魔拳のデイドリーマー

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第14章 混沌庭園のプロフェッサー

第250話 猫の住処見学ツアー・前編

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今回、久々に?一挙2話投稿になります。
説明っぽい上に長くなったので、真ん中くらいで切りました。

この後更新の第251話とあわせてどうぞ。
********************************************



昨日は、存分に飲んで食べて騒いだ。
実に数十年ぶりに『キャドリーユ家』兄弟全員がそろったということもあり、母さんも特に上機嫌で、そこらじゅうで自分の子供たちに絡みまくっていた。

その合間を縫って、ネスティアの国王様やジャスニアのエルビス王子なんかがあいさつに来てたんだけど、権力者には興味もなければ仕立てに出る気もない人なので、普通に『いつもうちの子がどーもー』くらいのテンションであいさつしてた。

見る人が見れば不敬罪もんだろうけど、そういう感じに対応されている要人2人もそういうのを気にしないタチなので問題ない。
……あっても問題にできないだろうけど。

で、残り2か国の要人ゲスト2人――レジーナとオリビアちゃんは、こっち側も仲いい友達のお母さんに挨拶する感じだったので全く問題なし。むしろすごくうまく打ち解けていた。

オリビアちゃんは丁寧で礼儀正しく、しかし堅苦しすぎない感じで。貴族の子女でも、根っこが素直で優しいいい子だから、話しづらさってもんがないんだよね、彼女。
レジーナは、思いっきり友達系のテンションで。性格的に波長合うみたいだったな。一回前に会って色々話してるから、っていうのもあったのかもしれないし。

見た感じ、母さんはあの2人についてはプライベート的な付き合いをする知り合いの子だとして見始めたかもしれない。そのくらい意気投合していた。

……最後の方で、『今度『女楼蜘蛛』の皆も呼ぼうかな』ってこぼしてたな……いやまあ、別に構わないんだけどさ。いきなりとかでなければ。用意するし。

そんな感じでパーティは楽しく進み、そのテンションのまま無事に――余興として僕の方で一応用意してたビンゴゲームを、『景品に問題がある』ってノエル姉さんに説教食らった挙句中止にされたりとかはあったけど――おおむね無事にお開きになった。

……やっぱり、少数とはいえ、国宝級や出土品相当のマジックアイテム、新作の魔法薬やCPUMはやりすぎだったんだろうか? いやでも、そろってるメンツがメンツだし、信頼もできる人たちだからそのくらい豪華でも……それに、さすがに国家間のパワーバランス崩すようなのはきちんと自粛したし……。

まあともかく、そんな感じで、昨日のパーティはおおむね無事に終わった。

で、今日これから何をするかと言うと……だ。


「はーい、じゃ、これから『キャッツコロニー』見学ツアー……じゃなくて、施設案内に入りますんで、皆さんはぐれないようについてきてくださいねー。迷うだけならまだしも、立ち入り禁止のエリアとかにうっかり入ると、割と洒落にならないトラップとかあるんで」

「「「はーい!」」」


とまあ、レジーナ、オリビア、リンスの3人がノリよく返してくれたところで……いざ出発。

一応、ここ来た初日と昨日で簡単には説明してあるけど……まだまだ色々と話しておくことがある、『キャッツコロニー』の案内ツアーである。


☆☆☆


と、いうわけで……はぐれないように固まって移動しつつ、色々と施設案内を――無論、見られてもいい部分だけを、という縛りは設けたうえで――していくわけだけどもさて、まず……基本的というか、最初の最初の部分から説明していこうか。

この『拠点都市・キャッツコロニー』は、ダイアナ姉さんとシャンカス兄さんの協力の元、このおよそ2か月間で僕が作り上げたものだ。

突貫工事ではあったが、最新の(だと思う)テクノロジーを随所駆使してあり、完成度については、本職のダイアナ姉さん達から見ても申し分ないとお墨付きをもらっている。

広さとしては……小さな町や村がすっぽり入るであろう大きさになっている。
というか、『拠点都市』の名のとおり、色んな施設がそろっていて、まさに1つの都市って感じになっているのだ。

ただし、当然ながらあくまで僕らの『拠点』として作ったものであるため、ここに誰かを住まわせるとかは考えていない。ゆえに、生活必需品を売るような店があるわけでもない。
繰り返すが、あくまで僕らの『拠点』。そういうのは『備品』である。わざわざ店を用意して買ったりするような仕組みにしておく必要はない。

