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ウッドゴーレム

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 それから数分後。ストレイは半眼になって目の前の光景を眺めていた。

「思った以上に友好的になりましたね!」
「はっはっは! 可愛い奴め、あなたの名前はゴーちゃんです!」

 そこにはセイルとハイネルが、足に添え木をあてたウッドゴーレムとじゃれ合っていた。
 先日この遺跡でセイルとハイネルが倒したウッドゴーレムである。

 遺跡の角からぬっと顔を出した時、ウッドゴーレムの目の色は警戒色の赤でなく、安全色の緑色をしていた。
 それに気が付いたセイルが制止すると、ウッドゴーレムはゆっくりと三人に近づいて来たのだ。
 ウッドゴーレムの足はセイル達の応急手当のままで、特に修復された様子はない。だが何故かゴーレムが動くのに問題がなさそうだった。もしかしたらその応急手当てが意外と上手くいったのかもしれない。

 先日襲われた事もあり、ごくりと喉を鳴らして様子を見ていた三人に近づいたウッドゴーレムは、その大きな手を彼女達に向かってそっと差し出す。
 ストレイが警戒する中、何かを感じ取ったセイルとハイネルがウッドゴーレムの手に触れた。

「あ、おい――――」

 止めようとしたストレイの前で、ウッドゴーレムは触れられたその手をゆっくりと上下に振ったのだ。
 それは所謂、握手という奴だった。
 否、紛うことなき握手だった。
 ゴーレムが握手をするなどという光景を初めて見たストレイは凍りついたが、セイルとハイネルは違う。ピシャーンと雷が落ちたような衝撃を体に受けたのだ。

 その後はご覧の様である。
 きゃいきゃいとテンション高くウッドゴーレムにじゃれ付くセイルとハイネルを見ながら、ストレイは気が遠くなるのを感じた。
 何故これ程にウッドゴーレムが二人に懐いているのかは分からない。
 足の添え木の関係なのか、それとも自分を倒した相手だからなのか、理由を幾ら考えても思いつかなかった。
 だがこの様子を見る限りでは、このウッドゴーレムを警戒する必要はなさそうだった。

「ゴーちゃん!」
「ゴーちゃん!」

 唐突にセイルとハイネルが「ゴーちゃん」という呼称を連呼する。

「ゴーちゃん?」
「ゴーちゃんです!」

 ストレイが訝しんだ声で聞くと、二人はこくりと頷いた。
 そして両手でウッドゴーレムを示す。どうやら「ゴーちゃん」とは、ウッドゴーレムの名前らしい。
 ストレイがそう名付けられたウッドゴーレムを見ると、何故か満更でもなさそうに見えた。

「…………ゴーちゃん」

 名前はゴーちゃんで決定なのか。ウッドゴーレム的にありなのかそれは。そしてハイネル、お前幾つだ、ちょっと落ち着け。
 そんな事を思いながらストレイは、

「…………どう報告したらいいんだよ、コレ」

 と頭を抱えてうずくまった。
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