母ナキ鳥籠

蛇狐

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Capitolo.2「contatto(接触)」

episodio.2「bambini(バンビーニ)」

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 穏やかな昼時。部屋には外が寒いにも関わらず暖かな日差しが届いていて心地良い。
ソファに隣同士で座るジョシュアとクアットロは同じタイミングで紅茶を飲んだ後、二人してほっと安堵の息を吐き出す。
無意識にリンクした行動に二人で顔を見合わせ、クアットロはぷっと小さく笑いを零した。

「あはは、全く一緒だったね」
「そうだね」

余程面白かったのか笑うクアットロに、ジョシュアもつられて……不器用ながらも頬を緩めた。
こんな穏やかな時間が続けばいいのになあ、なんて思うと早く兄弟たちと共に暮らしたくなる。
 そういえば、とジョシュアは思い出したようにカップを目の前のテーブル置いてクアットロに顔を向けた。

「その……どう?なんとか、なりそう?」

ジョシュアの言葉にクアットロは表情を曇らせる。
その表情でなんとなく察したジョシュアは「そっか」と目を伏せた。やはり、難しいのか。
 生まれてずっと戦うのが、殺すのが当たり前になってるなら中々分かっては貰えないのだろう。
もしかしたら、俺に例えると散歩が無くなるようなものなのだろうか?……まさか、息抜きにでもなってるのか?
早く何とかしたいのに、どうにも出来ないのがもどかしい。
それはクアットロも一緒のようで、苦笑いを浮かべて「ダメだね」なんて自傷するように零す。

「オレ一人じゃどうしようもない、頼りにしてた兄さんも……ダメだった。先が見えたら協力してくれそうな兄弟はいるんだけど、その先が見えないんだ」
「そっか……」
「ごめん。せめて時間が解決してくれたらいいんだが……いや、なるべく早く動きたいからな。もう少し頑張ってみるよ」

任せてなんて笑うクアットロは、どこか無理をしているようにも見えた。
オレに出来ることは無いのだろうか。ジョシュアは考えてみるが、なかなかいい案が思いつかない。
しかしオレからも接触することは出来る。いや、余計なことはしない方がいいか?
 うーん、と考えるように腕を組み天井に顔を向けた。そこにはただ煌びやかな照明があるだけなのだが。
やはりこういう時は誰かに聞いてみるべきか……。

「……よし、ちょっと聞いて回ろう」
「え?」
「そっちに協力してくれそうな人が居なくても、少なくともここには居るから。オレらだけで考えてもどうにもならないなら、聞いてみよう」

そう言うとクアットロの手を握り立ち上がる。

「大丈夫、良い人ばっかりだから」
「ほ、本当?バンビーニだよオレ……」
「オレだって吸血鬼だけど、受け入れてくれたんだ。それにクアットロの事ももう言ってある。……一人嫌なやつは居るけど」

困ったように眉を顰めるジョシュア。それを見てなんだかおかしく思ったクアットロは笑みを零した。

「でもその人のこと好きなんだね」
「えっ……は!?」
「楽しそうだよ、ジョシュア」

否定出来ないのか「う、うるさい」とだけ言って手を引いていくその姿にクアットロがまた笑っていると。

「わ、笑うなー!」






「おや、あんたがバンビーニかい。ジョシュアもそうだけど……随分と男前だねえ」

 サラは大皿を軽々と片手で持ちながら豪快に笑う。
そう言われたクアットロは照れ臭くなったのか誤魔化すように皿を運ぶのを手伝い始めた。

「気が利くじゃないか。ありがとね」
「い、いえ……」

皿をテーブルへと置くとクアットロは気まずそうに視線を逸らす。
 バンビーニなんて誰でも恐ろしいに決まっている。一般的にホムンクルスの混血の吸血鬼ダンピールとはバレていないが戦闘員だとはバレているのだから、それはそれは恐ろしいだろう。
この屋敷の人達は他と違ってバンビーニがどういった存在なのかを知っているのだ。
無理をさせてしまっている。クアットロはそう心の中で呟くとジョシュアへと顔を向けた。