まあ、例外もないことはないんだけども……詳しくは後で話そうか。

そんなわけで、ここ『キャッツコロニー』には、僕らの冒険者ライフその他に役立つ施設をいくつも備えてある。それらのうち、外部――と言っても信用できる範囲ではあるが――に知られても問題ない部分について、順々に回っていく。

ではまず、最初に……集合場所にもなったここから案内と行こうか。

見た目一発、高級ホテル……って感じの施設。見た目も中身も。
その名も『ゲストハウス』。見た目通りの宿泊用施設だ。

本物のホテルほど内部の設備が充実してるわけじゃないが、それでも清潔に保たれた部屋がいくつもあり、快適に泊まることができる。さらに部屋はランク分けされていて、ビジネスホテルくらいの部屋から、高級ホテルのロイヤルスイート級の部屋まである。

ここは、外から来たお客さんたちに泊まってもらうための施設だ。今回来た、メルディアナ王女たちもここに泊まっている。無論、一番ランクの上の部屋に。

兵士や従者さんたちにはそれぞれ、下の方のランクの部屋を用意しているが、役目が役目なので、日中や王女様たちが起きている間は、主達と同じ部屋でスタンバっているようだ。

なお、ここには食堂もあり、それなりのメニューであればそこで食べることができるし、普段は開けていない高級レストラン調の店もあるので、ハイレベルな会食にも使える。まさに高級ホテル、って感じの使い方ができる施設なのだ。

ただし……当然ながら、僕ら邪香猫と相応のかかわりや信頼関係がある人でなければ、基本的に泊めることはない――というかそもそも招かない――し、逆に僕らが目いっぱい信頼できる相手である場合も、本人たちの希望でもなければここにとめることはなかったりする。

あくまでここは『お客さん』用。『身内』用は別にある。詳しくは後ほど。

「で、王女様たちにはロイヤルスイートに、スウラさんたちにはスイートとか、その下のビジネスランクに主に止まってもらってるわけですけど……昨日はゆっくり休めました?」

「ああ、実に快適だった。世辞抜きにして、今までで一番快適に過ごせた宿だったぞ?」

「はい、とてもゆっくりとくつろがせていただきました」

と、姉妹そろってそう言ってきてくれるネスティア王女コンビ。
その顔には、思い出しながら話しているのか、満面の笑み。

その隣にいる、ルビスやエルビス王子、それにレジーナも『うんうん』と首肯。

どうやら、当ホテルの泊まり心地はお気に召していただけたようだ。
各地への出張?やら何やらで、最高レベルの宿への宿泊に慣れてるであろうこの人らにそう言ってもらえると、嬉しいもんだ。

「内装の豪華さなどなら、確かにここよりも上の部屋は何度も経験しているが……何と言っても、ここは『快適さ』が段違いだったからな」

「ああ、それは私も思った……部屋の内外にあるものが、どれもこれも便利すぎる」

「どこもかしこもマジックアイテムだらけですもんねー……あえて悪いところ上げるとすれば、その使い方覚えるのが逆にちょっと大変かもだった、ってとこかな」

と、エルビス王子、ルビス、レジーナの順に。おおむね好評なようで何より。

彼女らが泊まっているロイヤルスイート級は、現代日本のそういうホテルのそういう部屋とさして変わりないレベルの生活ができるように、潤沢なマジックアイテムで環境を整えている。照明や水道はもちろん、空調完備だし、冷蔵庫もついてるし、風呂は1人用と大人数対応用の2つついてて、しかもどっちもジャグジーとか出せるし、泡風呂もできる。さらには、ベル一つで部屋付きのメイドが来るようになってるという充実ぶりだ。

するとここで、ふと思い出したように第一王女様が、

「そうだミナト、1つ聞きたかったんだが……そのメイドのことでな」

「何ですか? ……って言っても、大体予想つきますけど」

「だろうな。なあミナト、あそこで働いているメイド達……何で全員顔が同じなんだ?」

それに続いてルビスも、

「いや……顔だけではない。服や装備はともかく、体格も背丈も、肌や目の色も、髪の長さも色も髪型も、果ては声や、動きの癖に至るまで全くと言っていいほど同じだったぞ」

「あー、すいません、驚かせちゃって」

「……まさかとは思うが……アレ、お前が『作った』のか?」

たらり、と冷汗を流しながら訪ねてくる王女様。
さすがにというか、生命体、それも人間を……ということになると、いくら僕が『否常識』の権化であると理解していても、思うところは出てくるんだろうか?

