22 / 231
学院初等部 1学年生
酪農体験
しおりを挟む
翌朝、5時に密やかなノックで目が覚めた。
「お客様、乳搾り体験を始めますよ」
奥様の声に、はっきりと覚醒する。
「着替えてすぐに行きます」
夢の中のララ様を起こして、5時半には階下に降りた。
「おはようございます」
「おはようございます。牛舎に行きましょうか」
奥様の案内で牛舎に行くと、オルブライトさんが準備をして待っていてくれた。
「おはようございます」
「おはようございます。よくお休みになられましたか?」
「はい。ありがとうございます。よく休めました」
ララ様はまだ眠そうにしているけど、手を洗って消毒をする。エタノールっぽいけどお酒臭い。
「お酒ですか?」
「アルコール度数の高い物を使っているんだ。蒸留を繰り返してね」
「自作ですか」
「拭くだけでは不安だしね。仲間には伝えているけど面倒だと言われたよ」
柵内に入った牛の乳首をアルコール消毒して、小さな椅子に座り手を延ばす。親指と人差し指で輪を作り、中指、薬指、小指の順でたたんでいく。これが難しかったりする。私が搾れたのはスパゲッティー位の太さだけど、オルブライトさんはうどん位の太さで搾っていた。
「上手くいかないぃ」
「ララさん、指を順番に使わないと。いっぺんにぎゅっと握っちゃダメだよ」
オルブライトさんがララ様に指導している。私の側には奥様が居てくれて、世話を焼いてくれた。
「奥様達みたいにリズムよく搾れないんですよね」
「その辺りは慣れですね」
「アルヴィン君もこういった作業を?」
「まだですね。あの子達は早起きが嫌だって言って、たまにしか起きてこないんですよ」
「そうなんですね……。あら?」
「父さん、母さん」
「あらあら、珍しいこと」
アルヴィン君が牛舎にやって来た。眠そうなビアンカちゃんの手を引いている。
「ビアンカがぐずるから」
「ビアンカは眠そうだけどね。キャスリーンさん、少しアルヴィンに任せますね」
「はい。ビアンカさんの方に行ってあげてください」
奥様が座っていた椅子にアルヴィン君が座った。
「ふぅん。手際が良いですね」
「奥様の指導の賜物です」
「キャスリーンさんはこういう仕事は嫌じゃないですか?」
「そうですね。嫌ではないです。でもずっと続けられるかと問われると自信がありません」
「自信がない?」
「だって、ここにいる牛や馬の命を預かっているんでしょう?動物達は身体の不調を言葉に出来ません。それを汲み取ってお世話をし続けるのは、私には難しいと思います」
「命を預かるですか?」
「牛さんも不調だと、こんな風にミルクを出してくれませんよね?」
「そりゃあ……」
「ですからこういったお仕事をしているオルブライトさん達を、尊敬します」
「……ありがとうございます」
アルヴィン君はそれから何か考えていた。ちゃんと世話は焼いてくれるんだけど心ここにあらずという感じで、搾乳後の牛の世話も身が入っていない感じでオルブライトさんに叱られていた。
「キャシーちゃん、アルヴィン君はどうしたの?」
「分かりません。話をしていたら考え込んじゃって」
「ふぅん。次は馬の方みたいね」
「そうですね。牛さんも出ていきましたし、放牧でしょうか?」
「そんな感じね。行きましょ」
ララ様と一緒にオルブライトさんの後に続く。厩舎に着くと馬のいななきが聞こえた。
「いけねっ」
「どうなさったんですか?」
「早く出せって騒いでいるんだ。ちょっと遅れちまったからな」
重そうな扉を開けると、3頭の馬が待ち構えていた。
「またこいつらは」
「え?昨日見た時は柵というか棒が渡してあって、その奥に居ましたわよね?」
「あの棒を馬栓棒というんだが、ここにいる3頭は自力で開けるんだ」
「頭が良いのね」
「困ってしまうんだがな。頭が良いから勝手に大扉から外に出る事はないし、仕方がないから好きにさせている」
1頭の馬が急に顔を近付けてきた。結構大きいから動けないし、フー、フーという鼻息が生暖かくてちょっと怖い。
「キャスリーンさん、大丈夫だ。そいつはここのボス格でグランディアって牝馬なんだが、人相風体でその人の為人を判断してるんだ。ま、付き合ってやってくれ」