「ジョシュア、やっぱりオレ帰るよ」
「えっなんで?今から聞こうとしてるのに」
「オレはここに居ちゃいけないよ。……分かるだろ?」

自傷するようなその笑みに、ジョシュアは何も言えずに俯く。いくら大丈夫だと言ってもクアットロが気になるなら、無理やり引き止めることなど出来ない。
それに、みんなの優しさを信じて大丈夫だなんて言ったが、実際は恐れているのかもしれないと思うと……尚更。
 わかった、そう言おうとした時。サラがジョシュアとクアットロの頭にそれぞれ手を置いた。
二人して呆気に取られたようでぽかんと口を開けてサラを見つめている。

「何気にしてんだい。大丈夫って言ったら大丈夫なんだよ。それともなに、あたしを疑うのかい?」
「そ、そんなこと……!」
「じゃあアンタらは信じて、あたしらに飛び込んできな」

大丈夫だよ、と二人の頭をがしがしと豪快に撫でるサラ。
クアットロはきゅっと唇を結んで、溢れそうになるものを堪えた。
暖かい。ここは、暖かすぎる。火傷してしまいそうなほど……。
でもその温もりが心地よくて……クアットロは顔を伏せた。
早くここでみんなと暮らしたい。楽しいことを沢山したい。
そのためにも、恐れられることから逃げている場合ではない。

「あの、……どうしていいかが分からなくて。兄妹たち相手に説得のしようがなくて……」
「うーん、そうさねえ」

サラは考えるように腕を組んでうーーん、と首を捻った。

「もっと知る必要があるかもしれないね。よし、一度あたしらに話してみなよ、どんな兄妹か」

サラは近くの椅子に腰かけ、ほらほらと急かすように正面のソファを指さす。
クアットロは戸惑いながらも、ジョシュアと共に程よく柔らかいソファへと腰かけた。
兄妹のこと?そういえば、ちゃんと知ろうとしたことなんて無かったな。居るのが当然だし、人間と違って成長する訳でもないから性格もそのままだし。
あらためて、か。確かにもう一度ちゃんと考えることに意味があるかもしれない。

 やがて集まったのは屋敷に住む人間たち。
赤と青のオッドアイを持つ屋敷の主、アェルド。
大きな丸眼鏡にそばかすが特徴のカテリーナ。
アェルドの親友権従者の、茶色の目を持ち眼鏡をかけたブルーム。
アェルドの親戚であり、彼と同じく青と赤のオッドアイである三つ子のリァハ、ユゥア、シュア。
先程まで話していた、男勝りだが優しい性格で紫の髪と瞳を持つサラ。
青みがかった緑の髪に、少し鋭い水色の目でクアットロを睨むベリザリオ。
桃色の髪にベリザリオより濃い水色の瞳、柔らかい笑顔が特徴のメダルド。

約一名を覗いて歓迎はされているらしい。……不思議な話だが。
そんな面々を見渡して、クアットロは小さく息を吸った。

「長く、なるけれど​──」





「まず、ジョシュアの一つ上に当たる兄妹、十二番目ドーディチから」

虹のようにカラフルな髪を持ち、下がった眉と口から垂れる涎が特徴的な、兄弟の中でも少し変わった弟。

「彼は言っておくと中立派だと思う。楽しいことが見たいから、頑張ってほしいって言ってた。少し変わった奴だけど意外と話は通じるんだ。しっかりもしてる。少しでも進展すれば……もう一度説得してみるのもいいかもしれない」
「ドーディチ……まだ会ったことない」
「そうだね。まあジョシュアが会ったのは……オレとチンクエ、トレ姉さん、ウノ兄さんかな」
「そう思うと俺まだまだ会ってない人居るんだね。……話聞けるの、嬉しい」
「そう言ってくれるとオレも嬉しいよ。変わった兄弟だけど、大事だしね……さて、次は十一番目ウンディチ

銀色の髪を持ち、跳ね上げたような睫毛が特徴。
人と変わらない背丈の球体関節人形のエリーをこよなく愛する、これまた変わった弟。

「人形のエリーから少しでも離れると不安でパニックになるんだ。だからいつも一緒にいるし、組織もそれを許してる」
「なんでそうなったの?」
「分からない。出会った時からそうだった」
「出会った時?」

ああそうか、とクアットロは思い出したように呟く。

「オレたち兄弟の出会いを教えてなかったね。オレらは別々の部屋で一般知識を教えられて育った。戦闘の勉強をする時に初めて顔を合わせたんだよ。そこで初めて、兄妹というものがいることが分かったんだ」
「そうだったんだ」
「その時にはもうそれぞれの人格は出来ていたし、なぜそうなったのかは分からない事の方が多い。なんとなく分かる兄弟もいるんだけどね」

