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1-3 はじめての異世界(地球)飯1
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彩姫が帰った為、今日やらなければならない事が全て終わったかと言えば当然そんな事はない。
まだ彼女達が住む部屋も決めて無ければ、風呂に入ったりトイレ等必要な箇所の説明もしていないのだ。
……いや、そんな事よりも。
現在の時間を考慮するに、まず優先すべき事がある。それは──
と、ここで。何ともタイミングの良いことか、リウのお腹から『く~』という可愛らしい音が聞こえてくる。
反射的に皆の視線がリウにいき、その視線の先で、リウは少しだけ頬を赤く染める。
「……おなかが……なった」
それを受け、桔梗は微笑みながら頷くと、
「よし、とりあえず夕飯にするか」
「ごはんーーーーー!!!!」
ラティアナが飛び回る。
「……桔梗の世界のご飯……楽しみ」
「メニューは何すか!?」
両の手をぶんぶんと振りながら目を輝かせるシア。
「うーんそうだな」
これからまだやらなければならない事がある事を考えれば、手の込み過ぎた料理は少々しんどいか。
かと言って、彼女達の地球初料理が手抜きのものでは何となく味気無い。
……何か、丁度良い塩梅のものは無いかな。
うーんと悩む事数秒。良いものを思いついたとばかりに、桔梗はハッとすると、
「よしっ、じゃあハンバーグにするか」
「おにくーー!!」
異世界でもハンバーグを作った事がある──とは言え、材料が結構違う為、日本のものとは全くの別物であるが──為、ハンバーグを肉だと認識したラティアナがはしゃぐ。
何となく妖精族と聞けばベジタリアンなように思うかもしれないが、決してそんな事はなく、彼女は肉好きの雑食だ。
「桔梗様……手伝いますわ」
桔梗がキッチンへと向かうと、その横へルミアがぴったりとつく。
彼女は第二王女という立場でありながら、家庭的なのだ。
「ありがと、ルミア。じゃあ玉ねぎのみじん切りをお願いしようかな」
「わかりましたわ!」
やる気満々なのだろう、ルミアは眼前で小さくガッツポーズをする。
するとそんな彼女に感化されたのか、他の少女達も桔梗の元へとやってくる。
「桔梗……手伝う」
桔梗の服をちょこんと摘み引っ張りながら、リウが静かに言う。
「おっ、よしじゃあリウにはテーブルとお皿の準備をしてもらおうかな」
「……わかった」
「らてぃもおてつだいする!」
「ラティはリウの準備を手伝ってあげてね」
「わかったー!」
「ご主人! 私は!」
尻尾をぶんぶんと振り、期待の篭った眼差しを向けるシア。
そんな彼女を一瞬目に収めた後、視線を手元へと戻すと、
「……あー、じゃあシアには──ハンバーグが美味しくできるように祈っててもらおうかな」
「了解っす! ……美味さに祈りは必要不可欠──って、何で私だけ脇役なんすか!? もっと直接関わらせて欲しいっすよ!」
「そうは言っても……ねぇ」
桔梗は何とも言えない表情を浮かべる。
ご存知の通り、シアは白狼族である。
白狼族と言えば身体能力の高さが特徴であるが、彼女はそんな白狼族でも逸材と呼ばれる程の身体能力の持ち主だ。
しかし、何故か皿を持たせればコケて割り、ならばと料理の一部を任せればその料理をダークマターへと変えてしまうのだ。
「……シアは……ダークマター職人」
人間換算で9歳であるリウからしても酷かったのだろう。ボソリと呟く。
そんなリウの言葉、そして誰一人として擁護してくれる人が居なかった事もあり、シアは腕を目元へと持っていくと、
「ううっ……ひどいっす……私だけ仲間外れっす……」
言いながら嘘泣きを始める。
……んーまぁでも、確かに1人だけ何もないのはかわいそうか。
桔梗は思う。幾ら彼女が極度のドジっ子属性を兼ね備えた少女だとしても、流石に彼女だけ座って待ってろというのは少々気の毒である。
……うーん、何かないかな。
悩み、悩み。
……そうだ。
良いことを思いつく。
「よし、ならハンバーグとは別に、もう一品を一緒に作ろうか」
「……桔梗……ダークマター……できない?」
桔梗の提案に、リウが不安そうな声を上げる。
当の本人であるシアも、嘘泣きを止めると、苦笑いを浮かべる。
「私本人が言う事じゃないかもっすけど……辞めた方が良いような気がするっす」
「大丈夫大丈夫。めっちゃ簡単なものだから。それに僕もしっかり手伝うしね」
言って、シアへと笑いかける桔梗。
と、ここでタイミング良くルミアが声を上げる。
「……桔梗様。みじんぎり終わりましたわ」
「流石ルミア。よし、じゃあ次はみじんぎりした玉ねぎを飴色になるまで炒めてもらって良い?」
「お安い御用ですわ! 桔梗様、まな板と包丁は……」
洗った方が良いのか。そう尋ねるルミアに、桔梗はにっこりと悪戯っ子のような笑みを浮かべると、
「あ、そのままで良いよ。今からシアが使うからね」
「うぇぇぇぇぇーーーー!?!?」
シアの絶叫が室内にこだました。
まだ彼女達が住む部屋も決めて無ければ、風呂に入ったりトイレ等必要な箇所の説明もしていないのだ。
……いや、そんな事よりも。
現在の時間を考慮するに、まず優先すべき事がある。それは──
と、ここで。何ともタイミングの良いことか、リウのお腹から『く~』という可愛らしい音が聞こえてくる。
反射的に皆の視線がリウにいき、その視線の先で、リウは少しだけ頬を赤く染める。
「……おなかが……なった」
それを受け、桔梗は微笑みながら頷くと、
「よし、とりあえず夕飯にするか」
「ごはんーーーーー!!!!」
ラティアナが飛び回る。
「……桔梗の世界のご飯……楽しみ」
「メニューは何すか!?」
両の手をぶんぶんと振りながら目を輝かせるシア。
「うーんそうだな」
これからまだやらなければならない事がある事を考えれば、手の込み過ぎた料理は少々しんどいか。
かと言って、彼女達の地球初料理が手抜きのものでは何となく味気無い。
……何か、丁度良い塩梅のものは無いかな。
うーんと悩む事数秒。良いものを思いついたとばかりに、桔梗はハッとすると、
「よしっ、じゃあハンバーグにするか」
「おにくーー!!」
異世界でもハンバーグを作った事がある──とは言え、材料が結構違う為、日本のものとは全くの別物であるが──為、ハンバーグを肉だと認識したラティアナがはしゃぐ。
何となく妖精族と聞けばベジタリアンなように思うかもしれないが、決してそんな事はなく、彼女は肉好きの雑食だ。
「桔梗様……手伝いますわ」
桔梗がキッチンへと向かうと、その横へルミアがぴったりとつく。
彼女は第二王女という立場でありながら、家庭的なのだ。
「ありがと、ルミア。じゃあ玉ねぎのみじん切りをお願いしようかな」
「わかりましたわ!」
やる気満々なのだろう、ルミアは眼前で小さくガッツポーズをする。
するとそんな彼女に感化されたのか、他の少女達も桔梗の元へとやってくる。
「桔梗……手伝う」
桔梗の服をちょこんと摘み引っ張りながら、リウが静かに言う。
「おっ、よしじゃあリウにはテーブルとお皿の準備をしてもらおうかな」
「……わかった」
「らてぃもおてつだいする!」
「ラティはリウの準備を手伝ってあげてね」
「わかったー!」
「ご主人! 私は!」
尻尾をぶんぶんと振り、期待の篭った眼差しを向けるシア。
そんな彼女を一瞬目に収めた後、視線を手元へと戻すと、
「……あー、じゃあシアには──ハンバーグが美味しくできるように祈っててもらおうかな」
「了解っす! ……美味さに祈りは必要不可欠──って、何で私だけ脇役なんすか!? もっと直接関わらせて欲しいっすよ!」
「そうは言っても……ねぇ」
桔梗は何とも言えない表情を浮かべる。
ご存知の通り、シアは白狼族である。
白狼族と言えば身体能力の高さが特徴であるが、彼女はそんな白狼族でも逸材と呼ばれる程の身体能力の持ち主だ。
しかし、何故か皿を持たせればコケて割り、ならばと料理の一部を任せればその料理をダークマターへと変えてしまうのだ。
「……シアは……ダークマター職人」
人間換算で9歳であるリウからしても酷かったのだろう。ボソリと呟く。
そんなリウの言葉、そして誰一人として擁護してくれる人が居なかった事もあり、シアは腕を目元へと持っていくと、
「ううっ……ひどいっす……私だけ仲間外れっす……」
言いながら嘘泣きを始める。
……んーまぁでも、確かに1人だけ何もないのはかわいそうか。
桔梗は思う。幾ら彼女が極度のドジっ子属性を兼ね備えた少女だとしても、流石に彼女だけ座って待ってろというのは少々気の毒である。
……うーん、何かないかな。
悩み、悩み。
……そうだ。
良いことを思いつく。
「よし、ならハンバーグとは別に、もう一品を一緒に作ろうか」
「……桔梗……ダークマター……できない?」
桔梗の提案に、リウが不安そうな声を上げる。
当の本人であるシアも、嘘泣きを止めると、苦笑いを浮かべる。
「私本人が言う事じゃないかもっすけど……辞めた方が良いような気がするっす」
「大丈夫大丈夫。めっちゃ簡単なものだから。それに僕もしっかり手伝うしね」
言って、シアへと笑いかける桔梗。
と、ここでタイミング良くルミアが声を上げる。
「……桔梗様。みじんぎり終わりましたわ」
「流石ルミア。よし、じゃあ次はみじんぎりした玉ねぎを飴色になるまで炒めてもらって良い?」
「お安い御用ですわ! 桔梗様、まな板と包丁は……」
洗った方が良いのか。そう尋ねるルミアに、桔梗はにっこりと悪戯っ子のような笑みを浮かべると、
「あ、そのままで良いよ。今からシアが使うからね」
「うぇぇぇぇぇーーーー!?!?」
シアの絶叫が室内にこだました。
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