542 / 611
第22章 双黒の魔拳
第542話 ミナトVSハイロック
しおりを挟む僕が構えた盾は、次の瞬間、ふっとその場で消えてなくなった。
ハイロックはそれを見ても、動揺する様子は見せなかった。さっきいきなり盾が現れて、自分の拳を止めても、動揺しなかったのと同じように。
大方、収納空間に入れたか何かしたと思ったんだろう。
……だとしたら残念、違うんだなこれが。
既に僕は、『ナイトメアジョーカー』を発動させている。
そして、その能力は……特に能力名とか決めてなかったからざっくり雑に言っちゃうと『やりたいことを全部やる』こと。
本来は両立しえない複数の『可能性の未来』を、1つの時間軸に顕現させることだ。
ウェスカーとの戦いで僕はその力で、『前から殴りながら』『後ろから蹴り飛ばし』『蹴飛ばした先にあらかじめ回り込んでいて』『さらに2方向から同時に攻撃』……なんて無茶苦茶な1人連携攻撃を叩き込んだりもした。
あるいは、異なる属性の魔力を同時に使って『炎のパンチ』『氷のパンチ』『風のパンチ』『雷のパンチ』『闇のパンチ』『光のパンチ』の同時攻撃なんてものすら使った。
そしてそれは……何も素手格闘だけに限った話ではないようで。
今再び、矢のような……なんてものじゃない速度で、しかも3回フェイントまで入れつつ、僕の首めがけて貫手を放とうとするハイロック。
僕はそれを、さっきと同じように、手に盾を出して防御……おっとこれもフェイントだったのか。
一瞬でハイロックは貫手を握り拳に変え、それを薙ぎ払いの要領でふるって盾を横にはじく。それでわずかに僕が体勢を崩したところを見逃さず、もう一方の手で拳を突き出してきて……
そっちの手はしかし、突き出されるより先に、機先を制する形で僕が……『盾で防御ではなく、剣で迎撃』を選択した僕が繰り出した薙ぎ払いに防がれた。
「何……!?」
一瞬だけとはいえ、僕が2人同時に現れたことに驚くハイロックは、今度はわずかに動揺して隙を見せた。
僕はそこに、手に持った『ゲオルギウスの双剣』を、交差させるようにして切りかかるが、瞬きほどの時間よりも早くハイロックは切り替えて防御する。
同じように顔の前で交差させたハイロックの両腕は、僕の振るった剣をたやすくはじいた。さすがは『スローン族』……肉体強度は鎧の比じゃないな。
が、そのハイロックの眼前に、ほとんど同時に……双剣をふるった軌跡が消えるよりも下手したら早く、また別な僕が構えた『ウロボロスの大砲』の砲口が向く。
「……っ……!?」
さすがに顔がこわばって見えたハイロックに、遠慮も躊躇もなしに、発射。
超凝縮された魔力がこめられたエネルギーの砲弾がさく裂し、その場からハイロックを大きく吹き飛ばす。
踏ん張り切れなくて大きく後退したが……大した傷にはなってないな。
……とまあ、こんな風に僕の新能力『オーヴァーロード』は……素手での戦いだけじゃなく……武器や道具を使ったという『可能性の未来』すら顕現できる。
際限なく何でも『可能性』としてできるわけじゃないだろう。あくまで僕が手札として持っていて、実行しうる可能性をそのまま形にしているわけだから。
持ってもいない能力、作ってもいない武器を使った攻撃はできないだろうな。
けどそれは、逆に言えば……持ってさえいれば、作ってさえあれば、いくらでも使えるわけで。
そして僕は普段から、思いつくままにアイテムや武器、能力を作って所有しているわけで。
恐らく、僕の能力の詳細を把握したわけじゃないだろう。
しかしハイロックは、少なくとも、この戦いで『何が起こるかわからない』という言葉以上に、僕が何をしてくるかわからない……それも、複数同時に、という点は察したようだ。さっきまでよりも表情がこわばり、緊張感が増しているのを感じる。
