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第17章 夢幻と創世の特異点
第328話 1日目、終了
しおりを挟むとりあえず、こちらからアクションを起こす、ないし屋敷内を調べたりするのは一旦やめにして、依頼主サイドで用意してくれているというイベントをこなすことに。
ちょうど時間が来たので、まずは『事務仕事』とやらをやってみた。
その仕事自体は、やり方を覚えさえすれば簡単なことで……現代日本での義務教育を終えた過去を持つ僕からすれば、普通にこなせる内容だった。
(事務系のバイトとかしてればもっと楽にやれたのかもしんないな……まあ、専門知識がほぼほぼ要らないものを選んであるみたいだからできる、っていうのもあるんだろうけど)
「あ、そこはちょっと違いますミナトさん。こういう場合は、複数の指揮系統の決済が……」
「え? そうなんだ……じゃあ、どのスタンプを使うの?」
「この『供覧』っていうのを使いましょう。それで但し書きを……こうすれば、後は関係ある部署に順次回して読んでもらえますから」
「そっかー……結構複雑だね、事務仕事って」
「慣れれば簡単だよ。専門的なのが絡んでくるともっとずっと大変になるしね」
こんな感じで、ナナとクロエに教わりながらやってみている。
案外楽しくやれているんだけども……やっぱりいざやってみると、職業訓練じみているような感想を抱く。
ちょっとかじってみただけでも、今後色々なことに応用できそうなことだってのはわかる。
今現在エルクに任せっきりの会計業務とか、アイドローネ姉さんにお願いしてるギルド派出所の業務にしたって、こういう感じで大枠は進められてるんだろうし。
そういうのを少しでも理解できるっていう点では、非常に有意義な経験だろう。
前世でバイトとかしたことなかった僕には、今までなかったスキルだ。
(ただなあ……やっぱり第一王女様、そういうつもりなんじゃないかって思っちゃうよなあ……)
何度も言って釘も刺してるけど、絶対彼女、僕を取り込む……あるいは、それに準ずる形で協力関係を築くことについては、微塵も諦めてる様子ないし。
強制とか脅迫みたいな馬鹿な手段には出ないだろうと信頼はできる。
けど、隙あらば何かしらつなぎどころを作ろうとするのは彼女のデフォルトの戦略というか……最早彼女の『あり方』とすら言っていいレベルだし。
そう考えると、本当にコレ『職業訓練』な気がしてきて……おっと?
「あれ、もうこんな時間?」
手元の時計を見ると、時刻は2時40分。もう1時間半以上たったのか。
なんか、時間経つの思いのほか早かったな。仕事に夢中だとこんなことになるのか?
ゲームしたり、研究とか発明とかしてたりする時に、時間があっという間に過ぎてた、っていう経験ならあるけど……仕事でそうなるなんてこともあるのか。
「あらホント……えっと、たしか次の『予定』って3時からだったわよね?」
「ええ。もう5分くらいしたら『そろそろです』って言おうと思ってたんだけどね」
と、マリーベル。
なるほど、キリのいいところで切り上げて、次の準備をした方がいいみたいだな。
と、言いつつも、次の予定って確か……『お茶会』だったよな?
