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(ホラー短編)アイドルは年を取らない
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私はアイドル。
永遠に可愛いアイドル。
えっ。
『永遠』なんて存在しない?
どんな人間にも
『劣化』
のときは来る?
『劣化』
ヒドイ言葉だよね。
他人に対して『劣』の付く言葉を投げてはいけないと思う。
まあ、私は平気だけど。
私は『劣化』とは無縁のアイドルだから。
私は『年を取らない』の。
えっ。
うらやましい?
あなたも『年を取りたくない』の?
そう。
私みたいになりたいんだ……?
でも、あまりお勧めできないなあ。
何故って、私は『アイドル』で。
あなたは『一般人』でしょう?
だから私があなたより優れていると言うつもりはもちろんない。
けど、私の方が、『私の存在を知っている人』がずっとずっと多い。
つまりは私の場合は、あなたの何万倍の人が、
『あの子は、年を取らない』
と認識してくれるの。
『年を取らない』と感心してくれるヒトがたくさんいてこそ、『年を取らない』ことに多くの価値を見いだせるんじゃないかなあ……
だから私よりずっと『知ってくれる人』が少ないあなたには、私と同じ状態になることをお勧めできない。
あっ。
そう言えば今日、私、テレビに映るんだ。
ほら、ね。
出てきた。
コンサート中の私。
すごく綺麗でしょう。
この衣装、気に入っていたんだ。
踊る私が映る画面の端には
『美しき、永遠の17歳』
『自殺の理由とは』
そんな文章が書かれている。
私の『生前』の様子をしばらく流してから、私について、テレビの中の皆が話し始める。
皆が――アイドル仲間、芸能界の友達、ファンだった人など――私の自殺について、しんみりと語る。
『何故?』と……
『わからない』と……
わかるわけないよ。
私は『ヒント』を残さずに逝った。
『ミステリー』であればあるほど、人々は私のことを忘れない。
私、ちゃんと分かっていた。
――
私は17歳で、
人気絶頂時に死んだ。
何故死んだかは、誰にもわからない。
永遠に美しく――いつまでも美しく、
永遠に死の謎が解けない――いつまでも話題が尽きない。
私は『年を取らない』偶像。
――終――
永遠に可愛いアイドル。
えっ。
『永遠』なんて存在しない?
どんな人間にも
『劣化』
のときは来る?
『劣化』
ヒドイ言葉だよね。
他人に対して『劣』の付く言葉を投げてはいけないと思う。
まあ、私は平気だけど。
私は『劣化』とは無縁のアイドルだから。
私は『年を取らない』の。
えっ。
うらやましい?
あなたも『年を取りたくない』の?
そう。
私みたいになりたいんだ……?
でも、あまりお勧めできないなあ。
何故って、私は『アイドル』で。
あなたは『一般人』でしょう?
だから私があなたより優れていると言うつもりはもちろんない。
けど、私の方が、『私の存在を知っている人』がずっとずっと多い。
つまりは私の場合は、あなたの何万倍の人が、
『あの子は、年を取らない』
と認識してくれるの。
『年を取らない』と感心してくれるヒトがたくさんいてこそ、『年を取らない』ことに多くの価値を見いだせるんじゃないかなあ……
だから私よりずっと『知ってくれる人』が少ないあなたには、私と同じ状態になることをお勧めできない。
あっ。
そう言えば今日、私、テレビに映るんだ。
ほら、ね。
出てきた。
コンサート中の私。
すごく綺麗でしょう。
この衣装、気に入っていたんだ。
踊る私が映る画面の端には
『美しき、永遠の17歳』
『自殺の理由とは』
そんな文章が書かれている。
私の『生前』の様子をしばらく流してから、私について、テレビの中の皆が話し始める。
皆が――アイドル仲間、芸能界の友達、ファンだった人など――私の自殺について、しんみりと語る。
『何故?』と……
『わからない』と……
わかるわけないよ。
私は『ヒント』を残さずに逝った。
『ミステリー』であればあるほど、人々は私のことを忘れない。
私、ちゃんと分かっていた。
――
私は17歳で、
人気絶頂時に死んだ。
何故死んだかは、誰にもわからない。
永遠に美しく――いつまでも美しく、
永遠に死の謎が解けない――いつまでも話題が尽きない。
私は『年を取らない』偶像。
――終――
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