「ああ、大丈夫です。確かに作りましたけど……人造人間とか、人工生命じゃないんで」

「つまり……どういう意味だ?」

「『メイドロボ』――自動人形なんですよ、あのら」

僕の、最近作った自信作たちである。師匠のところにいた『シルキー』のメイド達の霊体組成をベースにして人造の家事精霊プログラムを作り、それをあらかじめ作っておいた素体に組み込み、定着させたうえで……『精霊魔法』の応用で付喪神化させたもの。
それを量産して、主人の命令に従って施設の整備等を行う労働力にしている。

可能な限りかみ砕いて説明すると、全員もれなく驚いていた。そんなことが可能なのか、と。

ただし、ドレーク兄さんとアクィラ姉さんはそんなに驚いてなかったな。
恐らく、まとっている魔力の感じから、彼女たちの正体をある程度察していたんだろう。細かいところまではともかく、僕の『作品』であり、人形の類であろうことあたりは。

まあ、人形であっても、本物のシルキー由来の家事スキルをトレースしているので、その能力は本職のメイドにも負けず劣らずのレベルだ。
その上、人形だから疲労を覚えることもなく、24時間動ける。

おまけに、全身各所に色々なギミックまで搭載されているのだ。僕の趣味が如実に反映された、家事関係から警備関係まで色々な場面で活躍できそうな、様々なギミックが。

例を挙げさせてもらえば、魔力式のレーザーや、主を守るための障壁発生機構、高所作業や空中戦に使える浮遊ユニットなんかは標準装備で……え、何、皆、その目は?

……ここはこのくらいにして、次に行こうか。



……あ、ちなみに……ここの使い心地について、第一王女様と同じく国賓的な立ち位置で昨日のパーティに参加していた、オリビアちゃんの感想がなかったのはなぜかというと……
……まあ、これも後で。


☆☆☆


続いてやってきたのは……ここもすでに、皆さんが1度訪れている場所だ。『キャッツコロニー』に来たその日に。
っていうか、まさにここ……『ターミナル』に到着したんだけどね、皆。

「一言でいえば……馬車や竜車の発着場とか、港湾施設、みたいなもんだよ。『ナイトライナー』……あー、あの長い乗り物に乗ってさ、ここにまず来たでしょ?」

「あの乗り物の発着に使う、専用の施設……しかし、走行用と思しき道が1つではないな。つまりここには、あの乗り物が複数格納されている、ということか?」

「アレだけじゃないけどね。僕らの『オルトヘイム号』もここから出るし、他にもいくつかある。それに、それらの整備もここでできるように、ドックが併設されてる」

と、ただいまドレーク兄さんに説明中。

目の前には、現代の都心のターミナル駅……ほどではさすがにないが、それでもかなりの広さの空間が広がっている。そしてそこに、何本もの線路のような道が通っている。
もっとも、組み木がなされた路線じゃなく、普通の舗装道みたいな平坦な道だけど。

ここでは『ナイトライナー』だけじゃなく、必要に応じて、様々な乗り物が発着する。
僕が作ってここに格納している様々な乗り物はもちろん、発『着』場所であるからして、外から来た乗り物を迎えたりもできる。

馬車や竜車はもちろん、実は大型船だって乗りつけることが可能だ。

え? 陸……っていうか、都市の中にあるのに、空飛ぶ列車はともかく、どうやって船なんか乗りつけるのかって?
それはもちろん……乗ってこれるところまで、入り口を『つなぐ』んだよ。

この『キャッツコロニー』の近くを通っている開けた場所や大型河川のいくつかに、『ポート』と呼ばれる、魔法発動の目印みたいなものを何か所か設けてある。
そしてそこには、都市の中から遠隔操作して『ゲート』を開き、この『ターミナル』とそこをつなぐことができるのだ。後はそこから、その『ゲート』を通して招き入れればいい。

平原からは大型竜車を招き入れられるし、河川からは船舶を乗り入れることが可能。
もちろん、船舶の発着場に使える水場は、別の場所にちゃんとあるので。

言わばここは、『キャッツコロニー』の玄関口の1つなのだ。それも、メインで使う系の。

普段……って言うほどまだ頻繁に使ってるわけじゃないけど(完成して間もないので)、ノエル姉さんやジェリーラ姉さんの商会の馬車や、イオ兄さんのとこの人たちが遊びに来たり、物資を届けたりする時に使ってる。バス的な輸送車両や輸送船、貨物列車っぽいのも作ったから。

