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前編

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 パンって、どうしてこんなに幸せな香りがするんだろう。
 みんなが朝から笑顔になって、パンを売るとありがとう言ってくれる最高の時間。
 つまり、私は最高の職場を選んだってこと。

「ホリー、クロワッサンが焼けたよ!」
「はぁい!」

 そう言われて私はりんりんとベルを鳴らし、大きな声で店の前から表通りに声を上げる。

「クロワッサン、焼き立てでーす! どうぞお買い求めくださーい! お待ちしております!」

 パン屋『エンジェル』名物、朝の呼び込みだ。
 通りには散歩をする老人や、通学中の子どもたち、出勤しようとする騎士や魔術師、いろんな人の姿がある。
 そんな中で声を上げると、朝の焼きたてクロワッサンはあっという間に人が押し寄せて売り切れた。うちのクロワッサンはおいしいと大人気で、焼いたそばから即完売だ。
 私はただの売り子だけど、みんなが『エンジェルのパンはおいしいよ、ありがとう』って言ってくれたらすごく嬉しい気分になれる。やっぱりお客さんの笑顔っていいよね。
 朝の忙しさが一段落すると、藍色の髪の毛がもっさりとした、いつものお客さんがやってきた。

「いらっしゃいませ」

 このエンジェルの常連さんなんだけど、毎日ひどい寝癖で黒縁メガネをかけている、ちょっと不思議な人。私はこっそり『モサ男さん』と呼んでいる。

「クロワッサンは売り切れ?」
「もう、とっくにありませんよ。むしろ次のクロワッサンが焼き上がるかもしれないです」
「そっか、五分くらいなら待とうかな」
「聞いてきますね。ちょっと待っててください」

 私は裏に聞きに行ったけど、五分じゃ無理って言われて戻ってきた。
 それをモサ男さんに告げると、「じゃあまた今度でいいや」と言って、別のパンを買って帰っていく。
 一体、何をしている人なのかな? ボサボサ頭と眼鏡のせいで目が見えないし、笑っているところも見たことがない。
 うちのパンを買って嬉しそうな顔しないなんて、どんな生活を送ってるのかしら。いつか、幸せな笑顔をうちのパンで引き出してやるんだから。作るのは私じゃないけどね!


 翌朝、私が出勤しようと家を出ると、大あくびしているモサ男さんを見つけた。ベンチに座って小鳥に餌をやりながら、朝の散歩をしているおばあちゃんに挨拶をしてる。
 モサ男さんはこの辺に住んでいるみたいで、割とよく見かける。そして、見かけるとつい観察しちゃうんだよね。なんでか彼が気になっちゃう。
 じっと見ていたら、声をかけられていたおばあちゃんがつまずいて、地面に手と膝をついた。大変、助けないと!
 近寄ろうと思ったら、すでにモサ男さんがそのおばあちゃんに手を貸してあっという間に背中に背負っている。そしてそのまま、おばあちゃんを連れてどこかに行ってしまった。

「良い人、なんだよね……」

 モサ男さんのこういう姿を見るのは初めてじゃない。大荷物を持っている人がいれば当然のように持ってあげたり、泣いている子どもがいればすぐに声をかけてあげたり、困っている人がいたら気さくに話しかけてる。
 見た目に反して、コミュ力が高い人なのよね。
 そんなモサ男さんを見るたび、素敵な人だなぁって思ってる。あんな風にさらっと人助けができる人って、素直に憧れちゃう。
 だからこそ、私は彼が笑わないのに納得がいかないんだ。
 どんな人と話をしていても、モサ男さんの笑った顔を私は見たことがない。
 エンジェルのパンを買いに来た時も、にこりともしてくれない。どういう人なんだろう。なんで笑わないんだろう。
 いつかエンジェルのパンを食べて、笑って欲しいな。


 私はそんなことを思いながら職場に着くと、仕事を始める。朝の忙しい時間帯が終わったいつもの時間に、モサ男さんがやってきた。

「いらっしゃいませ」

 そう声をかけてもモサ男さんは気にも留めず、店内のパンを物色している。そしてクロワッサンがないのを確認すると、ベーコンチーズパンとメープルパンを持って私の前に来た。パンを紙袋に入れながら、私はにっこりと笑った。

「三四〇ジェイアになります」
「ん」
「ありがとうございました」
「どーも」

 やっぱりにこりともせずに帰っていくモサ男さん。あの長い前髪で、前が見えてんのかしら。

 お昼の二時頃になると、売り子は暇な時間帯に入る。
 私はお店のパンで売れ残りそうなものを見極めて、大きなラタンバスケットに入れると、町に売りに出かけた。
 パン屋エンジェルを知ってもらえるきっかけになるし、残りそうなパンは捌けるし、移動販売はいいことづくめ。
 今日はどこに行こうかな。魔術師の塔周辺は、遠いから行くまでに売り切れちゃうのよね。ようし、今日はそこで新規顧客を開拓してやるんだから!
 私は魔術師の塔に行くまで隠密行動し、ついてから声を張り上げた。

