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白雲の丘
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しおりを挟む冒険者の町への帰り道、セイルとハイネルは再び、ウッドゴーレムを倒した場所へと差し掛かった。
ウッドゴーレムは相変わらずそこに倒れており、動く気配はない。
ウッドゴーレムの足はあちらこちらに亀裂が走っており、再び動き出しても、修復されるまではろくに歩くことは出きないだろう。
(何だか、かわいそうですね)
それを見て、セイルはそう思った。
襲われた事に対しての恐怖心はあるものの、セイルはログで、ウッドゴーレムが暴走するに至った経緯を見ている。だかこそ、同情心が湧いたのだ。
ハイネルもハイネルでセイルからその事を聞いた為、気の毒そうにウッドゴーレムを見ている。
そして襲われたとはいえ、やったのは自分達なのだ。そこに多少の罪悪感があった。
「……さすがにこのままというのは、いささか気の毒ですね」
「かわいそうですもんねぇ」
「応急手当でもしましょうか」
「しましょう、しましょう」
そう言うと、セイルとハイネルは、ぱっと動き出した。
遺跡の石柱に巻き付いている蔦を切り取り、川岸に流れ着いた木片を拾う。
そうして集めたそれらを、ウッドゴーレムの足の亀裂の部分にあてがい、添え木にした。人間が骨折した時のアレである。
ついでにその割れ目に、近くに生えていた雑草を根から掘り出し、埋めておく。上手く根を張って、接着剤の代わりになれば良いと二人は思った。
「……よし! こんなものですかね!」
応急手当を終えた頃には、空がうっすらと橙色に染まり始めていた。
セイルとハイネルは、手をパンパンと払った後、満足そうにその場を後にする。
自己満足であるという事は二人も分かっているが、それでも何もしないまま立ち去るという事は出来なかったのだ。
「さて、セイル。今日の夕飯は何にしますか?」
「はいはい! わたし、ガッツリ肉が食べたいです!」
「ええ……夜に重たい」
「えっ朝食の方が良かったですか?」
「待って」
空の色が濃くなるにつれて、賑やかな声もゆっくりと遠ざかって行く。
その背後の方では、何時の間にやら目にうっすらと緑色の光が灯らせたウッドゴーレムが、静かに、静かに二人を見送っていた。
そんなセイルとハイネルが町に戻ったのは日がどっぷり暮れた頃。
戻ってこない新人を心配した冒険者ギルドのギルドマスターアイザックによって、捜索隊が出される寸前の事だった。
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