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冒険者編
煩悩力
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―――少し時は遡る。
ラーツェルは自在に空を蹴り上げながらも、連撃を繰り返す。
一閃、二撃、三連刃、全てが大蛇の鱗を剥ぎ取って、その下の皮膚を日の元に晒している。しかし、さしたる損害は無いとばかりに大蛇は大空を滑空し、眼下の町並みを破壊し続けている。無我故に、こちらを脅威と見ていないのだ。
「くっ…!」
大きく跳躍し、相手の背に思いっきり剣を突き立てた。
やや苦悶らしき咆哮を上げながら大蛇はうねり、その棘立った背を近場の建物へと激突させた。まるで背中を掻く爬虫類のようだ。
一方、ラーツェルは衝突直前に大きく滑空し、近場の別の屋根の上へと降り立つ。
「………」
ラーツェルは相手を睨めつけ、唸り声のような呻きを上げた。
同時に、ラーツェルの瞳がまるでネコ科の動物のように瞳孔を縦に裂けさせ、ギョロリと獲物を睨めつける。そしてその両腕の爪は鋭く尖り、両足は甲冑をバキバキと破りながら盛り上がり、猛獣のような体毛のついた形へと変化する。
それは、ラーツェルの半獣としての姿だ。ハーフ故か、人から半獣へと変化する体質であり、彼は戦闘などで極度のストレスを感じるとこの姿に自動で変貌する。
その両腕で剣を手に取り、鋭く息を吸って構えてから、一瞬でその姿を失せさせる。
鋭い風切り音。
同時に翻る閃刃。
空を切り取るかのようなそれは、大蛇の表皮を大きく削り取り、鱗を周囲へと散り巻いた。
咆哮を上げる大蛇、その背を蹴り上げながら、首を落とすべくラーツェルは剣を振り上げた。
「っ!!」
しかし、大蛇は鋭く首をもたげて、ラーツェルへ大口を開けて迫る。
咄嗟に反転して横へ大きく距離を取れば、一瞬先では先程までの空間が大蛇の口内に収まっていた。
ざざざざっ!と地を割り砕きながら着地したラーツェルは、止めていた息を吐きながら剣を下げる。
「…厄介な」
じわじわと再生し始めた相手の体躯を見上げて、ますますもって眉間の皺が深くなる。その巨体も、再生能力も、耐久力も、何もかもが厄介な相手だ。
「…ラーツェルさん!」
「ケルティオ殿」
空から着地したケルトは、ラーツェルの隣にやってきて、同じく空を見上げる。
「厄介ですね、あまりにも巨大すぎます…攻撃が通るにしても、まさに針をつついている程度のようです」
「それでも攻撃を積み重ねれば…とも思いますが、あの再生がそれを無に返している」
「それに、アミュレットの位置も特定できません…少なくとも外側にはない。おそらく内側の奥深くか…」
つまり、小さなキズ程度では意味のない行動を自覚し、二人は思わず呻いた。
その合間、こちらへ尻尾を振り下ろす相手に、ケルトは防御結界でその先を逸し、ラーツェルは剣戟でそれを大きく弾き返した。弾かれた尻尾は別の建物を破壊しながら空へと逃げていく。
メルの手助けは現状、無理そうだ、と二人は薄々と感じ取っていた。こんな騒動が起こってもメルの気配が感じられない以上、あちらで何かがあったと見ていいだろう。
つまり、このままでは都市全てが破壊されてしまうのが先だ、という結論に達する。
「ケルティオ殿。前に言っていた手段とは、何でしょうか」
「それは……そうですね、端的に言えば、超強力な攻撃で大蛇を殴り殺すということです」
「なるほど。ならばその弊害は?」
「皆の協力が必要不可欠です。つまり、それには時間が必要となります」
再び反転した大蛇がこちらへ向かうのを見るなり、それへ飛びかかりながらラーツェルは尋ねる。
「時間とは?」
「…15分、15分ほど下さい!それまでに…なんとかしてみせます!」
「…了解した!」
返答と同時、ラーツェルは咆哮を上げて大蛇の下顎を蹴り飛ばし、宙へと打ち上げた。
ケルトもラーツェルへ身体強化をかけておいてから、大急ぎで反転し、拮抗していた場から脱出した。
背後で響く轟音を尻目に、ケルトは空を駆けて戦線を離脱する。
