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新米冒険者とそれなり冒険者
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「…………」
ハイネルはすたすたと足早に歩いて行く。
いつもはセイルの歩幅に合わせて歩いてくれているのだが、不機嫌さも合わさってか気づいていないようだ。
「ハイネル」
駆け足になりながらセイルが追いつくと、ようやく気付いたようで、ハイネルは歩幅を緩める。
ハイネルは一瞬、罰が悪そうな顔になった。
それから自分を落ち着かせるように、ふう、と息を吐くと、セイルはハイネルと歩調を合わせて歩き出す。
「…………」
セイルがハイネルを見上げると、彼は何だか難しい顔をしていた。
何か言うべきではないな、と思ったので、セイルは口を閉じる。そうして、少しの間二人に、静かな時間が流れた。
傍から見れば気まずい時間なのかもしれないが、セイルにはそれほど気にはならなかった。
「……すみません、少し、取り乱しました」
歩いていると、ぽつりとハイネルが謝った。
「いえ」
セイルは短くそう言うと、笑って見せた。
ハイネルの横顔は、少しほっとした色を浮かべた。
そうして前を向いたままハイネルは、
「…………あいつは、昔から何をやらせても、そつなくこなすんですよ」
と、まるで独り言のように話す。
「先程も話しましたが、僕は精霊術師です。精霊がいなくなったこの世界では、何の役にも立たない。本当はフランが冒険者になった後、僕も直ぐに申請に行ったんですよ。けれど、駄目でした。職業の欄に精霊術師と書いたら、出来れば他の職業も兼業して名乗れるようにした方が良い、そうすれば認めると言われて。……それがどうしても出来なかった」
前を見るハイネルの目は、どこか遠くを見つめているようだった。
いつもの明るく済ましたようなそれではなく、寂しげで、ほんの少し悲しげな光が宿っている。
「その、気を悪くしたらすみません。ハイネルは、どうして精霊術師だと名乗り続けているのですか?」
「僕は精霊が好きなのです。大好きなのですよ。いつかまた、精霊が帰って来てくれた時、精霊術師が一人もいなくて話ができなくなって、おかえりも言えなかったら寂しいではないですか。……あとは、意地ですね。僕は死ぬまで精霊術師だと言いたいのです。ずっと持っていた夢でしたから」
ハイネルの目がふっと細まる。
それは愛しい相手を見る目だ。家族に、兄弟に、子供に、友人に。大事な人の事を思う目だ。
精霊が好きだと言ったハイネルの言葉に混じり気は一切なく、ただただ純粋にセイルの耳に響いた。
「そうですか。それは、素敵だと思います」
「ははは。ありがとうございます」
ハイネルは少し笑って、目を伏せる。
「……でも、それにしがみついていたからか、色々駄目だったんですよねぇ。何をやっても二番手で、何をやっても上手く行かない。冒険者になる為のテストだって、何年も何年も粘って、粘って、粘って、ようやく先日許可をもぎ取りました。その間にあいつはどんどん凄い奴になってしまって。ああいうのを、物語の主役って言うのでしょうね。僕は……脇役のままです」
自嘲気味のハイネルの言葉に、セイルは足を止めた。
「セイル?」
不思議そうにハイネルが振り返ると、セイルは真っ直ぐにハイネルの目を見て、言う。
「ログティアから見れば、ハイネルは主役ですよ」
セイルがそう言うと、ハイネルは目を張って言葉に詰まった後、少しだけ笑った。
「……ありがとうございます」
気を遣われたのだと、ハイネルは思ったのだろう。
だが、セイルは違う。本当にそう思ったからこそ、そう言ったのだ。
ログティアからすれば、この世の中には脇役はいない。
ログを持つ誰もがそのログの主役で、誰もがそのログの主人公なのだ。
それはログティアではない相手には伝わり辛いものではあるのだが、それがセイルの事実であり、セイルにとっての真実だ。
それにハイネルは白雲の遺跡でセイルを助けてくれた。
高価なマジックアイテムを惜しまず使い、自分よりも若いセイルの言った事を馬鹿にせず、信じてくれたのだ。誰もが出来る事ではない。
セイルにとってハイネルは、自分の見たログの中では、紛れもなく主役なのだ。
どうしたら伝わるのかとセイルが口を尖らせていると、不意にハイネルが、話題を変えるように口を開いた。
「そう言えば純粋に疑問なのですが、セイルは何故冒険者に?」
問いかけに目をぱちぱちとした後、セイルは再び歩き出しハイネルの隣に並んだ。
ハイネルもそれを見て歩き出す。
「職業柄っていうのもありますけど、そうですね。わたしは雲の向こうのログを知りたいんです」
「雲と言うと、あのログの?」
「はい」
セイルはこくりと頷いた。
