魔拳のデイドリーマー

osho

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第19章 妖怪大戦争と全てを蝕む闇

第441話 起 き ろ !

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「う、そ……?」

「ミナトさん……そんな……!?」

 その光景を前にして、各自の反応は様々だった。

 何が起こったか理解できない者。
 理解しつつも、愕然として立ち尽くす者。
 動揺を噛み殺し、飲み込んで次に取るべき手を探る者。

 そして……感情のままに、元凶に襲い掛かる者。

 ――ガギィン!!
 
 超高速・超威力・超高熱の三拍子そろい、燃え盛る炎を噴き上げながら振り下ろされたシェリーの剣。それをカムロは、腕を少し上にあげただけで、こともなげに受け止める。周囲の地面ごと焼き尽くさんばかりに広がった爆炎も、欠片も効いているようには見えなかった。

「おーおー、ショック受けてるかと思ったら、意外と元気なお嬢さんだな」

「お褒めの言葉、どうも……そんで? 今の何? 私達の旦那様をどこにやったわけ?」

「死んだ、と言ったら?」

 返答の代わりに、炎を纏った蹴りがカムロの顔面に入った。しかし当然ながら、装甲に防がれて応えた様子はない。
 そのまま素早く、もう1発蹴りを入れると同時に、その反動でシェリーは距離を取った。

「いい蹴りだ……『災王』ほどじゃないが、ほんのちょっとだけ響いたぜ。……この威力……お前さんの力だけじゃねえなあ……?」

 言いながら、改めてシェリーを、そして彼女を覆わんばかりに肥大した『邪気』を見るカムロ。
 先程まではただ重い荷物を背負わされているように苦し気だったシェリーだが、今はその代わりに、むしろその『邪気』が力になっているように見えた。
 いや、実際にそうなのだろう。背中に生やしている、轟々と燃える炎の翼に連動するように、全身を邪気が脈打つように流動してうごめいている。明らかに、彼女の力として動いていた。

 それに彼女が気づいていないはずもない。だが、気にする余裕もないようだ。

「戦闘狂だとは聞いてた。やはりというか、お嬢さんと『邪気』はよっぽど相性が良かったと見える。闘争心や激情は、『邪気』を力に変える助けになるからなあ……案外とこの先の世の中は、お嬢さんには生きやすい世の中になるんじゃないか?」

「『鬼』連中が理想に掲げてた世の中のこと? 思いっきり裏切って、その首魁まで殺しといて何を今更……それよりさっさと教えてくんない? ミナト君をどこへやったの?」

「さっき言ったはずだが?」

「嘘ね。これでも『ネガエルフ』の端くれ……まあ、知識量や術の器用さは全然だけど、ある程度の術の構成くらいは見るだけでわかるのよ、私。アレ……攻撃系の技じゃなくて、転移系でしょ?」

「ほぉ」

 言い当てられたことに驚いたのだろう、カムロが思わずといった感じで声を出した。

「確かに、その直前に拘束目的で放ったビームも、ダメ押しに放った蹴りも、すんごい威力だった。あのどっちかでも直撃したら、普通の……いや、相当に鍛えてるやつでもそれだけで、いや、その余波だけで死ぬ。けど、ミナト君はアレくらいじゃ死なない。それは戦ってたあんたが一番わかってるはず。本命はあの黒い沼みたいな……転移門の類ね? アレ、どこにつながってるの?」

 ちらりと視線を斜め後ろにやるシェリー。
 そこには、ミナトを飲み込んだ後もまだそこに存在し続ける、漆黒の沼地のような転移門。当然ながら、その向こうに何が広がっているのかは、全く見えない。

「気になるなら、飛び込んでみればわかるかもしれないぜ?」

「いよいよってなったらそうするわよ。仮にそこが地獄につながっていようと、愛する人と添い遂げるためならどこだって行ってやるわ」

「おお、やるじゃねえか、正解だぜお嬢さん」

「…………何ですって?」

 それを聞いてシェリーが怪訝な表情になったと同時に、その両脇にさらに数人が駆けつけて並び立った。
 横目でシェリーが確認すると、セレナ、ギーナ、サクヤ、それにタマモの4人だ。
 それに加えて、遠くに位置取っているようだが、狙撃のためにナナもスタンバイしている。

