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おまけにしては重たいかもしれない

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「クリスはどうした?」
 しばらくして、これからのことを話し合っていると、目覚めた団長は俺たちに声をかける。
 そういえばクリスは、しばらく見ていない。家族が見つからないのか、それとも何かに問題があったのか。 
 団長は出会ったときほどの迫力はない。どこか温和で、やさしさを感じることができる。何か変わったのか。荷が下りたのか。彼のことはもう友人とさえ思うほど、友好的だった。

「彼女はどうしている?」
「家族を探しに行ったぞ」
「なに?!」

 俺が答えると、団長は今までにないほど大きな声を出す。俺とあきらはびっくりして、少しのけぞる。

「どうして家族にあうことを許可した?」
「どうしてって、何かいけないことがあったのか?」
「くそ!!」

 団長は屋敷の中へ走っていく。扉を蹴り破り、全速力で駆けて行った。跳ね返って、ドアがすごい音で閉まる。

「追おう!!」

 あきらはすぐに反応し、馬車から飛び降りる。俺も、その後に続いた。
 ドアを開け、屋敷の中に入った。広間があり、その周りには数部屋入ることができそうだった。しかし、団長はその部屋には目もくれず、中央階段の近くの地下室へ向かう階段へ降りていった。
 俺たちも走っていった。
 地下への階段、少し滑りそうだった。俺たちは苔に用に慎重に歩く。
「あ」
 後ろを歩いていたあきらが足を滑らせる。おれは咄嗟に腕を掴もうとするが鎧が重く、そのまま階段を滑り落ちていった。
「うわー」

 地下室はろうそくがなければ見えないほど暗かった。どこかから風が吹くので、通気口があるのだろう。俺は、俺の上に乗っかったあきらを退かそうとするが、鎧が重く、身動きが取れなかった。

「お、重い。どいてくれ」
「あぁ、すまない」

 そういうとあきらは起き上がる。起き上がったあきらは目の前に目を向けるとそのまま固まった。

「どうした?あきら、何かあるのか?」

 俺は固唾を呑んだ。目の前にある光景が受け入れられなかった。あきらもきっとそうだ。この光景は、俺たちが救いたいと思った光景で、俺たちが救わなければいけない光景だった。

「お前たちは世界を、人を救うといったな」
「あぁ」

 団長はわたるたちに見向きもせず話す。目の前の絶望に負けないよう強く拳を握る。それほどの光景が目の前に広がっているのだ。

「俺も、この世界にこの光景がなくなるのならば手伝おう。誰も苦しまない世界を望むならば俺も世界のために命を懸けよう。俺が目指した世界を達成するのならばそれで死んでもかまわない。だがな!!俺たちが救わなければいけない人間は!!世界は!!これほどまでに狂っているのだ……」

 震える声に落ちる涙。その涙はあきらとわたるには見えなかった。悲しみが溢れたこころを体にとどめることができずに、団長は体を揺らす。

「お前たちはこれを見て、まだ人間を救えると思うか?」
 
 目の前には二体の骸骨に挟まれたクリスの姿があった。下には液体が流れ、俺たちはその液体がなんであるかを、クリスに近くにあったナイフから察する。そんなクリスの顔は笑顔だった。ここの世界にいたどんな人間よりも笑っていた。

「俺は、状態異常『支配』で命をつなぎとめていた。家族に会うとこうなると分かっていたから。彼女の両親は魔物にやられたのさ。この世界にはこんな人間がたくさんいる。それでも……、それでも、お前たちは救えるか?」
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