキスを落とす。
「見てると恥ずかしくなるね」
「なら見てなければいいでしょう」
「ここは私の教員室なんだけど?」
「だから?ここにあなたがキャシーを連れ込んだのでしょう?大切なキャシーを強欲な男から守ってどこが悪いのです?」
「なんだか語弊のある言い方だね?!」
「事実でしょう?」
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