ここはもともと危険区域のど真ん中であるということもあって――加えて僕が生態系いじったので、軍隊だってまず近づけない立地にあるわけで――まともな交通手段で来ることなんできない。相当強力な護衛を雇って強行突破してくるか、僕らが迎えも出して招き入れる形がメインの行き来の手段であるわけだ。

前者はともかく、後者をやるとすれば、当然ながら超長距離を移動できるような大掛かりな乗り物が必要になるので、それに発着場を要すると考えた結果……『いっそ汎用性のあるターミナル駅的なものを作ってしまおう』と考えた。

そしてできたのが、この『ターミナル』ってわけだ。
今言った通り、姉妹都市(?)である『ローザンパーク』本集落との行き来や、外界との物資のやり取りに活躍してくれているし、今回みたいにネスティアやジャスニア、ニアキュドラからお客さんを連れてきたり送ったりするのにも今後役立つだろう。

もっとも……この施設というか、移動手段自体、僕らが認めた相手以外に使わせるつもりはないが。

「あ、ちなみにドレーク兄さんと国王様を送る時も、ここから送ることになるから。来た時と同じように『ナイトライナー』でと思ってるけど、いい?」

「問題はないが……その言い方だと、他の乗り物も可能ということか?」

「うん。でも、おすすめはしないかなー……飛行機系は早いけど、狭いから乗り心地よくないし、Gも結構きつい。船系は人によっては酔うし、遅いから」

「そうか。興味はあるが……まあ、任せよう。安全面にだけ気を使ってくれ」

「了解。さて……じゃ、次行こうか。ここは、滑走路とか以外は特に見るもんないし」


☆☆☆


3か所目。ここは『プレイエリア』。
その名のとおり、とでも言えばいいのか……直訳通りの『遊び場』だ。

説明するとしたら……複合型娯楽施設、とでも言えばいいだろうか。
買い物したり、遊んだり、ゆっくりくつろいだりする施設がそろっている。

ノエル姉さんやジェリーラ姉さんのとこの支店があるし、イオ兄さんのとこから行商に来てる人たちの露店なんかもある。あとは、アイリーンさん経由でギルドの公認店から持ち込まれたものとかも取り扱ってる。

体を動かせるような施設も充実している。トレーニングジムやテニスコート、卓球場やプールもある。

そして、そこで書いた汗を流したり、単にリラックスできるように、温泉施設もある。エステ系のサービスが受けられるサロンみたいなのもある。

カフェやレストラン、BARもあるから、お腹がすいたらここにきて食べるのもいいだろう。
食べられる料理の種類も『ゲストハウス』より豊富だし。

そしておまけに、刺激的な時間を過ごせるようにってことで、ゲーセンやカジノみたいなのまで作ってある。

ただし、これらの施設は、いつでも全部が稼働しているわけじゃない。

さっきも言ったと思うけど、基本ここは僕らの『拠点』である。必要な物品は備品として置いておくし、食事がしたければする場所もきちんとあるので、レストランやショップをわざわざ別口で使えるように置いておく意味はそれほどない。
今回みたいに、外からお客さんが来てる時のみフル稼働になる。

まあもっとも、『支店』については、何か物品が『あ、コレもうなくなるな』って時に発注して、次の時に納入してもらうっていう役割があるので、必要に応じて稼働するんだけどね。ノエル姉さん達のとこから派遣された、信頼できる人が常駐してくれてるから。

……いや、誰って、ナナだけどね? ほら、彼女一応、『マルラス』所属だし。

ゲーセンやカジノは、暇なとき、遊びたい時に電源入れる程度。
ゲーセンは僕が知ってる範囲のゲームしかないんだけど、カジノはジェリーラ姉さんに監修をお願いしているので、それなりに充実している。賭け事好きが集まれば、それなりに白熱するであろうレベルの設備がそろっていると言っていい。
……僕は嫌いなんだけどね。賭け事。

