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魔具が緑色に点滅しているのを確認したカダルは、サージスに声を掛けた。

「予定通り、姉さんがユリアナに通信したみたいですよ」
「あぁ。流石サラだな。起きて直ぐにユリアナの事まで気が回るとは」
サージスが答える。

「姉さん一人でしたら、確実に修道院か何かに逃げ込んでいるでしょうからね。ユリアナがいてくれて、助かります」
「こちらもサラのお陰で、ユリアナが心を病まずに済む。ユリアナには、お前は悪くない、と言い続けてくれる存在が必要だからな。それがサラであるなら、申し分ない」
サージスは満足げにクツクツと笑った。

「ところで、カダルの魔具の方はどんな様子だ?明日からお互い一週間休みを貰っているが、無事に予定通り休めそうか?」
「はい。こちらの魔具は、もうすぐ完成致します。サージス様はどうですか?今日中に帰宅出来そうですかね?」
「勿論。早くユリアナを抱きたい」
「その気持ちはわかりますけど。今日はどんなに夜遅く帰っても、姉さんは寝ずに待ってサージス様に詰め寄ると思いますよ?」
「…面倒だな」
「触らないで下さいよ?お互い相手に触ったらわかる様になってますし、要らない心配はしたくないんで」
「気を付けよう。サラに殴られるのは、私ではなくお前だしな、カダル」
「私としては、姉さんの性格上『聞きたい事は山ほどあるが、まずは一発殴らせろ』とか言ってくるかと思います」
カダルは、そんなサラの様子を思い浮かべながら、微笑んだ。
「…その内容を、笑って話さないで貰いたいな。生憎、喧嘩でサラに勝てる自信はないぞ?」
「私もです。仕込んでおいた、眠りの魔具を使って良いですよ」
「良いのか?あれ、何かのプレイに使う予定だったんだろう?」
「全く問題ありません。眠っている間に、やりたい事もあるので…あぁ、本当にりたい放題の一週間が、楽しみです」
「そうだな。ただし、覚えておけよ?今日帰宅したら、屋敷の者への周知徹底をして貰わないと、私が困るからな?」
「今朝出てくる時に、手配済みですが…そうですね、帰宅したらまた言っておきます」
「ああ、そうしてくれ。一週間、夫婦の寝所と部屋への出入り禁止。朝7時、昼12時、夜6時に部屋へは入らず、配膳口から食事を運ぶ、あと…」
「毎日、シーツも配膳口に新しいものを用意させる、ですよね?」
「そうだ…一組でなく、三組にしておいてくれ。何かあったら、魔具鏡で連絡を。…頼むから、携帯しろよ?」
「はは、魔具鏡の携帯なんて、初めてですから忘れそうですね」
「何の為に必死になって、研究してきたと思っているんだ」
試験テストは上手くいきましたし。使えそうなら、改良して市場におろしましょう」
「個人対個人でやり取りできる魔具鏡は絶対需要あるだろうから任せるよ」
「はい。…と、もうこんな時間ですよ、サージス様。お互いそろそろ戻りませんと」
「そうだな。今日は、24時に転移で。戻るのは、一週間後の仕事始めの…」
「5時でもよろしいでしょうか?」
「ああ、そうだな。それで良い。…さて、帰るか」
「そうですね、さっさと帰りましょう」

サージスとカダルは、黙々と帰宅準備をし、それぞれの新居へと向かった。
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