…警備の関係上、血盟決議に参加していない魔法士は存在する。それにまだ全体開票まで時間があった。だから、投票していない者たちも居るはずだ。
それに期待しながら、ケルトは議事堂へと向かったのだ。
・・・・・・・・・・
「…どうなっているんだ!?議事堂内へ入れないなど…」
「だめです!扉は魔法で閉じられているようです!おそらく結界の類かと…」
「なんと、あまりにも緻密な魔法だ…これは解除にも数時間はかかるぞ!」
「ほぅほぅほぅ!素晴らしい、こんな強固な結界は初めてじゃ!これは是が非でも解明してみんといかんのぅ!どれ、まずは羊皮紙を…」
「教授!こんな地面に広げないでください!邪魔です!」
「くそっ!時間がなさすぎる…どうにかならんのか!?」
ガヤガヤと警備兵や魔法士が集まり、慌てふためいていた。
その只中にケルトは飛び降り、相手が驚くのも尻目に、現状を尋ねた。
「これはいったい、何事ですか?」
「貴方は…ええと、議事堂内への出入り口がすべて封鎖されているのです!しかも魔法で封じられているようで…」
言われ、ケルトは扉へ手をついて、それを読み取ろうとする。
(…流石はクレイビー、と言うべきか)
時間稼ぎにしても上質すぎるそれに、ケルトは解除することを諦めた。この議事堂全体を覆う結界を解除するより、それを上回る威力の攻撃でふっとばすほうが早いだろう。
しかし、今はそれよりも。
「…他の場所はどうなっていますか?」
「げ、現在は町中に現れた魔物を掃討している…」
「その進捗は?」
「北区はほぼ掃討を終えています!」
「南区も同じく」
「…なるほど、では中央区は?」
「それは現状、僕たちが制圧したよ」
声に振り返れば、そこには人々を率いながらも、怪我を負った者の肩を支えながらやって来るカーマスが居たのだ。
そんなカーマスにやや驚きながらも、ケルトへカーマスへ声をかけた。
「では、街に降りた魔物はほぼ討伐した、と?」
「ま、目に見える範囲はね」
「…なるほど。ならば、皆さんに一つ協力を要請したいのですが」
ケルトは集まっている魔法士たちへ、首を巡らせて説明をした。
巨大な大蛇の厄介さ、それを攻略するための提案。
「光属性の魔法を、一斉に行使してほしいのです」
それに皆は驚愕の顔をしてから、不安そうに見合わせた。
同じく、カーマスもまた怪訝な顔をする。
「…それは、いったいどういう意味があるんだい?」
「質問は後でお願いします。送言の魔法を使って、都市中の残っている魔法士へ今の伝言を伝えてください!必ず!」
「お、おい!ケルティオ!!」
カーマスの静止の声を尻目に空へ飛び、ケルトは議事堂の最も高い尖塔の上に辿り着いて、屋根の上に降り立つ。
そして集中すべく、杖を構えて目を伏せた。
(………この方法が可能かどうか…それはすべて、私の実力次第)
大きく息を吸って、吐く。
特殊な呼吸法を始めれば、体中の隅々までヴァルが行き届くのが感じられた。
あれから呼吸法は徹底的に叩き込んだ。ハディとの特訓でも、戦いながら呼吸を乱さないよう練習を重ねたのだ。ここで出来ない道理など無い。
数分、それを繰り返していれば、ケルトの体中から徐々に光が漏れ始めた。
「…頼みますよ、皆さん」
そして、ケルトは目を見開く。
白い輝きを宿した青色の瞳を天へ向け、空を支配するかのように悠々と舞う大蛇を睨めつけ、杖を掲げた。
『光の同胞よ!願わくばこの場にて力を貸し与え給え!我は光の同胞なりて肉と血を抱くもの!我は汝らに乞い願う!この悪しき存在を打ち倒す、すべての輝きを集約させよ!』
ケルトの杖先へ、ポツリと小さな輝きが灯る。
それは徐々に周囲の光を宿すように集い、少しずつその大きさを増やしていくのだ。
(…伝言は、上手くいったみたいですね)
中央区のそこら中から、放出された魔法が、一つのエネルギーとなってこちらへ集ってくる。
すべての魔法士が扱う光の魔法を、今まさにケルトの元へと集めているのだ。
これが、精霊界で学んだ技、精霊達の手によってヴァルの方向性を定める技法。
「…ぐっ…!」
