魔拳のデイドリーマー

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第18章 異世界東方見聞録

第342話 退屈の中に見えたもの

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 『グラシール』を出港してから、そろそろ2週間が経とうとしていた。

 僕らの乗る6隻の艦隊は、船足を合わせて、2×3の列を組んで進んでいる。

 戦闘を僕らの乗る『オルトヘイム号』と、もう一隻の戦艦。
 その後ろに、2隻の補給艦。
 後ろに戦艦2隻、といった感じだ。

 図示すると、


進行←  戦艦  補給  戦艦
方向←  僕ら  補給  戦艦


 こうだ。
 戦闘能力が低く、人員も少ない補給艦を、前後から守るようにしているわけである。

 進路の指示は、僕らと並走しているフロギュリアの戦艦からもらっている。

 実際この陣形は効果的で、魔物やら何やらの襲撃があった際、いち早くそれを察知して、戦闘にいる2隻だけで迅速に対応でき、被害も全くなかった。

 というかぶっちゃけ、その時は僕ら『邪香猫』がさっさと出張っていって仕留めたから、戦艦の皆さんからしたら『警戒してたら終わってた』くらいのもので、戦闘すら起こってないんだが。

 けどまあ、長期の航海で船にダメージが入るなんてのは死活問題だし、負傷者でも出れば、ただでさえ限られた物資を余計に消費することになるから、そもそも戦闘なんてないに越したことはない。それは、船乗り全員にとっての共通認識だ。

 ただ正直言うと、僕らは……不謹慎を承知で、そういう襲撃をちょっとばかり楽しんで対応してしまった部分も少なからずあったんだけどね、その時。

 何でかって? そりゃ……

「暇」

「あんたそれ何十回目よ……まあ、気持ちはわかるけど」

 コレが全てだ。
 うん、すっかり忘れてたんだけどさ……船に乗ってるのって、基本暇なんだよね。

 何せ、生活スペースが限られてる上、物資が限られた状況下に置かれるわけだから、やることがない。ただひたすらに……暇だ。
 何か、時間を潰す手段ってものが欲しい。このところ、ひたすらそう思っている。

 一応、以前『サンセスタ島』に行った時に、船旅は経験してるから、こうなることは知っていた。

 なので、一応本とか色々あらかじめ買って持ち込んで、航海中の暇つぶしにしようと対策はしてたんだけど……見通しが甘かったとしか言いようがないな。『長期間の航海』ってやつを完全に舐めてたよ。本なんか最初の数日で全部読んじゃったし。

 普段、冒険者としての仕事をする時とかも『オルトヘイム号』に乗っていくんだけど、その時はがっつり船速出して、しかも空飛んでいくから、すぐ目的地に着くしな。
 その間の時間なんて、行きにしろ帰りにしろ大したことないし……戦利品の整理とか、装備の整備とか、あるいは寝て休んでる間にすぐ終わる。

 けど今回は、普通の軍艦に船足を合わせてゆっくり海の上を進むわけで……いや、そうでなくたって、元々がどこにあるかもわからない国を目指してるんだから、そりゃこういう旅にもなるか。

 そんなわけで、今、僕らは『暇』という敵と戦っているのだ。

 一応、やることがないわけじゃないんだが……どれも飽きちゃったんだよね……。

 さっき言った通り、本はもう全部読んだ。
 面白かった奴は2度読みもしたし、他の人に貸してるものもある。

 持ち込んだ研究機材でラボにこもって研究、ってのも考えたんだけど、ずっとそればっかりってのも気が乗らない。新鮮で面白そうな研究対象でもあればともかく。

 そもそも、護衛としてここにいるわけだから、いざって時にさっと動けない場所・状況にいるのは原則NGなんだよね。船内にいるにせよ船外にいるにせよ、風呂とかでもない限りは、有事の際にばっと飛び出せるようにしておくのがベストなのだ。
 なので、船の奥の奥にはいる上、慎重な作業とかも多くて機敏に動く前提にないラボでの研究は、暇つぶしとして普段からやるには向いていない。

 ……向いてなくても、面白い研究材料があればやるけどね、僕も師匠もネリドラも。

 景色とか眺めてぼーっとしてるってのも案ではあったが、よくよく考えたらそんなもん論外だったな。こんな見渡す限り、水平線までずっと海ばっかの景色でそんなことしてても、何も面白くない。1分で飽きた。

