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第六章 親分はボディガード

ボディガードはベッドの上でひとり格闘する ※【擬似的絡み:小川健悟x柳川健人】

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 どうやら残り香でも効果があるらしい。スマホの向うで柳川が息を荒げている。ときおり、ううっ、と呻き声を上げながら、健悟と同じ行為に没頭しているようだ。
「そうだ、その調子だ」
 健悟は膝立ちになって枕許までゆったりと進みながら、スマホに語りかけた。
 頭のなかでは今朝方の行為がくり返されている。枕から顔を起こした柳川が、健悟の相棒に手を伸ばし、指を絡めながら上下に扱いている。物欲しそうな目で相棒を見つめ、戸惑いがちに口を開けて、舌先をほんの少しだけ覗かせている。
くわえろ。歯ぁ立てんじゃねえぞ」
『は、はい……』
 健悟が云うと、あちらから柳川が言葉を返す。
 健悟は左手を壁に着いた。枕の位置には今、柳川の顔があって、健悟の相棒を頬張っている。腰をゆったりと動かす。柳川が息苦しそうにくぐもった声で呻く。両手は云われもしないのに健悟の頭陀袋を包みこんで、やわらかく揉みあげている。
 健悟は柳川の口のなかを隅々まで楽しもうと、あらゆる角度で腰を動かした。柳川の口のなかで唾液をたっぷりまぶされた健悟の相棒が、グチュグチュと音を立てながら柳川の左右の頬を交互にふくらませる。真っ直ぐに喉の奥を狙って突っ込んでやると、柳川は頭陀袋から両手を離し、健悟の腰に掴まった。
 健悟は、股間の剛毛に焚きしめられた雄のフェロモンを柳川にたっぷりかがせてやる。はじめのうちは眉根を寄せ、目を固く閉じていた柳川の表情が次第に落ち着きを取り戻した。腰に回されていた両手がするすると腹を登ってゆき、そして健悟の両胸を撫でさする。
 肉厚の手のひらが汗ばんだ胸の上を這い回る。健悟はその愛撫に身を委ねた。ジリジリという毛ずれの音が起こるたびに、胸をびっしりと覆い尽くすくさむらから雄のフェロモンが立昇った。
 頭のなかで柳川の愛撫が続いている。健悟は呻き声をスマホの向うに送り続けた。
 クソッタレ! 気持ち好いじゃねえか!
 健悟は手の動きを早めた。
 そのとき、柳川の爪の先が剛毛のなかから宝を掘りおこすように乳首をそっと掠めた。
 背骨をゾクリとしたものが疾って健悟は思わず腰を引いた。
「……くっ……」きそうになるのを健悟はかろうじてコントロールした。相棒を扱いていた右手が本能的に頭陀袋に移動して、そこをグイッと引っ張った。「……はあ……」
『ああ……ふぅ……』向うでも柳川が息継ぎをしたようだ。『親分……俺、おかしいですか? 自分でも、わからないんです。親分の匂いをかいでいたら……』
「おい、柳川。おまえ今どんな恰好しているんだ? 附合ってやるからよ。一緒におかしくなっちまおうぜ」
『親分が仰向けに寝ていて……』
「おう、わかった」健悟は仰向けに寝た。ふたたび相棒を扱きたてながらスマホに問いかける。「それでおまえは何をしているんだ?」
 柳川は、ふうふぅ、と喘ぎながら、
『……俺は……親分の上に……上に重なって……それで……ああっ……』
 それ以上聞かなくても、健悟にはつぎの映像イマージュが泛かんだ。
 柳川が健悟の上に折り重なっている。腰の位置が合わさっている。健悟は腰回りが太いので、そこに跨っている柳川は両脚を大きく展げていた。
 健悟は柳川のしたいようにさせている。両手を頭の下で組んでいるのは、腋窩から漂う雄のフェロモンを放出させるためだ。
 柳川は、ときおりそこに鼻を埋めながら腰を揺らしている。
 重なりあった相棒同士がこすれあう。
 健悟には、柳川のぎこちない動きが焦ったくもあり、同時に愛おしくもあった。
「おう……」健悟は両脚を左右に展げた。その太い脚に押されて、柳川の両脚も大きく広がる。「もっとしっかり腰を振りやがれ、この童貞野郎」
『こ、こうです……か?』柳川は左右に腰を揺らした。
「そうじゃねえ——」健悟は柳川の腰をしっかりと掴んだ。「——こうやんだよ! しっかりつかまってろ」
 健悟の激しい突きあげに柳川の腰が跳ねる。
『お、親分!』
 腰と腰がぶつかりあい、そのあいだで相棒同士が揉みくちゃになって暴れまわる。柳川は両手をシーツと健悟の背中のあいだに辷りこませ、必死にしがみついた。
 健悟は左手で柳川の腰を抱き、右手をそろそろと尻の谷間へと辷らせてゆく。人差し指と薬指で双臀を左右に割りひろげながら、無骨な中指で谷底をなぞっていった。柳川は健悟の太い首に顔を押しつけながら喘いでいる。健悟の中指が柳川の肉の窄まりにたどり着いた。
「ここをどうしてほしい?」健悟はそこに中指の腹を押しつけた。「おまえのケツの孔、ずいぶんとやわらかいな」
『あっあっあっ……』
「云わないとやめちまうぜ」
 健悟は中指をそこから離した。汗でぴったりと張りついていたそこは、中指と一緒に持ちあがり、そして、ふっ、と離れた。
『……んんっ……』
 健悟は腰の動きを緩やかにした。相棒同士はすっかり馴染んで、ほぼひとつになっている。柳川を絶頂に導くのも健悟の思いのままだ。
「さっさと云えよ。俺はおめえのボディガードだ。痛いことはしねえぞ」また中指をそこに押し当てて、こんどは指の腹で叮嚀に捏ねまわした。
『親分……俺、もう……ダメ、っす……』
「あん?」健悟は中指をすっかりほぐされた尻の入り口に突き立てた。「まだまだかせねえぜ」
『すみません……お、親分……親分……ああっ——』
 スマホの向うで柳川が果てた。
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