クアットロは軽く咳をすると、小さく呼吸を整えた。

「話を戻すね。……ウンディチはそんな奴だけど、案外ノリもいいし気さくなやつだよ。ただエリーが組織を離れられないから、という理由で行けないと言ってる。……エリーさえどうにか出来たら、こっちに着いてくれると思う」
「そりゃ困ったもんだね。どうにか出来たらいいんだけど」

サラがそう呟くとアェルドは口元に手を寄せながら考える素振りを見せる。
エリー、か。と小さく漏らしているようだった。

「その上が十番目ディエチ下の二人を変わった兄弟、って言ったけど、それよりも変わってるのがディエチ。簡潔に言えば多重人格なんだ。」

明るい茶色の髪にぱっくりと開いた瞳孔を持つ兄弟。
多重人格?とジョシュアは首を傾げる。

「一人の体に複数の人格があるんだよ」

ブルームがそう教えると、ジョシュアは理解出来たようだった。不思議そうなのは相変わらずだが。
それを見てクアットロは続ける。

「いつも人の骨を齧ってる」
「ひ、人の骨!?」

さらりと出てきた言葉にジョシュアは開いた口が塞がらない。なんで人の骨なんて齧ってるんだ……。とでも言いたげにクアットロを見つめる。
でもトレを迎えに来たバンビーニが、そんな物をくわえていた気がした。

「ディエチ自身は大人しい奴だよ。でもほとんど他の人格が出てるから、基本は騒がしいし狂気的だね。骨だって齧っているのか。言うこと聞いちゃうから上に気にいられてるし、本人もそれをどうとも思ってないようだから……説得は難しそう」
「まあ、組織の上の人間ならそういった人物は気に入りそうだね」

アェルドは頷きつつ、しかし納得はいかない様子で眉を顰めている。利用出来るものは全て利用する……その気持ちは分かるのだが。
クアットロはそんなアェルドを数秒見つめて、静かに問いかけた。

「……やっぱり、……分かりますか?」

アェルドはその問い掛けに首を傾げる。何が言いたい、と言うより先にクアットロは「次だけれど」と話を変えた。

「褐色肌に赤い髪の九番目ノーヴェ。彼女は珍しく赤目じゃないんだ」
「え?赤くない吸血鬼なんているの?」

不思議そうなメダルドにクアットロは優しく頷く。そして、「正確に言えば瞳孔は赤いんだけれど」と苦笑いを浮かべた。

「彼女は飄々とした性格でね。縛られるのが好きじゃないんだ。でもそんな彼女さえ組織からは離れようとしない。好きな時に若い女性の血が飲める、ってね」
「若い女性の血がいいの?」

ジョシュアからしてみれば特定の相手がいい、という感覚が分からない。血は皆一緒ではないのかとこれまた不思議そうに首を傾げている。

「いや、まあ年齢によって変わることはあるけれど……ほとんど好みじゃないかな。血を置いてもノーヴェは元から可愛い子を気に入ってはにする感じだし」
「エサ?」
「……言いづらいんだけれど、その……オレらは人間をエサとして捕らえている」

その言葉に一瞬場が動揺した。
 捕らえている?人間を、人間ともせずエサとして。
これには流石に全員がバンビーニの人格を疑ったが、そう育ったのならそれがだと信じ切るのだろう。それはとても悲しいことだが、それを踏まえても……これはなんとも、言えない。
 この場の中でも一人強い反応を見せたのは、やはりベリザリオだった。
隠しきれない……いや、隠すつもりすらない殺意がビリビリとクアットロの肌を刺激するようだ。

「テメェ……人をなんだと思ってやがる」
「……言い訳はしないよ。その通りだ、おかしい事をしている」

だがジョシュアにはどうしても、クアットロがそんな事をしているとは思えなかった。勝手なイメージだしクアットロだって吸血鬼……有り得ない話でも無いのかもしれないが。

「クアットロは、本当にその人たちのことをエサとしか見てないの?」
「……オレは、最初から疑問には思っていた。人は人だ。オレらはそんな人達に、許可を得てべきだと」

クアットロは、これは単なる言い訳に過ぎないのだが、と小さく言葉を加える。
両手の指を絡ませたその手を額へと押し当て、少し考えた後……ゆっくりと顔を上げ、重い口を開いた。