「は、はい」
グランディアが私から離れる。次はララ様に顔を近付けた。ララ様も怖いみたいだけど、動かないようにしている。でも握られた手の力が強くなってきている。
グランディアがララ様から離れて、もう一度私に顔を近付けた。他の2頭の視線が私に向けられたのが分かる。
「ずいぶん気に入ったんだな。グランディア、そこを退いてくれ。他のが外に出られない」
オルブライトさんが声をかけると、グランディアが私の側をすり抜けて外に出ていった。オルブライトさんに腕を引かれて、出入り口の前から避難すると他の馬達も次々と出ていく。
「厩舎を掃除したら朝の仕事は終わりだ。先に戻ってもらって良いんだが」
「お掃除ですか?」
「かなりの重労働だから、お客さんにはさせないんだよ。汚れるし」
「分かりました」
少し興味はあったけれど、そう言われれば仕方がない。アルヴィン君に付いて母屋に戻った。
オルブライトさんが戻ってくると朝食。パンとスープだけの朝食だったけどお腹が空いていたのか、たくさん食べてしまった。
朝食後、少し休んで今度は乗馬体験。ラッセルさんも乗馬をするようで一緒に厩舎前に向かう。厩舎前にはオルブライトさんと馬が3頭待っていた。1頭は他に比べれば小柄な明るい茶色で、1頭は栗色、1頭は黒っぽい茶色の馬だった。黒っぽい茶色の馬にラッセルさんが手慣れた様子で鞍を着けていく。
「こっちの小柄なのがキャスリーンさんの乗る馬、こっちの栗色のがララさんの乗る馬だ」
「顔を近づけてきたら、首を軽く叩いてやると良いよ」
「叩くんですか?」
「軽くだよ。そうすると喜ぶんだよ」
「撫でてやっても良いけどね」
オルブライトさんとラッセルさんが言う。
顔を寄せてきた馬の首に手を伸ばして撫でてあげると、大人しく撫でられてくれた。ララ様も同じように撫でている。
オルブライトさんが鞍を着けてくれて、踏み台の上からその上にまたがる。
「怖がっちゃダメだよ。馬は感情を感じとるから」
「怖がっちゃ駄目って、高いです」
「目線は高くなるね。背筋を伸ばして視線を上げてごらん」
いつもより高い目線が新鮮だ。私と同じ位の高さの馬の背中からの目線だから、倍ではないけどかなり高い。
「わぁぁ。スゴい」
「ゆっくり歩くよ」
オルブライトさんともう1人の男性が、手綱を引いて歩いてくれた。この男性は従業員だそうだ。乗馬体験だからと来てくれたらしい。
「怖くないですか?」
「最初は怖かったけど、今は大丈夫です」
私に付いてくれたのは従業員さん。ララ様の乗る馬の方が高いからオルブライトさんはララ様に付いている。
ゆっくりと馬場を二周した後、馬を降りた。
「ありがとう」
馬にお礼を言うと首を下げてくれたから、その首を撫でる。
「楽しかったかい?」
ラッセルさんが戻ってきた。ラッセルさんは自分の馬に乗ったら、 勝手知ったる風に出ていっちゃったんだよね。
「どこに行っていたんですか?」
「その辺を一周してきたんだよ」
ラッセルさんが馬から降りて、手慣れた様子で鞍を外す。その後手綱を引いてどこかに行ってしまった。
「どこに行ったんですか?」
「馬の世話だね。馬体を拭いてあげないとね。自分のケアはその後。馬は自分で自分の世話を出来ないからね」
あぁ、そうか。自分で言った言葉を今、理解出来た気がする。
「お客様、乳搾り体験を始めますよ」
奥様の声に、はっきりと覚醒する。
「着替えてすぐに行きます」
夢の中のララ様を起こして、5時半には階下に降りた。
「おはようございます」
「おはようございます。牛舎に行きましょうか」
奥様の案内で牛舎に行くと、オルブライトさんが準備をして待っていてくれた。
「おはようございます」
「おはようございます。よくお休みになられましたか?」
「はい。ありがとうございます。よく休めました」
ララ様はまだ眠そうにしているけど、手を洗って消毒をする。エタノールっぽいけどお酒臭い。
「お酒ですか?」
「アルコール度数の高い物を使っているんだ。蒸留を繰り返してね」
「自作ですか」
「拭くだけでは不安だしね。仲間には伝えているけど面倒だと言われたよ」