「会話、こっちにまで聞こえて来たわ。アレが転移門だってことは……うちの義弟はまだ生きてるってことよね?」

 どうやら、困惑したり愕然としていたメンバーも含まれているようだが、シェリーとカムロの会話から『ミナトはまだ無事である』という点を聞いて希望を取り戻し、それならばとシェリーの加勢に赴いたらしい。

 胸の熱くなるような展開に、ひゅう、とカムロはからかうように口笛を吹いた。
 それに苛立ちつつも、セレナはシェリーに告げる。

「今、船に乗ってるネリドラちゃんとリュドネラちゃんがあの黒い沼っぽい奴の術式を解析してるわ。どうやらあまりうまく制御されてないみたいで、閉じるまでまだ時間あるみたい。それまで何とか私達で時間稼ぐわよ」

「……了解! 死んでなきゃ取り戻せる! 十分!」

「いえ、ミナト殿でしたら案外自力で戻ってくるかもしれませんね」

「同感です。先程も、拳で空間を破壊していたのが見えました……相変わらず予想できないお方だ、大陸でもそうだったのですか?」

「まーね」

 軽口を交わせるくらいに余裕が戻ったと見るべきか、不安を無理やり覆い隠していると見るべきか……意見が分かれるところだった。
 だが、カムロはそのどちらでもいいのだろう。くっくっく、と押し殺したような笑いが響く。

「人の義弟が死んだとか、嘘でも背筋の寒くなるようなこと聞かせてくれちゃって……覚悟できてんでしょうね、この悪趣味野郎」

「こっちの姉ちゃんはおっかねえなあ……それに、別に俺は嘘言ったつもりはないぜ?」

「まだ言うか、この……!」

 苛立ったギーナが何か言うのを遮って、カムロは続ける。

「確かにアレそのものはただの転移の術式だ。通った者をどうこうするような作用はない……しかし、門を繋げた先によってはそれも違ってくるだろう?」

「そーかしらぁ? ミナト君、水中だろうが溶岩の中だろうが、多分だけど上空数千mとか、地面の中に出しても生還できると思うけど?」

「確かに、水中で呼吸できますし、溶岩の中でも火傷もしないほど頑丈ですし、空も飛べますから高所でも平気ですし……いざとなったら『虚数跳躍』で大抵のものはスルー出来ますからね。誰がどう考えてもあの世に行くしかないような状況でも、普通に生還してくるのが目に見えますよ」

「頼もしいなあ、流石はSSランクだ。だが―――



 ―――行き先がその『あの世』直通だったらどうだ?」



 ☆☆☆


 オルトヘイム号、メインコンピュータールーム。
 そこでは、先程までは外と同じように愕然とした空気が広がっていたものの……いち早く立ち直ったネリドラとリュドネラ、そして戻ってきたクロエが凄まじい勢いで機材を操作していた。船に搭載されている解析機能をフルに使い、転移門の解析を進める。

 その邪魔になる可能性を避け、エルクは極力3人に話しかけようとはしない。

 そして……この場にいるもう1人は、単純に話しかける余裕がない。

「……ミナト、さん……そんな…………ああ、こんな……!」

 ミナトが黒い転移門に沈んでいく様子を見てしまったミュウは、普段のお気楽でのどかな雰囲気が顔からきれいさっぱり消えうせて……顔面蒼白を絵にかいたような表情になっていた。
 腰が抜けてへたり込むように、床に力なく座っており……その手が、いや全身が、わなわなと震えていた。目は見開かれ、その端に涙が浮かんでいる。

 彼女は気づいてしまったのだ。
 この光景こそがまさに、自分が危惧していた、あの『予知夢』そのものだと。

 戦場の上に登る太陽…………『八咫烏』の登場。
 闇に覆われる世界…………キリツナの、そしてカムロの『究極の闇』。
 『鬼』と『龍』…………キリツナという鬼と、龍のような鎧をまとったカムロだろう。
 そして、ミナトが暗闇に落ちていく光景…………見たままだ。

(防げな、かった……!?)