「オレは戦場で殺していく中、一部の人達をエサという名目で連れ帰り、保護している」
「保護……」

メダルドの言葉に、クアットロは複雑そうにその眉を顰める。

「そんなことを言っておいて、血は貰っているのだけれど。……はは、結局他の兄妹と変わらない」

どこか自傷的に笑ったあと、クアットロは小さくため息を吐き出した。

「……話を戻そう」

ジョシュアは複雑な感情を抱いていた。
他の兄妹と変わらない……その通りかもしれないが、自分からしてみれば確実に何かが違う気がする。
だが血を貰うことでしか生きていけないのだから、どうやってもそのエサと呼ばれる人達に協力してもらわなければいけない。
……つくづく、吸血鬼という事実が嫌になる。
こんなものでなければきっとクアットロだって今頃。
そんなこと、どうすることも出来ないのだが。


 クアットロは困ったように眉を下げる。

オット八番目……彼は、戦う中では一番の脅威と言えるだろう」
「えっ、チンクエより、ですか?」

驚いたカテリーナは思わずといった様子で声を漏らした。
ジョシュアとカテリーナ、この二人は実際にチンクエと戦っている。出会ったと言う意味でなら、ブルームも。
その中で痛感したのは、吸血鬼と人間の差。そしてジョシュアからしてみれば、大きな力の差だった。
ジョシュアはまだ反撃することが出来たが、それも暴走というものに近い。今正気のまま戦ったところで勝てる気はしない。
それらの様子を見て、クアットロはうーん、と難しそうに頭をかいた。

「そう。チンクエはあれでも三番目だ。一番上はウノ兄さん、ドゥエ兄さん。その次にオット、そしてその下がチンクエで、ほかの兄妹はその下。特に弱いのがオレだよ」
「力の差はどう生まれている?」

クアットロはアェルドに応えるようにそちらへと顔を向ける。

「元からです。生まれた時から、訓練する前からこの差があります。血を飲んでるか飲んでないかで勿論強くも弱くもなるけれど、それでも順位が動くことは無い」
「オット……厄介だな」

ブルームが困ったように額を押える。
チンクエ相手にも、隙を見て逃げることしか出来なかった。それにあれは遊ばれていたのだろう。本気でないことは分かる。

「オットは、怪力……それでは言い表せないほど、力が強い。いつも人の頭を片手で軽く潰している」
「片手……」

メダルドが恐れるように自身の体を抱きしめた。そんなメダルドに寄り添うようにベリザリオが肩を抱く。

「その上、無感情のせいでただ命令を聞く人形になってる。ディエチと一緒だね。色んな意味で一番、厄介な弟だよ」

さて次だけれど、と一息置いてクアットロは続けた。

「この二人は一度に行くね。七番目セッテ、六番目セイ。この二人は二人で一人だ。いつも一緒に居て、戦う時も二人で息のあった戦闘をしてる。性格は兄のセイは穏やかで大人しく、妹のセッテは基本ぼーっとしている」