 釣りは……結構楽しかったな。
 待ってる時間がこれまた暇なので、僕が作った、獲物を探して自分から引っ掛けに行く竿――ネスティアでムースちゃん捕まえる時に使ったアレ――でガンガン釣ってた。

 また、同じ竿を『邪香猫』の人数分用意して皆で釣ってたから、すごい量の魚が取れた。
 投網使ってもこうはいかないんじゃないかってくらいに。

 全部は僕達じゃ食べきれないので、食べる分だけ取って他の軍艦の人たちにおすそ分けした。
 基本的に保存食ばっかり食べてる生活だからだろう、めっちゃ喜ばれた。厨房の人たちの仕事は増えたけど、美味い食事につながるならって、嬉しい悲鳴だったようだ。

 しかしそれもほぼ毎日やってたから、そろそろ飽きた。

 となると、残る暇つぶしは……うーん……
 
「やれやれ。天下のSSランク冒険者も、倒せない敵が相手では形無しだな。ほら、飲むか?」

「お、ありがとシェーン」

 甲板でビーチチェアに寝っ転がってため息をついていた僕の所に、シェーンが飲み物と、つまみにお菓子を持ってきてくれた。ちょうど口が寂しかったからありがたい、いただこう。

 エルクも一緒にそれを受け取って……そうだ。

「ねえシェーン、こないだも聞いたけどさあ……」

「船旅でのいい暇つぶしはないか、だろう? この間も答えたが、一応出せる案は全部出したぞ」

 やれやれ、といった感じのシェーン。

 彼女、僕らの中では一番『船旅』に慣れてるというか、経験が豊富だからね。
 今回の船旅にあたっては、すっかりアドバイザー扱いである。

 何せ彼女、元海賊である。
 まだ小さい頃とはいえ、船の上で長い期間を過ごしていた経験を持つ彼女であれば、当然その際に暇つぶしにできるようなことも熟知しているんじゃないかと思ったんだけど……

 シェーンは『そう言われてもな……』と言いながら、空いているビーチチェアに座って、はあ、とため息をついていた。

「私が爺様の船に乗っていた頃は、海賊見習いとして朝から晩まで何かしら働いていたから……逆にほとんど暇らしい暇なんてものはなかったんだよ。それもなくはなかったとはいえ、本を読んだり、ミュウと世間話でもしてるうちに、すぐ終わって仕事の時間になったしな。なあ、ミュウ?」

「「え?」」

 なぜか振り返りながらシェーンがそう言うと……その視線の先にはいつの間にか近づいてきていたらしい、クリーム色の小さな子猫がそこにいた。

 そのまますたすたと歩いて近寄ってきて、にゃお、と鳴きながら、僕の膝の上に飛び乗る。

 そして次の瞬間、そのまま変身解除。
 『変身』していた子猫モードから、人間の姿に戻ったミュウが、そのまま僕に寄りかかるようにして膝の上に座っていた。

 体重も人間のそれになったので、いきなり重量を感じ……見た目のインパクトもこみでちょっとびっくりした。
 と言っても、小柄というか幼児体型なミュウの体重だから、たかが知れてるけど。

「どーもー。座り心地のいい椅子ですねー、ちょっとお邪魔しますよ」

「はいはい、お好きにどうぞ。ていうか、いつから甲板にいたの? 気づかなかったけど」

「ずっといましたよ? 猫に変身して日向ぼっこしてました」

「日向ぼっこねえ……んー、暇つぶしには向いてないかな。ていうか、ミュウは何かない?」

「残念ながら、お力になれそうにはないですねえ……私の場合、何もしないことを楽しむ、という特技を身に着けているものですから」

「……今だけはそののんびり精神がうらやましいかも」

 そうだ。彼女、退屈に耐性がある精神構造してるんだった。

 なんか、仕事に追われる現代のサラリーマンとかOLみたいな思考だと思わなくもないけど、『何もせずぼーっとして、ただ時間を浪費するように過ごす』っていう楽しみ方ができる人もいるらしい。何もしなくていいことが既に嬉しくて幸せだから、そのままずっと過ごせるんだって。

 ちょっと僕にはわかんない感覚だな……。ただぼーっとして休むのも楽しめないわけじゃないけど、それもある程度の長さになると、暇なのが帰って苦痛になる。事実こうなってるし。

