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夜のカフェテラス
ゴッホ展
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入って一番最初の正面にあった絵。
夜のカフェテラスだ。
なんて綺麗な絵なのだろう。
星が散りばめられた青い空とカフェテラスを彩る黄色のコントラスト、奥行きを感じる暗がりとのバランスも本当に素晴らしい。
俺のような素人が見ても分かる。
萱島先生、本物を見たかっただろうな。
もっともっと、じっくり見たい。
吸い寄せられるように長い時間眺めていた。
「陽太、まだ他にも沢山あるから。」
そう耳元で静かに声をかけて貰って、やっと足を進める。
とても気分が高揚している。
どの作品も見応えがあるのだ。
一緒に来てくれた朝日に、小声で夢中に話しかけながら楽しんだ。
もしかしたら自分だけでこの感動と高揚を味わう事になっていたかもしれないと思うと感謝しかない。
見終わってグッズも買って外に出た頃には三時間ほど経っていて、とっぷりと日が暮れていた。
じっくり見たため疲れたが満足感で心地がよい。
休憩ついでに夕御飯を食べようということで、美術館を出て直ぐの道沿いにあるカフェに入る。
店員に外にあるテラスも提案されたが、寒いので店内にしてもらった。
「あー、凄かったー。」
「そうだな見応えがあって、素人でも凄い事が分かる絵だった。」
「ですよね!凄い引き込まれて、時間があっという間でした。夜のカフェテラス綺麗だったなあ。」
頼んだクリームパスタを頬張ると美味しくて何かのスイッチが入ったのか腹が、くぎゅう、と鳴った。
テーブルの向かいから、ぶはっと盛大な笑い声。
「くぎゅうって。」
「気のせいです。」
「いーや、鳴った。俺は聞いた。」
恥ずかしすぎる。
クスクスと笑いながらカレーを食べる朝日は、店内の黄色がかった照明で目鼻立ちが強調され、イケメン度合いが増している。
…今日楽しかったな。
ふと今日の自分を振り替えった。
道中の車内から見た街中のクリスマスの様子にテンション上がって、はしゃいでベラベラ喋ってた気がする。
それに美術館でも興奮してアレが凄いコレが凄いと連れ回した気がする。
グッズ売り場では、これが良いかな、こっちが良いかもと夢中で選んでしまった。
だって、とても楽しかったのだ。
なんだか余計恥ずかしくなり、誤魔化すようにカフェでも沢山喋った。
「もう、お腹ぱんぱん。」
食べ終わり店内から出た。
日が暮れたため、より寒い。
空気が凍ってる。
「会計ありがとうございました。」
「チケット代浮いてるし、高校生に奢ってもらうようなヤバいアラサーになりたくないからな。」
確かに。
自分が25才になった時に、高校生に奢らせるような大人になっていたら嫌だ。
寒いため急いで車に戻ろうとしたが、こっちおいでと呼び止められる。
「陽太、ここからアッチの方見てみ。まあ、本物そっくりとはいかないけど。」
「?」
駐車場の方ではなく石畳の歩道に誘導され、アッチの方と指差された方を見てみた。
あ。
これ。
歩道沿いにあるのは黄色い照明で照らされたカフェテラス。
星も少しだけ見える。
「夜のカフェテラスみたい!」
「だろ?」
切れ長の目を緩ませクシャっと笑った笑顔がとても眩しかった。
夜のカフェテラスだ。
なんて綺麗な絵なのだろう。
星が散りばめられた青い空とカフェテラスを彩る黄色のコントラスト、奥行きを感じる暗がりとのバランスも本当に素晴らしい。
俺のような素人が見ても分かる。
萱島先生、本物を見たかっただろうな。
もっともっと、じっくり見たい。
吸い寄せられるように長い時間眺めていた。
「陽太、まだ他にも沢山あるから。」
そう耳元で静かに声をかけて貰って、やっと足を進める。
とても気分が高揚している。
どの作品も見応えがあるのだ。
一緒に来てくれた朝日に、小声で夢中に話しかけながら楽しんだ。
もしかしたら自分だけでこの感動と高揚を味わう事になっていたかもしれないと思うと感謝しかない。
見終わってグッズも買って外に出た頃には三時間ほど経っていて、とっぷりと日が暮れていた。
じっくり見たため疲れたが満足感で心地がよい。
休憩ついでに夕御飯を食べようということで、美術館を出て直ぐの道沿いにあるカフェに入る。
店員に外にあるテラスも提案されたが、寒いので店内にしてもらった。
「あー、凄かったー。」
「そうだな見応えがあって、素人でも凄い事が分かる絵だった。」
「ですよね!凄い引き込まれて、時間があっという間でした。夜のカフェテラス綺麗だったなあ。」
頼んだクリームパスタを頬張ると美味しくて何かのスイッチが入ったのか腹が、くぎゅう、と鳴った。
テーブルの向かいから、ぶはっと盛大な笑い声。
「くぎゅうって。」
「気のせいです。」
「いーや、鳴った。俺は聞いた。」
恥ずかしすぎる。
クスクスと笑いながらカレーを食べる朝日は、店内の黄色がかった照明で目鼻立ちが強調され、イケメン度合いが増している。
…今日楽しかったな。
ふと今日の自分を振り替えった。
道中の車内から見た街中のクリスマスの様子にテンション上がって、はしゃいでベラベラ喋ってた気がする。
それに美術館でも興奮してアレが凄いコレが凄いと連れ回した気がする。
グッズ売り場では、これが良いかな、こっちが良いかもと夢中で選んでしまった。
だって、とても楽しかったのだ。
なんだか余計恥ずかしくなり、誤魔化すようにカフェでも沢山喋った。
「もう、お腹ぱんぱん。」
食べ終わり店内から出た。
日が暮れたため、より寒い。
空気が凍ってる。
「会計ありがとうございました。」
「チケット代浮いてるし、高校生に奢ってもらうようなヤバいアラサーになりたくないからな。」
確かに。
自分が25才になった時に、高校生に奢らせるような大人になっていたら嫌だ。
寒いため急いで車に戻ろうとしたが、こっちおいでと呼び止められる。
「陽太、ここからアッチの方見てみ。まあ、本物そっくりとはいかないけど。」
「?」
駐車場の方ではなく石畳の歩道に誘導され、アッチの方と指差された方を見てみた。
あ。
これ。
歩道沿いにあるのは黄色い照明で照らされたカフェテラス。
星も少しだけ見える。
「夜のカフェテラスみたい!」
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