 モニター越しではあるが、目の前でミナトが、手の届かないところへ……しかも、今現在もリアルタイムで拾っている戦場の音声が示す通りなら、あのゲートの行先は『あの世』だという。

 カムロが得意げに話すことには、『あの世』とは……宗教に語られるような、死者の魂が召される苦痛のない世界ではなく、単に『生きている者』と住む世界が違う『死者』が行き着く先というだけの、しかしこの世界とは違う異世界、あるいは異空間の類。

 そこに行くための出入り口はどこにでもあるが、使者の魂以外はそこを通ることはできない。ゆえに、生きている者にとっては縁のない場所でしかない。

 だが、もし人為的にそこにつながる門を用意できたら、それは違ってくるだろう。

 『邪気』の研究の副産物としてその可能性に気づいたカムロは、いざという時のためにその術式を研究し……完成させていた。いや、制御できていないことを考えれば、『完成』とは言えないかもしれないが。

 あの、ミナトを飲み込んだ黒い底なし沼のような転移門がまさにそれだという。
 『あの世』に直接つながる、一方通行の門……それを通ることは、すなわち死を意味する。

 それを聞いて、モニターの向こうでカムロと戦っているシェリーたちや、機材を動かしているネリドラ達にも動揺が走るが、必死にそれを振り切って、今自分がやるべきことをやる。

 仮にそれが本当だったとして、だからミナトが即アウトだということにはならないはずだ。
 ミナトは『生きている』状態でその世界に送られたのだから、そこに居るべきではないとはじき出されるかもしれないし、少し前にシェリーやギーナが言っていたように、自力で帰ってくる可能性もある。もしかしたら、今の話自体がカムロのブラフかもしれない。

 様々に理由をつけて……ミュウを除く面々が必死に動く中、エルクは静かに呼吸を整え……ある決意を固めていた。

「クロエ、ネリドラ、あとリュドネラも……一回しか言わないからよく聞いて」

「……? エルク、どうしたの?」

「ここ任せる。あと、ミュウのことよろしく」

「……え? ちょ、エルクちゃんそれどういう……ちょ、ちょっと!?」

 クロエが困惑気味に聞き返してきた頃には、エルクは既に部屋を出て走り出していた。
 背中側から聞こえてくるクロエの声を無視し、甲板に駆け上がる。

 そして、彼女の思い人に……ミナトに作り直してもらった水晶の短剣を手に取り、魔力を増幅させて風を起こし……それに乗って飛翔する。
 訓練を続け、最近ようやく、どうにか実戦レベルにまで持っていった技能。それをいかんなく発揮して空を駆ける。

 目指す場所はすぐに目視で見えて来た。

 シェリーが、セレナが、ギーナが、サクヤが、そしてあの後加わったらしいアルバも一緒になって、黒い鎧の怪人と戦っている。
 主に接近戦だが、時折、ナナが放つ狙撃を撃ち落としているようだ。

 ただ、『戦い』になっているのは、恐らくはカムロが遊んでいるからなのだろう。最強形態のミナトを相手に互角に戦っていた者が、ろくに攻めもせずにシェリーたちが全員無事でいられるとは考えにくいし、よく見れば見慣れない術をいくつも使っている。恐らく、あらためてあの鎧のスペックを確認ないし把握するために、シェリーたちを体のいいトレーニング相手にしている。
 もし奴がその気になれば、その時点で……と、エルクの脳裏に最悪の想像がよぎる。