「パン屋エンジェルのパン、異動販売中でーす! おいしいパン、いかがでしょうか? どれでもひとつ、百五十ジェイアになりまーす!」

 魔術師の塔前は、流石にインテリ風の人が多いわね。魔術師の制服はレンガ色をしてるから、すぐわかる。

「クロワッサンはあるかな」

 後ろから声をかけられた私は、振り返った。

「すみません、クロワッサンは人気商品でここにはありません」
「そっか、やっぱり食べられないのか」

 あら、カチューシャのような細めのヘッドバンドで前髪を上げていて、涼やかな目元が素敵なイケメン!

「君のとこ、いつ行ってもクロワッサン置いてないよね」

 え? いつも? そういえばこの声、この黒縁眼鏡……どこかで見たことあるような?
 レンガ色の服だから、魔術師だよね。私、魔術師にこんな知り合いいたっけっかな。

「お客さん、うちのお店に来てくれたことあるんですか?」
「ん? 今朝も行ったけど」

 私はお客さんの顔を覚えてる方だし、こんなイケメンは一回見たら忘れないと思うんだけど。

「今日はベーコンチーズとメープルを買った」

 ベーコンチーズパンとメープルパン……まさか、この藍色の髪は……

「え、モサ男さん?!」
「モサオ? 俺はメイナードだけど」
「メイナード、さん……」

 初めて名前を知った。モサ男さんの本当の名前はメイナードさんっていうらしい。っていうか、こんなイケメンだったの?! 普段、どうしてあんなボサボサ髪をしてるの!!
 私がぽかーんとモサ男さん改めメイナードさんの顔を見ていると、メイナードさんはヘッドバンドをパッと外してくれた。途端に長い前髪が目にかかり、もさもさしたいつもの髪型になる。

「モサ男さん!」
「だからメイナードだよ」

 そう言ってモサ男さんはヘッドバンドを付け直してメイナードさんに変身した。いや、同一人物なんだけど。
 私が凝視していたら、彼の後ろから他の魔術師がやってきた。

「師団長、第五班の準備が遅れていて、まだ魔術訓練を再開できそうにありません」

 え、師団長? このモサ男さんもといメイナードさんが?!

「うーん、あそこはいつも遅いな。編成を考え直さないとなぁ……」

 メイナードさんはそう言いながら、私の持っているラタンバスケットの中を覗いた。

「これ、全部買うよ。ここにいる魔術師に配ってあげてほしい」
「え? は、はい、ありがとうございます!」

 お金を受け取った私は、近くにいた二十人ほどの魔術師にパンを配った。
 そうするとみんな喜んで笑顔になってくれて、「明日も来てくれよ」と言ってくれる。
 おいしいおいしいとその場で食べてくれるのは、また格別に嬉しいな。
 視界に入る魔術師全員にパンを配ると、ひとつだけ余ってしまった。

「あの、メイナードさん。ひとつ余ったんですがどうします? 返金しましょうか」

 難しそうな本を片手にパンを食べていたメイナードさんは、私に視線を落としてくれた。
 ああ、モサ男さんだっていうのに、目がちゃんと見えるだけでもう……ドキドキしちゃう。

「お金はいらないよ」
「じゃあ、メイナードさんが食べます?」
「いや、一個で十分。君が食べていいよ」
「え?」
「うまいよ、ここのパン」

 そうでしょうね、知ってますとも! 私、ここのパン屋の売り子ですから!!
 っく、もぐもぐ食べてるその顔が、イケメンかわいくって反則ですけど……!

「いらない? シナモンロールが好きじゃないなら、俺のと変えてあげるけど」

 そう言いながら、半分食べ終わっているバジルチキンフォカッチャを差し出された。って、食べかけをさしだされてもねぇ?