 これが、冬の朝の布団の中とか、エルクが一緒に寝てるベッドの上とかだったらまだわからなくもないけど。

「……あんたまた変なこと考えてない?」

「変なことじゃない、至極真っ当なこと考えてる」

「あんたのそれは当てにならないっちゅーの……けど実際この暇な時間はなんとかしたいわよね。……ついつい忘れがちになるけど、本来の船旅とか……いや、馬車にしろ何にしろ、長距離の移動って本来はすべからく暇との戦いなのよね」

「『キャッツコロニー』で暮らしていると忘れがちになるがな。あそこの設備の充実具合は異常だからな……ああまで退屈とは無縁な場所は間違いなく他にない。毎日何かしら驚いている」

「またそんな大げさな……まあ、色々楽しめるように作ってはあるとはいえ、シェーンだってもう住み始めて……えーっと、9か月くらい? 『オルトヘイム号』に乗るようになってからだと2年近いし、もうそろそろ慣れたでしょさすがに」

「阿呆。未だに毎日何かしら驚いているよ……そもそもあのマジックアイテムだらけの部屋に慣れるだけでもしばらくかかったぞ。あと、お前がぽんぽん新種のドラゴンを作って、食材扱いで厨房に持ち込むし……お陰で最近は龍だろうが何だろうが抵抗も緊張もなくさばけるまでになった」

「たくましくなりましたねー、シェーンちゃん……」

「もー、人んちをそんな魔境みたいに……」

「十分魔境だっつの。危険区よりよっぽどね。けど、そんな魔境の騒々しさが今は懐かしく感じるわ……ねえシェーン、しつこいようで悪いけど、あんたの海賊時代……あんたじゃなくてもいいから、乗組員が暇つぶしにやってたこととか、参考になりそうなのない?」

「そう言われてもな……基本的に、ろくなことはしてなかったな」

「こう言っちゃなんですけど、海賊なんて、もともとが荒くれ者の集まりですからねえ」

 ミュウちゃんと2人して、『うーん』と当時を思い出すように首をひねっている。
 心なしか、眉間にしわが寄っているような……何を思い出してんだ?

「よく冒険小説とかだと、海賊とか船乗りって、歌って食べて飲んで騒いで、っていう感じで過ごしてるような描写多いですし、実際に『収入』があった場合はそうすることもありますけど……長期間の航海ってなるとほぼほぼそんなのないですしねえ。食料も飲料も限られてる中で、毎度毎度そんなバカ騒ぎして浪費してらんないですし」

「食料だってきちんと担当の奴が管理してるから、盗み食いは厳禁、見つかったら厳罰だからな。そもそも船旅でこれだけ気軽に飲み食いできるのなんて、貴族の道楽でもなければそうそうないし……あらためてこの船のすさまじさがわかるな」

 おやつとかつまみ食い大前提にして、お菓子類も含めて大量に積み込みんであるもんね。

 お菓子類は、シェーンと並ぶうちの厨房管理者の1人であり、スイーツ担当のコレットに頼んでいっぱい作ってもらったんだが、そのコレットが『作ってるだけで太りそう』って言うくらいに大量に作ってもらったので、まだまだある。保存のきくものに限りだけど。

「そんな状況だから、やることと言えば……嘘かホントかもわからない昔話を語り合ったり、面白くもない一発芸を見せ合ったり……ああ、博打ばくちもやってたな。大抵誰かがイカサマやろうとして、最終的に喧嘩になるんだが」

「喧嘩やってるとそれすら面白がって『混ぜろ混ぜろ』って言って飛び込んでた人達もいましたねー、あまりに暇すぎてもう何でもいい感じで」

「んな、シェリーじゃあるまいし……」

「うん? 呼んだ?」

 と、その瞬間、またしても突然声がして……今度は後ろからだな。

 振り返ると、真後ろにシェリー……と、セレナ義姉さんが立っていた。
 どっちも酒瓶片手に。ほんのり特徴的なアルコールの香り……というか、それを飲んだ人間特有の香りも含めて、こっちに漂ってくる。

「……昼間っから飲んでんの?」

「これも立派な暇つぶしの方法の1つですぅー。せっかくこのために4か国走り回ってお酒買いまくったんだから、この暇な時間を利用してじーっくり楽しまなきゃでしょ?」

「そんなことしてたのかあんた……どうりで最近、あっちこっち依頼で行くたびにふらっといなくなってたわけだわ。そのたびにお酒買ってたわけ?」

「準備期間だけはいっぱいあったし、いつ必要になるかもわかってたから、買うだけじゃなくて発注して大量に作ってもらったりとかもしてたわ。拠点の設備や『ドリンクマウンテン』で取れるお酒も美味しいけど、やっぱり職人が手作りしてるお酒も、どれも美味しいのよね~」

