魔拳のデイドリーマー

osho

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第22章 双黒の魔拳

第517話 災厄の始まり

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 チラノースの……正確には、ダモクレス財団の目論見通り、『麒麟』の転移能力を使って、追っ手であるドレーク達を撤いて、『儀式』の場所に到着することに成功した、皇帝とその側近達。

 すでにそこには、先行していた技術者達と財団職員達により、『儀式』の準備が整えられており……あとは、描かれた魔法陣の中心で、皇帝が持つ『血晶』を使うのみとなっていた。

 左右に家臣達が控え、式典のように無駄に厳かな空気が漂う中、自信と興奮と満足感を隠せずに表情に浮かべながら、皇帝は魔法陣の中心に立つ。

 そして、手に持つ『血晶』に魔力を注ぎ込むと……『血晶』が、そして、足元の魔法陣が、赤い光を放ち始め……2つが混ざり合って、天に昇っていく。
 ここまでは、今までも既に何度か皇帝が行っている、試運転の龍召喚と同じである

 今まではこの後、立ち上る赤い光の中に、一筋の白い光が、天空から降りてくる。『血晶』を通して響き渡った、皇帝の、力を渇望する呼び声に応えるかのように。
 そして光が魔法陣に届くと、魔法陣も白く光り、天から続くラインが完成する。それを伝うようにして、何匹かの『龍』が地面に舞い降りるのだ。

 しかし今回は、まるで逆向きに流れる大瀑布のように、とてつもない勢いの赤い光が立ち上る。その光景だけで、周囲にいる側近たちは息をのみ、圧倒されるようだった。

 そして、返礼となる白い光もまた、それを飲み込むほどに大きく……魔法陣に到達した瞬間、それまでの一時的なものとは違う、はっきりとした力のラインが出来上がった。
 その両端……『渡り星』と、この星の『地脈』ががっちりと結びつき……それをたどって、はるか空の彼方から、1匹の龍が下りてくる。

 現れた龍がたった1匹であることに、皇帝は最初、いぶかしげな表情になったものの……その龍が眼前に舞い降り、その姿を間近で見た時には、そんな疑念や不安などは吹き飛んでいた。

「お……おぉ、おぉぉおお! なんと……何と力強い龍なのだ!」

 皇帝は別に、荒事に明るいわけでも、魔物や、まして『龍』について詳しいわけでもない。
 故に本来、目の前に現れた魔物の姿やその仕草などを見て、正確な強さを推し量る目など、もってはいない。

 しかし、そんな皇帝の素人目にもわかるほどに、目の前にいる龍は……今までに目にしたいかなる存在とも、全てにおいて別格だった。

 それは、間違いなく『龍』でありながら、邪悪な悪魔とも見間違いそうな姿をしていた。

 二本足で着地し、そのまま大地に立っている。形状は、ネコ科の肉食獣を思わせる逆関節型になっているが、太く力強いその足と、大地に食い込むその鉤爪には、ふらつきそうな不安定な気配などどこにもない。

 前足、あるいは腕は、鬼や巨人をも軽く上回る太さ。こちらにも鋭い鉤爪が伸びており、金属の鎧だろうと、堅牢な城壁だろうと、濡れた紙を突くがごとく貫いてしまえそうだ。

 全身が強靭な筋肉に覆われ、その上からさらに漆黒の鱗や甲殻で覆われ、いかな武器をもってしても、その守りを貫くことなどできないのではないかと思うほどに重厚な、鋼の肉体を持つ。

 背中に広がる巨大な翼は、しなやかなでありながら、厚みも硬さもある。鋼の矛が突き立てられても、傷一つつかないのではと思うほどに力強い。

 そこから、龍らしく長く、太く伸びる首。先端に、鬼と龍と悪魔を合わせたのではないかと思うほどに、凶悪で禍々しい形相の頭がついている。ヤギのように蛇行した巨大な角が4本伸び、口内には刃のように鋭く光る牙が無数に並んでいた。

 尾は細めだが、それでも丸太ほどの太さがあり、鞭のようにしなって打ち付ければ大木だろうと易々とへし折り、あるいは引き裂くだろう。先端は尖っており、刃物にすらなるかもしれない。

 そして、その全身……頭からも、手足からも、胴体からも翼からも尾からも、無数に伸びている大小の棘。触れるだけで敵を貫き、引き裂いてしまえそうなそれらが、よりその龍を力強く、禍々しく見せていた。

 その姿を見せただけで、あらゆる存在が許しを請い、首を垂れるのではないかと思うほどに絶大な存在感。

 皇帝は、この『龍』の力をもってすれば、間違いなく祖国に栄光をもたらせるであろうと確信した。興奮冷めやらぬままに一歩踏み出し、現れたその龍に語り掛ける。

「召喚に応えし龍よ! 私こそは、そなたを呼び出した主である! 我こそは、この大陸の覇者となる者、そなたはその刃となり盾となり、立ちふさがる者全てを滅ぼすのだ! 後の世までに語り継がれることとなる、我が名を聞くがよい! 我が名は、チラノース帝国皇帝―――」