桃色の髪のセッテに、紫の髪のセイ。
セイは右目の白目部分が、セッテは左目の白目部分が真っ黒だ。
その容姿からして出会った時に一番恐れられるだろう。

「二人の説得はどうだろう……セッテは言ったら着いてきてくれるかもだけれど、そもそも片割れであるセイがなんともいえない」

どういった心境なのかまるで読めない。敵か味方かすら。
そういう意味では説得は難しいだろう。

「次……五番目、チンクエ。まあ言わずとも戦闘狂で性格の面ではいちばん厄介とも言える。説得はまず無理だろうししようともしてないよ」

呆れたようにため息吐き出す。

「コイツは兄弟ですらエサなんだ。オレなんてよく血を吸われる」
「兄弟でそれは可能なのか」

アェルドが驚いたように目を丸くした。てっきり拒絶反応が出たり、最悪死んでしまうものだと。

「大丈夫みたいです。オレは飲んだこともないけれど、実際チンクエはピンピンしてるし」

ただでさえ病弱な弟から血を奪うなんて……クアットロは思わず人格を疑っていた。

「一番手のかかる弟だよ。なぜかオレが世話役にされるし、本人にやたら絡まれるし……」

あ、愚痴になってしまったね。とクアットロは不満を消すように首を横に振る。
言い始めたらきっと止まらない。

「そしてオレ、四番目のクアットロ。オレは兄弟の中で最弱だ。その上体が弱い。だからいざという時守ってあげられないんだ」

申し訳なさそうにジョシュアを見つめる。

「……ごめんね」
「そんな事ない。協力してくれるだけで嬉しいのに」

戦力としてじゃない。兄弟として、共に戦ってくれるのは本当に嬉しいことだ。
クアットロはそれに苦笑いを浮かべる。

「次は三番目、トレ。優しい姉さんだよ」

オットと同じく人束だけ白い黒髪に、ガスマスクを首に下げている。
アェルドは、ずっと気になっていたのだけれどとクアットロに向き直った。

「ガスマスクということは薬でも使うのか?」
「いや、あれはただのオシャレです」
「オシャレ」

アェルドが思わず聞き返す。
意味ないのか、アレ。

「可愛いって言ってずっと着けてます。まあ何かほかに理由があるのかもだけれど、オレらにはなにも」

アェルドはもしや薬でも使うのかと身構えたが……心配はないらしい。

「姉さんは……職員から性的虐待を受けていて、説得出来ると思ったんだけれど……それでさえ当たり前だと、思ってる」

カテリーナが悲しむように口元を押さえる。そんな、それが当たり前だなんて。
ちなみにジョシュアは性的虐待の意味は分からないが、それが良くないことだというのは周りの反応を見て分かった。

「あんな所から、連れ出したいのに」

悔しそうにクアットロが手に力を入れる。
そして力を抜くようにため息を吐いて顔を上げた。

「その次、二番目のドゥエは、今行方不明なんだ」
「どういう事だい?」
「拉致されたんです、何者かに。この間、どこかのマフィアだということは分かったけれど……だから説得も何も無い。もし説得したなら力にはなってくれると思う」

そして、と改めるようにクアットロはメガネを上げてみせる。

「ウノ……一番上の兄で、ドゥエ兄さんと共に最強。とても優しくて頼りになって……尊敬してる」

だけれど。

「協力は難しい。……というか、釘を刺された。何もするな、と」

協力してくれると当たり前に思っていただけにショックは大きかった。

「きっと兄さんは現状を分かっている。おかしいという事もきっと。それでも……協力はしてくれない」

どうして……とクアットロは俯く。
現状を理解しているのになぜ。疑問が頭を埋め尽くしていた。

ジョシュアは、そんなクアットロに声をかけることが出来なかった。


「……以上が、兄妹……バンビーニだ」

 情報量が多すぎて頭が追いつかないが……なんとなく知ることはできた。
説得がどれほど難しくて、その現状が厳しい事か、も。
当たり前のはずだったが少し期待をしていたばかりに、どうしても残念に思う。
 アェルドがふむ、と考えるように自身の口元に手を寄せる。

「今のところ可能性があるのは、条件さえ揃えばだが……ドーディチ、ウンディチ、トレ……といったところか」
「やはり厳しいな。いや、三人だけでも可能性があればまだいい方か」

ブルームは重いため息を吐き出した。
しかも確実ではない。あくまで条件が揃った末の可能性の話。そうなれば、まずはその条件を揃えるところからだ。

トレにはが嫌がってもいい事なのだと教えることからだろう。心の底からそれでもいいと思えるのなら別だが、あの閉鎖空間、組織員たちと共にいる限りまともに考えることすら難しい。
ウンディチはエリーのことをなんとかすればいいが、なぜを知る必要がある。それを何とか出来たなら、こちらへと着いてくれるはず。
そしてドーディチは、少しずつでも確実に進展さえすれば可能性はあるだろう。何を考えているかは分からないが、少なくとも今のところはそう考えてもいい。

これらは全て難しい話だが……希望はある。
 少しざわめく中。クアットロは指先で眼鏡を上げて、「もうひとつ」と右手の人差し指を静かに立てた。

「可能性があるとするのなら、それはオット、ディエチだと思う」
「え、でも難しいんじゃ……」
「あぁ、その通りだ。かなり難しい……でも騙したりとか無理矢理なら、仲間にすることも出来るかもしれない」

あの二人は命令を聞く従順さがある。それさえ利用できたなら、あるいは。

「無理矢理……」

ジョシュアはそれがどうしても悪い気がして目を伏せる。
結果彼らのためにもなる、と思いたいが、そもそも助けようというのは自分のエゴだ。そのために無理矢理騙すようなことをするのか。

