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混乱の淵に立てば ー別世界への転移編ー
第10話:第一次ダーダネルス海峡海戦(1) v0.1
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_エルディアン共和国北部、捕虜収容所の一室
「うーむ・・・読めん」
元魔導司令官ギーラスは今、本棚から取り出した1冊の本を机に広げて読んでいる。
「確かに会話をしているときは難なく話せたんだが・・・言語になった途端、何も読めなくなってしまった」
そう言って本を閉じる。
「本当にこの国は・・・なんなんだ?それに、国名もどこかで・・・」
ギーラスの脳内でこの国への疑問がまた、強くなった。
_その頃、エルディアン共和国東部海岸から170キロ地点では
「い、いったいさっきの羽のついた物体はなんなんだ・・・?あんな轟音、聞いたこともないぞ!デルタニウス王国攻略軍の魔導電信報告にはあんな物体の存在は書かれていなかったはず・・・」
今回の第二次デルタニウス王国攻略軍20万を乗せた総勢6000隻にも及ぶ多種多様大小様々な艦の付属したこの超巨大船団を指揮をとる200門級戦列艦コートリアスのブリッジから外を眺めていた司令官マクダネルは呟く。
「わかりません・・・ですが、我が帝国軍の精鋭竜兵隊グリゴローツェラに驚いたようですね。一目散で海の果てに逃げて行きましたよ」
司令補佐官は言う。
「それはどうでもいい!問題はあの速度だ!」
「へ?」
マクダネルは偵察機を見ただけで早くもその脅威に気がついていた。
「見ただろう!あの羽のついた物体は竜兵隊よりも速度が速かった!もしあの速度を生かされでもしたら我が軍は一瞬で蹴散らされてしまうんだぞ!」
その言葉を聞いた司令補佐官は『なぁんだ、そんなことですか』と言う。
「それは大丈夫ですよ。この艦隊には2万もの魔導師がいますからね。攻撃を喰らえば即座に魔導シールドを張ればいいじゃないですか」
「そう言う問題ではない!あれはおそらく偵察竜兵と同じようなものだ!すぐに敵がやってくるぞ!」
「そんなこと、あるわけないじゃないですかぁ。もしさっきのが偵察竜兵のようなものなら、今頃我々の艦隊規模を知ってど肝を抜かれていますよぉ!」
司令補佐官が言う。
「あぁ。もうお前はなんでこう勘が鈍いんだ!魔導師!」
「はっ」
すぐ近くにいた魔導師を呼ぶ。
「全魔導師に連絡!空からの攻撃に注意するように伝えろ!」
「了解しました!」
「補佐官!お前はどっか適当な場所に行きやがれ!」
「そんなぁ!」
そう言いながらも補佐官はそばを離れ、子供のようなテンションで艦内へと入って行く。
「ったく・・・。今回の補佐官はどうしてこうも無能なんだ!」
_超巨大船団から10キロ地点、大海原の上2000mを飛行する10機のパンケーキとそれらを先導する1機の偵察機の姿がある。
「偵察機、もうそろそろか?」
飛行隊長が偵察機のパイロットに尋ねる。
『あぁ。もうすぐ敵艦隊を確認した地点に着く』
偵察機のパイロットから無線で返事が返ってくる。
「早くしてくれよ。じゃないとうちのいかついパイロットが暴発しちまう」
