55 / 80
Back at one
しおりを挟む
【previously on 無敵少女の意のままに】
敵の親玉、ネクロマンサーの正体はアンちゃんの幼馴染、アビゲイルだった。
お互い引けない2人の悲しい戦いが始まる。
「アンちゃんの近接攻撃は化け物級。ヴァーチャーを倒したのがアンちゃんなら遠距離真空破、衝撃破も使えるって話ね」
アビゲイルはドラゴンで飛び回っている、的を絞らせないつもりか。
「あのサイズで結構な速度ですわね、さすが神話級モンスターですわ」
『インスタントッ!!』
アビゲイルが魔法を唱えると、わたし達の周りに昆虫族が現れる。
「うえぇ~~、きしょいんですけど~~!!」
「囲まれた!!」
「2人とも落ち着いて、インスタントは最下級モンスターを即席で作り出す魔法、普通に戦えばまず負けませんわ」
これはおそらく時間稼ぎ...ということは。
『ライフセービング!!』
「ただでさえ強度の高いドラゴンゾンビの防御力を更に上げましたわね」
「エラはわたしの背中にいろ!!」
わたしは周辺の昆虫族への対処で手一杯だ。
「お姉さま、エラは任せましたわよ」
アンちゃんは正面を突破し、ドラゴンゾンビを視界に捉える。
「速度重視の…アン・パンチッ!!」
アンちゃんの高速衝撃破がドラゴンゾンビの足にヒット、だが衝撃を与えただけで外傷はない。
「うっそでしょ~、強化したこの子をグラつかせるなんて~、あの頃より断然火力増してるわね...」
「衝撃破の範囲を拡げるとアビーに被害が...攻略難易度高い戦闘ですわ~」
「アンちゃん、後ろだ!!」
昆虫族の1匹がアンちゃんに突進する。
「てぇい!!」
回し蹴りで敵は粉々になる。
「スキあり~~!!」
ドラゴンゾンビが大きく口を開ける。
『スーパー・ノヴァ!!』
ケルビムが以前使った爆発系の最高魔法だ(36話参照)
「残念、スキは与えるものですわ!!」
アンちゃんは回し蹴りとほぼ同時に正拳突きをドラゴンに放っていた。
衝撃破はドラゴンの口にHIT!!
魔法がかき消され、頭の一部が吹き飛ぶ。
「スッ、スキをついて攻撃することまで読んでいたの?」
「チャンスは最大のリスク、覚えておくといいですわよ。魔力を練り込んでいたのは分かっていましたし」
「アンちゃんかっこいい~~!!」
おい、背中の妖精。
わたしが必死に戦っているのにあっちに声援を送るな!!w
だが気持ちは分かる。
彼女は紛れもない戦闘の天才。
参考になることばかりだ、そして恐怖すら感じる。
果たしてわたしは努力であの位置まで行けるのか??
「ですが、このままでは決定打になりませんわね。もうお口を開くなんて自殺行為、しないでしょうから。というわけでわたしも少し仕込みをさせてもらいますわ」
アンちゃんが足元の小石を拾って握り込んだ。
「知ってますこと?拳に物を握るとパンチ力が増加するんですのよ」
いや、そうらしいけどそんな小石一個でどんだけ変わるのよ?w
「更にいつものパンチに少し回転を加えて...」
腰と手首を捻ってパンチを繰り出す。
すると衝撃破が渦を巻いて舞い上がる。
「キャアッ!!」
アビゲイルがドラゴンから一瞬剥がれたが、すぐにドラゴンが背中で受け止める。
「そう。あの子...やっぱりあの頃から何も変わってないのですわね...」
アンちゃんが意味深な事を呟く。
昆虫族を片付けたわたしはアンちゃんに訊ねる。
「何が変わってないんだ??」
「通常、ネクロマンシーによって操られている屍は操者を助けるなんて真似はしませんわ。でもあのドラゴンは自分の身よりもアビーを優先して助けた」
「どういうことだ?」
「あの子はあの頃から変わっていない、優しい子、ってことですわっ!!」
アンちゃんはさっきよりも更に威力の大きい渦をドラゴンにぶつける。
ドラゴンはほぼ体半分が破壊されたが...。
「しまった!!」
ドラゴンが体を捻ってよけようとしたせいで、アビゲイルが後ろに吹き飛んだ。
多分、手前に落として受け止める予定だったんだろう。
「お姉さま!!アビゲイルを受け止めてくださいまし~~」
「くっそ~~こんな距離、遠すぎる!!」
ダメだ間に合わん!!
このままじゃ地上に叩きつけられる!!