たしか、交流のある貴族家との歓談の場、っていう設定で……その、交流ある貴族役の人が来るから、ただ単にお茶飲んで世間話でもしてればいい、っていう話だったはず。
それでいいのか? いや、生活リズムを『貴族』っぽくするための、単なるポーズであれば、そりゃ別に中身は伴わなくてもいいんだろうけど。
そんなことを考えながら、『会場』として指定されているそこに行くと、そこで待っていたのは……
「どうも、ミナト・キャドリーユ様。この旅はお招きにあずかりまして、ありがとうございます」
「……? あれ、あなた達はは、たしか……」
そこに待っていたのは、見覚えのある2人組だった。
というか、昨日会ったばかりだ。それも……『模擬戦』の会場で。
ふわっとした金髪が特徴の、色白で華奢な体躯の女性と……プラチナブロンドの長髪に、浅黒い肌、背も高く発育もいい体格の女性の2人。
どっからどう見ても、実の姉妹(しかも小さい方が姉)だとは思えない、っていう感想を抱いてしまったこともあり、強烈に印象に残っている。
「えっと、確か……シャロエールさんと、フォルトゥナさんでしたよね?」
「はい。ご記憶いただいておりましたようで、恐縮ですわ、ミナト様」
「昨日は、姉共々、貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました」
昨日の模擬戦で、それぞれミュウちゃんとエルクを相手に戦った姉妹。シャロエール・イザルリアさんと、妹のフォルトゥナ・イザルリアさん。
なるほど、この2人が『相手役』なのか。
……そういえば昨日、フォルトゥナさんが最後に口を滑らせかけて『明日どうのこうの』って言ってたっけな。なるほど、このことか。
内容は秘密にも拘らず、口を滑らせて言っちゃいそうになったがゆえに、シャロエールさんが怒ってたわけだ。……今思い出しても、見事な肘打ちだった。
まあ、それはいい。忘れよう。
それはさておき、これから『お茶会』をするわけだが……ええっと、お菓子食べながら世間話、だけでいいんだよね? 今、ちょうどマリーベルとその他2、3人のメイドさんが、お茶と茶菓子持ってきたけど。
ホントにこう、ただ単に時間潰せばいいのかな? 他に何も具体的な指示とか出てないし。
そう聞いてみると、シャロエールは『うーん……』と少し考えて、
「そうですね。しいて言えば……せっかくお話しさせていただくのですし、お互いに興味のある事柄など、お話しさせていただければ楽しいのではないでしょうか? 例えば……私は『魔法院』の所属ですので、お互いが研究している、新たな魔法の構成術式についてなど」
「……ほぅ……」
……それは面白そうだ。
『魔法院』って確か、アクィラ姉さんがトップ務めてる、王政府の魔法関連業務の総本山みたいな所だったはず。いざという時には従軍して戦うための戦力であるのはもちろん、日々、様々な新魔法を開発し、あるいは既存の魔法を解析・改良するための研究が進められている場所らしい。
時々アクィラ姉さんからそれについての話を聞かされるんだけど、機密情報も多いから、ほとんどさわり程度の部分しか聞けてなかったんだよね。
それも全体から見ればごく一部で、姉さん自身が関わってないことについては、そもそも知らないわけだから話せないし。一度、色々聞く機会がないかな、って思ってたんだよ。
……正面から頼むと、絶対第一王女様が何か言ってくるから言わなかったけど。
『教えてもいいがその代わりに(略)』ってさ。彼女に隙を見せたくない。
「あらあら、興味を持っていただけたようで何よりですね。私としても、ミナト様はマジックアイテムや魔法薬の優秀な技術者兼研究者だと伺っておりますので、楽しみですわ」
「あ、姉上……その分野となると、私は蚊帳の外になってしまうのですが……。戦闘関連の魔法ならともかく、研究分野など全くわかりませんよ?」
「あ、でしたら私とミナト様でお話ししますので、フォルトゥナは何も言わず黙って座っているだけでも構いませんよ?」
「え゛っ!? いや、あのそれは……折角このような形でお話する機会という時にですね、そのような……」
「ん?」
「あ、いえ、その……何でもないです。黙ってます」
…………今一瞬、シャロエールさんの糸目がほんの少し見開かれた瞬間、見事なまでにフォルトゥナさんが掌を返して彼女に道を譲ったんだが。
いつもこうなのか、はたまた昨日のアレが尾を引いているのかは知らないけども、この2人の力関係がどうなってるのかが分かった気がした。