しかし、その巨大すぎる魔法の制御は半端ではない。徐々に増えていくその力に翻弄されるように、ケルトはグラグラとよろめいていた。
まるで、巨大な岩が上から伸しかかってきているかのようだ。しかもそれは、段々と質量を増していく。
「くっ…くそっ!こんな程度…押し負けるわけには…!!」
もはや大岩のように大きく、太陽のように輝けるそれは、今にも弾け飛んでしまいそうな程の力を宿している。
荒々しく息を吐くケルトは、ふらつく体を支えきれずに、ついに膝を付いてしまう。
「…ケルティオ!?」
そこで下から飛んできたカーマスが、ケルトの掲げる巨大な光に驚愕している。
「そ、それは…僕らの魔法を、集めているのか!?君は、君は本当にいったい…」
「…で、きれば、支えてくださると、ありがたいんですがね…!」
本気で辛そうなケルトへ、カーマスはオロオロと周囲を見回してから、しかし役立つものを何も見つけられずに八の字眉となる。
しかし首を振ってから、ケルトへ近づいて、
「ま、まったく君は頼りにならないね!こ、この僕がなんとかしてあげようじゃないか!!」
カーマスは細剣の切っ先を輝ける巨大な力へ向けて、たどたどしく詠唱する。
「え、えっと…これがこうなってこの呪文は…そうか、こうだな!『輝ける第4の精霊よ!堅牢なる障壁を作り、その輝きを留めよ!』セクト=ラダ・マ・ヴィエ=セレシス」
カーマスの剣先から帯状の輝きが舞い飛び、それは光の周囲へ巻き付いて、膨大な本流を押し留めようとした。まるで零れ落ちそうになる脆い器を、テープで補強するかのように。
が、カーマスはすぐに冷や汗混じりで腕が震え始める。
「ぐおぉ…!?ど、どれだけの力を込めたらこんなのが出来るっていうんだよぉ!?…く、しかし、ここで諦めたらカーマス家の名が廃る!!このレティオ・カーマス!この程度の障害で押し留まりはしないともぉ!!」
歯を食いしばりながら、カーマスはヤケクソ気味に詠唱する。
「『2重・呪文停止!輝ける第5の精霊よ!堅牢なる障壁を作り、その輝きを留めよ!』ズーフド・トル・セット!セクト=ラダ・マ・ヴィエ=セレシス!!」
「二重呪文、ですか…!!」
カーマスの詠唱に、ケルトは思わず目を見開く。
二重呪文はかなり特殊な魔法行使を必要とする、先天的な才が必要とされる技術だ。ケルトでさえ、それを扱うのは容易ではない。
それを行使しながら、カーマスはギリギリギリと顔を歪ませながらも、更に詠唱を行う。
「くっ…!ぐぐ…『さ、3重・呪文停止!輝ける第5の精霊よ!堅牢なる障壁を作り、その輝きを留めよ!』…ズーミー・トル…セット!セ、セクト=ラダ…む、無理だぁ!?これ以上はもう無理だぁぁ!?」
「ちょっと見直したと思ったらなんですか!?もうちょっとですから頑張ってください!!」
「無理ぃ!!絶対に無理!これ以上は暴発するぅぅ!!」
泣き言混じりに叫ぶカーマスへ、ケルトは怒り混じりに叱咤する。
「踏ん張ってください!!貴方が倒れればこの都市のすべてが瓦解するんですよ!!」
「そ、そう言われると逆にプレッシャーがががが」
「ああもう!度胸なしですね貴方!!」
カーマスを罵倒しつつもどうすべきか、と思考している合間。
ふと、ケルトは思いついた。
いや、しかしなぁ、と思いつつも、昨日のメルとカーマスの様子を思い返しながら、半眼でぼそっと。
「…もしこれを成し遂げれば、メルさんが貴方を称賛するでしょうね」
ぴくり、とカーマスは反応する。
誰もが見惚れるメル教授、勇者でもある高嶺の花な皇女様。あの美貌と厳しくも優しげな性格に惚れ込む男は数知れず、ファンクラブも出来ているほどだったりする。
その皇女様に、褒められる。
ピクピクと反応する相手へ、ケルトは素知らぬ顔で続ける。
「あ~、ひょっとしたら特別授業とかされたりして」
「と、特別授業…!?」
美人教師と二人っきりの特別授業。
そのフレーズに、多感なお年頃のカーマスは顔を真っ赤にした。
「ほっぺたにキスされたりして」
「キキキキスゥ!?」
未だに婚約者の一人も居ないレティオ・カーマス20歳。
貴族としての態度が原因で、淑女との触れ合いは人並み以下であった。