 うっとりしながらそういうシェリーと、その後ろでうんうん、と頷いてる義姉さん。

 シェリーやイーサさんほどじゃないけど、この人も酒好きなんだよね。
 好きな上にかなり強くて、ウイスキーとかワイン、瓶でカパカパ開けるし。どうやら今回はシェリーに便乗しているようだ。

「それにさ、昔から言うじゃない。船乗りは酒飲んで歌って騒ぐのが定番だってさ、ここはそれなら、伝統にのっとって同じようにするのも一興、ってもんじゃない?」

「ごめんシェリー、それ迷信だって今シェーンから聞いたとこ」

「え、うっそ、そうなの?」

「まあ……船に酒を多く積み込んでいたというのは本当だから、そこから派生した話なんでしょうけどね。実際、腐りやすい水よりも、高温多湿でも悪くならないお酒を水分補給や士気高揚の目的で多く積み込んでおくってのは、一昔前までは各国の正規軍でも採用されてたやり方よ?」

 あ、セレナ義姉さんは知ってたんだ。

「今は違うの?」

「国、ないしその軍を保有するのが誰かで……要するに方針に寄るわね。船乗りはゲンを担ぐ人が多いから、昔ながらのやり方をそのまま使っているところもあれば、蒸留器やろ過器で海水から真水を作って、『新鮮な水』を飲料とするのが主のスタイルのところもあるし。資金が潤沢なところは、専用のマジックアイテムを使ったりするわね」

 なるほど。

 ちなみにうちは、毎度おなじみマジックアイテム(手作り)でどうにでもしている。
 海水から塩分を取り除いて、浄水設備まできちんと完備した真水精製用のギミックがあるので、いくらでも飲み放題、使い放題だ。飲料水はもちろん、風呂だって毎日入れる。

「水もそうだが、酒にスイーツまで……飲食を暇つぶしにするという選択肢があるとは、この船はつくづく恵まれているよ」

「かといって四六時中何か食べてたいわけじゃないからね……贅沢なこと言ってるのは承知だけど、やっぱ何かしら他の暇つぶしが欲しいよ」

「何々 暇つぶし探してたの? だったらさあ……」

 するとシェリーは、酒瓶を手近なテーブルに置いて……チェアの後ろから僕の首に手を回して抱き着くようにして、耳元でささやいてきた。

「言ってくれれば『暇つぶし』くらい、いつでも相手させてもらうのにぃ♪」

「あんたはまたそれか……」

「いいじゃないエルクちゃん、これも立派な選択肢の1つだと思うけどなあ? せっかくこんな、船の上っていう密室の中、より取り見取り、女の子いっぱいいるんだから……むしろミナト君、これを機にもうちょっと積極的と言うか、色好みな感じになってくれてもいいと思うの」

「船の上じゃなくてもあんたいつもそうでしょうが……それに、いくら暇だって言っても、今は護衛依頼の最中、れっきとした仕事中なのよ? 昼間っから乳繰り合ってていいはずないでしょ?」

「えー、もー、エルクちゃんお堅ーい。いいじゃん、いざとなったらマジックアイテムでさっと服と鎧着て出られるんだからさあ。あ、そっか、エルクちゃん足腰絶たなくなっちゃうからそれが不安であ痛ッ!?」

「だから真昼間からそういうことを言わない……っ!」

 唸るエルクのハリセン(オリハルコン製)。痛くはないはずだが、衝撃は結構あるので、流石のシェリーも頭にガーンと来たみたいだ。

「もぉ……ミナト君もミナト君よ? ハーレム抱えてる雄なんだから、もっと愛してもらわないと……囲われてる雌は飢えちゃうぞ?」

「あのねシェリー……もうちょっと言い方ってもんをさ……」

 雄とか雌とかハーレムとか……いや、状況自体は間違っても否定なんかできないけども。
 一緒にいてくれて、そういうこと言ってくれるのは、正直嬉しいし。

 というか、そんな風にくっついてこられると、僕としても変な気分になりかねないんで、今はちょっと……ええと、大きな声では言えないけど、出来れば夜とかにしてほしいというか。