「あっ、でも……エルク様達まで除け者にするような不義理な真似はできませんわね……申し訳ありません、先走ってしまって……いかが致しましょう?」
『私は除け者でも問題ないのか』とでも言いたそうにしているフォルトゥナさんをきれいに無視して言うシャロエールさんだが、それにエルクは……僕の一番の理解者である嫁はこう答える。
「それは全然かまいませんよ。こいつがこの手のことで突っ走るのはもういつものことですし、それを眺めてるのも最早私の楽しみ方と言うか、暇な時間の過ごし方ですから。何でしたら、私達の方でフォルトゥナさんとお話しさせていただければそれでもいいですし。こいつに振り回されてる時の愚痴が主になっちゃうかもですけど」
とのこと。
こういう言い方だと、趣味に走るどうしようもない夫にやれやれと合わせる妻、みたいな感じになって(実際そうなんだが)ちょっと悪い気もするものの、実際助かるし、彼女に対する感謝は忘れないようにしてるので……ごめん、時々は許して。
そして、そう提案されたフォルトゥナさんも、『なるほど』という感じの顔でうなずいた。
彼女達は、昨日模擬戦で刃を交えた者同士でもあるわけだし、案外すぐに打ち解けるかもだな。話題もそこそこ見つけられそうだ。
「ああ……そういうことなら、私も喜んで。昨日の戦いや、そこで見せていただいたあの実力についても話したいし…………振り回される側の愚痴というのも、私も割と常々……」
「何か言いましたかフォルトゥナ?」
「いえ何も決して」
……苦労話も共有できそうで何より。
折角だ。こっちも思う存分、専門家同士の話に花を咲かせるとしようかね。
☆☆☆
気が付けば、マリーベルに『旦那様、そろそろお時間です』って告げられるくらいの時間が経っていた。
話の最中に口をはさむのを避けるためか、念話でだったけど、僕が表情に出してしまったので、恐らくシャロエールさんにも気づかれたと思われる。
それからキリのいいところで話を終えて、その『お茶会』は終了。
思いのほか楽しく過ごせたことに気をよくしたまま、シャロエールさんとフォルトゥナさんは帰って行…………くかと思いきや、
「ああ、それとミナト様、最後に1つよろしいでしょうか?」
「? 何ですか、シャロエールさん」
「今日は大変に楽しく、有意義な時間を過ごさせていただきまして……そのお礼と言うわけではないのですが、もしよろしければ、明日、お時間はございますか?」
「明日?」
そう、シャロエールさんから誘われた。
何でも、今度は自分たちの家に招いて、保管しているマジックアイテムとかを実際に見たりしながら話したいらしい。
シャロエールさんは蒐集家でもあり、色々と面白そうなものをコレクションしているそうなのだ。
面白そうだけど、明日、っていうと……まだ、『模擬戦』の最中だけど、そんな時に誘われても…………いや待て、もしかして、『そういう意味』か?
こっちが言い淀んでるのに、何も言わずにこにこと待っているシャロエールさんは、恐らく事情を察しているんだろう。マリーベル、ないしは主催者側である第一王女様達から、何か話を聞いていると思われる。
『ねえマリーベル? このイベント、受けた方がいいものなの? スケジュール的に』
『イベント……なるほど、言いえて妙だね。どっちでも大丈夫だよ? 受けるも受けないもミナトにお任せ。興味があるなら受けてもいいし、屋敷を留守にするのが嫌なら断ってもいいし。あ、でもまずは私に普通に、予定の有無とかを聞けばいいんじゃないかな?』
なるほど、それもそうだ。
そして……この誘いというかイベントはそういう位置づけか。受けるも断るも僕次第。それも含めて『模擬戦』のうちであり、作戦であると。
恐らくだけど、シャロエールさんは今日と同じように、本当に雑談したりするだけで、何か僕に仕掛けてきたりすることはないんだろうし……演技でなければ、今日のは本当に僕との話を楽しんでいくれているようにも見えたからな。
さて、それじゃあ……
「マリーベル、明日の僕の予定は?」
「午後、本日と同じ時間に予定の空きがございます。いかがなさいますか?」
仕事モードの口調のマリーベルがそう教えてくれる。
ふむ……今日と同じ時間か。それなら……
「では、ぜひお邪魔させてください。マリーベル、予定入れといて」
「かしこまりました」
「楽しみにしておりますわ、ミナト様」
「はい、こちらこそ」
小難しいこと考えても、すぐに『これだ!』って結論は出せそうにない。
なら、純粋にやりたいようにやった方がマシってもんだろう。
留守にするならするで、できることもあるだろうし。
さて……今日この後の予定は、あと何があるかな……………………ん?