あ、ちなみに施設の維持管理は、例によってメイドロボたちに任せてます。

「と、いうわけで自由に来て楽しんでくださいね。はい、コレ入場用パスです」

「うむ、ありがたくもらっておこう……これだけそろっているのなら、滞在中も退屈とは無縁の生活を過ごせそうだな。いや、でも……それは元々というものか」

「ああ……世界で一番『退屈』とは無縁な場所だからな、ここは」

と、メルディアナ王女と、その隣でうんうん、とうなずいているルビス。
まあ、僕の趣味を片っ端から実現させてる人外魔境だからね、ここは。

「ちなみに……お前が開発したマジックアイテムとかは売っていないのか?」

「いや、ありますけど……もれなく姉さん達の商会通しての販売に限ってるので、許可降りた無難なやつしか取り扱ってないですね。今んとこ」

「そうなのか。ふむ……なら、実質的には、王都のマルラス商会ででも買えるものばかり、ということか?」

「そうですね……ああでも、食料品なんかはここにしかないものも一応おいてますよ?」

「? 食料品、ですか?」

と、リンスレット王女。

「ええ。こないだ見てもらえた通り、この拠点都市の周辺には独特な魔物や動物か多いですから。あれら、ただ強くて危険なだけじゃなくて、食べると美味しいんですよ。他にも、野菜や果物なんかもここ特産(?)のが色々ありますんで、ついでに売ってます」

普段は、ノエル姉さんやジェリーラ姉さんの販路を通して売るか、イオ兄さんの所におすそ分けしたりしている。もちろん、遠距離を輸送するから、日持ちのするものに限られるけども。

けど、ここで産地直売という形でなら、新鮮さが命で長距離の輸送が難しい生鮮食品も売れるので、お客さんが来ている今のタイミングだけ売ってる食材も多かったりする。

「色々あるんで、よかったら見てってくださいね。あ、それと、この後その産地というか、収穫できる場所とかも見に行きますんで、お楽しみに……ってことで」

簡単に説明し、後は自由時間ということで……好きなように遊んで、買い物して、楽しんでもらった。そのための場所だしね、ここ。

この後見に行くところの時間の都合とかもあるし、長くはいられないけど……それこそ、夜とか明日以降にでも、今度は自分で来て楽しんでもらってもいいわけだし。


☆☆☆


……とまあ、この『プレイエリア』を見終えたところで、今日の午前中は終了となった。
いい時間なので、レストランで食事もとっていくことに。午後は、また別のところを回るからね、きっちり腹ごしらえしといてもらおう。

ちなみに言うと……この『キャッツコロニー』の中で見て回るのは、ここで最後だ。

他にも施設はないことはないけど……見ても面白くはないであろうものだったり、王女様たちといえど見せたり、案内するわけにはいかない施設ばかりなので。

品種改良した魔物や植物、人工生物等の生育実験・観察を行うための『ビオトープ』。

資材や工業製品なんかをラインを確立して作り出したりするための『ファクトリー』。

施設全体が核シェルター級に強固な作りになっている上に自己修復機能があるため、魔物同士を戦わせたり、僕らクラスがかなり本気で戦っても大丈夫な闘技場『スタジアム』。

危険な魔物や薬品なんかを隔離しておいたり、今はまだいないけど、ここに侵入しようとしてくるような連中をぶち込んどくためのスペース『アルカトラズ』。

そして、僕ら『邪香猫』メンバーおよび、本当に信頼できる人間だけが入ることができ……『ゲストハウス』以上に快適で便利、そして安全な生活を送れるように、あらゆる設備が全力で充実している居住用エリアである『ホーム』……こんなところか。

ちなみに『ホーム』には、僕ら『邪香猫』メンバーおよびスタッフの他は……僕の兄・姉たちや、母さん以下『女楼蜘蛛』の皆さん、そしてオリビアちゃんにのみ出入りの許可が出ている。そしてそのメンバーには、もれなく専用の個室が用意されている。
あと何人か『許可』出す候補はいるんだけど、今んとここれだけだ。

もちろん、ドレーク兄さんやアクィラ姉さんの部屋もある。
今回は2人とも、王族の皆さんの護衛として来ているからか、『ゲストハウス』の方に泊まろうとしたんだけど……母さんや僕らへの配慮からか、国王様から『せっかくだから向こうに行きなさい』と指示が出て、2人もこっちで寝泊まりしている。

そしてそのおかげで、昨日も一昨日も他の兄弟姉妹たちと交流する機会が多く、食事やおしゃべりを楽しんでいた。楽しそうだった。



……ああ、いや、まだだ。
もう1つあった。案内してない……っていうか、できない施設が。

もっともあそこは……『邪香猫』メンバーだろうと立ち入り禁止なんだけどね。
入れるのは、僕と師匠、ネリドラ、リュドネラの4人。そして、特別に用意した専用メイドロボたちだけだ。

これだけでもうわかっただろう……その施設というのが、何のことなのか。
多くは語るまい。語ろうと思って語れるほど、浅く単純でもないし。


その名も……『Day Dreamers Laboratory』。
通称、『D2ラボ』。


僕の……技術者としての、新しい城。



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