「アビ~~~ッ!!」
するとドラゴンにどこからか飛んできた水がかかる。
体半分になりながらも持ち直したドラゴンがなんとか片足でアビゲイルを受け止めた。
そのまま地面に落ちたが、衝撃は殺され、どうやら無事のようだ。
「はぁ、はぁ、はぁ。大丈夫か!?」
「うっ、うぇ~~ん、死んだかと思った~~!!」
アビゲイルは戦意喪失、死の恐怖で大泣きしている。
ふとアンちゃんを見ると、腰が抜けたかのようにへたり込んでいた。
あんな姿初めて見る、動画に残したいくらいだw
「ありがとうエラ、あなたの仕業なのでしょう?」
「気休め程度の治癒水をドラゴンに撃っただけよ。やらなくても同じだったかもね~」
アンちゃんがゆっくりとアビゲイルに近寄る。
「アビー、あなたはあの頃と変わらず優しいまま。ドラゴンゾンビにも愛情をもって接していたのでしょう?」
「そ、そんな事...」
ドラゴンゾンビは元に戻りながらも、もうこちらに敵意は向けていない様子。
主を救ってくれた事をまるで感謝しているかのようだった。
「ネクロマンサー失格ですわ。その優しさは非情にならないといけない戦闘において致命的ですわよ」
「...負けたわ。アンちゃん強すぎるんだもん...。」
アンちゃんが手を差し出し、アビーを起こす。
「今の魔王軍はむしろ君みたいな人材を歓迎する組織になっていると思うよ」
その後アビゲイルはエラに地上に送ってもらい、魔王城までアンちゃん付き添いで送られた。
ドラゴンゾンビ除く、全ての屍の術が解かれ、文字通り屍に戻った。
エラの要望で、ドラゴンゾンビはこのロストウッズを守護するポストを頼まれ、アビーもこれを了承。
「また会いに来るね、ゾンちゃん」
アビーから離れても元々は神話級の実力を持っているため、戦力としては十分だろう。
砦にいた天使族も降伏、彼らも地上に戻された。
「泉の毒も消えたし、集落に戻りましょう」
「あぁ、マァナ達はうまくやったかな?」
「エメリーちゃんもいるし、大丈夫でしょう」
むしろそれが心配なんだがw
集落に戻り、目にした光景は...。
「かぁ~~、かぁ~~...」
マァナ、エメリー、族長の爆睡しているマヌケな姿だったw
敵の親玉、ネクロマンサーの正体はアンちゃんの幼馴染、アビゲイルだった。
お互い引けない2人の悲しい戦いが始まる。
「アンちゃんの近接攻撃は化け物級。ヴァーチャーを倒したのがアンちゃんなら遠距離真空破、衝撃破も使えるって話ね」
アビゲイルはドラゴンで飛び回っている、的を絞らせないつもりか。
「あのサイズで結構な速度ですわね、さすが神話級モンスターですわ」
『インスタントッ!!』
アビゲイルが魔法を唱えると、わたし達の周りに昆虫族が現れる。
「うえぇ~~、きしょいんですけど~~!!」
「囲まれた!!」
「2人とも落ち着いて、インスタントは最下級モンスターを即席で作り出す魔法、普通に戦えばまず負けませんわ」
これはおそらく時間稼ぎ...ということは。
『ライフセービング!!』
「ただでさえ強度の高いドラゴンゾンビの防御力を更に上げましたわね」
「エラはわたしの背中にいろ!!」
わたしは周辺の昆虫族への対処で手一杯だ。
「お姉さま、エラは任せましたわよ」
アンちゃんは正面を突破し、ドラゴンゾンビを視界に捉える。
「速度重視の…アン・パンチッ!!」
アンちゃんの高速衝撃破がドラゴンゾンビの足にヒット、だが衝撃を与えただけで外傷はない。
「うっそでしょ~、強化したこの子をグラつかせるなんて~、あの頃より断然火力増してるわね...」
「衝撃破の範囲を拡げるとアビーに被害が...攻略難易度高い戦闘ですわ~」
「アンちゃん、後ろだ!!」
昆虫族の1匹がアンちゃんに突進する。
「てぇい!!」
回し蹴りで敵は粉々になる。
「スキあり~~!!」
ドラゴンゾンビが大きく口を開ける。
『スーパー・ノヴァ!!』
ケルビムが以前使った爆発系の最高魔法だ(36話参照)
「残念、スキは与えるものですわ!!」
アンちゃんは回し蹴りとほぼ同時に正拳突きをドラゴンに放っていた。
衝撃破はドラゴンの口にHIT!!