☆☆☆
そのまま、事務仕事の続きを含むいくつかの『イベント』をこなして、夜になる。
あとは、風呂に入って寝るだけ、っていう所まで来たわけだけど……この『風呂』ってのがまた曲者だよな……。基本的に衣服を脱いで入るものだから、持ち物をあさるには最適なタイミングだと言える。
もちろん、そんなことにならないように、シェリー達は『宝』を『指輪』に収納した上で、装備したまま入るそうだけど……だとしても何があるかわかんないしな。
現代日本で言う『スキミング』みたいに、収納アイテムの中に直接干渉するようなアイテムやトラップがないとも限らない。その辺は僕の発明品はきちんとブロックかけてるから、大丈夫だと思うけど……。
ちなみに僕も同じだ。『情報』はもちろん、装備品まで全部含めて指輪に『収納』した上で、風呂に入る。というか、今入っている。
「ふぅ~……あー、極楽極楽」
貴族の屋敷(という設定)だけあって、用意されていた風呂場はかなり豪華だった。
ただ、男湯と女湯に分かれてはいなかったので、エルク達とは時間をずらして入った。
エルクとシェリー、ナナは、今更肌を見せるのに躊躇があるような間柄じゃないけど……クロエは違うからね、今んとこ。
それに、正直……健康な男子としては、お風呂場であられもない姿の彼女達を前にして冷静でいられるかと言うと……自信がないです。
流石に『模擬戦』の場であるこの屋敷で……風呂場とはいえ、いちゃつくわけにもいかないし。
え、マリーベルは『夜のお仕事』OKって言ってたって? 実際に頼むわけないだろそんなの。
だから、『お背中お流ししましょうか?』って言って一緒に入ってこようとしたメイドを、風呂場の中に入れることもしてない。
そのメイドは、脱衣所の外で待ってもらっている。体も自分で拭くし、服も自分で着るって言って。
いくら貴族らしい生活をって言ったって、そこまで合わせる気はないです。
そもそも、そのメイドが何かの『罠』だっていう可能性だってあるわけだし……
仮にそうだとしたら、今、何らかの方法で、僕から『情報』を奪い取るために監視とかして機会をうかがってるんだろうか? やめてほしいな……風呂くらいゆっくり入りたい。
とはいえ、気が緩みやすい時と場所を狙うのも定石だろうし…………
「……………………」
何も言わず、僕は黙って、左手薬指の『指輪』に意識を向けた。
一呼吸置いて……直後に、『指輪』に搭載している念話機能を使って、発動秘匿&盗聴防止の術式を組み込んだ念話を発動する。
『エルク、『サテライト』使って。屋敷全体、特に地下が映るように』
『……! 了解。3、2、1……いくわよ!』
念話でエルクに要請を出し、次の瞬間、僕の脳裏に、1日1回、3分間までと制限のかかっている切り札『マジックサテライト』の映像が映し出される。この館中の、目に見える範囲、見えない範囲の全てが立体映像になって僕の頭の中に流れ込んできた。
そして、今僕がいるこの風呂場……その地下に走っている、排水管の中に……僕は、お目当てのものを見つけた。
その瞬間、僕は『指輪』から、1本の『釣竿』を取り出した。
それを高速で振るい……先端に釣り針のついた糸を湯船にぼちゃん、と投げ入れる。
無論、これはただの釣竿じゃない。自作のマジックアイテムである。
以前使った、超硬合金の鋼線でクジラだろうが吊り上げられる竿とはまた別のものだ。
アレよりも強度は低いが、また違った能力を持っている。