「それにさあ、私の聞いた話じゃ、こーいうのだって船乗りには定番の暇の潰し方だって聞くけど? だってそうじゃない? 道具も何もいらない、ただ男と女が1人ずついればできることなんだから、そりゃお手軽なレクリエーションにもなるでしょ」

「そんな話聞いたこともないわよ」

「そもそも、船乗りって基本的に男社会だから、レクリエーションどころか禁欲生活だって聞くわよ? 軍艦には女軍人が乗ってる場合もあるけど、そっちは不順異性交遊は禁止だし」

「えー、そうなの? じゃ、海賊船は? ちょーっとブラックな話になっちゃうけどさ、敵船からお宝と一緒に女も奪ってきたり、町で専用の奴隷とか買ってきて『おらやっちまえー!』……みたいなことなかった?」

 エルクと義姉さんに立て続けにダメだしされて、今度はシェーンに尋ねるシェリーだが、こちらもはぁ、とため息をついて、

「ない、そんな展開は。いや、ひょっとしたらなくはないのかもしれないが、私の乗っていた船にはなかった。まあ、港町に寄ったら、皆ここぞとばかりに花街に繰り出していったから、セレナ殿の言う通り、禁欲生活ということだったのだろうさ。船に女は、私とミュウだけだったしな」

「なーんだ。……ちなみに、シェーンちゃんやミュウちゃんが色目使われたりとかはなかったの?」

「あってたまるか。私は船長の孫で、ミュウはその私のお気に入りだから、手を出したら大変なことになるだろ。というか、私は何というか……船の乗組員全員の娘とか孫のように扱われてたからな、そもそもそういう気分にならなかったのかもしれん」

 だよねー、と残念そうにするシェリー。
 すると、ふと思い出したようにミュウが、

「いえ、そう言えば……なくもなかったですよ? シェリーさんが聞きたがっていたような、色気のある展開も」

「「「え!?」」」

 突然ミュウの口から出たそんな言葉に、シェリーのみならず、その場にいた全員が驚いて聞き返した。僕の膝の上にちょこんと座り続けているミュウに、全員の視線が集まる。

「何々? やっぱあったのそういうの?」

「みゅ、ミュウ!? どういうことだ、私何も聞いて……ま、まさかとは思うが、私に隠れて何かこう、そういう目にあっていたなんてことは……」

「いえいえ違いますよ、そんなことは一度も。皆さんよくしてくれてましたから。私が言いたいのは、ちゃんと私やシェーンちゃん以外の船員さん同士でのアバンチュールですよ」

 シェーン同様、一瞬僕も、何か暗い感じの過去話になるのを警戒したものの、どうやらそういう感じではなかったようで一安心。

 しかしそうなら、一体どういう展開でそうなったんだ?
 暗い過去系じゃないとわかってか、シェリーはもちろん、気のせいかエルクや義姉さんまでちょっと興味深げに見ている。

 ……正直、僕もちょっと興味あるけど……でも、あれ?

「ねえミュウ? さっきシェーンが言ってたけど……2人の乗ってた時って、船には2人以外、男しか乗ってなかったんだよね? 乗組員は」

「ええ。そうですよ?」

「それなのにアバンチュールって……あ、もしかしてどこかの港町とかに寄った時とか? それとも、特別に船に女性を乗せていた時期があったとか?」

「いいえ、ちゃんと船の上でのことで、一時的な客員同士じゃなく、ちゃんと船員同士ですよ?」

「……いや、ミュウ、それでどうやってそんな浮いた話になるんだ……さっき言った通り、私が覚えている限り、船に女の乗組員は、私達以外にはいなかったぞ? 身代金目的の人質として攫って来た貴族令嬢とかが、船内の牢屋に入っていたことは何度かあったが……」

 何かブラックな事実も一部明らかになりつつ、まだ困惑しているシェーン。

「ええ、いませんでしたね。でも……」

 ……? 何だろう、何か嫌な予感がしてきたんだが。

 シェリーやエルクは変わらず興味深そうに聞いて、シェーンは困惑しているままだが……僕ともう1人、セレナ義姉さんは『ん?』とこのへんで思い始め……しかし構わず話し続けるミュウは、