「……利用するものは、すべて……」

いつかアェルドに言われた言葉を、自分に言い聞かせるように小さく呟く。
自分のために、彼らのためだと言い聞かせて騙す。
それで、本当にいいのだろうか。

でも決めたから。自分のエゴでも、戦争あんな場所から兄妹を助けると。
そのためには、例え兄妹だろうと利用する。

「……それも、出来るならしよう」

出来ること全部。
 ジョシュアの決意を固めたようなその目を見てクアットロも強く頷いた。

「じゃあ、どちらにしろこっちからも動かないとねぇ」

気合を入れるように二回手を鳴らして、サラが微笑む。
そしてクアットロへと目を向けた。

「あんただけに任せるつもりは無いよ」
「サラ、さん……」

ブルームも腰を伸ばすように立ち上がり気分を変えるように大きくため息を吐き出す。

「まずやるべき事は情報収集か。それは任せてくれ」
「しかしブルーム」
「頼むルチア」

アェルドの声を遮るように片手をあげるブルーム。
柔らかい表情で、しかし真っ直ぐに強い視線を向ける。

「手伝わせてくれ。無理はしない」
「​──吸血鬼のために体張るなんて間違ってる!」

ベリザリオの怒鳴り声が部屋に響く。怒りをこらえているのか拳を強く握って、隠しきれない殺気を放ちながらクアットロを睨み付けている。

「ジョシュアはまだ、まだ少しくらいなら譲れる。だがテメェは別だ。その力を利用して散々人を殺してきたテメェはな」
「それは違う!クアットロだって利用されてるんだ!」

ジョシュアも負けじと声を上げ、その視線から守るようにクアットロの前に立つ。
 ベリザリオは過去吸血鬼によって家族を失っている。その事もあり目の前に吸血鬼がいるということで冷静さを欠いてはいるが、間違ったことを言っている訳では無い。
クアットロがそれらをしてきた事は事実だ。どんな理由であれ、人を傷つけ命を奪ってきた。
ただ他の吸血鬼と一緒にするのは違うと、なぜかジョシュアは強く思った。
 二人が睨み合う中、クアットロがジョシュアの背後から出てベリザリオに真っ直ぐに向き合う。
そして、深く頭を下げた。

「身勝手なのは分かってる。そんな資格が無いことも。でも……でも、どうか許して欲しい。この先の人生全てできっと償うから」
「償うとか簡単に言うな!帰って来ないんだぞ!それはテメェが許されたいだけのただのエゴだ!」
「兄妹を助けたいんだ!」

クアットロは絞り出すように声を上げる。
そんな資格が無くても、クズ同然の吸血鬼でも。どうしても、兄妹を助けたい。一緒に、幸せになりたい。

「……たのむ……っ自分の意思で、生きて欲しいんだ。生きたいんだ」

もう、無知のまま言いなりになるのは嫌だから。
そんな彼を見つめた後、なにか言おうと口を開けるベリザリオの肩をアェルドは掴む。
そしてアェルドは静かに、頭を下げたままのクアットロを見つめた。

「お前たちが幸せになることを、こうして許さない者たちも居るだろう。それに向き合い、受け止める覚悟はあるか?」
「……はい。どんな罰でも受ける覚悟です。自分の意思で生きれるなら、それだけでも幸せだから」
「……ふむ、いい覚悟だ」

アェルドがベリザリオに視線を向けると、ベリザリオは悔しそうだが少しは許したようだった。
ジョシュアはほっと胸を撫で下ろすとクアットロに駆け寄る。

「クアットロ……!」
「ああ、ありがとうジョシュア。庇ってくれて嬉しいよ」
「そんな事いいよ。でも罰だなんて」
「仕方ない。それほどの事をオレらはしたんだよ」
「……だって……」

自分の意思で傷つけた訳じゃないのに。
だがそれ以上は言うのはやめた。どう声をかけたところできっとクアットロは自身の罪と真っ直ぐに向き合うだろうから。

 それにしても、やはり気に入らない。
吸血鬼たちを死に追い込んだくせに、今度はその力を利用するなんて。
人間そのものを恨んでしまいたくなるが、それでは吸血鬼というだけで罰した人間たちと一緒になってしまう。
堪えるしかない。今はただ、兄妹たちをたすけるために動かなければ。

