童話、児童文学集

toku

文字の大きさ
上 下
2 / 3
↑新着順(上へ行くほど新しい)

森のホットケーキ屋さん

しおりを挟む
 あいちゃんはムカついたとき、森のホットケーキ屋さんへ行きます。 
 ホットケーキ屋さんはあいちゃんの目の前でホットケーキを作りながらあいちゃんの話をよく聞き、熱々のホットケーキをお皿に乗せて、
「そんな嫌な奴はホットケーキ」
 そんなことを言って、お皿をあいちゃんに渡してくれます。

 あいちゃんはクスッと笑って、ホットケーキを食べます。
 すると、何だか『落ち着く』のでした。


 ある日、あいちゃんはまたムカつくことがあって、森のホットケーキ屋さんへ行きました。
 するとホットケーキ屋さんは落ち込んだ様子です。
「どうしたの?」
 尋ねると、奥さんとケンカしてしまい、奥さんは子どもを連れて実家に帰ってしまったそうです。

 いつもホットケーキ屋さんに慰めてもらっているあいちゃんは、何とかホットケーキ屋さんを励ましたいと思いました。
 代わりにホットケーキを焼こうか……?
 でも
『奥さんのことなんてホットケーキ』
 なんて言って、渡すわけにはいきません……
 
 あいちゃんは考えました。

 そして、閃きました。

 あいちゃんはホットケーキ屋さんがいつも使っているホットプレートに、生地を薄く流しました。
 そして、破れないように気を付けてお皿に移すと、生クリームとバナナとチョコレートを入れて包み、ホットケーキ屋さんに、
「元気を出してクレープ」
 と手渡しました。

 ホットケーキ屋さんは笑顔になりました。


 ――

 その後、ホットケーキ屋さんは『クレープ』も作り始めました。
 もちろん奥さんと仲直りして、家族皆で暮らしています。

 あいちゃんはやはり自分で作るよりホットケーキ屋さんのプロの『クレープ』の方が美味しいので、ときどき『クレープ』も頼みます。

 今日のホットケーキ屋さんは
「笑顔を見せてクレープ」
 とあいちゃんに言いました。

 クレープは『言葉を作りやすい』と二人はときどき笑い合います……




 〈終〉
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

夫の幼馴染が毎晩のように遊びにくる

ヘロディア
恋愛
数年前、主人公は結婚した。夫とは大学時代から知り合いで、五年ほど付き合った後に結婚を決めた。 正直結構ラブラブな方だと思っている。喧嘩の一つや二つはあるけれど、仲直りも早いし、お互いの嫌なところも受け入れられるくらいには愛しているつもりだ。 そう、あの女が私の前に立ちはだかるまでは…

浮気性の旦那から離婚届が届きました。お礼に感謝状を送りつけます。

京月
恋愛
旦那は騎士団長という素晴らしい役職についているが人としては最悪の男だった。妻のローゼは日々の旦那への不満が爆発し旦那を家から追い出したところ数日後に離婚届が届いた。 「今の住所が書いてある…フフフ、感謝状を書くべきね」

意味がわかると下ネタにしかならない話

黒猫
ホラー
意味がわかると怖い話に影響されて作成した作品意味がわかると下ネタにしかならない話(ちなみに作者ががんばって考えているの更新遅れるっす)

親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。 「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」 「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」 「・・・?は、はい」 いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・ その夜。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

公爵令嬢の私を捨てておきながら父の元で働きたいとは何事でしょう?

白山さくら
恋愛
「アイリーン、君は1人で生きていけるだろう?僕はステファニーを守る騎士になることにした」浮気相手の発言を真に受けた愚かな婚約者…

処理中です...