「あのですね、シェーンちゃん…………



 …………私がいつ『男と女』のアバンチュールだって言いました?」



 恐ろしいことを言い出した。

「「「…………え゛?」」」

 ……待て、ちょっと待てミュウ。
 君、何を言っている。何を言おうとしている。ちょっと一旦待とうかそれ。

 見ると、さっきまで面白そうに見ていたシェリーをはじめ、聞いていた全員が冷汗を流している。
 しかし構わずミュウは話し続ける。

「あれはそう、船が港町で補給を済ませて、海に出て何週間も経ったある日の夜のことでした。夜中にトイレに起きた私は、その途中、2人の人影が、一目をしのぶように、使われていないはずの隅の物置部屋に入っていくのを見たのです。私は変身しなくても夜も目がよく見えますから、はっきり見えたのですが……その2人は、船員のジョナサンさんとゴンザレスさんでした」

「……男、よね? その名前だと、2人とも」

「そーですねえ」

「……じょ、ジョナサンに、ゴンザレス……ああ、いた、いたぞ、そんな名前の奴……」

 次第に雲行きが怪しくなっていくというか、むしろ最初から怪しかったけど、構わずミュウちゃんは話し続ける。

「そしてその部屋から、何やらくぐもった声や、床か壁がぎしぎしときしむような音が聞こえてきました。何だろうと思った私は、普通に開けてはいけないような気がしたので、猫に変身して……」

「ね、ねえミュウちゃん? ごめん、いい、もういいわ。もういいからちょっと待って、一旦話止めてもらっていい? 何かこう、私の求める話ってそれじゃないかなーって……」

「そして私は隣の部屋から、子猫の体の小ささを生かして、通気口から天井裏に行き、その部屋の真上に来て、天井板に空いた小さな穴からその部屋の中を覗き見てみました。するとそこには、普段はマストロープや碇綱を引っ張るくらいにたくましい男性2人、ジョナサンさんとゴンザレスさんが、2人共生まれたままのふぎゃあっ!?」

「やめい!」

 決定的な表現が出てくる前に、再び唸るエルクのハリセン。
 さすがに物理的な攻撃ツッコミを食らっては、ミュウも中断せざるを得なかった。

 頭を押さえ、ふらついてそのまま僕の上から甲板の床に転がり落ちた。結構な衝撃だったらしい。

「…………ごめんなさい、軽率に聞いた私が悪かったです」

「いや、今のはあんたのせいじゃないでしょシェリー……そうだ、最近忘れてたけど、どっちかっていうとミュウも悪ノリ側の人間だったわね……普段は皆仲良くミナトに振り回されてるけど」

「海軍ではたまにあることだって聞いたけど……実際に聞くと生々しいわね……酒がまずくなるわ。……今日はもう、飲むのやめようかしら」

「ジョナサン……ゴンザレス……あの2人が、あの2人が、そんな……」

 シェリー、エルク、義姉さん、そしてシェーン、それぞれに多大な精神的なダメージが行ったようだ。
 特に昔の仲間の意外な一面を知ってしまったシェーンのダメージが結構大きいな。

 暇つぶしの話から、とんだ藪蛇と言うか、むしろ背筋が寒くなるような怖い系の話に飛んじゃったよ……。

「……結局どうしよう、暇つぶし」

「ああ、そんな話だったわね、最初」

 もう大人しく、ミュウが行ってたように『何もしないのを楽しむ』くらいにとどめておいた方が平和だろうか、なんて思っていたんだが。

「あたたた……それでしたら、さっきのお詫びも兼ねて、私が久々に『占い』でもしましょうか?」
 
 と、頭を押さえながら起き上がったミュウから、そんな申し出が。

「占い? ああ、そういえばあったね、そんな設定」

「設定て……うん、そういえばあんたの特技だったわね。単なる占いじゃなく、『ケルビム族』としての特殊能力なんだっけか」

「ええ、ぼんやりとしか見えませんけどね。それも、最近はやってなかったですし、久しぶりにやてみようかな、ってふと思いまして」

 正直危うく忘れかけていた彼女の特技『占い』。
 エルクが言った通り、ミュウのそれは単なる占いじゃなく、亜人希少種『ケルビム族』の特殊能力の1つ『未来予知』である。

 と言っても、ミュウも言っていたように、はっきりと何かが見えるわけではなく、『何となくこんな感じ』としてイメージ的に見えるだけなので、的中率で言えばホントに占いみたいなもんで、正直あんまりあてにはならないんだが。