アェルドはそんなジョシュアを見ると薄らと口元に笑みを浮かべた。

「あぁ、それでいい」





 月の光がすっかりと静まった町を照らす中、ブルームとベリザリオは歩いていた。
今日は情報を与えてくれるという人物に会いに来たのだ。いつかの彼とは違い、今回は今も尚クストーデに在籍している人物らしい。
そんな相手と繋がることが出来るのは非常にありがたい。なにしろ、リアルタイムで情報を得ることが出来るのだから。
今回も信頼出来る仲介人の紹介だ。安心は出来るが油断せずに行かなければ。
​──にしても。

「着いて来なくてもよかったんだぞ?」

 ブルームの隣を歩くベリザリオはそれはそれは不服そうに顔を顰めている。吸血鬼のために動くのが余程嫌なのだろう。
それほど癪ならば無理して着いてくること無かったのに。

「……お前が、また怪我して帰ったら……メダルドも心配する」
「はは、そうか。それは世話かけるな」

その理由はもちろんだろうが、ただブルームを心配して来てくれたというのもあるのだろう。
ブルームはなんだか嬉しくなって思わず頬を緩ませる。
 思えば、誰かと共に動く事など滅多にない。
一人の方が動きやすいのもあるが、そもそも共に動く相手がいなかったのだ。
なのに今はベリザリオが隣にいる。つい最近まで子供だと思っていたのだが……もうすっかり大人なのか。なんだか感慨深い。

「ありがとうな、ベル」
「……そんなんいい。さっさと終わらせるぞ」

相変わらずのツンとした態度にブルームはくすりと笑いを零す。
 やがてたどり着いたのは一軒の空き家。ここが、相手が指定してきた場所だ。
中に人の気配を感じる。一人……なのは確からしい。
バンビーニが居るとしたなら話は別だ。彼らは気配なんて簡単に殺せる。
しかし今は、信じるしかない。

「行くぞ」
「あぁ」

ブルームは鍵が開いているのを確認して、ゆっくりと扉を開く。
暗い室内を見渡すと部屋の奥にひとつの影があった。
顔を隠すように深くマントを被ってはいるが、どうやら若い男性のようだ。
ゆっくりと慎重に歩みよる。

「君が……クストーデの?」

マントの男は頷く。

「申し訳ないのですが、このままお話させてください。信用していないわけではないのですが、万が一にでも組織にバレてしまったら……」
「ああ、分かってる。それでいいとも」

男は安堵した様子で肩の力を抜くと、近くにあった椅子へと腰かける。
 今回聞きたいことはいくつかある。
バンビーニやクストーデの現状、ジョシュアにこだわる理由、エリーという名の人形の詳細、オットやディエチに接触できるか、など。
どれかひとつでも情報として入手しておきたい。

「なんでも、聞いてください。ボクに出来ることならなんだってします」
「その前にひとつ聞きたいのだが……君はなぜ、危険を犯してまで情報を渡すと決めてくれたんだい?」
「……助けたいひとがいるんです」

男は少し俯いて、組んだ手を額に押し当てる。
願うように指を絡めてゆっくりと力を込めていく。

「あんな所から、出してあげたい。あんな、酷い地獄で一生を過ごして欲しくない。だから、あなた達に協力すればいつかそれも叶うんじゃ、と思って」

男が顔を上げると、マントから僅かに見えるその顔は、自傷するかのように笑顔を浮かべていた。

「自分じゃ何もできないから」

ブルームはその様子を静かに眺めて、そしてふっと笑みをこぼす。

「なんだ、バンビーニは決して孤独ではないんだな」
「え?」
「そう思ってくれる人がクストーデに居たなんて思いもしなかった。なんだか、安心したよ。君のおかげでその人は救われているかもしれない」
「ボクが……救えている……?」
「ああ、きっとそうだよ」

男が嬉しそうに、そうかそうかと数回呟く。
 彼のような存在が居たとは思わなかった。クストーデは皆バンビーニを嫌っているものかと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
今後も協力者が増えてくれるといいのだが。

「あ、それで……何を話せばいいです?」
「ああそうだった。まずは……今、クストーデやバンビーニはどうしているか。どんな動きをしているかが知りたい」

自分たちに接触して来なくなったのはなにか理由があるのか。まるで嵐の前の静けさのようで、不気味だ。

「今バンビーニたちは戦争に行かないようになってます。クストーデの上の人間がそれを決めた。何よりも十三番目トレーディチを捕まえる事に集中しろって」
「トレーディチ……ジョシュアか」