この世界はログの雲にぐるりと覆われている。ログの雲とは、霧散したログの塊だ。消滅する手前の状態のログの塊なのである。
それはいつ消滅するかは分からない。明日かもしれないし、何十年、何百年先なのかもしれない。
霧くらいの濃度ならば、中に入ったとしても、セイルなどのログ魔法で巻き込まれるのを防ぐ事は出来る。だが、あの雲のように濃くなると、そうはいかない。
下手に手を出せば自分も取り込まれ、最終的に死を迎える。
ログの雲に関しては外側からゆっくりとログを整理していくしかないのだが、それには携わるログティアの人数も、時間も、多く長く必要になる。
もしかしたらセイルやハイネルが生きている間には雲が晴れる事はないかもしれない。
だがセイルは、その向こうを知りたかった。
「いつかあのログの雲を越えて、向こう側を見るのがわたしの夢です」
夢物語だと言われるかもしれない。だが、ハイネルは否定しなかった。
「良い夢ですね」
「ありがとうございます」
ハイネルに褒められ、セイルはふへへと嬉しそうに笑った。
雲の向こう。もしかしたら、そこに精霊もいるのかもしれない。
そんな事を考えていたハイネルに、セイルもまた同じ質問をした。
「ハイネルはどうして冒険者になったんですか?」
「僕は占いですよ。取るに足らない、ただの占いです」
「意外とロマインチストですね!」
「フッ冒険者ですからね!」
ハイネルの機嫌もすっかり直ったようだ。
ほっとしながらセイルはハイネルと並んで冒険者ギルドに向かう。
「そう言えば、セイル。何故フランにはフラン『さん』呼びなのですか?」
「呼び捨てにしたら周りからの視線が怖そうでした」
「ああ……」
何かを察したらしいハイネルは苦笑した。
冒険者ギルドに到着したのは、それから十五分後くらいの事。
ひったくりの一件があった為、余裕のあったはずの時間は、何だかんだで約束していた時間ちょうどくらいになっている。
冒険者ギルドのドアを開いて中に入ると、昼食を終えたらしき冒険者達が、和やかに情報交換をしていた。
やはり食事は大事だよねとセイルは心の中で頷く。
そうして二人はアイザックがいるカウンターへと歩いた。
「あれ?」
そこにはアイザック以外に、ストレイが立っていた。
「ストレイ?」
セイルが声を掛けると、二人に気付いたストレイが「よう」と手を挙げる。
「何だ、お前ら知り合いか。ストレイ、その2人だ」
「ああ、なるほど。お前さん達だったのか」
アイザックが眉を上げてそう言うと、ストレイは楽しげに笑った。
ハイネルはすたすたと足早に歩いて行く。
いつもはセイルの歩幅に合わせて歩いてくれているのだが、不機嫌さも合わさってか気づいていないようだ。
「ハイネル」
駆け足になりながらセイルが追いつくと、ようやく気付いたようで、ハイネルは歩幅を緩める。
ハイネルは一瞬、罰が悪そうな顔になった。
それから自分を落ち着かせるように、ふう、と息を吐くと、セイルはハイネルと歩調を合わせて歩き出す。
「…………」
セイルがハイネルを見上げると、彼は何だか難しい顔をしていた。
何か言うべきではないな、と思ったので、セイルは口を閉じる。そうして、少しの間二人に、静かな時間が流れた。
傍から見れば気まずい時間なのかもしれないが、セイルにはそれほど気にはならなかった。
「……すみません、少し、取り乱しました」
歩いていると、ぽつりとハイネルが謝った。
「いえ」
セイルは短くそう言うと、笑って見せた。
ハイネルの横顔は、少しほっとした色を浮かべた。
そうして前を向いたままハイネルは、
「…………あいつは、昔から何をやらせても、そつなくこなすんですよ」
と、まるで独り言のように話す。
「先程も話しましたが、僕は精霊術師です。精霊がいなくなったこの世界では、何の役にも立たない。本当はフランが冒険者になった後、僕も直ぐに申請に行ったんですよ。けれど、駄目でした。職業の欄に精霊術師と書いたら、出来れば他の職業も兼業して名乗れるようにした方が良い、そうすれば認めると言われて。……それがどうしても出来なかった」
前を見るハイネルの目は、どこか遠くを見つめているようだった。
いつもの明るく済ましたようなそれではなく、寂しげで、ほんの少し悲しげな光が宿っている。
「その、気を悪くしたらすみません。ハイネルは、どうして精霊術師だと名乗り続けているのですか?」
「僕は精霊が好きなのです。大好きなのですよ。いつかまた、精霊が帰って来てくれた時、精霊術師が一人もいなくて話ができなくなって、おかえりも言えなかったら寂しいではないですか。……あとは、意地ですね。僕は死ぬまで精霊術師だと言いたいのです。ずっと持っていた夢でしたから」
ハイネルの目がふっと細まる。
それは愛しい相手を見る目だ。家族に、兄弟に、子供に、友人に。大事な人の事を思う目だ。
