とある公爵の独白

吏人

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独白13

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「何よそれ!聞いたことないわ!」
「ええ、最近できた魔法ですからね。」
「安心してください。危険な魔法ではありません。ちょっと脳に直接魔力を送るので痛みはありますが。」

魅了魔法を応用することでできたこの魔法は脳の深層心理に直接魔力を流し込み自白させるというもので、これまで死刑囚などの罪人を使ってやっと人が死なない位までの制度になったのだ。しかし流石になんの証拠もない証言もない状態では王はシャルル妃への魔法の使用を許さず、やっと毒殺のことを知っていたことで魔法を使うとこができるのだ。

「陛下、シャルル妃に自白魔法を使う許可を」
「へ、陛下!お助けください!」
「いいだろう、許可する。」
「陛下?!何故です?!」
「アルフレッド流石にこの場では娘もいるし勘弁してくれ。」
「それもそうだな。陛下尋問室を使わせて頂きます。」
「ああ」

アルフレッドは嬉嬉としてシャルル妃を連れて尋問室へと行った。リュシアード殿下は何がなんだか分からない様子で私と陛下を交互に見ていた。

「さてリュシアード殿下、王妃様への疑惑も晴れたことですし婚約破棄の責任も殿下にあることが分かりましたね。どう責任を取りますか?」
「そ、それは…」
「ああ、それと勘違いをしていらっしゃるようなので教えて差し上げます。リュシアード殿下貴方の母君はソフィア様ではありませんよ。」
「え?」
「ソフィア様の髪色はなんですか?」
「金髪だ。」
「そうです。陛下も金髪、では殿下の髪色は何色でしょう?」
「く、黒髪…」

幼子に話すように1つ1つ教えて差し上げる。殿下の教育係は給料泥棒だったようだな。少しづつ自分の母親が誰か分かり始めた殿下は顔色が悪くなる。まあ誰も教えてないからな。ある意味可哀想なのかも、まあそれを帳消しにできるくらいのことはしてるんだがな。

「で、でもだったらなんで…いつも私は王妃様に叱られてばかりだった!兄上は褒められるのに!」
「それは貴方が勉強をサボって遊んでばかりいたからでしょう。王妃様は将来殿下の後ろ盾になるように本来なら王太子殿下と婚約する筈だったクレアを自ら頭を下げて殿下の婚約者としたのです。」
「う、嘘、嘘だ…」
「実の母とを引き離しシャルル妃なんかに教育を任せたこと。我々は殿下に謝らなければならい。申し訳ありませんでした。」

私が頭を下げると、今まで沈黙を貫いていた王妃様が話し始めた。

「公爵頭を上げてください。全ては王命とはいえ我が子を手放した私のせいです。私は母としてリュシアードと話さなければならなかったのにそれを避けていた。」
「王妃様…」
「リュシアード、私は貴方に立派になって欲しくて家庭教師を選んだり、貴方を叱ったりしました。クレアを婚約者に選んだのもきっと貴方のことを支えてくれると思ったからです。しかし貴方はクレアに自分の役目全てを押し付け怠惰な日々を送ってきた。それは王妃として母として決して許せることではありません。」
「…王妃様」
「……フォード公爵この愚かな母の願い聞き届けてはいただけないでしょうか?」
「なんでございましょう。」
「どうかリュシアードにチャンスをいただけないでしょうか?」
「え?…母上?」
「この子がこうなったのも私と陛下そして大人達のせいでもあります。どうかやり直す機会を…」
「確かに、我々にも責任がありますね…」
「公爵、私からもお願いします。今後弟がこのようなことをしでかさないように私もしっかり管理します!ですから…」
「お父様…私からもお願いします。17年間殿下と婚約して悪い思い出ばかりではありません。」

はぁ仕方ないな。本当なら平民に落としてから野盗にでも襲わせようと思っていたが…王妃様王太子殿下は勿論ながら娘まで殿下にチャンスを与えるとは…

「今回私は殿下に何かされた訳ではありませんし、娘がいいと言うならフォード公爵1度だけ殿下を許しましょう。しかしクレアを傷つけた学園に入学してからの2年間その分は無償で奉仕活動して頂きます!しっかり罪は償ってください。」
「「ありがとう。感謝します。」」
「あ、ありがとうございます…それとクレア申し訳なかった。」

王妃様達に続きリュシアード殿下も深々と頭を下げます。やっとクレアに謝りましたね。優しいクレアは微笑みながら許している。ああいい子だ

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次回最終回です!
この物語そもそも誰が悪いのか…


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