 せいぜい『今日ちょっと悪いことがありそうだから○○に注意』的な指標にするくらいだった。

 それも最近はやってなかったんだけど、久々にやってみるかってことになって……ミュウは『指輪』から、水晶玉を出して、懐かしいスタイルで占いを始めた。僕の膝の上に座りなおして。

「……あいかわらず目が悪くなりそうなスタイルで占うね」

「お静かにー、今未来見てますから」

 水晶玉表面まであと5cmあるかないか。鼻の頭がくっつきそうなくらいにまで近づいて見てる。
 それ、営業用のポーズじゃなくて本来のやり方だったんだ……もうちょっと生態何とかならなかったのか、ケルビム族。

 暫くそれを続けて、ミュウは順々に僕らを占ってくれていく。
 で、その結果はというと、

「シェーンちゃん……何でしょうコレ? 何か『近しい人が見つかる』的なのが示されてるんですが……同族? 同業者? もやもやして見えづらいですねえ……あと、コレは多分、役目……職業かな? 料理人としてさらなるステップアップが見込める気配がしますよ」

「セレナさんはいつも通り、ミナトさんの『担当』として振り回されているのが見えますが……今度はそれ以外にも、何やら活躍の場が出て来そうですね。あまり面白くないかもしれませんが……昔取った杵柄が活躍するかもしれませんよ?」

「シェリーさん、は……えーとこれは、運がいいのか悪いのか……とりあえず、お好きな『戦い』だと思うんですが、これから行く先でたんと味わえるような気配がしますね……。十分気を付けてくださいね、一般人からしたら死亡確定レベルのコレは、その、凶兆ですので、はい」

「エルクさんは……ふふふ、また一つ親密になれそうな吉兆が見えますよ? よかったですねえ……いえいえ、誰とは言いませんけど。ていうか、これ以上仲良くなるってどう……あーでも、何やらその前に一波乱ありそうですねえ。何やら、過去の因縁的な、けど何かうんざりしそうな……」

 三者三様(4人だけど)の占い結果。
 喜んでる人もいれば、うんざりしてる人もいる。照れている人もいれば、よくわからなくて首をひねってる人も……これもまあ、誰がどれとは言わない方向で。

 で、最後に僕のことも、一応占ってもらったんだけど……。

「………………ミナトさん」

「うん?」

「…………あの……ハーレムの人員を増やすのも、新しい技術を学ぶのも、まあ、自己研鑽とか人格評価の結果なので、これはもう仕方ないと言うか、他人がどうこう言うべきことではないとは思いますけども……せめて、どうか、今以上に人間を辞めたりしないでくださいね」

 ちょっと待てどういう意味だ。何が見えたんだ。

 その後問い詰めたけど、なぜか詳しくは教えてもらえなかったうえ、なんかエルク達からももの言いたげな視線が飛んでくるようになったので、あきらめて放っておくことにした。

 多分というかただの予測だけど、何かこう……あからさまな凶兆が見えたとか、そういうわけじゃないだろう。

 多分……また何か『非常識』なことが起こるのが見えたとか、せいぜいその程度だと思う。

 しかも聞いた話から察するに……ハーレム云々はともかく、新しい技術……ほう、そういうのを学ぶ機会があるってことか? ありそうだよね、なんせ未知の領域に踏み込むんだから。
 そこで培われている謎技術が色々あったっておかしくないよね。あー、楽しみになってきた。

 そんな風に、ポジティブに取れる解釈だけ目を向けることにして、僕は意気揚々と船の中に戻っていって……

 ……結局暇つぶしの手段がないな、ってことを、数秒後思いだした。



 ☆☆☆



 甲板に一人残って、子猫に姿を変えて、引き続き日向ぼっこをしているミュウ。

 穏やかにくつろいでいるように見えて……実際は、その胸中には、困惑と焦燥が渦巻いていた。

(……つい、ミナトさんに肝心な部分を伝えないで終わっちゃいましたけど……大丈夫ですよね、言わなくても……。未来予知なんて言っても……精度そこまで高くないですし、はずれることも結構多いですし)

 心の中で、誰にともなく言うミュウは、そうして無理やり自分を納得させた。

 先程ミナトを占った際に出た、ある1つの結果。
 ミナトにも知らせなかった……知らせることができなかったその結果に、占った彼女自身、納得がいかなかったからだ。
 目を背けたかった、逃避したかった、と言ってもいいかもしれない。

(うん、きっと私が間違えたんですよ。だって、ありえないですもんね…………







 …………ミナトさんが、死ぬなんて)







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