「いえ、大丈夫です、シナモンロールで」
「これもうまいよ?」
「知ってますよ、うちの商品ですから」

 ちょっとトボケてるメイナードさんに、ついツッコミを入れてしまった。私はバスケットからシナモンロールを取り出す。

「じゃあ、ありがたくいただきますね、メイナードさん」
「ん」

 うわぁ、すっごく優しい目。なのに口元は変わらずに一文字だ。きっと笑ったら、ものすごく素敵だと思うんだけど。
 あっという間にパンが捌けたし、今日はちょっとゆっくりしていてもいいかな。

「みなさん、休憩中なんですか?」
「ん、五班の用意ができるまではね」
「お邪魔でなければ、私もここで食べて行っていいです?」
「どーぞ」

 メイナードさんの許可を得て、私はシナモンロールをかじった。
 うちのシナモンロールはコーヒー生地をマーブルにしている。やわらかくてしっとりしていて、シナモンの香りがすうっと入ってきてめちゃくちゃ美味しい。自然と笑顔になっちゃう。
 周りを見ても、みんなニコニコ顔でエンジェルのパンを食べてくれている。笑ってないのはメイナードさんだけだ。
 そんなメイナードさんの姿を見て、むうっと口を尖らせていたら、食べ終えた魔術師の人たちが私の周りに集まってきてしまった。

「このパン、おいしいね! なんていうお店?」
「イスリライナー通りの、エンジェルです。よろしくお願いします」
「へぇ、君はなんて名前?」
「私ですか? 私はホリーといいます」
「ホリーちゃんか、何歳?」
「二十二歳になりました」
「独身? 彼氏は?」
「えっと、独身ですし彼氏もいないですけど……」
「そうかそうか、うちの師団長は二十九歳なんだよ! ちょっと年上だけど、どう……」
「こら」

 怒涛の質問に素直に答えていたら、最後にメイナードさんの声が上がって、みんなピタリと口を閉ざす。でもなんだろう、みんなの口元が笑っているように見えるのは、気のせい?

「師団長、名前はホリーちゃんというらしいですよ!」
「二十二歳、独身、彼氏なし!」
「頑張ってください、師団長……!」
「デート、デートに誘うんですよ!」

 魔術師たちが私から離れる際に、メイナードさんにそう話しかけてる。全部丸聞こえなんですけど。
 これは私……デートに誘われちゃう……のかな? わ、なんだかドキドキしちゃう。
 当のメイナードさんは、口をへの字にしたまま、部下たちを睨むように見てる。魔術師たちは私たちから離れていったけど、全員もれなくこっちを凝視していて、シナモンロールがめっちゃ食べづらいんですけど……。

「あー、ホリー、っていうんだ」

 フォカッチャを食べ終えたメイナードさんが、チラリと私に目を合わせた。……流し目に見えて、ドキドキしちゃういます、メイナードさん!

「そういえば、ほぼ毎日会っているのに、お互いに名前を知りませんでしたね」
「そうだね。あー……ホリー」
「は、はい?」

 まさか、モサ男さん……じゃなくてメイナードさんに名前を呼ばれる日がくるなんて、思ってもいなかった。
 真っ直ぐに私を向いたメイナードさんの顔は、黒縁眼鏡すら彼を際立たせるための装飾品に見える。

「よかったら、今度の日曜、俺と──」
「師団長! 全班用意が完了しました!」

 どこからか走ってきた魔術師の一人が、メイナードさんにそう報告した後、なぜか仲間たちにボコボコにされている。

「……よし、全員配置について。ホリーは危ないから、ここから離れてほしい」
「あ、長居してしまってすみません。お買い上げありがとうございました、失礼します!」

 頭を下げると、その場から駆け足で離れる。
 十分に離れたところで後ろを確認すると、メイナードさんが指揮を取っているようだった。

「まさか、モサ男さんが魔術師団長だったなんて、びっくりだわ。しかもあんなイケメンだったなんて」

 走ったせいか、心臓がドッドと鳴ってる。っていうか私、なんかデートに誘われそうになってたよね?
 ということはメイナードさんも独身……なのかな。周りの人たちに言わされてたっぽいから、罰ゲームか何かだった? う、罰ゲームは……やだなぁ……。
 ぎゅっとなる胸を押さえて、ため息をついた。でも、もし罰ゲームじゃなかったとしたら、ちゃんとデートに誘ってくれるかもしれない。
 明日、お店で会うのが……ちょっと楽しみ。




 ……って思ってたのに!!

「いらっしゃいませー」
「ん」
「三百二十ジェイアになります」
「どーも」
「ありがとうございましたぁ……」

 なんもなしかーーーい!!
 いや、うん、私も昨日のこと何も話せなかったけど。本当に同一人物だよね? モサ男さんとメイナードさん……。
 今日は安定のモサ男さんでホッとしたけど、出勤したらメイナードさんになるのかしら。
 何か話しかければよかったかな。メイナードさんを……もっと知りたい。
 そう思った瞬間、私は店を放り出してメイナードさんを追いかけていた。

