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学院初等部 1学年生
武術魔法披露会の裏で
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1ヶ月半後、魔法と武術の合同披露会、武術魔法披露会が無事開催された。武術魔法披露会は学院生と、魔法庁と軍部の勧誘者しか見に来ないから運営は楽らしい。私はポーション配布と救護班として、サミュエル先生と一緒に居る。ララ様とバージェフ先輩も一緒だ。
私とバージェフ先輩とララ様が集まると、自然と話題は精神安定効果のあるポーションとなる。治験は上手くいっていて一定の効果が得られたそうだ。レシピは各教会に届けられて、必要時に作ってもらうようになっている。ブレシングアクアでポーションを作る件は残念ながら頓挫した。薬効が打ち消されてしまって毒にも薬にもならない代物が出来てしまった。味の改良は上手くいったんだけど、美味しくはしていない。「飲みすぎちゃうんじゃない?」というララ様の一言にそれもそうかと薬草研究会のみんなで頷いて、不味くはないけど美味しくもない程度で留めている。サミュエル先生は薬草研究会の顧問になってくれたから、ブレシングアクアもサミュエル先生に直接渡している。
ダニエル様は本来のお仕事に戻った。ほぼ毎日学園に来ているけどね。私のブレシングアクアを教会に届けるという名目で。
「せんせー、疲れたぁ」
サミュエル先生が女性生徒に纏わりつかれている。サミュエル先生は整った顔をしているし、優しいから人気は高い。公爵家の出身だし身分的にも狙われるには十分過ぎる程の優良物件だ。
「うわぁ。傍観者だとこう見えるのね。私はあれ程じゃなかったから、セーフよね」
「ララ様、客観的に己を見直す事も重要ですよ。と、いうわけで、あちらの方にこちらを渡してきてください」
「キャシーちゃん、客観的にってどういう事!?」
「はいはい、後で聞きますから」
私は魔法披露会のトーナメントで、ヤケドをしてしまった生徒の処置に当たった。
「んっと、水泡は出来てませんね。これなら冷やせば良いんですけど」
「フェルナー嬢の治癒魔法はかけてくれないの?」
私の所に来る怪我人のほとんどが、私に治癒魔法をかけてくれと言ってくる。男女問わずだ。
「お聞きしたいのですけど、何故私の治癒魔法を望まれますの?」
「ポカポカとして気持ちいいって聞いたよ。優しくて温かくて雲に浮かんでいるような心地だって。ミランシュ子爵令嬢が言ってたって聞いたけど」
ミランシュ子爵令嬢は狂犬病の時に私が治療した、ヴィオラ倶楽部の先輩だ。
「それって広まってます?」
お望み通り治癒魔法をかけると、先輩はうっとりしながら頷いた。
「中等部の8学年生はみんな知っていると思うよ」
初等部は1学年生から4学年生まで、中等部は5学年生から9学年生まで、高等部のみ 青学年生、最終学年生と数えられる。6ー3ー3の学年の数え方に慣れていると混乱してしまう。8学年生というと15歳のクラスか。
「そうなんですね。教えていただきありがとうございます」
「いやいや、押し掛けたし無理を言ったからね。これ位じゃお詫びにもならないけど」
色々と話してくれた先輩が帰っていっても、怪我人や体調不調者が並んでいる。屋内だけど少し暑くなってきた。水分は各自声をかけあって摂っているけど、休憩した方が良いかもしれない。
「先輩、少し休憩してきて良いですか?」
「フェルナー嬢はずっと動いてもらってるからね。良いけど気を付けて」
私が休憩の為に外に出て座っていると、サミュエル先生に纏わりついていた内の、1人の先輩がスススと寄ってきた。
「フェルナー様、少しよろしくて?」
「はい。あ、申し訳ございません」
「そのままで。フェルナー様はサミュエル先生と仲がおよろしいようですけど」
「私の光魔法の先生でしたので。学院に来てからも教えてもらってますから、そう見られるのかもしれません」
「教え子と教師。それ以上ではないと?」
「それ以上って?あ、婚約者候補とかそういう事ですか?絶対にありません」
「でも、サミュエル先生は、フェルナー様を見ていますわよ?」
「なんでしょうね。教え子だから気にかかる?」
うーん、うーんと考えていると、フワッと良い香りがした。
「フェルナー様、汗をかいておりますわよ」
どうやらハンカチで拭いてくれたようだ。
「申し訳ございません」
「本当に素直でいらっしゃるのね。ランベルト様に頼まれましたけど、私も心配になってしまいますわ」
「ランベルトお義兄様に?」
「うふふふふ。お可愛らしいこと」
「えぇっと……」
気に入られちゃったんだろうか?
「キャシー、大丈夫かい?」
「あ、ローレンスお義兄様。はい。大丈夫ですわ。ローレンスお義兄様こそ無理はなさっておられませんか?」
「私も大丈夫だ。ランベルトは順調に勝ち上がってるね」
「お怪我などは?」
「多少はしているだろうけど、あちらにも救護班は控えているから大丈夫だ。エスクーア伯爵令嬢、安心してほしい」
「わっ、私はっ」
先輩が慌てている。ん?この先輩とランベルトお義兄様の関係って?