しかしそれでも、戦意は微塵も揺らいでいないあたり、古参の幹部としての実力やら覚悟やら……そのへんがうかがえるな。
「……覚悟してはいたが、どうやら、この戦いは……どちらかが死ぬまで終わらなそうだな」
ハイロックはつぶやくようにそう言うと、三たびこちらに突っ込んでくる。
今度は……構えのようなものはほとんどとっていない。手か、脚か、それとも肩や肘、膝かどこをどう使って攻撃して来るかが読めない。フェイントがあるかどうかもわからない。
それならばと、僕はこちらも武器は出さず、拳を勢い良く突き出して……その衝撃波『ジャイアントインパクト』で遠距離から攻撃。
しかしハイロックは、それを腕ではじくようにして砕いて防いでしまい……しかもその、僕が拳をふるった瞬間に加速して、僕の側面に回り込んだ。僕が攻撃後の体勢から、立て直すより先に攻撃するために。
しかしその瞬間には、『ハーデスフォルム』の僕が巨大な鎌をもって正面に現れ、その刃をハイロックの首めがけて振るう。
が、ハイロックはこれも回避。前に倒れこんでくぐるようにして、最小限の動きで。タイムラグもほとんどなく。
その横合いから、今度は『焔魔橙皇』を構えた僕が突きを繰り出すも、それすらも体をわずかにひねってそのままよけて……すごいなほんとに、こいつのテクニック。
同時に多方向から攻撃されることを理解して、いつどこからどんな風に攻撃されても即座に反応することで対処とするわけか。
そのあと出現した4人目……すでにクロスレンジってことで、拳で直接迎撃しようとした僕の攻撃もよけて、僕の首筋めがけて、刈り取るような鋭い蹴りを放ち……
「……まあ、技術で負けてるのはわかってたし……なっ!」
――― ゴ ッ !!
とっさに頭突きで迎撃する僕。
僕の額と、ハイロックの脛。人体の中でもかなり固い部分同士がぶつかって、硬質な音を立てる。
押し負けたのは……ハイロックの方。僕の頭突きの方が競り勝って体勢を崩させた。
負傷にこそならなかったようだが、この隙は小さくない……と、思っていたんだけど。
なんとハイロック、その蹴りの反動や、僕の頭突きの衝撃で生じたエネルギーすら利用して、空中で体勢を立て直し……しかもその直後、空気を蹴ってこちらに再度跳んできた。今度は額じゃなく顔面目掛けて、突き出された膝が迫ってくる。
とっさに僕はバック宙するような動きでそれを回避し、そのまま足で……サマーソルトキックの要領で蹴り上げ。
しかしまたしてもハイロックは、素早く腕を振ってその勢いで体勢を変え、定格から放った僕の攻撃を迎撃して防いでしまった。
そして再度空気を蹴るハイロック。その勢いで僕を踏みつぶして殺そうと足を振り下ろす。
体をひねってそれをよけ……ようとしたけど追ってくるので、腕で防ぐ。
それと同時に、『そのまま転がって回避した』未来の僕を2人出して体制を立て直させ、そのまま飛び上がってカウンターよろしく反撃させる。
「ちっ」と舌打ちの音が聞こえて、ハイロックは今度は飛び退って距離をとった。
……なお、ここまでのやり取り、詳細に解説すると結構長い感じになったけど……時間にしてわずか1~2秒の間に交わされた攻防である。
本当にこいつとんでもないな……攻撃や駆動自体の速さ・正確さはもちろん、一瞬で状況を判断してどう動くかを導き出す、その思考速度や反射神経も。
こっちはフィジカルにものを言わせて無理やり対応し、さらに『オーヴァーロード』をくみあわせてどうにか突き返すことができている状態だ。わかっちゃいたが、『熟練度』ってものにすさまじいほどの差がある。
それに、今のやり取りの中で何気に痛感したんだけど……
「同時に何人もの貴様を出し、異なった動きで攻撃して来る……どういう仕組みかわからんが、驚異的な能力だ。……だが、付け入るスキがないわけではなさそうだな」
と、ハイロックが静かに口にした。おっ、何に気づいた?