柵内に入った牛の乳首をアルコール消毒して、小さな椅子に座り手を延ばす。親指と人差し指で輪を作り、中指、薬指、小指の順でたたんでいく。これが難しかったりする。私が搾れたのはスパゲッティー位の太さだけど、オルブライトさんはうどん位の太さで搾っていた。
「上手くいかないぃ」
「ララさん、指を順番に使わないと。いっぺんにぎゅっと握っちゃダメだよ」
オルブライトさんがララ様に指導している。私の側には奥様が居てくれて、世話を焼いてくれた。
「奥様達みたいにリズムよく搾れないんですよね」
「その辺りは慣れですね」
「アルヴィン君もこういった作業を?」
「まだですね。あの子達は早起きが嫌だって言って、たまにしか起きてこないんですよ」
「そうなんですね……。あら?」
「父さん、母さん」
「あらあら、珍しいこと」
アルヴィン君が牛舎にやって来た。眠そうなビアンカちゃんの手を引いている。
「ビアンカがぐずるから」
「ビアンカは眠そうだけどね。キャスリーンさん、少しアルヴィンに任せますね」
「はい。ビアンカさんの方に行ってあげてください」
奥様が座っていた椅子にアルヴィン君が座った。
「ふぅん。手際が良いですね」
「奥様の指導の賜物です」
「キャスリーンさんはこういう仕事は嫌じゃないですか?」
「そうですね。嫌ではないです。でもずっと続けられるかと問われると自信がありません」
「自信がない?」
「だって、ここにいる牛や馬の命を預かっているんでしょう?動物達は身体の不調を言葉に出来ません。それを汲み取ってお世話をし続けるのは、私には難しいと思います」
「命を預かるですか?」
「牛さんも不調だと、こんな風にミルクを出してくれませんよね?」
「そりゃあ……」
「ですからこういったお仕事をしているオルブライトさん達を、尊敬します」
「……ありがとうございます」
アルヴィン君はそれから何か考えていた。ちゃんと世話は焼いてくれるんだけど心ここにあらずという感じで、搾乳後の牛の世話も身が入っていない感じでオルブライトさんに叱られていた。
「キャシーちゃん、アルヴィン君はどうしたの?」
「分かりません。話をしていたら考え込んじゃって」
「ふぅん。次は馬の方みたいね」
「そうですね。牛さんも出ていきましたし、放牧でしょうか?」
「そんな感じね。行きましょ」
ララ様と一緒にオルブライトさんの後に続く。厩舎に着くと馬のいななきが聞こえた。
「いけねっ」
「どうなさったんですか?」
「早く出せって騒いでいるんだ。ちょっと遅れちまったからな」
重そうな扉を開けると、3頭の馬が待ち構えていた。
「またこいつらは」
「え?昨日見た時は柵というか棒が渡してあって、その奥に居ましたわよね?」
「あの棒を馬栓棒というんだが、ここにいる3頭は自力で開けるんだ」
「頭が良いのね」
「困ってしまうんだがな。頭が良いから勝手に大扉から外に出る事はないし、仕方がないから好きにさせている」
1頭の馬が急に顔を近付けてきた。結構大きいから動けないし、フー、フーという鼻息が生暖かくてちょっと怖い。
「キャスリーンさん、大丈夫だ。そいつはここのボス格でグランディアって牝馬なんだが、人相風体でその人の為人を判断してるんだ。ま、付き合ってやってくれ」
「は、はい」
グランディアが私から離れる。次はララ様に顔を近付けた。ララ様も怖いみたいだけど、動かないようにしている。でも握られた手の力が強くなってきている。
グランディアがララ様から離れて、もう一度私に顔を近付けた。他の2頭の視線が私に向けられたのが分かる。
「ずいぶん気に入ったんだな。グランディア、そこを退いてくれ。他のが外に出られない」
オルブライトさんが声をかけると、グランディアが私の側をすり抜けて外に出ていった。オルブライトさんに腕を引かれて、出入り口の前から避難すると他の馬達も次々と出ていく。
「厩舎を掃除したら朝の仕事は終わりだ。先に戻ってもらって良いんだが」
「お掃除ですか?」
「かなりの重労働だから、お客さんにはさせないんだよ。汚れるし」
「分かりました」