「もう少しすれば分かるよ」
どうやら教えてくれないっぽい。
「分かりました」
少し不満が出ていたらしい。ローレンスお義兄様にポンポンと頭を撫でられた。
「ローレンス様、妹君の守りはお任せくださいませ」
「エスクーア嬢なら安心できるよ」
あれ?エスクーア様ってそういった家系なの?
ローレンスお義兄様が行ってしまうと、エスクーア様が説明してくれた。
「エスクーア伯爵家は代々武門の家なのです。私は女ですからそこまででもございませんが、フェルナー様をお守りする位は出来ますから」
「ありがとうございます。でも私を守る為に怪我はしないでくださいね」
「あぁ、本当にお可愛らしいこと」
ギュムッと抱き付かれた。きゃあっというララ様の声が聞こえたんだけど?
「エスクーア様、先程の声は」
「光魔法使いのララ・ノックス嬢でございましょう?隠れて見ておられたようですわね」
事も無げに言って、エスクーア様が腕を解いた。後ろを振り返るとララ様がキラッキラの笑顔で私達を見ていた。
「尊い……」
やめて?何となくの意味は分かるけど、そういう対象に見られてるのってゲンナリする。
「キャシーちゃん、あ、キャシー様」
「お親しいという事は分かっておりますから、いつも通りでよろしくてよ」
「ハイ、スミマセン」
「フェルナー様に何かご用でしたの?」
「キャシーちゃん、ご指名の患者が待ってるの」
「ご指名……。分かりました。行きます」
「ご指名ですの?」
フフフと笑って、エスクーア様が私の隣に立つ。
「なんだか困った噂が流れているらしくて。治癒魔法のご指名ってなんなんですかね」
「人気者ですわねぇ」
待っていた患者は5人。待っていたというかサミュエル先生に叱られていた。
「分かってるよね?彼女の光魔法は強い。それでも普通の人なんだ。使いすぎれば魔力切れになる。その程度は考えてたんだよね?」
「うっ、すみません」
「だいたい、こんな傷は治癒魔法を使うまでもないでしょう?武術魔法披露会でどうやったら、紙で切った傷が出来るんだい?」
「えぇっと……」
「ワザとじゃないよね?」
「……」
「ワザと怪我するなんて何を考えてるんだ?」
「先生、お叱りは後でじっくりどうぞ。本当に治癒魔法が必要な方がいらっしゃいました」
ざっくりと腕を切られて運ばれてきた患者の治療をする。
「キャスリーン嬢、一応浄化もしておいて」
「先にやってます、基本ですから」
私とバージェフ先輩とララ様が集まると、自然と話題は精神安定効果のあるポーションとなる。治験は上手くいっていて一定の効果が得られたそうだ。レシピは各教会に届けられて、必要時に作ってもらうようになっている。ブレシングアクアでポーションを作る件は残念ながら頓挫した。薬効が打ち消されてしまって毒にも薬にもならない代物が出来てしまった。味の改良は上手くいったんだけど、美味しくはしていない。「飲みすぎちゃうんじゃない?」というララ様の一言にそれもそうかと薬草研究会のみんなで頷いて、不味くはないけど美味しくもない程度で留めている。サミュエル先生は薬草研究会の顧問になってくれたから、ブレシングアクアもサミュエル先生に直接渡している。
ダニエル様は本来のお仕事に戻った。ほぼ毎日学園に来ているけどね。私のブレシングアクアを教会に届けるという名目で。
「せんせー、疲れたぁ」
サミュエル先生が女性生徒に纏わりつかれている。サミュエル先生は整った顔をしているし、優しいから人気は高い。公爵家の出身だし身分的にも狙われるには十分過ぎる程の優良物件だ。
「うわぁ。傍観者だとこう見えるのね。私はあれ程じゃなかったから、セーフよね」
「ララ様、客観的に己を見直す事も重要ですよ。と、いうわけで、あちらの方にこちらを渡してきてください」
「キャシーちゃん、客観的にってどういう事!?」
「はいはい、後で聞きますから」
私は魔法披露会のトーナメントで、ヤケドをしてしまった生徒の処置に当たった。
「んっと、水泡は出来てませんね。これなら冷やせば良いんですけど」
「フェルナー嬢の治癒魔法はかけてくれないの?」
私の所に来る怪我人のほとんどが、私に治癒魔法をかけてくれと言ってくる。男女問わずだ。
「お聞きしたいのですけど、何故私の治癒魔法を望まれますの?」
「ポカポカとして気持ちいいって聞いたよ。優しくて温かくて雲に浮かんでいるような心地だって。ミランシュ子爵令嬢が言ってたって聞いたけど」
ミランシュ子爵令嬢は狂犬病の時に私が治療した、ヴィオラ倶楽部の先輩だ。
「それって広まってます?」
お望み通り治癒魔法をかけると、先輩はうっとりしながら頷いた。
「中等部の8学年生はみんな知っていると思うよ」
