上 下
9 / 12
第二章 デビューに向けて!

【3】時短で甘やかBLレシピ!

しおりを挟む
 ホームルームが終わった。
 甘やかな脚どりで階段を駆け降り、校舎を出る。グラウンドでは運動部の小娘たちが声出しをしながら準備運動をしたりランニングをしたりして、いる。
 これがBLだったら、部活はやっぱりサッカーだよね。帰宅部のか細い可愛い受けちゃんが鞄を胸に抱えてトコトコ歩いているところにボールが飛んできて、校内一のイケメンなサッカー部のエースでカッコいい部長と出会うってパターン。

   ♡  ♡  ♡
 足もとに転がったサッカーボールを受けちゃんが、おーいと言いながら手をふって駆け寄ってくる攻め様に向かって蹴ろうとするんだけど、うまくいかなくて、すってんころりんして地面に倒れてしまって、気づいたら攻め様におんぶされて保健室に行ったら、誰もいなくて甘やかな雰囲気になって、ベッドにふたりで何となくもつれ合うようにして倒れ込んで、雰囲気に負けて攻め様がキスしてきて、それが初心な受けちゃんにとってファーストキスで……。
   ♡  ♡  ♡

 こうゆうのって、ヤバいくらい萌える!
 猛ダッシュで校門を出て、スマホを取り出して、ここまでをメモする。最近、ボイスメモを覚えたので、入力も楽チンだ。思いついたことを口にするだけで原稿が出来上がるのだから、使わない手はない。うちの母親なんかいつもスマホ相手にポチポチ打ってて時代遅れ! ああはなりたくない!
 そして私は、この甘やかな作品の芽生えを育てるために、帰り道に男子校ツアーをしなければならないのだ。これは花園乱華のミッションなのだ。うん、そうだ。

 うちの弟さえ通ってなければ、花園乱華としては文句なしにBL学園高校としてぶっちぎりのトップクラスの甘やかなミッションスクールの高校でしかも男子校のグラウンドからは、八対一くらいの割合で攻め様と受けちゃんの声が甘やかに聞こえる。
 私は足早に駆け寄ってフェンス越しに男の子たちの甘やかな部活を眺めた。
「あっ!」
 サッカー部で一番目立っている部員を見つけたのだ。パスを出したのが受けちゃんでシュートを決めたのが攻め様だ。しかも距離感がヤバいくらい近すぎる……よね? 攻め様が受けちゃんの背中をポンポンって叩いたのを見たよ。身長差も頭ひとつ分くらい攻め様のが高くて受けちゃんといいバランスだよ。キスするのにちょうどベストな身長差じゃない?
 このふたりでシリーズものってゆうか、エピソードごとに毎回ラブシーンを入れれそうな感じっぽい感じがするような気がするかも。
 
 帰り道は幸せだった。あのスペシャルな男子校のグラウンドで見たこと感じたことを言葉に紡ぎながらスマホに収納したからだ。おしゃべりをしなかったのはうちのドアを開けて小走りに自分の部屋まで猛ダッシュするときぐらいだ。そのときも、口を閉じて息をするのを我慢しないと、甘やかな言葉が唇から溢れ出しそうになって、いた。
 ゼエゼエ、ハアハア。
 これを私は今からレシピ小説にするのだ。スマホが玉手箱に見える。ふたを開けると、金銀財宝が甘やかに光り輝いているのだ。一度に出すのは勿体無いから、少しずつ小出しに……。

 小出し……?

 傾向と対策で、ライバルに勝つには作品を書き溜めておいて、一日に何度も投稿するのがいいってネットで見たんだっけ。

 作り置きお惣菜!
 美味しい時短レシピ!

 BLの神様からのお告げのように、レシピ投稿サイトで見たキャッチフレーズが頭に浮かんだ。
 短めの短編をたくさん準備しておいて、メインの作品は谷屋先生と同じ時間帯に予約投稿すればいいってことじゃない!
 
   ♡  ♡  ♡
 幸太郎の指が、春樹の一番秘密なところを、
 ヌプヌプ、クチュクチュ。
 すると……。
「ひいッ……」
 春樹が、喘いだ。
 幸太郎がニヤリ、さらに奥まで……。
「ああッ!」
 春樹が、甘やかに、叫んだ。
 幸太郎は、指を、抜いた。
 そして、熱い、屹立を……。
   ♡  ♡  ♡

 このくらいシンプルでどうかな? あとは読者が脳内であれこれ想像するってことで。これなら時短BLレシピとして、うまくいきそう!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

条攴大学付属中学高等学校

うりぼう
BL
条攴大学付属中学高等学校 山の奥にある中高一貫の学校。 そこに入学してきた高校一年生の山下一樹のセクハラ三昧物語。 ※一応恋愛ものです ※下ネタ多数 ※BL ※R15に設定していますが、性描写はほとんどありません ※一樹のセクハラ発言がアウトだと思います

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

【R18】満たされぬ俺の番はイケメン獣人だった

佐伯亜美
BL
 この世界は獣人と人間が共生している。  それ以外は現実と大きな違いがない世界の片隅で起きたラブストーリー。  その見た目から女性に不自由することのない人生を歩んできた俺は、今日も満たされぬ心を埋めようと行きずりの恋に身を投じていた。  その帰り道、今月から部下となったイケメン狼族のシモンと出会う。 「なんで……嘘つくんですか?」  今まで誰にも話したことの無い俺の秘密を見透かしたように言うシモンと、俺は身体を重ねることになった。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

嫌がる繊細くんを連続絶頂させる話

てけてとん
BL
同じクラスの人気者な繊細くんの弱みにつけこんで何度も絶頂させる話です。結構鬼畜です。長すぎたので2話に分割しています。

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

処理中です...