精霊が好きだと言ったハイネルの言葉に混じり気は一切なく、ただただ純粋にセイルの耳に響いた。
「そうですか。それは、素敵だと思います」
「ははは。ありがとうございます」
ハイネルは少し笑って、目を伏せる。
「……でも、それにしがみついていたからか、色々駄目だったんですよねぇ。何をやっても二番手で、何をやっても上手く行かない。冒険者になる為のテストだって、何年も何年も粘って、粘って、粘って、ようやく先日許可をもぎ取りました。その間にあいつはどんどん凄い奴になってしまって。ああいうのを、物語の主役って言うのでしょうね。僕は……脇役のままです」
自嘲気味のハイネルの言葉に、セイルは足を止めた。
「セイル?」
不思議そうにハイネルが振り返ると、セイルは真っ直ぐにハイネルの目を見て、言う。
「ログティアから見れば、ハイネルは主役ですよ」
セイルがそう言うと、ハイネルは目を張って言葉に詰まった後、少しだけ笑った。
「……ありがとうございます」
気を遣われたのだと、ハイネルは思ったのだろう。
だが、セイルは違う。本当にそう思ったからこそ、そう言ったのだ。
ログティアからすれば、この世の中には脇役はいない。
ログを持つ誰もがそのログの主役で、誰もがそのログの主人公なのだ。
それはログティアではない相手には伝わり辛いものではあるのだが、それがセイルの事実であり、セイルにとっての真実だ。
それにハイネルは白雲の遺跡でセイルを助けてくれた。
高価なマジックアイテムを惜しまず使い、自分よりも若いセイルの言った事を馬鹿にせず、信じてくれたのだ。誰もが出来る事ではない。
セイルにとってハイネルは、自分の見たログの中では、紛れもなく主役なのだ。
どうしたら伝わるのかとセイルが口を尖らせていると、不意にハイネルが、話題を変えるように口を開いた。
「そう言えば純粋に疑問なのですが、セイルは何故冒険者に?」
問いかけに目をぱちぱちとした後、セイルは再び歩き出しハイネルの隣に並んだ。
ハイネルもそれを見て歩き出す。
「職業柄っていうのもありますけど、そうですね。わたしは雲の向こうのログを知りたいんです」
「雲と言うと、あのログの?」
「はい」
セイルはこくりと頷いた。
この世界はログの雲にぐるりと覆われている。ログの雲とは、霧散したログの塊だ。消滅する手前の状態のログの塊なのである。
それはいつ消滅するかは分からない。明日かもしれないし、何十年、何百年先なのかもしれない。
霧くらいの濃度ならば、中に入ったとしても、セイルなどのログ魔法で巻き込まれるのを防ぐ事は出来る。だが、あの雲のように濃くなると、そうはいかない。
下手に手を出せば自分も取り込まれ、最終的に死を迎える。
ログの雲に関しては外側からゆっくりとログを整理していくしかないのだが、それには携わるログティアの人数も、時間も、多く長く必要になる。
もしかしたらセイルやハイネルが生きている間には雲が晴れる事はないかもしれない。
だがセイルは、その向こうを知りたかった。
「いつかあのログの雲を越えて、向こう側を見るのがわたしの夢です」
夢物語だと言われるかもしれない。だが、ハイネルは否定しなかった。
「良い夢ですね」
「ありがとうございます」
ハイネルに褒められ、セイルはふへへと嬉しそうに笑った。
雲の向こう。もしかしたら、そこに精霊もいるのかもしれない。
そんな事を考えていたハイネルに、セイルもまた同じ質問をした。
「ハイネルはどうして冒険者になったんですか?」
「僕は占いですよ。取るに足らない、ただの占いです」
「意外とロマインチストですね!」
「フッ冒険者ですからね!」
ハイネルの機嫌もすっかり直ったようだ。
ほっとしながらセイルはハイネルと並んで冒険者ギルドに向かう。
「そう言えば、セイル。何故フランにはフラン『さん』呼びなのですか?」
「呼び捨てにしたら周りからの視線が怖そうでした」
「ああ……」
何かを察したらしいハイネルは苦笑した。
冒険者ギルドに到着したのは、それから十五分後くらいの事。
ひったくりの一件があった為、余裕のあったはずの時間は、何だかんだで約束していた時間ちょうどくらいになっている。
冒険者ギルドのドアを開いて中に入ると、昼食を終えたらしき冒険者達が、和やかに情報交換をしていた。
やはり食事は大事だよねとセイルは心の中で頷く。
そうして二人はアイザックがいるカウンターへと歩いた。
「あれ?」
そこにはアイザック以外に、ストレイが立っていた。
「ストレイ?」
セイルが声を掛けると、二人に気付いたストレイが「よう」と手を挙げる。
「何だ、お前ら知り合いか。ストレイ、その2人だ」
「ああ、なるほど。お前さん達だったのか」
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