「その能力……確かに強力ではあるが、貴様が意識して使っていることに変わりはないのだろう。力を使う余裕、ないし暇がないペースで攻撃すれば、発動を妨害できる……そして」
そこで言葉を区切って、また突っ込んでくるハイロック。
今度は、大きく回り込んで側面から。狙いは……腹。
振るわれようとした脚を、手甲で受け止め……ようとした瞬間に起動が変化し、上段へ。僕のあごを打ち抜こうと狙ってきた。
もう片方の手で防ぎつつ、こっちから飛び込んで反撃……しようとした瞬間、伸び切って隙をさらしたと思っていた足が膝から折りたたまれて素早くハイロックのもとに戻る。
そしてその瞬間、真正面から殴りかかった、僕の拳を手でいなしてかわし、同時に体をひねる。
背後に回り込んでいたもう1人の僕の攻撃を回避。目で見てない。音と気配だけで察知したか。
さらに、回避した先に回り込んでいた、さらに別な僕の攻撃を防ぎながら離脱した。
「今の一瞬の間に……私の死角となる斜め後ろから攻撃を受けていれば痛打になっていた可能性が高い……しかし、そうはしなかった。それ以外にも、今の動きや、出現した分身、その動きや攻撃のパターン……そして何より、問答無用でこちらの防御を無視して出現させ攻撃するような使い方をしないところを見ると……分身の利用にまったく制限がないわけでもないな?」
「…………!」
「その分身……武器の有無はともかくとして、出現させた時点から見て、貴様がとりうる動きしかできないようだな。察するに、複数ある貴様の攻撃の選択肢……それらから1つ選ぶことなく、全て同時に実行することができる能力、とでも見るべきか」
……すごいな……ほぼノーヒントの状態から当てたよこいつ……。なんちゅう洞察力だ。
さすがは数百年にわたって拳1つで『ダモクレス財団』の最高幹部を張り続けた男……戦いに関して、単純な戦闘能力のみならず、あらゆる面でキャリアが違うと思い知らされる。年の功って、異世界でもやっぱり馬鹿にできないもんだな。
そりゃ数百年も己を鍛えて戦いの中にいれば、わけのわからない能力や魔法を使ってくる敵なんて、1度や2度じゃなく目にしてきてるだろうし……そのたびに、こうして冷静に考えて。見極めて、そして食い破ってきたんだろう。
主目的はともかく、ここまで積み上げられ、練り上げて高められた、ハイロックの純粋な『強さ』ってものには……正直僕も、尊敬すら覚えてしまう。
…………まあでも……
「タネはわからんし、そもそもあるのかないのかも不明だが……仕組みと法則が分かれば、いくらでもやりようはある。貴様自身の動きを予測して見切り、それら全てに対応できるように動けばいいのだからな……容易くはないが、できんことはない」
「あんたならマジで可能なんだろうね。数百年の研鑽ってのは怖いわあ……ホント、僕みたいな若造とは全然違うんだなって痛感させられるよ」
「ならばどうする。この空間を解除してお開きにするか? 私はそれでも一向にかまわんが」
「はっはっは……それこそ冗談でしょ。それにそっちこそ……こっちを甘く見すぎだよ」
挑発的になるのは承知で、そう言い返し……構えなおす僕。
ハイロックは、構えず自然体。その眼光には、闘争心やら何やらに加えて……どこか呆れのようなものが見え隠れしている気がした。
奴には僕が、自分が不利な状況を認めず、強がっているように見えているのかもしれない。
まあ、実際そうと言えなくもないんだけどね……確かに僕の技量や戦闘経験値じゃ、ハイロック相手に、攻撃や防御の読み合いやら駆け引きやら、そういった部分で対抗するのは難しい。
さっきも言ったけど、向こうが積み重ねてきた数百年の経験・計算は伊達じゃないってことなんだろう。『オーヴァーロード』の力を加味した上でも。
けど、それでもだ。
僕は、ただの虚勢や虚仮脅しであんなことを言ったわけじゃない。
読み合い・駆け引きに勝つのは、確かに難しいだろう……ただしそれは、あいつが思っているような、まともな戦いの中でのことなら、という話だ。
直後、これまでと同じように突っ込んでくるハイロック。
やはり構えは取らず、可能な限り自然体。そのせいで、どう出るか読みづらい。
減速せず、正面から突っ込んでくるが……こいつの場合、その技量ゆえに、超クロスレンジからでもフェイントに移行してこっちの防御を突破してこようとするからな。
そして、僕はそれを……直前になるまで気づいて、見切ることができない。
それに対して僕は、こちらも自然体で構えて読まれないように……なんて素人考えで真似するようなことはしない。
付け焼刃で対抗できるような相手じゃないのは、ここまでの戦いで身をもって知ってる。
けど確かに、『読まれないようにする』っていうのは確かにいいアイデアだと思うので……別な角度からそうしてみようと思った。
僕なりの、ないし、僕らしいやり方で。