『はっはっは・・・。冗談じゃない!こんな部隊に巻き込まれるのはごめんだ!』
そう言って偵察機のパイロットは無線を切る。
「まぁ確かに、うちのパイロットは優秀な代わりに取り扱いが難しいからなぁ・・・」
誰もいないコックピットで呟く。言葉の通り第一飛行隊の腕はビガス・ルナの飛行隊の中でもトップクラスの腕だ。だがその分血の気が多いパイロットが多いのでたまに先走ったりする弱点もあるのだ。
「まぁ暴発しないことを願うし・・・うん?」
周りの機体の様子がおかしい。おいおい、これまずいんじゃないか・・・?そう思った瞬間だった。
『もう待ちきれねぇ!先導なんて糞食らえだ!他に骨のある奴はついてこい!戦果は俺たちが独り占めするぞ!』
『応!』
二番機の無線からいかつい声が聞こえた瞬間、二番機はアフターバーナーを使用してマッハ1.8まで加速。他の機体もそれに続いていく。
「おい待て、二番機!お前また懲戒処分受けてもいいのか!懲戒処分だぞ!」
無線で二番機に呼びかける。
『へっへ!そんなこと言いながら隊長、あんたもついてきてるじゃないっすか!』
二番機のパイロットに言われる。速度計を見れば自分の乗るCF/A-5艦上攻撃機もマッハ1.8まで加速し二番機について行く形で飛行していた。
「っは!くそっ・・・また俺の悪い癖が・・・ってそうじゃない!船団はどこだ・・・!」
コックピットから周辺を見渡す。
「船団船団・・・いた!全機!敵船団は2時の方向!バカみたいな数いるぞ!」
無線で隊員たちに伝える。
『ひゃっほぉぃ!いっちばん乗りぃ!』
二番機がまた叫ぶ。
「あぁもうこの際どうでもいい!全機散開!敵の時代遅れな船団を食い荒らしてやれ!」
『了解!』
飛行隊長の号令で第一飛行隊のパンケーキたちは右ロール旋回を行い2000m地点から降下を始める。
_超巨大船団を指揮する司令官マクダネル視点
「お、おい!あれはなんだ!」
環境から周辺を見渡していた観測員が叫ぶ。指をさす方向には空を円形状の物体が10個ほどが降下しているのが確認できる。
「あ・・・あれはなんだ・・・!?」
マクダネルが呟く。その間にも円形の形をした物体は降下を続ける。そして、かなりの量の兵員が乗った帆船アーギに近づいたと思った瞬間、円形の物体は何かを発射。それが船に当たった瞬間、何かに引火したのかアーギは一瞬にして爆発。轟沈する。
「・・・っ!敵だ!敵だぞぉ!」
船員が叫ぶ。
「それはわかっている!魔導師!全魔導師に魔導バリアを展開させろ!それと竜兵隊はすぐに飛び立たせろ!奴等を迎撃するんだ!」
マクダネルがそばにいた魔導師に命令する。
「りょ、了解!」
「次は絶対にあの攻撃をさせるな!総員対空戦闘用意!」
コートリアスの船員たちに命令する。その命令を聞いた船員たちは船室から複数の弓を持ってくる。
「絶対に攻撃させるな!絶対にだ!弓矢、発射ァッ!」
号令とともに船員たちが弓を引き弓矢を発射する。だが距離、速度ともに圧倒的な円形飛翔物体には当たらない。
「司令官!あんなのに当てるのは無理っすよ!」
船員の一人が叫ぶ。
「無理なら可能にしろ!」
「そんな無茶苦茶な!」
「ともかく弓を撃ち続けろ!」
マクダネルはそう言うと船団の様子を確認する。
「よし・・・各竜母艦からは続々と飛び立っているな!」
ゴォォォン!
「っ!またやられたか!」
爆発音が聞こえた方向を見ると、おそらく船がいたであろう場所から爆風とともに多数の木片が周りに吹っ飛んでいるのが確認できた。
「魔導シールドの展開はまだなのか!」
円盤飛翔物体が放つ轟音が響く中魔導師に大声で聞く。
「ま、まだ詠唱中ですっ!」
「早くしろ!じゃないとこの船も奴らに沈められるぞ!死に物狂いでやれ!」
「は、はいっ!」
_数秒後
「各船に乗った魔導師から魔導シールド詠唱完了の報告!いつでも出せます!」
「よしきた!全船は魔導シールドを展開!奴らの攻撃を防げ!」
その掛け声とともに各船上方に魔導シールドが展開される。それと同時に円盤飛翔物体の放った物体が帆船ローリアスへと飛翔するが魔導シールドに着弾、信管が作動し爆発する。
「帆船ローリアス・・・無傷です!」
魔導師から報告が上がる。
「よし!敵の攻撃は魔法じゃない!物理攻撃だ!この調子で防ぎきれ!」
気づけば船団上空には数十機の竜兵隊と円盤飛翔物体が攻撃し合うカオス状態と化している。
「竜兵隊・・・!頼むぞ!」
マクダネルのその願いも届かず今円盤飛翔物体により一騎の竜兵が落とされた。
_第一飛行隊視点
「おい!二番機!後ろにドラゴンがついてるぞ!」
飛行隊長が二番機の後ろについたドラゴンを見つける。
『っち!三番機、落としてくれ!」
『あいよ!』
その声とともに三番機の20ミリバルカンが火を噴く。バルカンから発射された20ミリ弾は正確に竜兵の1人を撃ち抜き爆発四散させ、その後も次々と発射される20ミリ弾には強固な鱗を持つ竜も耐えきれずすぐに落とされる。
『敵ドラゴン撃墜!』
「各機敵船団への攻撃を継続!少しでも数を減らすんだ!」
無線向けてそう叫ぶと飛行隊長の乗るパンケーキは降下を開始。巨大な帆船を狙いに定める。
「あばよ、時代遅れの帆船!」
ロケット発射ボタンを力強く押し込み、ロケットポッドから多数のロケット弾が吐き出される。それを確認した飛行隊長は機首を上げる。
「敵船・・・撃破ならず!?」
確実にロケット弾は当たっていたはずだ。なのに沈んでいない。おそらくこれが例の・・・
「全機!敵船は電磁バリアのようなものを展開中だ!敵航空戦力の殲滅をしろ!」
『応!』
第一飛行隊のパイロットは即座に攻撃目標をドラゴンに変更する。
_司令官マクダネル視点
「くそっ!敵はもう気づいたか!」
空を飛び立ったドラゴンを次々と落とす円盤飛行物体を見て呟く。そして、最悪の知らせが耳に入る。
「し、司令官!」
魔導師が叫ぶ。
「なんだ!」
「竜兵隊は・・・今飛び立っているので最後だそうです!」
「な、なにっ!?」
竜兵隊の喪失。それすなわち制空権の喪失を意味する。
「せ、制空権がっ・・・!」
その声とともに空を飛んでいた最後の竜兵が落ちる。
「まずいまずいまずい!」
竜兵隊。それも精鋭のグリゴローツェラの消滅。これは艦隊の士気にも大きく関わる。
「全魔導師は死に物狂いで魔導シールドを維持!上陸まで嫌がなんでもこの船団を維持するぞ!」
だがその声は観測員の声でかき消される。
「し、司令官!船団前方に・・・城です!城が浮いてこちらに向かっています!」
「城だと!?」
慌てて手元にある双眼鏡で船団前方を見る。
「ち、違う!あれは・・・船だ!」
_第二空母打撃群、ビガス・ルナのブリッジでは
「お、やってるやってる」
ミゲルが言う。
「第一飛行隊の報告では先ほど敵航空戦力を駆逐したとのことです」
副艦長が言う。
「優秀優秀。さて、第一飛行隊には帰還させろ。今度は新型ミサイル駆逐艦の出番だ」
「了解」
副艦長が通信要員に声をかけ帰還させるように伝えさせる。
「さぁて、どこの国かは知らんが・・・エルディアン共和国に喧嘩を売ったこと、後悔させてやるよ!」
そして、第一次ダーダネルス海戦の本格的な戦闘が始まった。
攻撃後の兵力
第二次デルタニウス王国攻略軍
・竜兵隊全滅
・大中小全て含めて50隻ほどを喪失
・兵士約1200名を喪失
エルディアン共和国海軍
・被害なし
「うーむ・・・読めん」
元魔導司令官ギーラスは今、本棚から取り出した1冊の本を机に広げて読んでいる。
「確かに会話をしているときは難なく話せたんだが・・・言語になった途端、何も読めなくなってしまった」
そう言って本を閉じる。
「本当にこの国は・・・なんなんだ?それに、国名もどこかで・・・」
ギーラスの脳内でこの国への疑問がまた、強くなった。
_その頃、エルディアン共和国東部海岸から170キロ地点では
「い、いったいさっきの羽のついた物体はなんなんだ・・・?あんな轟音、聞いたこともないぞ!デルタニウス王国攻略軍の魔導電信報告にはあんな物体の存在は書かれていなかったはず・・・」
今回の第二次デルタニウス王国攻略軍20万を乗せた総勢6000隻にも及ぶ多種多様大小様々な艦の付属したこの超巨大船団を指揮をとる200門級戦列艦コートリアスのブリッジから外を眺めていた司令官マクダネルは呟く。
「わかりません・・・ですが、我が帝国軍の精鋭竜兵隊グリゴローツェラに驚いたようですね。一目散で海の果てに逃げて行きましたよ」
司令補佐官は言う。
「それはどうでもいい!問題はあの速度だ!」
「へ?」
マクダネルは偵察機を見ただけで早くもその脅威に気がついていた。
「見ただろう!あの羽のついた物体は竜兵隊よりも速度が速かった!もしあの速度を生かされでもしたら我が軍は一瞬で蹴散らされてしまうんだぞ!」
その言葉を聞いた司令補佐官は『なぁんだ、そんなことですか』と言う。
「それは大丈夫ですよ。この艦隊には2万もの魔導師がいますからね。攻撃を喰らえば即座に魔導シールドを張ればいいじゃないですか」
「そう言う問題ではない!あれはおそらく偵察竜兵と同じようなものだ!すぐに敵がやってくるぞ!」
「そんなこと、あるわけないじゃないですかぁ。もしさっきのが偵察竜兵のようなものなら、今頃我々の艦隊規模を知ってど肝を抜かれていますよぉ!」
司令補佐官が言う。
「あぁ。もうお前はなんでこう勘が鈍いんだ!魔導師!」
「はっ」
すぐ近くにいた魔導師を呼ぶ。
「全魔導師に連絡!空からの攻撃に注意するように伝えろ!」
「了解しました!」
「補佐官!お前はどっか適当な場所に行きやがれ!」
「そんなぁ!」
そう言いながらも補佐官はそばを離れ、子供のようなテンションで艦内へと入って行く。
「ったく・・・。今回の補佐官はどうしてこうも無能なんだ!」
_超巨大船団から10キロ地点、大海原の上2000mを飛行する10機のパンケーキとそれらを先導する1機の偵察機の姿がある。
「偵察機、もうそろそろか?」
飛行隊長が偵察機のパイロットに尋ねる。
『あぁ。もうすぐ敵艦隊を確認した地点に着く』
偵察機のパイロットから無線で返事が返ってくる。
「早くしてくれよ。じゃないとうちのいかついパイロットが暴発しちまう」
『はっはっは・・・。冗談じゃない!こんな部隊に巻き込まれるのはごめんだ!』
そう言って偵察機のパイロットは無線を切る。
「まぁ確かに、うちのパイロットは優秀な代わりに取り扱いが難しいからなぁ・・・」
誰もいないコックピットで呟く。言葉の通り第一飛行隊の腕はビガス・ルナの飛行隊の中でもトップクラスの腕だ。だがその分血の気が多いパイロットが多いのでたまに先走ったりする弱点もあるのだ。
「まぁ暴発しないことを願うし・・・うん?」
周りの機体の様子がおかしい。おいおい、これまずいんじゃないか・・・?そう思った瞬間だった。
『もう待ちきれねぇ!先導なんて糞食らえだ!他に骨のある奴はついてこい!戦果は俺たちが独り占めするぞ!』
『応!』
二番機の無線からいかつい声が聞こえた瞬間、二番機はアフターバーナーを使用してマッハ1.8まで加速。他の機体もそれに続いていく。
「おい待て、二番機!お前また懲戒処分受けてもいいのか!懲戒処分だぞ!」
無線で二番機に呼びかける。
『へっへ!そんなこと言いながら隊長、あんたもついてきてるじゃないっすか!』
二番機のパイロットに言われる。速度計を見れば自分の乗るCF/A-5艦上攻撃機もマッハ1.8まで加速し二番機について行く形で飛行していた。
「っは!くそっ・・・また俺の悪い癖が・・・ってそうじゃない!船団はどこだ・・・!」
コックピットから周辺を見渡す。
「船団船団・・・いた!全機!敵船団は2時の方向!バカみたいな数いるぞ!」
無線で隊員たちに伝える。
『ひゃっほぉぃ!いっちばん乗りぃ!』
二番機がまた叫ぶ。
「あぁもうこの際どうでもいい!全機散開!敵の時代遅れな船団を食い荒らしてやれ!」
『了解!』
飛行隊長の号令で第一飛行隊のパンケーキたちは右ロール旋回を行い2000m地点から降下を始める。
_超巨大船団を指揮する司令官マクダネル視点
「お、おい!あれはなんだ!」
環境から周辺を見渡していた観測員が叫ぶ。指をさす方向には空を円形状の物体が10個ほどが降下しているのが確認できる。
「あ・・・あれはなんだ・・・!?」
マクダネルが呟く。その間にも円形の形をした物体は降下を続ける。そして、かなりの量の兵員が乗った帆船アーギに近づいたと思った瞬間、円形の物体は何かを発射。それが船に当たった瞬間、何かに引火したのかアーギは一瞬にして爆発。轟沈する。
「・・・っ!敵だ!敵だぞぉ!」
船員が叫ぶ。
「それはわかっている!魔導師!全魔導師に魔導バリアを展開させろ!それと竜兵隊はすぐに飛び立たせろ!奴等を迎撃するんだ!」
マクダネルがそばにいた魔導師に命令する。
「りょ、了解!」
「次は絶対にあの攻撃をさせるな!総員対空戦闘用意!」
コートリアスの船員たちに命令する。その命令を聞いた船員たちは船室から複数の弓を持ってくる。
「絶対に攻撃させるな!絶対にだ!弓矢、発射ァッ!」
号令とともに船員たちが弓を引き弓矢を発射する。だが距離、速度ともに圧倒的な円形飛翔物体には当たらない。
「司令官!あんなのに当てるのは無理っすよ!」
船員の一人が叫ぶ。
「無理なら可能にしろ!」
「そんな無茶苦茶な!」
「ともかく弓を撃ち続けろ!」
マクダネルはそう言うと船団の様子を確認する。
「よし・・・各竜母艦からは続々と飛び立っているな!」
ゴォォォン!
「っ!またやられたか!」
爆発音が聞こえた方向を見ると、おそらく船がいたであろう場所から爆風とともに多数の木片が周りに吹っ飛んでいるのが確認できた。
「魔導シールドの展開はまだなのか!」
円盤飛翔物体が放つ轟音が響く中魔導師に大声で聞く。
「ま、まだ詠唱中ですっ!」
「早くしろ!じゃないとこの船も奴らに沈められるぞ!死に物狂いでやれ!」
「は、はいっ!」
_数秒後
「各船に乗った魔導師から魔導シールド詠唱完了の報告!いつでも出せます!」
「よしきた!全船は魔導シールドを展開!奴らの攻撃を防げ!」
その掛け声とともに各船上方に魔導シールドが展開される。それと同時に円盤飛翔物体の放った物体が帆船ローリアスへと飛翔するが魔導シールドに着弾、信管が作動し爆発する。
「帆船ローリアス・・・無傷です!」
魔導師から報告が上がる。
「よし!敵の攻撃は魔法じゃない!物理攻撃だ!この調子で防ぎきれ!」
気づけば船団上空には数十機の竜兵隊と円盤飛翔物体が攻撃し合うカオス状態と化している。
「竜兵隊・・・!頼むぞ!」
マクダネルのその願いも届かず今円盤飛翔物体により一騎の竜兵が落とされた。
_第一飛行隊視点
「おい!二番機!後ろにドラゴンがついてるぞ!」
飛行隊長が二番機の後ろについたドラゴンを見つける。
『っち!三番機、落としてくれ!」
『あいよ!』
その声とともに三番機の20ミリバルカンが火を噴く。バルカンから発射された20ミリ弾は正確に竜兵の1人を撃ち抜き爆発四散させ、その後も次々と発射される20ミリ弾には強固な鱗を持つ竜も耐えきれずすぐに落とされる。
『敵ドラゴン撃墜!』
「各機敵船団への攻撃を継続!少しでも数を減らすんだ!」
無線向けてそう叫ぶと飛行隊長の乗るパンケーキは降下を開始。巨大な帆船を狙いに定める。
「あばよ、時代遅れの帆船!」
ロケット発射ボタンを力強く押し込み、ロケットポッドから多数のロケット弾が吐き出される。それを確認した飛行隊長は機首を上げる。
「敵船・・・撃破ならず!?」
確実にロケット弾は当たっていたはずだ。なのに沈んでいない。おそらくこれが例の・・・
「全機!敵船は電磁バリアのようなものを展開中だ!敵航空戦力の殲滅をしろ!」
『応!』
第一飛行隊のパイロットは即座に攻撃目標をドラゴンに変更する。
_司令官マクダネル視点
「くそっ!敵はもう気づいたか!」
空を飛び立ったドラゴンを次々と落とす円盤飛行物体を見て呟く。そして、最悪の知らせが耳に入る。
「し、司令官!」
魔導師が叫ぶ。
「なんだ!」
「竜兵隊は・・・今飛び立っているので最後だそうです!」
「な、なにっ!?」
竜兵隊の喪失。それすなわち制空権の喪失を意味する。
「せ、制空権がっ・・・!」
その声とともに空を飛んでいた最後の竜兵が落ちる。
「まずいまずいまずい!」
竜兵隊。それも精鋭のグリゴローツェラの消滅。これは艦隊の士気にも大きく関わる。
「全魔導師は死に物狂いで魔導シールドを維持!上陸まで嫌がなんでもこの船団を維持するぞ!」
だがその声は観測員の声でかき消される。
「し、司令官!船団前方に・・・城です!城が浮いてこちらに向かっています!」
「城だと!?」
慌てて手元にある双眼鏡で船団前方を見る。
「ち、違う!あれは・・・船だ!」
_第二空母打撃群、ビガス・ルナのブリッジでは
「お、やってるやってる」
ミゲルが言う。
「第一飛行隊の報告では先ほど敵航空戦力を駆逐したとのことです」
副艦長が言う。
「優秀優秀。さて、第一飛行隊には帰還させろ。今度は新型ミサイル駆逐艦の出番だ」
「了解」
副艦長が通信要員に声をかけ帰還させるように伝えさせる。
「さぁて、どこの国かは知らんが・・・エルディアン共和国に喧嘩を売ったこと、後悔させてやるよ!」
そして、第一次ダーダネルス海戦の本格的な戦闘が始まった。
攻撃後の兵力
第二次デルタニウス王国攻略軍
・竜兵隊全滅
・大中小全て含めて50隻ほどを喪失
・兵士約1200名を喪失
エルディアン共和国海軍
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