しかして、今はそれが功を奏したのか、カーマスは今までにないレベルでの熱い感情に後押しされ衝動のままに叫んだ。
「うおおおぉぉっっーーー!!!レティオ・カーマス!!ここで成さねば漢が廃るぞぉぉーー!!!」
「お、おお!ヴァルが輝いている…なんという凄まじき煩悩の力…!」
煩悩という感情によって潜在的な力を解放したのか、カーマスは爛々と燃える瞳で詠唱する。
『3重・呪文停止!輝ける第の精霊よ!堅牢なる障壁を作り、その輝きを留めよ!』ズーミー・トル・セット!セクト=ラダ・マ・ヴィエ=セレシス!!」
行使した詠唱が終えると同時、ガクン、とケルトの魔法の負荷があっさりと解放される。
思わず見上げれば、杖の先には輝ける大きな光が集っている。
強大な力を秘めたそれに、ケルトは眦を釣り上げながら、詠唱する。
「『…集いし光を…一つに束ね…悪しき虚無を貫く極光となれ!!』これが最大…!塵も残さずふっとばして…!!」
「…あ、やっぱり無理」
「え」
ぷすん、と音を立てて、カーマスの放っていた魔法が消えた。
と同時に、ケルトの掲げた光球の一部がぽんっと弾けて…
強大すぎる光が凄まじい威力で暴走しかける。
「うわぁっ!?」
ガクン、と体が杖に引っ張られて強烈な速度で後ろへ吹っ飛ぶ。ついでに後ろに居たカーマスを巻き込みながら、尖塔から落ちて…そのまま空気の抜ける風船のように空中を飛び回り…、
「こ、こ、このまま…突っ込んでやりますよぉっ!!!『皆さん!どうかアシストを!!』」
『『『はーーい!!』』』
暴走して彗星のようにひらめく光、それを光のレールが不可視の道を作り、大きく弧を描いて大空を滑空した。
…一方そのころ。
「…ふふふ、流石は先生の魔物だ。人間なんてまるで人形みたいだ」
大蛇の背に降り立ったアズキエルは、そこから眼下を見据えながら笑っている。まるで楽しい余興劇でも見ているかのように。
魔物は彼を襲わない。識別されるよう、アズキエルには印が付けられているからだ。
しかし、そのアズキエルへ迫る影。
気づいたアズキエルが詠唱すれば、影から現れた闇の人型が、襲いかかってきたラーツェルの剣を防いでいた。
「わあ、怖い怖い…さすがは英雄の騎士、子供相手でも容赦ありませんね」
「…」
ラーツェルは無言で後ろに下がってから、剣を構え直し、今度はジグザグ走法で迫って剣を閃かせる。
その一閃もまた、アズキエルは詠唱で張った結界に弾かれる。何度かの激突にもビクともしないそれにラーツェルは舌打ちし、アズキエルは笑いながら闇の人型をけしかける。
「無駄ですよ!その程度の攻撃じゃあ、こいつどころか僕ですら傷つけられない!!」
「…なるほど」
鋭い瞳で睨めつけるラーツェル。しかしピクリと何かに反応し、獰猛に牙を剥いて笑った。
「だが、何度も行えば、いつかは疲弊するのではないか?」
「へぇ、試してみますか?それまでにこの都市の人間がどれほど死ぬか。そして貴方のお姫様が生きているか。楽しみですねぇ!!」
「…くっくっく!」
何度も剣を振るいながらも、ラーツェルは楽しげに笑う。
その様子に怪訝に思ったのか、アズキエルは問いかける。
「何を笑ってるんですか?この状況で!」
「いや…所詮は子供なのだな、と思って」
「なにを…」
と、そこで急にラーツェルが反転した。
目を見開くアズキエルの前で、ラーツェルは背を向けて大蛇の背を蹴り、そのまま地上へと落ちていったのだ。
呆気にとられるアズキエルが我に返る間際、不意に背筋がぞくりと震える。
今まで気づかなかった、空中に漂う、凄まじいまでの光のヴァルに気づいたのだ。
「なにが…!?」
思わず天を見上げる。
そう、そこには。
カーマスの悲鳴がドップラー効果を放ちながらも、杖を振り上げたケルトが、大空から大蛇に目掛けて落ちてきていた。
「ば…馬鹿なっ!?あの男…!!」
これに気づかせないためだったのか、と後悔する間もなく、ケルトがアズキエル目掛けて杖を振り下ろした。
「喰らえっ!!極光の槌を!!」
振り下ろされた一撃は、まるで巨大なハンマーのように大蛇の背へと…
―――ドゴゴゴオオォォォッンンッッ!!!