 それを振り切ってエルクは前を見る。やるべきことをやるために。

 それは、自分の風の魔法と高速移動を生かして、シェリー達に加勢すること…………ではない。

 エルクは空中で方向を調整し、シェリーたちが戦っている戦場から少し離れた位置に……あの、ミナトを飲み込んだ忌々しい黒い沼があるところに照準を合わせ……一気に加速した。

 遠い位置から、戦場全体を広く見ていたナナが、真っ先にそれに気づいてぎょっとした表情になった。エルクが飛んでいく方向にあるものを見て、その意図に気づいたのだろう。

「ちょっ……え、エルクさん!? 待ってください、ダメ……」

「ナナ、ここ任せる! ちょっとあのバカ、連れ戻しに行ってくるから!」

「そんなっ、エ―――」

 最後まで聞かずに……エルクは加速の勢いそのままに、黒い沼の中に飛び込んだ。


 ☆☆☆


 えっと……僕、何でこんなとこにいるんだっけ?
 ていうか、ここどこだっけ?

 なんかよくわからない……今の状況も含めて、記憶も意識もあいまいな感じ。

 冬の朝、あったかい布団の中でまどろんでいる時の感覚に近い。朝だなー、起きなきゃなー、目覚まし鳴ってるなー、って思いつつも、結局頭が働かなくて、誘惑に負けて本能に従って、そのまま眠りこけちゃう感じ。

 それになんだ、この……妙に居心地がいいというか、ここに自分がいることに何の違和感も疑問もないみたいな感覚は……

 前にも僕、こんな感覚に陥ったことがあるような気が……だめだ、思いだせない。そこまで頭が働かない。

 このままここで眠っていたい。わずかに残っている意識を手放して、考えること全てを放棄してしまいたい。
 そんな風に思うほどに、僕は今……何だか、『流されたい』気分だ。抵抗する意思がない。

 そうすることが正しい、みたいな感じが、何だろう、本能的にわかる。そうすべきだと本能が告げている。このまま眠ってしまえって。

 ……決して、布団から起きたくない言い訳の類じゃない……と思う。
 いや、ホントに僕自身としてはその意識はないから、うん。

 けど、何だろう。さっきから……僕の胸の中、あるいは頭の中で、『行っちゃダメ』って誰かが言ってるような気がする。
 頭の中から聞こえるのに、ひどく遠くから聞こえるような気がする。矛盾。

「……ぃたっ! ……ト、ミナ……!」

 ……うん? 何だろ、今度はもうちょっと近くで何か聞こえたな。
 代わりに、頭の中からって感じじゃなくて、ちゃんと耳から声が入ってきた気がする。

「ミ……生き…る? 生きてるわよね!?」

 というかこの声、エルクの声かな?

「起きてミナト! 早く、早く起きなさい!」

 朝、いつまでも起きてこない僕を起こしに来た感じ? それにしちゃ、なんか必死そうな声だな……切羽詰まってるというか、何というか……

「くっ、何なのよこのモヤモヤ……何か、気持ち悪いし、これヤバい奴じゃないの? ミナト、さっさと起きて! 帰らなきゃでしょ、こうしてる間にも……ねえ聞いてんのあんた!?」

 ああでも、眠いな……。エルクには悪いけど、何かこのまままだしばらく寝てたい……。
 たまにはわがまま言っても許されるかな? 許されると思いたい。毎日朝練頑張ってるんだし、なんか妙に疲れて眠いし……

「起きて、起きてよミナト! 生きてんでしょ! ねえちょっとかわいい嫁がこんな言ってんだからあっちょっと何すん……やめろ寝ぼけ……寝ぼけてるだけでしょコレ!?」

 どうせだから一緒に寝ようよ……たまにやるんだけど、起こそうとするエルクを寝床の中に引っ張り込む感じで、眠いのを我慢して必死に体を動かす僕。
 いいじゃない今日くらい……寝坊しようよ、シェーンとかに怒られたら僕が謝るから。

「……こんのボケ……わかった、わかったわ、あんたがそう来るならこっちにも考えがあるから」

 その言葉を最後に、エルクの声は聞こえなくなった。
 あれ、怒らせちゃったかな……後で謝らないと。何か今日、大事な用事とかあったっけ?