魔法がかき消され、頭の一部が吹き飛ぶ。
「スッ、スキをついて攻撃することまで読んでいたの?」
「チャンスは最大のリスク、覚えておくといいですわよ。魔力を練り込んでいたのは分かっていましたし」
「アンちゃんかっこいい~~!!」
おい、背中の妖精。
わたしが必死に戦っているのにあっちに声援を送るな!!w
だが気持ちは分かる。
彼女は紛れもない戦闘の天才。
参考になることばかりだ、そして恐怖すら感じる。
果たしてわたしは努力であの位置まで行けるのか??
「ですが、このままでは決定打になりませんわね。もうお口を開くなんて自殺行為、しないでしょうから。というわけでわたしも少し仕込みをさせてもらいますわ」
アンちゃんが足元の小石を拾って握り込んだ。
「知ってますこと?拳に物を握るとパンチ力が増加するんですのよ」
いや、そうらしいけどそんな小石一個でどんだけ変わるのよ?w
「更にいつものパンチに少し回転を加えて...」
腰と手首を捻ってパンチを繰り出す。
すると衝撃破が渦を巻いて舞い上がる。
「キャアッ!!」
アビゲイルがドラゴンから一瞬剥がれたが、すぐにドラゴンが背中で受け止める。
「そう。あの子...やっぱりあの頃から何も変わってないのですわね...」
アンちゃんが意味深な事を呟く。
昆虫族を片付けたわたしはアンちゃんに訊ねる。
「何が変わってないんだ??」
「通常、ネクロマンシーによって操られている屍は操者を助けるなんて真似はしませんわ。でもあのドラゴンは自分の身よりもアビーを優先して助けた」
「どういうことだ?」
「あの子はあの頃から変わっていない、優しい子、ってことですわっ!!」
アンちゃんはさっきよりも更に威力の大きい渦をドラゴンにぶつける。
ドラゴンはほぼ体半分が破壊されたが...。
「しまった!!」
ドラゴンが体を捻ってよけようとしたせいで、アビゲイルが後ろに吹き飛んだ。
多分、手前に落として受け止める予定だったんだろう。
「お姉さま!!アビゲイルを受け止めてくださいまし~~」
「くっそ~~こんな距離、遠すぎる!!」
ダメだ間に合わん!!
このままじゃ地上に叩きつけられる!!
「アビ~~~ッ!!」
するとドラゴンにどこからか飛んできた水がかかる。
体半分になりながらも持ち直したドラゴンがなんとか片足でアビゲイルを受け止めた。
そのまま地面に落ちたが、衝撃は殺され、どうやら無事のようだ。
「はぁ、はぁ、はぁ。大丈夫か!?」
「うっ、うぇ~~ん、死んだかと思った~~!!」
アビゲイルは戦意喪失、死の恐怖で大泣きしている。
ふとアンちゃんを見ると、腰が抜けたかのようにへたり込んでいた。
あんな姿初めて見る、動画に残したいくらいだw
「ありがとうエラ、あなたの仕業なのでしょう?」
「気休め程度の治癒水をドラゴンに撃っただけよ。やらなくても同じだったかもね~」
アンちゃんがゆっくりとアビゲイルに近寄る。
「アビー、あなたはあの頃と変わらず優しいまま。ドラゴンゾンビにも愛情をもって接していたのでしょう?」
「そ、そんな事...」
ドラゴンゾンビは元に戻りながらも、もうこちらに敵意は向けていない様子。
主を救ってくれた事をまるで感謝しているかのようだった。
「ネクロマンサー失格ですわ。その優しさは非情にならないといけない戦闘において致命的ですわよ」
「...負けたわ。アンちゃん強すぎるんだもん...。」
アンちゃんが手を差し出し、アビーを起こす。
「今の魔王軍はむしろ君みたいな人材を歓迎する組織になっていると思うよ」
その後アビゲイルはエラに地上に送ってもらい、魔王城までアンちゃん付き添いで送られた。
ドラゴンゾンビ除く、全ての屍の術が解かれ、文字通り屍に戻った。
エラの要望で、ドラゴンゾンビはこのロストウッズを守護するポストを頼まれ、アビーもこれを了承。
「また会いに来るね、ゾンちゃん」
アビーから離れても元々は神話級の実力を持っているため、戦力としては十分だろう。
砦にいた天使族も降伏、彼らも地上に戻された。
「泉の毒も消えたし、集落に戻りましょう」
「あぁ、マァナ達はうまくやったかな?」
「エメリーちゃんもいるし、大丈夫でしょう」
むしろそれが心配なんだがw
集落に戻り、目にした光景は...。
「かぁ~~、かぁ~~...」
マァナ、エメリー、族長の爆睡しているマヌケな姿だったw
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる