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十七歳童貞彼女なし 最後にキャバクラに行きたかったです

チートで自堕落生活②

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 ああ、なるほどそういうことか! こいつの魂胆がわかったぞ!
 わかったところで連れて行くつもりなんてないがな。

 まぁどっちみちこんなアサルト女神連れてったら俺のスローライフは一気に碌でもないボロボロな生活になるだろう。
 引っ掻き回されて終わりだ。
 それに何より。

「誰が選ぶか、バカが! 俺は忘れてないぞ! お前が俺を笑ったのを! ハハハハハ! こんな所で復讐のチャンスが来るなんてな! 分かっているぞ、脳筋なお前にデスクワークだというこの天界はさぞかし窮屈だろうな! お前は永遠に隅っこで蹲ってるといいさ! みんながパソコンを押す音を耳にパンの耳でも齧ってろ! ハーッハハハハ!」 

「うぅぅぅっ! なんでそんな意地悪言うの⁉︎ 私こんなに世界を良くしようと思ってるのに! 私が行けば、皆んな私にお金をくれるわ! ご飯もくれるかもしれない! いいえ、絶対くれるわ! それでいいじゃない! それで思う存分、自堕落で情けない生活を送ればいいじゃない! それがいいじゃない!」

「ブワぁぁぁか! お前に金を寄越す信者は絶対碌な奴じゃない! 供物もプロテイン一択だ!」

「そ、そんなことないわよ! 皆んないい子達なの! 確かにすこしだけ体を鍛え気味なところもあるわ! でもいい子達なの!」

「いい子達だから、が免罪符になると思うなよ! そして尚更信用できない! いいか、俺はお前なんて連れて行かない! 俺は真っ当な恩恵を受ける!」

「わ、私が真っ当じゃないって事⁉︎ し、信じられないわ。貴方頭おかしいんじゃない……?」

「こ、こいつ……!」

 やっぱりこいつを選んで異世界でエラい目に合わせてやろうか……って落ち着け! 落ち着くんだ、俺! 
 俺はカ○マのようにはならない! 
 
 俺は大きく深呼吸をする……そしてタブレットを高速でスライドさせていく。
 
 くそ、やっぱり碌なのがない。だが、諦めない!
 女神がなんか言ってるけど無視だ!
 
 そして遂に、俺はそれを見つける。

「こ、これだぁぁぁああああ!」

「ちょっと! 無視しないでよ!」

「俺はこれで、このチートで異世界を生きていく!」

 タブレットに表示されている文字は『特殊錬金術』。
 効果は大量の魔力があれば、なんでも作り出せる。そして魔力の大幅補正あり、というサービスまである! なんと言う至れに尽せり! ある意味鉄板、しかしわかりやすく俺の目的にピッタリ!
 
 まだ進出してない地球のものを作って売る。もしくは効果の高いポーションでも作って売る!
 そして俺は自堕落生活だ!
 これ以外にない!

 って、いつまで不貞腐れてんだ、アサルト女神。

「おい、決まったぞ。さっさとしろ」

「うぅぅ! ––––あ、そうだわ!」

「ん?」

「あ、なんでもないわ! いいわ、これでいいのね?」

「あ、ああ」

 な、なんだ? 嫌な予感がするぞ。

「なんか変な事考えてないか?」

「い、いいえ? そんなこと全く、これっぽっちもないわよ! なーに行ってるのかしらね、このロボットは!」

「ロボット言うな! もういい! お前とはもう話したくない! さっさと異世界に送れ!」

 こいつと居るとイライラする! 
 碌でもないことを考えてるのは間違い無いが、これから異世界に行く俺には関係無い。

「じゃあ行くわよ」

 女神は大きく手を広げると、今までない程いい笑みを浮かべた。
 皮肉なことにそれは俺が見た中で一番女神っぽい感じだった。
 
 やっぱり性格とか全く見なかったら見てくれはいいよな。
 チャイナ娘っぱい外見はとても映える。
 本当に勿体ないやつだ。

 床に魔法陣が広がる。それはこの部屋中に広がり、神秘的な輝きを持っていた。 
 思わず見惚れてしまうくらいに。
 そして、光が臨界点に達した時。

「あなたの歩む人生が今度こそ、良きものになりますように」

「ああ……」

 決め台詞のようなものだろう。
 俺の体が薄れていく。転移が始まったのだ。
 もう会う事はないこの女神。
 なんだかんだいって。こいつとのやり取りは久しぶりに面白かった。
 バイト漬けで友達なんて一人もいなかった。いたのはバイト仲間のおっさん達。
 
 そう思うと、不覚にも少しだけこの女神を選んでれば良かったと思ってしまった。
 それはそれで面白そうな人生になっただろう。
 ……でも終わったことだ。
 俺はこのチートで今度こそ楽に生きる!

「では、行ってらっしゃい」

「ああ! 行ってく–––」

 体が消える寸前、俺も最後くらい笑みを返そうと、女神を真正面から見た。
 その表情は、

「––––っ」

 何ともまぁ、およそ女神がするはずない悪辣な笑みを浮かべていた。

 思えば、ここでしっかり問い詰めていれば、俺が苦労する事もなかっただろう。

 こうして俺は大いなる期待と、一抹の不安とともに異世界に、とびきりのチートを持って転移した。

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