と、都市中に響き渡るような轟音と共に、大蛇の背を真っ二つに貫き、そのまま議事堂の天井を砕きながら落ちたのだ。
ラーツェルは自在に空を蹴り上げながらも、連撃を繰り返す。
一閃、二撃、三連刃、全てが大蛇の鱗を剥ぎ取って、その下の皮膚を日の元に晒している。しかし、さしたる損害は無いとばかりに大蛇は大空を滑空し、眼下の町並みを破壊し続けている。無我故に、こちらを脅威と見ていないのだ。
「くっ…!」
大きく跳躍し、相手の背に思いっきり剣を突き立てた。
やや苦悶らしき咆哮を上げながら大蛇はうねり、その棘立った背を近場の建物へと激突させた。まるで背中を掻く爬虫類のようだ。
一方、ラーツェルは衝突直前に大きく滑空し、近場の別の屋根の上へと降り立つ。
「………」
ラーツェルは相手を睨めつけ、唸り声のような呻きを上げた。
同時に、ラーツェルの瞳がまるでネコ科の動物のように瞳孔を縦に裂けさせ、ギョロリと獲物を睨めつける。そしてその両腕の爪は鋭く尖り、両足は甲冑をバキバキと破りながら盛り上がり、猛獣のような体毛のついた形へと変化する。
それは、ラーツェルの半獣としての姿だ。ハーフ故か、人から半獣へと変化する体質であり、彼は戦闘などで極度のストレスを感じるとこの姿に自動で変貌する。
その両腕で剣を手に取り、鋭く息を吸って構えてから、一瞬でその姿を失せさせる。
鋭い風切り音。
同時に翻る閃刃。
空を切り取るかのようなそれは、大蛇の表皮を大きく削り取り、鱗を周囲へと散り巻いた。
咆哮を上げる大蛇、その背を蹴り上げながら、首を落とすべくラーツェルは剣を振り上げた。
「っ!!」
しかし、大蛇は鋭く首をもたげて、ラーツェルへ大口を開けて迫る。
咄嗟に反転して横へ大きく距離を取れば、一瞬先では先程までの空間が大蛇の口内に収まっていた。
ざざざざっ!と地を割り砕きながら着地したラーツェルは、止めていた息を吐きながら剣を下げる。
「…厄介な」
じわじわと再生し始めた相手の体躯を見上げて、ますますもって眉間の皺が深くなる。その巨体も、再生能力も、耐久力も、何もかもが厄介な相手だ。
「…ラーツェルさん!」
「ケルティオ殿」
空から着地したケルトは、ラーツェルの隣にやってきて、同じく空を見上げる。
「厄介ですね、あまりにも巨大すぎます…攻撃が通るにしても、まさに針をつついている程度のようです」
「それでも攻撃を積み重ねれば…とも思いますが、あの再生がそれを無に返している」
「それに、アミュレットの位置も特定できません…少なくとも外側にはない。おそらく内側の奥深くか…」
つまり、小さなキズ程度では意味のない行動を自覚し、二人は思わず呻いた。
その合間、こちらへ尻尾を振り下ろす相手に、ケルトは防御結界でその先を逸し、ラーツェルは剣戟でそれを大きく弾き返した。弾かれた尻尾は別の建物を破壊しながら空へと逃げていく。
メルの手助けは現状、無理そうだ、と二人は薄々と感じ取っていた。こんな騒動が起こってもメルの気配が感じられない以上、あちらで何かがあったと見ていいだろう。
つまり、このままでは都市全てが破壊されてしまうのが先だ、という結論に達する。
「ケルティオ殿。前に言っていた手段とは、何でしょうか」
「それは……そうですね、端的に言えば、超強力な攻撃で大蛇を殴り殺すということです」
「なるほど。ならばその弊害は?」
「皆の協力が必要不可欠です。つまり、それには時間が必要となります」
再び反転した大蛇がこちらへ向かうのを見るなり、それへ飛びかかりながらラーツェルは尋ねる。
「時間とは?」
「…15分、15分ほど下さい!それまでに…なんとかしてみせます!」
「…了解した!」
返答と同時、ラーツェルは咆哮を上げて大蛇の下顎を蹴り飛ばし、宙へと打ち上げた。
ケルトもラーツェルへ身体強化をかけておいてから、大急ぎで反転し、拮抗していた場から脱出した。
背後で響く轟音を尻目に、ケルトは空を駆けて戦線を離脱する。
…警備の関係上、血盟決議に参加していない魔法士は存在する。それにまだ全体開票まで時間があった。だから、投票していない者たちも居るはずだ。