「あの、メイナードさん!」

 藍色のもさもさ頭。メイナードさんを見つけた私は、ガシッとその手を掴んだ。

「んん?」
「あの……クロワッサン!」
「え?」
「他のお客さんには内緒ですけど、メイナードさんにだけ、特別にお取り置きしておきましょうか……?!」

 他のお客さんに聞かれたら、まずい話だ。ついでにいうと、店の人にも怒られちゃう。だけど、なんでだろう……どうしても、メイナードさんの気を引きたくて言っちゃった。

「ん……うーん。そんなことして、ホリーは大丈夫なのかい?」
「……う」

 私が言葉に詰まると、メイナードさんは息をふっと吐き出した。

「だめだよ、ホリー。自分の仕事はしっかりしないと」
「……はい」

 怒られちゃった……責任感のないやつって思われちゃったかな……。馬鹿なこと言っちゃって、心がしゅんとなる。

「でも、気持ちは嬉しいかな。じゃ、仕事がんばって」
「あ、メイナードさんも……!」

 私の言葉に、メイナードさんは手をひらっと動かして魔術師の塔の方へと歩いていく。
 姿はモサ男さんなのに、めちゃくちゃかっこよくて胸がギュッとなる。
 どうしよう。好き……かもしれない。ううん、多分、メイナードさんが人に優しくしているのを見た時から、好きだったんだ。
 それを自覚したのが、今ってだけの話。

 私は、今日の移動販売も魔術師の塔に行くことにした。……個人的な理由で。
 ラタンバスケットにパンを詰めると、売り子を他の人に任せて店を出る。
 今日も外で訓練していたらいいけど……会えるかな?
 だけど、魔術師の塔に近づくと、一定のところで魔術師に止められた。

「すみません、現在市街訓練中で、ここから先は立ち入り禁止となっています」
「何時までですか?」
「予定では三時ですね」

 今は二時を少し過ぎたところ。あと一時間も油を売っているわけにいかないし、戻りながらパンを売るしかないかな……残念だけど。
 視線を立ち入り禁止区域に向けると、メイナードさんがいた。すぐにわかっちゃう。
 真面目な顔をして他の魔術師と話し合ってる姿は、目元が見えるからかすごく凛々しく見える。

「師団長を見にきたんですか?」

 立ち入り禁止だと言っていた魔術師の人にそう言われた。ちょ、含み笑いしながら言うの、やめてー!

「や、あの、えーっと、パンを売りにきただけでして……」
「昨日はパン屋の君に会えて、みんな大盛り上がりでしたよ」
「え、パン屋の君?」

 私が首を傾げると、彼は慌てたように手を左右に振った。

「おっと、なんでもないです! どうです、師団長は。普段のもっさりした姿に比べて、かっこいいでしょう」
「そうですね。まさか、魔術師のお偉いさんだとは、思ってもいませんでした」

 そう魔術師さんと話していたら、メイナードさんがこっちに気づいたみたいで、一瞬目が合う。

「そこー、危ないから気をつけてね」
「あ、はい、すみません」

 ああ、注意を受けてしまった。今日の私、良いとこなしだなぁ。
 がくっと肩を落としていると、魔術師さんが苦笑いをしている。

「師団長はあれで、厳しいですからね。優しいんですけど」
「……なんか、わかります。笑わないから無愛想に見えるけど、人として尊敬してます」
「あれ? パン屋の君にも笑顔を見せてないのか」
「みなさんは見たことあるんですか?」
「俺は一度だけ見たことがありますねー。あの笑顔はやばいですよ」

 クックと笑っている魔術師さん。
 え、やばいってどういうこと? ひどい笑顔でイケメンが崩れちゃうってこと??

「本人いわく、笑顔は奥さんになる人にしか見せないつもりらしいですよ。その点、男である俺らより、ホリーさんの方が笑顔を見られる可能性はあるでしょうね」
「見られる……かなぁ。見てみたいな、メイナードさんの笑顔……」

 どんな顔で笑うんだろう。すっごく気になる。
 気になるけど、とりあえず戻りながらパンを売らなくっちゃ。

「じゃあ、ありがとうございました。訓練、頑張ってくださ……きゃっ!?」

 来た道を戻ろうと思ったら、どすんと誰かにぶつかってしまった。ラタンバスケットからパンが一つコロコロと転がっていく。

「ちょ、困ります! ここは現在立ち入り禁止で……」
「ああ?! 何を勝手に立ち入り禁止にしてやがんだ!」

 街のごろつきが魔術師さんにいちゃもんをつけ始めた。
 私は転がっていったパンを急いで追いかける。

「あ、そっちは──」

 魔術師さんがそう声を上げた瞬間。

「キャア!!」

 バリバリッと雷が落ちたような音がして、脳天から爪先まで駆け抜けるように痛みが走った。

「ホリー!!?」

 あ……メイナードさんの声が聞こえる……。
 痛……目の前、真っ暗……パン、売らなきゃ……なのに……。
 なんにも、見えな……い──

「ホリー、ホリー!!」

 メイナードさんの私を呼ぶ声だけが、頭に響いてた。
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