 ―――ぐしゃ


 それは、一瞬のことだった。

 皇帝が胸を張って得意げに、自らの名を名乗ろうとしたその瞬間……その視界の端でひゅん、と唸って空を切った尾が、その先端が、皇帝を横から薙ぎ払った。

 皇帝の上半身が奇麗に吹き飛び、血と骨片と肉片になって飛び散った。

 あまりに突然のことに、周囲で見ていた側近達は、何が起こったのか理解できないでいる。
 瞬きほどの間に、腰から下のみとなってしまった皇帝。その急すぎる死を、目の前の無惨な光景を、頭で理解することができていない。

 そんな困惑に構わず、その龍……『ジャバウォック』は、肉片の中から、血まみれになって転がっていた『結晶』を、器用にも爪の先でつまんで拾い上げると……それを、巨大な口の中にぽい、と放り込んで、吞み込んでしまう。

 ……そして、



 ――グオオォォオォオオオォォッ!!!



 大陸全体に届くのではないかとすら思えるほどの音量、そして迫力の咆哮。
 天を仰ぎ、空の向こうに向けてあげられたそれに呼応してか……足元の魔法陣よりもはるかに大きな光の柱が立ち上り、天を突いた。

 そして、それをたどるようにして……空から次々に『龍』が下りてくる。

 最早皇帝は見ること叶わなくなってしまったが、その降りてくる『龍』達は、いずれも試運転の際に見られたような種族ではなかった。
 それらに倍する強さを持った……言ってみれば、『龍』の側からしても『本番』と言っていいレベルの精鋭達だ。

 ジャバウォックを取り囲むように舞い降り、平伏して控える姿勢になる龍達。
 その光景を見て……ジャバウォックは、

『フ……フフフ……フハハハハハ!! ようやくだ、ようやくこの時が来た!!』

 湧きあがる歓喜の感情をこらえきれなかったようだ。
 あたり一帯に響き渡るほどの、咆哮にも聞こえそうな音量で、豪快に笑ってみせた。

 翼を大きくいっぱいに広げ、それによって巨体がさらに大きく見えた。
 ある者には畏怖を、ある者には恐怖と絶望をおぼえさせるその姿は、存在感は、まさしくもって『龍』の王者にふさわしいのではないかとも言えるものだった。

「しゃ、喋っているだと……? 龍が……」

「そ、そんなことよりも、陛下が! 皇帝陛下が……!」

「なぜだ!? なぜ龍が陛下を……召喚した龍は、『血晶』の力で忠実な下僕となるはずでは……」

 あたりで側近たちが騒ぎ始めるが、ジャバウォックやその配下の龍達は興味を向けることすらない。せいぜい、何匹かが鬱陶しそうに、地を這う虫でも見るような目で一瞥する程度だ。その後は同じように、興味を失って、自分達の王に向き直る。

『今この時をもって、我らの覇道は始まった! 我らが故郷のため、『渡り星』の龍にあるべき姿を取り戻し、再び星々の海へと旅立つため……この星の力を食らいつくせ! 思う存分に力を振るい、贄を、糧を、奪い取るのだ!』

 その号令を受けて、配下の龍達も同じように咆哮を上げる。
 そして、ジャバウォック共々、次々に翼を羽ばたかせ、その場から飛び立っていったのだが……1体だけ、すぐには飛び立たずにいる者がいた。

 その龍は、じろりと不愉快そうに周囲を見回す。その目に映っているのは……

「こ、こんなことはあり得ない! へ、陛下が、こんな……何かの間違いだ!」

「なぜだぁ!? 儀式さえ、本番さえ成功すれば、全てが……祖国の栄光への道が始まるはず!」

「あ、あってはならん! あるはずがない! こんなこと……たかだかケダモノの暴走などで、我らの未来がげびょっ!?」

 最早これ以上利く意味はない、聞いているだけで不快だ。
 そう言わんばかりに、1匹残った龍は……周囲に残っていた側近達を、尾を振るってまとめて何人か吹き飛ばした。皇帝と同じように、粉々に飛び散って血霧になる。

 それを受けて、ようやくその者達は、今自分達がいるのが、栄光への階などではなく……ただの地獄の入り口であることを悟った。

 しかしてそれは、あまりにも遅かったわけだが。


 ☆☆☆


 チラノース、およびダモクレス財団による、本番の『儀式』。

 神域の龍『ジャバウォック』の降臨。

 その事実が情報として各地に届くよりもはるかに早く……それこそ、儀式の発動とほぼ時を同じくして、各地に異変が起こり始める。

 大陸各地に存在する、一定以上の規模の『地脈』が反応し……そこから、『儀式』で見られたのと同じ、赤い光の柱が立ち上る。
 それらは一様に、天高く伸び……その返礼の白い光が下りてくる。