ベリザリオがぽつりと零す。
 戦争を止めてまでジョシュアを捕らえたいのか。それほど戦力が欲しいのか?……いや、なにか違う気がする。
一人の戦力を欲しがって戦争を止めるより、今いる人数で現在も戦っている方が利益にはなると思うのだが。
まさかジョシュアがそれほど強いのか。それとも違う理由があるのか。
ブルームは少し考えてから静かに問いかける。

「なぜそこまでして彼を欲しがる?」
「ボクらにも分からない。ただ、上が欲しがってるんだ。多分、バンビーニのみんなも理由は知らないんじゃないかな」

ただ欲しがっている……言えない理由でもあるのだろうか?
 にしても、理由も知らず従うバンビーニたちのことも心配だ。戦争慣れしているのだろうが、自分たちよりも弱いはずの人間にそんなただの駒扱いをされて嫌だとは思わないのか。……いや、思えないのか。
生まれた時からそのような扱いをされては、それが当たり前だと思ってしまう。彼らにとってそれがなのだ。
だから自分たちより弱いはずの人間に従う。
もしそんな現状を不満に思ってるクアットロのような人物が居るのなら、話くらいはできるかもしれない。
が、クアットロからの話を聞く限りそう思ってはいたとしても動くつもりは無いらしい。
やはり今は少ない人数で動くしかないか。

「次だが……エリーという人形は知っているか?」
「ウンディチの大切にしてる人形ですね」
「彼はその人形があるから組織から離れられない、といっていたらしいのだが……その理由は分かるか?」
「離れられない?」

男は初めて聞いたかのように不思議そうに聞き返す。

「まさか、知らないのか?」
「えぇ、離れられないなんて……初めて知りました。彼がそう言っていたのですか?」
「ああ。クアットロが実際に本人から聞いている」

男が考えるように腕を組み小さく唸った。
まさかクストーデですら知らないとは。いや、きっと数人は知っているのだろうが、クストーデ全員では無いとは驚いた。そこまで情報共有はされていないのか?

「……もしかしたら、洗脳でもされているのかもしれないけれど……」

はは、と申し訳なさそうに男は笑う。

「すみません。なにしろ下っ端なもので。ボクはその理由を知らないです」
「そうか……」

こればかりはどうしようもない。まさか上の人間に聞けるわけもない……とりあえずこれは諦めよう。

「話を変える。オットやディエチと話すことは出来るか?」
「話す?なぜです?」
「彼らは従順だと聞いた。その従順さをどうにかして利用すれば、もしかしたらこちらに付いてもらえるかもと思ってね」
「ああ、なるほど。しかし話ですか……」

 そもそも、バンビーニたちが外に出る事は少ない。チンクエは出たがるのだろうが、基本は戦争以外で進んで出る者は居ないのだ。その理由はただ簡単で、
だからあの無機質な冷たい建物の中で過ごしている。外に出るなと強くは言われてないのに、外に出ない。
そんな中バンビーニと話すとなると、なんとかして外に出すことから始めなければいけない。

「外に出す理由が……特にあの二人は外に興味もありません。オットに感情は見えないし、ディエチは主人から離れようともしない。進んで出てくれればいいのですが……かなり難しいかも」
「そう、か……」

話さえ出来ればと思ったが……やはりそう簡単にはいかないか。
 うーん、とブルームは困ったように笑いながら窓の外に目を向ける。

「地道に、だな」






 無機質な部屋の中。クアットロは小さく膝を抱えていた。
あの温もりを知ってしまっただけに、一人でいると心が寒い。早くあの場所でみんなと一緒に過ごしたい。暖かいご飯を食べて、暖かい部屋で眠って。どうでもいいことで喧嘩したり笑ったり、そんな、の……。

 クアットロは込み上げてきた咳を我慢出来ずに大きく咳き込んだ。何かを吐き出しそうになって口を押さえると、覚えのある感触が手に広がる。恐る恐る見たその手から、血が滴り落ちた。
その手を震わせながら静かに見つめて、クアットロは強く手を握る。

「早く、しないと」

早く。早く。
急ぐ気持ちを抑えるように薄い布団にくるまって、祈るように手を握る。
……まだ、死にたくない。
散々殺してきた自分が何を言っているのか。
なんだかおかしくなって小さく笑うと、枕に顔を埋めた。

「誰か……」

誰でもいい。ここから出してくれ。
オレにはもう、時間が​──。



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