自分で言うのもなんだけどね……今言った通り、ハイロックは甘く見すぎだ。僕を。
僕の、技量とかその辺じゃなく……そもそも僕自身が『何をやってくるのかわからない』っていう……普段から財団でも言われているんであろう、その評価の意味を。そしてレベルを。
痛感してもらおうじゃないの。僕……ミナト・キャドリーユを相手取るにあたって、一番警戒すべきことがなんであるかを。身をもって。
『デイドリーマー』を敵に回すことの……恐ろしさを。そして、どうしようもなさを。
11
お気に入りに追加
8,526
あなたにおすすめの小説
もふもふ転生!~猫獣人に転生したら、最強種のお友達に愛でられすぎて困ってます~
大福金
ファンタジー
旧題:【もふもふ転生】病弱で何も出来なかった僕。森で猫カフェをオープンすると大好評♪最強種のお客様ばかり遊びに来ます
生まれた時から奇病を患い、病院から一歩も出たことなかった主人公(大和ひいろ)夢は外を走り回る事だったが、叶う事なく十二歳で他界したのだが……。
気がつくと見たこともない場所に立っていた。
そこには創造神様と女神様がいて、前世でいっぱい頑張ったご褒美に、好きなスキルや見た目にしてくれると言ってくれる。
「ご褒美を決めろって……急に言われてもっ」
ヒイロは慌てて猫獣人の姿、鑑定やアイテムボックス等のチート能力をお願いし、転生を果たすが。
どうやら上手く説明出来て無かったらしく。何もない謎の森に、見た目普通の猫の姿で生まれ変わっていた。
「これって二足歩行する普通の猫!?」
その謎の森でドラゴンの親子に出会い、料理を作ってあげる事になったり。
さらには猫獣人の村で、忌み子と虐げられていた猫獣人の子供を助けたり。
家を作ったら、いい匂いにつられて最強種ばかりが度々遊びにきたり。
だがそれだけではなかった。ヒイロには隠された力が……!?
このお話は、ヒイロが毎日を楽しく生きている内に、良きせぬハプニングに巻き込まれたりするお話。
※ハプニングのせいで、なかなかカフェはオープンしません。
※二章カフェ編がやっとスタートしました。
※毎日更新がんばります!
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される
鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。
レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。
社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。
そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。
レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。
R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。
ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。
モブだった私、今日からヒロインです!
まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。
このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。
そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。
だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン……
モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして?
※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。
※印はR部分になります。
【R18】両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が性魔法の自習をする話
みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。
「両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が初めてのエッチをする話」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/575414884/episode/3378453
の続きです。
ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。