初等部は1学年生から4学年生まで、中等部は5学年生から9学年生まで、高等部のみ 青学年生、最終学年生と数えられる。6ー3ー3の学年の数え方に慣れていると混乱してしまう。8学年生というと15歳のクラスか。
「そうなんですね。教えていただきありがとうございます」
「いやいや、押し掛けたし無理を言ったからね。これ位じゃお詫びにもならないけど」
色々と話してくれた先輩が帰っていっても、怪我人や体調不調者が並んでいる。屋内だけど少し暑くなってきた。水分は各自声をかけあって摂っているけど、休憩した方が良いかもしれない。
「先輩、少し休憩してきて良いですか?」
「フェルナー嬢はずっと動いてもらってるからね。良いけど気を付けて」
私が休憩の為に外に出て座っていると、サミュエル先生に纏わりついていた内の、1人の先輩がスススと寄ってきた。
「フェルナー様、少しよろしくて?」
「はい。あ、申し訳ございません」
「そのままで。フェルナー様はサミュエル先生と仲がおよろしいようですけど」
「私の光魔法の先生でしたので。学院に来てからも教えてもらってますから、そう見られるのかもしれません」
「教え子と教師。それ以上ではないと?」
「それ以上って?あ、婚約者候補とかそういう事ですか?絶対にありません」
「でも、サミュエル先生は、フェルナー様を見ていますわよ?」
「なんでしょうね。教え子だから気にかかる?」
うーん、うーんと考えていると、フワッと良い香りがした。
「フェルナー様、汗をかいておりますわよ」
どうやらハンカチで拭いてくれたようだ。
「申し訳ございません」
「本当に素直でいらっしゃるのね。ランベルト様に頼まれましたけど、私も心配になってしまいますわ」
「ランベルトお義兄様に?」
「うふふふふ。お可愛らしいこと」
「えぇっと……」
気に入られちゃったんだろうか?
「キャシー、大丈夫かい?」
「あ、ローレンスお義兄様。はい。大丈夫ですわ。ローレンスお義兄様こそ無理はなさっておられませんか?」
「私も大丈夫だ。ランベルトは順調に勝ち上がってるね」
「お怪我などは?」
「多少はしているだろうけど、あちらにも救護班は控えているから大丈夫だ。エスクーア伯爵令嬢、安心してほしい」
「わっ、私はっ」
先輩が慌てている。ん?この先輩とランベルトお義兄様の関係って?
「もう少しすれば分かるよ」
どうやら教えてくれないっぽい。
「分かりました」
少し不満が出ていたらしい。ローレンスお義兄様にポンポンと頭を撫でられた。
「ローレンス様、妹君の守りはお任せくださいませ」
「エスクーア嬢なら安心できるよ」
あれ?エスクーア様ってそういった家系なの?
ローレンスお義兄様が行ってしまうと、エスクーア様が説明してくれた。
「エスクーア伯爵家は代々武門の家なのです。私は女ですからそこまででもございませんが、フェルナー様をお守りする位は出来ますから」
「ありがとうございます。でも私を守る為に怪我はしないでくださいね」
「あぁ、本当にお可愛らしいこと」
ギュムッと抱き付かれた。きゃあっというララ様の声が聞こえたんだけど?
「エスクーア様、先程の声は」
「光魔法使いのララ・ノックス嬢でございましょう?隠れて見ておられたようですわね」
事も無げに言って、エスクーア様が腕を解いた。後ろを振り返るとララ様がキラッキラの笑顔で私達を見ていた。
「尊い……」
やめて?何となくの意味は分かるけど、そういう対象に見られてるのってゲンナリする。
「キャシーちゃん、あ、キャシー様」
「お親しいという事は分かっておりますから、いつも通りでよろしくてよ」
「ハイ、スミマセン」
「フェルナー様に何かご用でしたの?」
「キャシーちゃん、ご指名の患者が待ってるの」
「ご指名……。分かりました。行きます」
「ご指名ですの?」
フフフと笑って、エスクーア様が私の隣に立つ。
「なんだか困った噂が流れているらしくて。治癒魔法のご指名ってなんなんですかね」
「人気者ですわねぇ」
待っていた患者は5人。待っていたというかサミュエル先生に叱られていた。
「分かってるよね?彼女の光魔法は強い。それでも普通の人なんだ。使いすぎれば魔力切れになる。その程度は考えてたんだよね?」
「うっ、すみません」
「だいたい、こんな傷は治癒魔法を使うまでもないでしょう?武術魔法披露会でどうやったら、紙で切った傷が出来るんだい?」
「えぇっと……」
「ワザとじゃないよね?」
「……」
「ワザと怪我するなんて何を考えてるんだ?」
「先生、お叱りは後でじっくりどうぞ。本当に治癒魔法が必要な方がいらっしゃいました」
ざっくりと腕を切られて運ばれてきた患者の治療をする。
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