それに期待しながら、ケルトは議事堂へと向かったのだ。
・・・・・・・・・・
「…どうなっているんだ!?議事堂内へ入れないなど…」
「だめです!扉は魔法で閉じられているようです!おそらく結界の類かと…」
「なんと、あまりにも緻密な魔法だ…これは解除にも数時間はかかるぞ!」
「ほぅほぅほぅ!素晴らしい、こんな強固な結界は初めてじゃ!これは是が非でも解明してみんといかんのぅ!どれ、まずは羊皮紙を…」
「教授!こんな地面に広げないでください!邪魔です!」
「くそっ!時間がなさすぎる…どうにかならんのか!?」
ガヤガヤと警備兵や魔法士が集まり、慌てふためいていた。
その只中にケルトは飛び降り、相手が驚くのも尻目に、現状を尋ねた。
「これはいったい、何事ですか?」
「貴方は…ええと、議事堂内への出入り口がすべて封鎖されているのです!しかも魔法で封じられているようで…」
言われ、ケルトは扉へ手をついて、それを読み取ろうとする。
(…流石はクレイビー、と言うべきか)
時間稼ぎにしても上質すぎるそれに、ケルトは解除することを諦めた。この議事堂全体を覆う結界を解除するより、それを上回る威力の攻撃でふっとばすほうが早いだろう。
しかし、今はそれよりも。
「…他の場所はどうなっていますか?」
「げ、現在は町中に現れた魔物を掃討している…」
「その進捗は?」
「北区はほぼ掃討を終えています!」
「南区も同じく」
「…なるほど、では中央区は?」
「それは現状、僕たちが制圧したよ」
声に振り返れば、そこには人々を率いながらも、怪我を負った者の肩を支えながらやって来るカーマスが居たのだ。
そんなカーマスにやや驚きながらも、ケルトへカーマスへ声をかけた。
「では、街に降りた魔物はほぼ討伐した、と?」
「ま、目に見える範囲はね」
「…なるほど。ならば、皆さんに一つ協力を要請したいのですが」
ケルトは集まっている魔法士たちへ、首を巡らせて説明をした。
巨大な大蛇の厄介さ、それを攻略するための提案。
「光属性の魔法を、一斉に行使してほしいのです」
それに皆は驚愕の顔をしてから、不安そうに見合わせた。
同じく、カーマスもまた怪訝な顔をする。
「…それは、いったいどういう意味があるんだい?」
「質問は後でお願いします。送言の魔法を使って、都市中の残っている魔法士へ今の伝言を伝えてください!必ず!」
「お、おい!ケルティオ!!」
カーマスの静止の声を尻目に空へ飛び、ケルトは議事堂の最も高い尖塔の上に辿り着いて、屋根の上に降り立つ。
そして集中すべく、杖を構えて目を伏せた。
(………この方法が可能かどうか…それはすべて、私の実力次第)
大きく息を吸って、吐く。
特殊な呼吸法を始めれば、体中の隅々までヴァルが行き届くのが感じられた。
あれから呼吸法は徹底的に叩き込んだ。ハディとの特訓でも、戦いながら呼吸を乱さないよう練習を重ねたのだ。ここで出来ない道理など無い。
数分、それを繰り返していれば、ケルトの体中から徐々に光が漏れ始めた。
「…頼みますよ、皆さん」
そして、ケルトは目を見開く。
白い輝きを宿した青色の瞳を天へ向け、空を支配するかのように悠々と舞う大蛇を睨めつけ、杖を掲げた。
『光の同胞よ!願わくばこの場にて力を貸し与え給え!我は光の同胞なりて肉と血を抱くもの!我は汝らに乞い願う!この悪しき存在を打ち倒す、すべての輝きを集約させよ!』
ケルトの杖先へ、ポツリと小さな輝きが灯る。
それは徐々に周囲の光を宿すように集い、少しずつその大きさを増やしていくのだ。
(…伝言は、上手くいったみたいですね)
中央区のそこら中から、放出された魔法が、一つのエネルギーとなってこちらへ集ってくる。
すべての魔法士が扱う光の魔法を、今まさにケルトの元へと集めているのだ。
これが、精霊界で学んだ技、精霊達の手によってヴァルの方向性を定める技法。
「…ぐっ…!」
しかし、その巨大すぎる魔法の制御は半端ではない。徐々に増えていくその力に翻弄されるように、ケルトはグラグラとよろめいていた。
まるで、巨大な岩が上から伸しかかってきているかのようだ。しかもそれは、段々と質量を増していく。