 ていうか、今日は何月何日で……ここはどこで……僕は……どうして……何を…………

「…………あのね、ミナト…………



 …………ごめんなさい。私……他に好きな人ができたの」



……………………………………え?

 今、エルク、何て言った?
 他に好きな人? 僕じゃなくて?

「……だから、その、ごめん……私、出ていくわ。別れましょう……あなたにはきっと、私よりいい人が見つかるから……その、今まで楽しかった、ありがとう」

 …………声が頭に入ってこない。
 嘘。入ってくる。
 ただ、理解するのを頭が拒否してるだけ。

 さっきまであったかい布団の中にいたような感触だったのが、冷たい土の中に埋められたような感じに一気に転落した。息苦しい、体が動かない……いやコレはむしろ元々だけどそれにしたってコレ……

 だってあり得ないこんなエルクがコレまるで別れ話みたいな僕にごめんってそんなの全然いいいやよくない僕が僕に僕の他に好きな人今までって何今までもむしろこれからもでしょ何言ってんのエルクHAHAHA冗談が上手いいつのまにこんな愉快通り越して趣味悪いねえ冗談だよね嘘だよね冗談って言って別れるとかマジありえないねえちょっとエルクさすがに趣味悪いよ僕怒るよいやむしろ泣くよこんな―――

 自分でも支離滅裂だってわかる思考。それすらどこか他人事のように感じる。
 それを他人の視点で見ていられるこの感じは、僕にわずかに残された冷静な思考の部分かもしれなくて……しかし、そのひと欠片の理性にすら、トドメを指す言葉が飛んできた。





「…………さよなら、ミナト」





………………もうだめだ、死のう。





「……うん? え、え、ちょっと何コレ、何何何!? え、これ揺れて、っていうか空間ひび入って……え、壊れてってない!? 待って!? 待って待ってマジ待ってコレさすがに洒落になってない! ひょっとしてこれアレか!? 前にミナトとかお義母さんが言ってた、あまりの殺気に周囲の動植物が生きることを諦めて自ら死を選ぶっていう的な……ちょっとマジでやばいってコレ! 私も死ぬわ! 起きて、起きてミナト起き……こんのッ、起きろバカァ!!」

 ―――バッシィィン!!

「あ痛っっったァ!?」

 脳天に響く、懐かしい……そして、どこか心地よい衝撃。
 別に痛くないけど、リアクションとしてこうあるべきだと僕の脳が勝手に解釈して、毎度彼女のハリセンが炸裂するたびに…………

 ……ああ、そうだ。この感じだ。
 いつも隣にいてくれる彼女が、いつもやりすぎた僕に入れてくるこのツッコミだ。

 よかった。悪い夢だったみたいだ。
 彼女はどこにも行ってない。誇張でも何でもなく、彼女がいなくなったら生きていけないであろう僕の隣から、どこにも行かずにいてくれた。

「全く、最初からこうすりゃよかったのね……ハァ。おーい、起きれる?」

「……うん、多分」

 ゆっくりと上体を起こす。

 そこは……何もない、真っ黒い空間だった。
 暗くはないが、黒い。ただひたすら、闇しかない空間だ。しかも、足元には……『邪気』ではないと思うけど、よく似た黒い煙がモヤモヤと立ち込めている。ドライアイスのスモークを黒く染めたような見た目だけど……多分それだけじゃない、何か嫌な感じがするコレ。

 ここがどこなのかは、依然わからない。今の状況も、いまいちわからないし思いだせない。

 ……けど……

「全く……やっと起きたか、この寝ぼすけ」

「ははは……おはよう、エルク。ごめん、なんか……迷惑かけちゃったみたいだね」

 目の前にこうして、彼女が……エルクがいてくれる。こうして、呆れ交じりで三白眼だけど、やっぱりかわいい笑顔を見せてくれる。
 何だかそれだけで、今の僕は十分な気分だった。



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