少し興味はあったけれど、そう言われれば仕方がない。アルヴィン君に付いて母屋に戻った。
オルブライトさんが戻ってくると朝食。パンとスープだけの朝食だったけどお腹が空いていたのか、たくさん食べてしまった。
朝食後、少し休んで今度は乗馬体験。ラッセルさんも乗馬をするようで一緒に厩舎前に向かう。厩舎前にはオルブライトさんと馬が3頭待っていた。1頭は他に比べれば小柄な明るい茶色で、1頭は栗色、1頭は黒っぽい茶色の馬だった。黒っぽい茶色の馬にラッセルさんが手慣れた様子で鞍を着けていく。
「こっちの小柄なのがキャスリーンさんの乗る馬、こっちの栗色のがララさんの乗る馬だ」
「顔を近づけてきたら、首を軽く叩いてやると良いよ」
「叩くんですか?」
「軽くだよ。そうすると喜ぶんだよ」
「撫でてやっても良いけどね」
オルブライトさんとラッセルさんが言う。
顔を寄せてきた馬の首に手を伸ばして撫でてあげると、大人しく撫でられてくれた。ララ様も同じように撫でている。
オルブライトさんが鞍を着けてくれて、踏み台の上からその上にまたがる。
「怖がっちゃダメだよ。馬は感情を感じとるから」
「怖がっちゃ駄目って、高いです」
「目線は高くなるね。背筋を伸ばして視線を上げてごらん」
いつもより高い目線が新鮮だ。私と同じ位の高さの馬の背中からの目線だから、倍ではないけどかなり高い。
「わぁぁ。スゴい」
「ゆっくり歩くよ」
オルブライトさんともう1人の男性が、手綱を引いて歩いてくれた。この男性は従業員だそうだ。乗馬体験だからと来てくれたらしい。
「怖くないですか?」
「最初は怖かったけど、今は大丈夫です」
私に付いてくれたのは従業員さん。ララ様の乗る馬の方が高いからオルブライトさんはララ様に付いている。
ゆっくりと馬場を二周した後、馬を降りた。
「ありがとう」
馬にお礼を言うと首を下げてくれたから、その首を撫でる。
「楽しかったかい?」
ラッセルさんが戻ってきた。ラッセルさんは自分の馬に乗ったら、 勝手知ったる風に出ていっちゃったんだよね。
「どこに行っていたんですか?」
「その辺を一周してきたんだよ」
ラッセルさんが馬から降りて、手慣れた様子で鞍を外す。その後手綱を引いてどこかに行ってしまった。
「どこに行ったんですか?」
「馬の世話だね。馬体を拭いてあげないとね。自分のケアはその後。馬は自分で自分の世話を出来ないからね」
あぁ、そうか。自分で言った言葉を今、理解出来た気がする。
180
お気に入りに追加
359
あなたにおすすめの小説
婚約者のいる側近と婚約させられた私は悪の聖女と呼ばれています。
鈴木べにこ
恋愛
幼い頃から一緒に育ってきた婚約者の王子ギルフォードから婚約破棄を言い渡された聖女マリーベル。
突然の出来事に困惑するマリーベルをよそに、王子は自身の代わりに側近である宰相の息子ロイドとマリーベルを王命で強制的に婚約させたと言い出したのであった。
ロイドに愛する婚約者がいるの事を知っていたマリーベルはギルフォードに王命を取り下げるように訴えるが聞いてもらえず・・・。
カクヨム、小説家になろうでも連載中。
※最初の数話はイジメ表現のようなキツイ描写が出てくるので注意。
初投稿です。
勢いで書いてるので誤字脱字や変な表現が多いし、余裕で気付かないの時があるのでお気軽に教えてくださるとありがたいです٩( 'ω' )و
気分転換もかねて、他の作品と同時連載をしています。
【書庫の幽霊王妃は、貴方を愛することができない。】
という作品も同時に書いているので、この作品が気に入りましたら是非読んでみてください。
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
運命の歯車が壊れるとき
和泉鷹央
恋愛
戦争に行くから、君とは結婚できない。
恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。
他の投稿サイトでも掲載しております。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる