魔拳のデイドリーマー

osho

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最終章 エピソード・オブ・デイドリーマーズ

第586話 侵入者、2人

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 どこかもわからない『謎の場所』に出てきた直後……クローナの頭の中にあったのは、ただただ『歓喜』だった。

 右を見ても左を見ても、あちこちマジックアイテムばかり。
 しかも、一流の技術者であることを自他ともに認める自分ですら、見たことも聞いたこともないようなものばかりがそこにそろっていた。

 恐らくは、誰かが独自に開発し、一般には流通させていない……どころか、表社会に出てきていないものばかりなのだろう。
 そしてそれは、ここに来た経緯からしても……

「あの黒いガキ……本当に何者だ? こんなことができる奴とつながりが……いやもしかしたら、あいつ自身がこれを……」

「……あちこちマジックアイテムだらけなのは私にもわかるけど……そんなにとんでもないかニャ? クローナ、お前顔すごいことになってるニャけど」

「ははっ、当たりめーだ……量にしても質にしても、こんだけのマジックアイテム……どんな巨大な王国の王族だって揃えられるもんじゃねえし、どんな古代遺跡にだって眠ってねえ……俺みたいな技術者からすりゃ、宝の山……いやそれ以上だ。ははっ、何て例えたらいいのかわかんねえ……こんな気分初めてだ。なあオイ、これ夢かよ!?」

「だとすると私も同じ夢を見てることになっちゃうから違うニャ……というかさっきも言ったように、私達が侵入したの絶対ばれてるニャ。ここは一時撤退した方が……」

「馬鹿言え、こんなもん前にして一度とはいえ帰るなんて真似できるか。もう一度来ようとしても連中、きっとまた防御策を新しく設定しちまってるだろうよ……もしかしたら二度とここにはこれねえかもしれねえ。だったら今のうちにもらえるもん貰っとくのが……」

『何をあんた達堂々と強盗宣言してんのよ!?』

「「!?」」

 その瞬間、突然自分達ではない声が聞こえて……クローナもエレノアも勢いよく振り向いた。

 するとそこには、魔法陣で転送されてくる……甲冑に身を包んだ、青髪の女騎士の姿が。
 ネリドラの別人格であり。戦闘用の義体に憑依したリュドネラである。

「こんなところまで入ってきて……不法侵入よ、わかってんの!? 連行するから大人しくしなさい!」

「ははは、悪い悪い……けどよ、あんだけ高性能なマジックアイテムを山ほど持ってるような、得体のしれない余所者なんて、警戒しないわけにはいかないだろ? 調査してたら偶然ここに行きついちまったんだよ……わざとじゃなかったんだ」

「嘘つけ! ここがどれだけ高度な魔術プロテクトで守られてると思ってのよ! 『偶然』なんかでたどり着けるような守りにはしてないの! 白々しいことを……」

「はっはっは、ばれたか……じゃあ仕方ねえな」

 そう言うと同時に、ぎらりと目を光らせ、牙を見せて凶暴な笑みを浮かべるクローナ。
 その横でエレノアは『完全に悪役の所業だニャ……今更だけど』とため息をついていたが、自分も多かれ少なかれそのつもりなのか、はたまたもう無理だと悟っているのか……クローナを止めること自体はしなかった。

「悪いな、他人様の家に勝手に上がりこんじまうような悪党でよ……悪党ついでに、色々と歩き回って調べて持ち帰っていいか? いいよな?」

「いいわけないじゃない! ここにあるものは全部ミナトの……私達のものなんだから! 持ち主のいない古代遺跡から出土品持ってくのとは違うのよ!」

「それもそうだ……じゃあ、持ち主がいなくなればいいのか?」

「……っ……!?」

 その瞬間、凶悪な笑みでそう言ったクローナに対し、リュドネラは青ざめつつも、同時に表情に怒りを浮かべて睨み返し……手に持った槍を構える。内蔵された機構により、魔力弾による射撃も行える、遠近一体の武器だ。

 しかし、それを使うような出番が来るより前に……ぽかり、とエレノアがクローナの頭を叩いた。

「こら、冗談にしてもさすがにタチが悪いニャ。何ゴロツキみたいなこと言ってんの」

「あだっ」

 どうやら冗談で言っていたらしいことを悟って、リュドネラは少し安心する。
 しかしその直後、やはりまだ安心などできないことを……そういう相手であることを悟ることになった。

「このバカが済まなかったニャ、お嬢ちゃん。……ところで、聞いてもいい?」

「……何です?」

「君……私達が『何者か』ってところは聞かないんだね?」

「!」

 その瞬間、『しまった!』というような表情を浮かべてしまったことも、リュドネラにとっては失敗だった。
 それはつまり、今の質問が、彼女にとって『痛い所を突かれた』ものだったと、自分で白状してしまったに等しい。

 それを悟ったクローナとエレノアは、それぞれ、笑みを浮かべるか、眉を顰めるかという違いはあったものの、どちらもリュドネラ……そして、そのバックにいるであろう、あの『黒いガキ』達への警戒を一段階引き上げる。
 明らかに自分達のことを知っている。有名人だということを差し引いても、だ。

「思えば、前に馬車で会った時も……なんか、リリンやクローナのことを知ってるみたいな仕草だったのが気になってたニャ。ただ一方的に、うわさを聞いて知ってるだけじゃなく、ああいう場面で彼女達が色々な意味で『厄介』だってことまで熟知してるみたいで。こっちは面識ないのにニャ」

「それもそうだな……『ウォルカ』じゃあちこちに出没して、脈絡のねえことを色々調べて回ってたって話も聞くし……お前らホント何者だ? 一体何の目的で、何を嗅ぎまわってる?」

 怪訝そうなことを言いながらも、この状況を楽しむかのように笑みを絶やさないクローナ。

「……ノーコメントで」

「その回答、『何かある』って肯定してるようなもんだぜ? まあもっとも、ここまで来たら今更だとも言えるがな……」

 『さて』と言いながら、クローナは収納のマジックアイテムの中から、2振りの短剣を取り出した。もちろん、どちらもマジックアイテムだろう。
 それを逆手持ちに構え、リュドネラの目を見据える。それだけでリュドネラは、威圧感で動けなくなってしまいそうなほどに気圧された。

(私じゃ絶対勝てない……いや、それどころか1秒だって時間稼ぎできるような相手じゃない……けど、それでも……)

「そういえば」

「っ!?」

 油断どころか、瞬きすらしていなかった。
 というか、戦闘用義体に組み込まれているセンサー機能によって、一瞬たりとも油断せず。クローナ達の動きには気を配り……何かあれば即座に行動できるようにしていたつもりだった。

 しかし、それでも……今の一瞬、というにも短い時間で距離を詰めてきたクローナのことを、防ぐことはできなかった。
 気付いた時には、片方の手で肩をがしっとつかまれ、もう片方の手で手に持った槍をつかまれ……じろじろと眺めてくる。

「この槍も、この鎧も見たことねえ……っていうか、お前それ……人間の肉体じゃねえな?」

「っ!?」

「え、どういうこと、クローナ? その子……魔物なの?」

「魔物でもねえ……多分、人工物。限りなく人間に似せて作られてるが……人形か何かだ。もともとお前自身がそうなのか、あるいは精神だけ乗り移ってるのか……ますます気になるな。こりゃあ……お前、持って帰って調べてもいいか?」

「ええ、ちょっとクローナ、さすがに誘拐犯になるのはやだよ……でも、さすがにここまでくると……こっちとしても何も聞かずに帰るわけにもいかないニャ。君達、一体……」



「……奇遇ですね、こっちとしても、あなた達にこのまま帰ってもらっちゃ困るんですよ」



「「!?」」

 その瞬間、
 クローナとエレノア、どちらの知覚にもひっかか狩ることなく……唐突に、件の『黒いガキ』が姿を現した。
 そして、現れた瞬間にはすでに……エレノアの肩をがしっとつかんでいた。

 とっさにそれを振りほどこうと身をよじるエレノアだが、

(……っ、振り払えない!?)

 予想以上に強い力でつかまれて、それを振りほどけず……そのさらに直後、ミナトはエレノアをつかんだまま、その場を跳躍してクローナの方に飛ぶ。

 それを察してクローナは回避しようとするが、何か細工をされたらしく……リュドネラの体を掴んでいた手がそのまま接着されたように離れない。
 そのまま、ミナトのもう片方の手がクローナの肩に触れて……

「虚数跳躍!」

 一瞬一瞬、事態が目まぐるしく動く。
 気が付いた時には、クローナとエレノアは、ほんの一瞬だけ、暗くて得体のしれない空間を通り……そしてその後には、薄暗くて広いどこかの空間に投げ出されていた。

 床も天井も壁も人工物の類だとわかるが、ただのタイルか何かに見えるその見た目以上に、非常に頑丈なつくりだということが、触っただけで分かった。

 そのまま、リュドネラの体を抱き留めつつ、クローナとエレノアは、今しがた連れて来た『訓練室』の床に投げ捨てるミナト。
 投げ捨てられつつも、きちんと受け身を取って着地した2人は、油断なくミナトを見据える。

「痛たた……何今の? 変な空間……一瞬通過しただけですごい衝撃だったんニャけど……?」

「よくわからねえが、何か転移魔法の亜系だろうな……抵抗術式を振り切って移動させられちまったみてえだ。しかも、俺ら2人まとめてとは……こりゃいよいよ只者じゃねえなお前」

「自画自賛だけど、そうだね。私のそばに現れた時も、その瞬間まで気づけなかったし、振り払うこともできなかった……クローナ、あの子、強いニャ」

「言わんでもわかる。……くくく、いつぶりだ? こんな、戦う前から分かるレベルの強敵を相手にするなんてよ……!」

「……あー、やっぱ戦う感じになります?」

 リュドネラを下ろしながらそう、少し気まずそうに問いかけるミナト。

「おいおい、人をこんなとこに無理やり連れて来といて、抵抗されないとでも思ってんのか? こりゃ正当防衛だろ」

「その前にあんた達が不法侵入してたと思いますけどね」

「それについてはすまないと思ってるニャ……ホントニャよ? でも、さすがにここまで来ちゃうと……このまま黙って帰るわけにもいかないし、君について色々はっきりさせてもらわないといけないから……悪いけど、色々聞かせてもらうニャ」

「……まあ、いいですけどね。このまま返すわけにはいかないのは僕も同じだし……でもこの人達捕まえたりしたら、か……残り4人も怒るだろうしなあ……はあ、ホントどうしよう。頭痛くなってきた……」

「安心しろ、お前みたいなガキに捕まってやるほど……弱くねえからよ!」

 そう言い放った次の瞬間、クローナは床を蹴って前に飛び出し……ミナトの顎めがけて回し蹴りを繰り出す。
 波の相手なら、クリーンヒットした瞬間に首が360度回転して即死する威力だが、今触れた感触や、エレノアに振りほどけなかったことから、波の肉体強度ではないと判断した。
 
 それでも、上手く入れば気絶くらいはさせられる威力で放たれた蹴りだったが、ミナトはそれを腕であっさりと防御すると、

「隔離結界」

 その一言と同時に、周囲の空間を普通ではない謎のそれに書き換えた。
 その内部でどれだけ大暴れしても、元の空間には傷一つ残らない……大規模な魔法や超威力の大技が飛び交うような、本気の戦闘を行うための結界。

 『ヤマト皇国』で使った時よりもさらに精度を増し、戦略級の魔法を使っても耐えられるレベルに仕上がっているそれで、船の中でも最も頑丈なつくりになっている部屋をさらに保護した。
 ここでこの2人を相手に戦うつもりで、ミナトはさらに、油断なく力を開放する。

「重ねて……『ナイトメアジョーカー』!」

 クローナの蹴りを防いだままの体勢で、最強の『強化変身』をその身に発動。

 一瞬で姿の変わったミナトを見て、クローナもエレノアも……一筋縄ではいかない戦いになるということを確信した。
 弾かれるようにその場から飛び退り、クローナはエレノアの隣に戻る。

「クローナ、転移か何かで脱出は?」

「ダメだな、滅茶苦茶頑丈にプロテクトがかかってやがる。アイツ倒せば解除されるのか、それとも他にカラクリがあんのか……そのへんも不明だな」

「でも。どっちにしろ戦って勝つなり何なりして振り切らないと何も始まらないニャね。少なくともこの、フィールドを書き換えた魔法みたいなのは、彼が発動した。なら、彼を倒せばどうにかなる可能性も高いニャ」

「実力行使に最初に訴えた自分が言うことでもないかもだけど……勝手に人のプライベートに踏み込んでくるわ、拠点に踏み込んでくるわ、人の作ったマジックアイテム狙うわ、無遠慮に何から何まで推察して暴いてくるわ……ホント何なのあんたら!?」

「……困った……言いたいことがないわけじゃないけど、どれ一つとして噓じゃないから否定できないニャ……ホント何してんだろ私ら」

「そりゃすまねえな、だがもう状況から何から、そんな『常識』が通じるようなそれじゃねえんだ……わかりやすく、勝った方が負けた方に言うこと聞かせる感じで行こうや、なあガキ!」

「ほんッとこのし……この人、頭いいくせに基本トンデモ思考だからめんどくさい! わかりましたよやりゃいいんでしょやりゃ! あんたら負けたら大人しく捕まってくださいよ! 手荒な真似は極力しないんで!」

「これから戦おうってのにか? ははは、面白いこといいやがる……じゃ俺達が勝ったら、お前がちょうちょい俺やリリンを見て何か言いかけてやめるのなんでか聞かせろよ!」

「ほんとにもう、そういうとこさらっと気づくあたりめんどくさくて鬱陶しくてけどさすがです!」

「誉めるか文句言うかどっちかにするニャ……こっちも極力優しくぶっとばすから、ごめんね黒い……えっと、君名前は……『ミナト』君でよかった? 仲間の女の子がそう呼んでたニャ!」

「それであってます、以後お見知りおきを!」

 緊張感があるのかないのかわからないセリフの応酬ととともに、ミナトとクローナとエレノアは同時に地面を蹴り、前に出る。

 そして、ミナトの拳とエレノアの拳、クローナの蹴りがぶつかって……それだけで、空間がきしむほどの衝撃があたりにまき散らされ……開戦のゴングのごとく響き渡った。



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