「くっ…くそっ!こんな程度…押し負けるわけには…!!」
もはや大岩のように大きく、太陽のように輝けるそれは、今にも弾け飛んでしまいそうな程の力を宿している。
荒々しく息を吐くケルトは、ふらつく体を支えきれずに、ついに膝を付いてしまう。
「…ケルティオ!?」
そこで下から飛んできたカーマスが、ケルトの掲げる巨大な光に驚愕している。
「そ、それは…僕らの魔法を、集めているのか!?君は、君は本当にいったい…」
「…で、きれば、支えてくださると、ありがたいんですがね…!」
本気で辛そうなケルトへ、カーマスはオロオロと周囲を見回してから、しかし役立つものを何も見つけられずに八の字眉となる。
しかし首を振ってから、ケルトへ近づいて、
「ま、まったく君は頼りにならないね!こ、この僕がなんとかしてあげようじゃないか!!」
カーマスは細剣の切っ先を輝ける巨大な力へ向けて、たどたどしく詠唱する。
「え、えっと…これがこうなってこの呪文は…そうか、こうだな!『輝ける第4の精霊よ!堅牢なる障壁を作り、その輝きを留めよ!』セクト=ラダ・マ・ヴィエ=セレシス」
カーマスの剣先から帯状の輝きが舞い飛び、それは光の周囲へ巻き付いて、膨大な本流を押し留めようとした。まるで零れ落ちそうになる脆い器を、テープで補強するかのように。
が、カーマスはすぐに冷や汗混じりで腕が震え始める。
「ぐおぉ…!?ど、どれだけの力を込めたらこんなのが出来るっていうんだよぉ!?…く、しかし、ここで諦めたらカーマス家の名が廃る!!このレティオ・カーマス!この程度の障害で押し留まりはしないともぉ!!」
歯を食いしばりながら、カーマスはヤケクソ気味に詠唱する。
「『2重・呪文停止!輝ける第5の精霊よ!堅牢なる障壁を作り、その輝きを留めよ!』ズーフド・トル・セット!セクト=ラダ・マ・ヴィエ=セレシス!!」
「二重呪文、ですか…!!」
カーマスの詠唱に、ケルトは思わず目を見開く。
二重呪文はかなり特殊な魔法行使を必要とする、先天的な才が必要とされる技術だ。ケルトでさえ、それを扱うのは容易ではない。
それを行使しながら、カーマスはギリギリギリと顔を歪ませながらも、更に詠唱を行う。
「くっ…!ぐぐ…『さ、3重・呪文停止!輝ける第5の精霊よ!堅牢なる障壁を作り、その輝きを留めよ!』…ズーミー・トル…セット!セ、セクト=ラダ…む、無理だぁ!?これ以上はもう無理だぁぁ!?」
「ちょっと見直したと思ったらなんですか!?もうちょっとですから頑張ってください!!」
「無理ぃ!!絶対に無理!これ以上は暴発するぅぅ!!」
泣き言混じりに叫ぶカーマスへ、ケルトは怒り混じりに叱咤する。
「踏ん張ってください!!貴方が倒れればこの都市のすべてが瓦解するんですよ!!」
「そ、そう言われると逆にプレッシャーがががが」
「ああもう!度胸なしですね貴方!!」
カーマスを罵倒しつつもどうすべきか、と思考している合間。
ふと、ケルトは思いついた。
いや、しかしなぁ、と思いつつも、昨日のメルとカーマスの様子を思い返しながら、半眼でぼそっと。
「…もしこれを成し遂げれば、メルさんが貴方を称賛するでしょうね」
ぴくり、とカーマスは反応する。
誰もが見惚れるメル教授、勇者でもある高嶺の花な皇女様。あの美貌と厳しくも優しげな性格に惚れ込む男は数知れず、ファンクラブも出来ているほどだったりする。
その皇女様に、褒められる。
ピクピクと反応する相手へ、ケルトは素知らぬ顔で続ける。
「あ~、ひょっとしたら特別授業とかされたりして」
「と、特別授業…!?」
美人教師と二人っきりの特別授業。
そのフレーズに、多感なお年頃のカーマスは顔を真っ赤にした。
「ほっぺたにキスされたりして」
「キキキキスゥ!?」
未だに婚約者の一人も居ないレティオ・カーマス20歳。
貴族としての態度が原因で、淑女との触れ合いは人並み以下であった。
しかして、今はそれが功を奏したのか、カーマスは今までにないレベルでの熱い感情に後押しされ衝動のままに叫んだ。
「うおおおぉぉっっーーー!!!レティオ・カーマス!!ここで成さねば漢が廃るぞぉぉーー!!!」