 しかし、こちらは儀式の場で見られたそれとは違い、『試運転』の時と同じか、あるいはそれよりも細く頼りないとしか言えないような、弱弱しい光に見えた。それを伝って、龍が下りてくる様子もない。

 それでも、この星の『地脈』と、『渡り星』を繋いでいるのは事実。一筋の蜘蛛の糸のようにか細く見えても、その光には絶大な力が通っている。

 何より、突如として起こったこの異常事態を目にした周辺の人々は、一体何が起こったのか、天変地異の前触れかと、恐々とした時を過ごすことになる。

 そして、ごくわずかな、今この大陸で何が起こっているかを理解している者達は……理解しているからこそ、その他大勢の民たちよりも、余計に怯える時を過ごさねばならなくなるのだった。



「た、助けて……助けてくれぇ!?」

「嫌だ、死にたくない……どうして、どうして我々がこのような……」

「くそくそくそくそぉ!? 話が違うぞ、『ダモクレス財団』ん!? 脳なしの研究員共ォ!? 研究は完成したのでは、準備は万全ではなかったのかぁ!?」

 逃げ惑う、チラノース皇帝の側近達。口々に、思ったままのことを叫んで喚きながら、しかし龍を相手に逃げられるはずもなく、1人、また1人と殺されていく。
 
 ある者は踏み潰され、ある者は爪で引き裂かれ、ある者は炎の吐息で丸焼きにされ、ある者は牙にかかって食いちぎられた。

 手にかけている龍は、別にその者達を憎々し気に思っている様子はない。
 ただ単に、先程からうるさくて目障りだったから、少しイラついたから殺そう、くらいに考えたのだろう。雑に、しかしわざわざ1人1人、恐怖をあおって遊ぶように殺していく。

 逃げ惑う者達の1人が、混乱の中、1人の男に目をつけた。

「さ、サロンダースっ! サロンダース中将っ! わ、私を助けよ! 守れ!」

 その視線の先にいたのは、外様の身分でありながらも、その実力と実績を評価され、この儀式の場での護衛の大任を受けてここに来ていた、サロンダースだった。

 今はもう守るべき皇帝はいなくなってしまったが、兎にも角にも自分が死ぬ自体は何としても回避しなければならぬと、棒立ちになっているその男の元に駆け寄る。日頃の運動不足ゆえに、早く動かすだけでもつれて転びそうになる足を、必死で動かして。

 この木偶の坊め、この非常事態に何をのんきに突っ立っているのか、ぼーっとしてないでさっさと剣を抜いて我々を守れ、お前は所詮それしか能がないのだから。
 次々に脳内にそんな罵倒が浮かんでくるが、口にしても仕方がないし、その時間すら惜しい。

 そう思って、その男は率直に指示する形でサロンダースに呼びかけ……

「ぼさっとするなこの役立たずめが! 早くその剣でもって我らを……」

 
 ―――ドスッ


 言い終えるより前に、サロンダースの剣が心臓に突き立てられた。
 最後まで『わけがわからない』といった表情のまま、側近の男は死んだ。

 その他の側近は……ちょうど最後の1人が、龍の爪に引き裂かれたところだった。

 龍は、残っているサロンダースにも爪を突き立てようとして……それを止めた。

『む……貴様は見覚えがあるな。あの白い男の仲間だったか』

「覚えていただけていたようで何よりだヨ。うるさい虫けら共を掃除して気は張れたかナ?」

『ふん、どうだかな……まあ、貴様らの手引きのおかげで、我らがこの地に降り立つことができたのは事実……ジャバウォック様も褒めておられたぞ』

「それは光栄だネ……さて、それじゃあ私はこの辺りで失礼させてもらうとするヨ。これから色々と忙しくなりそうだし……もう、この国に用はないしネ」

 剣を振って、血を払ってから鞘に納めるサロンダース。
 その目は、たった今自分が殺したチラノース高官を見下ろしていて……まるでゴミを見るように、どこまでも冷ややかだった。

 しかし、そんな興味関心すら一瞬後には失せてしまった様子で、

「さて、それじゃあさっさとプラセリエルに合流しないとネ……その後は兵の割り振りと、今後の予定の調整、事前の打ち合わせも必要だったか。ああもう……『最高幹部』も楽じゃないヨ」

 チラノース帝国軍中将、もとい、ダモクレス財団最高幹部の1人……サロンダース。

 半世紀以上にわたって被り続けた偽りの肩書を捨てた彼は、真に忠誠を誓った組織の大願を成就させるため、感情の起伏を読み取れない平坦な独り言をこぼしながら、すたすたと歩きだした。



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