釣り針に魚を探知して自動で突っ込んでいく機能がついている。しかもその情報を僕が意識下で共有できるので、センサーで魚を見分け、狙った獲物に突っ込ませることが可能。魚が逃げようが隠れようが、見つけ出して捕まえる。
さらに、自動ではなく、僕が意識して操作して動かすこともできる。
加えて、こいつは魔法で、触れている水分を凝縮・固形化して『糸』にする。なので、周囲の水分を使ってどこまでも伸びる、なんてことができるわけだ。
普通の釣竿なら、魚に引っかかった後に糸が伸びたりしたら『それ逃げられるだろ』ってなるわけだけど……先に言った『狙って追いかける』機能を持つ釣り針とセットで使うと、化ける。
具体的には、離れたところにいる魚を、どこまでも伸びて追跡し、引っ掛けて手繰り寄せる、なんてことが可能だ。まあ、『どこまでも』と言いつつ、さすがに糸の長さに限度はあるが、5kmは伸ばせる。実際に試してそこまでは確認した。
そしてとどめに、これを、範囲内の空間にあるすべてのものを把握できる『マジックサテライト』と併用すると……目に見えない範囲だろうと関係なく、探知した獲物を追尾して捕獲する、なんてことも可能なのだ。
そう、例えば……排水管の中、人がギリギリ通れるくらいの位置に潜んでいる敵を見つけ出し、釣り針と糸を放って、配管の中を突っ切ってそこまでたどり着かせて捕獲する……なんてことも。
釣り針には認識阻害の魔法が書けてあるので、水中では見えづらく、気づきづらい。さらに、糸はそもそも水からできているので、ほぼ見えない。透明、というか同色な上、屈折率も同じだし。
入り組んだ、って程ではないが、単純ではない作りの配管の中を高速で移動し、そのターゲットの所に釣り針がたどり着く。
刺すのはさすがにアレだし、そもそも刺したくらいじゃすぐに外されて逃げられるので、釣り針を操作してその周囲を高速で回らせ、伸ばした糸でがんじがらめにして捕獲する。
逃げようともがいているようだが、もう遅い。この拘束は、生半可な力じゃ振りほどくことはできない。
できない、が……縄抜けとかされる可能性もあるんで、糸伝いに電撃を流して気絶させておく。
……前にもこんな感じでこの娘を無力化したような気がするな。
『……~~~っ!!』
排水管を通してつながっている自ら、その子の悲鳴が聞こえたような気がした。
その後、僕は速やかに風呂を出て装備を装着した後……『ハイパーアームズ』を発動。
『虚数魔法』で空間を飛び越えて、潜伏していた配管の中に飛び込み、その子……ムースを引っ張り出した。
やっぱりこの子だったか……たしか、『マーマン』系の亜人のハーフだかクォーターで、水中に潜行して追跡したり、相手を水中に引きずり込んで溺れさせて無力化する、っていう感じの手口が得意技だったはず。僕も、一度それで引きずり込まれたことあるし。
っていうか、ひどいなここ!? 特に深く考えずに『虚数転移』で飛んできちゃったけど、配管の中だからぬめりとか錆とか匂いとか……よくこんなとこに隠れてられたな、年頃の女の子が……。
「こ、このくらいで怯んでたら、隠密任務なんてできませんから……」
「あ、意識戻ってたんだ。とりあえず、君、捕獲ね」
「はい、参りました……」
マジックアイテムの首輪――魔法阻害その他、様々な機能がついている拘束用。自作――をつけてから、僕は再度『虚数転移』を発動し、その場を後にした。
まずは1人……か。
しかし、最後の最後に逆襲食らった気分だ……風呂、もっかい入ろっと。
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