「お、おお!ヴァルが輝いている…なんという凄まじき煩悩の力…!」
煩悩という感情によって潜在的な力を解放したのか、カーマスは爛々と燃える瞳で詠唱する。
『3重・呪文停止!輝ける第の精霊よ!堅牢なる障壁を作り、その輝きを留めよ!』ズーミー・トル・セット!セクト=ラダ・マ・ヴィエ=セレシス!!」
行使した詠唱が終えると同時、ガクン、とケルトの魔法の負荷があっさりと解放される。
思わず見上げれば、杖の先には輝ける大きな光が集っている。
強大な力を秘めたそれに、ケルトは眦を釣り上げながら、詠唱する。
「『…集いし光を…一つに束ね…悪しき虚無を貫く極光となれ!!』これが最大…!塵も残さずふっとばして…!!」
「…あ、やっぱり無理」
「え」
ぷすん、と音を立てて、カーマスの放っていた魔法が消えた。
と同時に、ケルトの掲げた光球の一部がぽんっと弾けて…
強大すぎる光が凄まじい威力で暴走しかける。
「うわぁっ!?」
ガクン、と体が杖に引っ張られて強烈な速度で後ろへ吹っ飛ぶ。ついでに後ろに居たカーマスを巻き込みながら、尖塔から落ちて…そのまま空気の抜ける風船のように空中を飛び回り…、
「こ、こ、このまま…突っ込んでやりますよぉっ!!!『皆さん!どうかアシストを!!』」
『『『はーーい!!』』』
暴走して彗星のようにひらめく光、それを光のレールが不可視の道を作り、大きく弧を描いて大空を滑空した。
…一方そのころ。
「…ふふふ、流石は先生の魔物だ。人間なんてまるで人形みたいだ」
大蛇の背に降り立ったアズキエルは、そこから眼下を見据えながら笑っている。まるで楽しい余興劇でも見ているかのように。
魔物は彼を襲わない。識別されるよう、アズキエルには印が付けられているからだ。
しかし、そのアズキエルへ迫る影。
気づいたアズキエルが詠唱すれば、影から現れた闇の人型が、襲いかかってきたラーツェルの剣を防いでいた。
「わあ、怖い怖い…さすがは英雄の騎士、子供相手でも容赦ありませんね」
「…」
ラーツェルは無言で後ろに下がってから、剣を構え直し、今度はジグザグ走法で迫って剣を閃かせる。
その一閃もまた、アズキエルは詠唱で張った結界に弾かれる。何度かの激突にもビクともしないそれにラーツェルは舌打ちし、アズキエルは笑いながら闇の人型をけしかける。
「無駄ですよ!その程度の攻撃じゃあ、こいつどころか僕ですら傷つけられない!!」
「…なるほど」
鋭い瞳で睨めつけるラーツェル。しかしピクリと何かに反応し、獰猛に牙を剥いて笑った。
「だが、何度も行えば、いつかは疲弊するのではないか?」
「へぇ、試してみますか?それまでにこの都市の人間がどれほど死ぬか。そして貴方のお姫様が生きているか。楽しみですねぇ!!」
「…くっくっく!」
何度も剣を振るいながらも、ラーツェルは楽しげに笑う。
その様子に怪訝に思ったのか、アズキエルは問いかける。
「何を笑ってるんですか?この状況で!」
「いや…所詮は子供なのだな、と思って」
「なにを…」
と、そこで急にラーツェルが反転した。
目を見開くアズキエルの前で、ラーツェルは背を向けて大蛇の背を蹴り、そのまま地上へと落ちていったのだ。
呆気にとられるアズキエルが我に返る間際、不意に背筋がぞくりと震える。
今まで気づかなかった、空中に漂う、凄まじいまでの光のヴァルに気づいたのだ。
「なにが…!?」
思わず天を見上げる。
そう、そこには。
カーマスの悲鳴がドップラー効果を放ちながらも、杖を振り上げたケルトが、大空から大蛇に目掛けて落ちてきていた。
「ば…馬鹿なっ!?あの男…!!」
これに気づかせないためだったのか、と後悔する間もなく、ケルトがアズキエル目掛けて杖を振り下ろした。
「喰らえっ!!極光の槌を!!」
振り下ろされた一撃は、まるで巨大なハンマーのように大蛇の背へと…
―――ドゴゴゴオオォォォッンンッッ!!!
と、都市中に響き渡るような轟音と共に、大蛇の背を真っ二つに貫き、そのまま議事堂の天井を砕きながら落ちたのだ。
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