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閨の相手はあなただけ
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久しぶりに里に戻り、長に報告を入れる。
「煌、良い働きぶりをしているらしいな?先日も、先方からお褒めの言葉を頂いたぞ」
「…は、有難いお言葉です」
私は忍びの里から3年前に、長坂家のお嬢様付になった。
お嬢様は、まだ5才である。
忍びの里で私は落ちこぼれであったが、お嬢様が不届き者に拐われそうになったり、お嬢様が川に流された時に助けたり、お嬢様が転んで怪我をした時の処置が良かったとかで、長坂家から……特にお嬢様からは大変有難い事に信頼を頂ける様になった。
そんな中での、里からの呼び出し。
「…そして、今回私が呼ばれたのは…?」
忍びの里から一人立ちした者が、忠誠を誓った相手を放って帰郷する事は滅多にない。
滅多にないが、ない事もない。
しかし、落ちこぼれである私にそんな話が舞い降りてくるとは思えず、つい長に聞いてしまった。
ストレートに聞きすぎたのか、長は眉間に皺を寄せて
「相変わらず察しが悪いね」
と飴の後の鞭をふるいながら言った。
「お前が呼ばれるのなんて、決まっているだろう?━━閨の指南役だよ。……ただ、お前はいささか特殊だからな……断っても、いい」
私の中で、(やはり)という思いと、(まさか)という思い。両極端な思いが同時に沸いた。
「……いえ、里で育ったからには任務ですので受けさせて頂きます。……因みに、私を指名した奇特な相手の名前を聞いても?」
「……真幌だよ。よく知っているだろう?」
知らない訳がない。
私より4歳年下の、落ちこぼれな私なんかよりよっぽど出来た、幼なじみを。
☆☆☆
「真幌、私に付き合ってたら、日が暮れちゃうよ。先に次の訓練に行って?」
まだ修行に明け暮れていた頃。
投げた手裏剣が一向に当たらず、私は半泣きになりながら真幌に言った。
「うるせぇ。煌が当てられないのは、教え方が悪いかもしれないだろ?どっちみち、煌が出来なきゃ連帯責任になんだし、だったらきちんと教えた方が早い」
結局、何度真幌に教えて貰っても、私がその日的に当てる事は出来なくて。
二人して夕飯抜きになって、真幌に泣いて謝ったが、真幌はふらりとどっか行ってしまった。
戻ってきた真幌の手には、瑞々しい桃があって。
「くすねてきた。ほら、これ食べて元気出せ」
と、3歳年下の男の子に私は慰められていた。
またある日の事。
私の身長は、他のどの仲間より伸びていた。
男の子には、「木遁の術の時、お前によじ登りそうだよな」と揶揄され。
女の子には、「土遁の術の時、煌の後ろに隠れていいかな?」と嘲笑された。
それだけで修行の前に大泣きしていた私は、少し遅れて骨法術の修行に出て驚いた。
私は当然、遅刻について師匠に厳しく指導されたが、その日の修行は真幌が私を笑ってからかった仲間達を全て「掌底」で気絶させた為に中止となったからだ。
真幌は、「忍びが体型とか変えられないものを話題にして誰かをからかうなんて、あってはならないだろ。煌を泣かせるな」と怒ってくれたらしい。
次の日、仲間は皆して謝ってくれた。
そんな、幼なじみで優しくて、ここ最近では忍びの里で一番の腕になるであろう真幌。
私は、「私が落ちこぼれである事」を泣いて話した筈なのに、何故私を指名したのだろう??
━━不思議でならなかった。
☆☆☆
「煌、どうした?何でまた泣いている?」
……それは、私が一人立ちする一年前の事だった。
私が何処で泣いていても、必ず見つけ出す真幌。
真幌は昔から、私が泣いている理由を聞くまで、辛抱強く動かない。
さっさと観念して、私はとても恥ずかしい事実を話した。
「真幌……私、やっぱり出来損ないだったよ……っっ」
忍びの里の女(くノ一)は普通、諜報部隊として活躍する。
その為、敵陣に潜入して情報を奪取する正攻法だけではなく、敵の中に自分への協力者を作りだす搦め手を使う……つまり相手から情報を吸い上げたり寝返らせたりする、五車の術に長けていなければならない。
大事になってくるのが、閨……いわゆる「ハニートラップ」だ。
この忍びの里では16歳から一人立ちする為に、男女共に15歳の誕生日が過ぎると「異性の先輩」から閨の指南をして貰うのが通例であった。
しかし、煌の場合は……身長が175センチもあり、五車の術を扱う女性としては高すぎた。
煌が15歳になった時、長に呼ばれて行けば「お前は目立ち過ぎる為、諜報ではなく護衛で活躍する様に」と、なんと当然受けるべき閨の指南をして貰う事が叶わなかったのだ。
「閨を知らずに忍びの里を出るなんて、聞いた事ない……恥ずかしいよ……」
真幌の顔を見るのも恥ずかしすぎて、顔を膝に埋めて、ずっと泣いていた。
真幌は、そんな私をぎゅ、と抱き締めて、背中や頭を撫で続けた。
☆☆☆
(私が閨の指南なんて出来ないって、真幌だけは知っているのに……何で私なんだろう?)
閨の指南役で人気なのは、私より1年先輩の華花か、3年先輩の春維……後、昨年度に忍びの里を一人立ちした後輩だ。
久しぶりに真幌に会えるのは嬉しいが、真幌の貴重な1年を無駄にさせてはいけない。
私から指南役を断る事は出来ないが、指南役は途中で交替する事も場合によっては可能な為、真幌から希望を出して貰えば良い。
もしかしたら、私が閨の指南を受けていないという話を真幌は忘れてしまったのかもしれないと思いながら、私は真幌の小屋に向かった。
☆☆☆
「真幌?いるー?」
私が慣れ親しんだ真幌の小屋の外から声を掛けると、竹の暖簾がサラリと動いて中から真幌が顔を出した。
「……煌。久しぶり。入って」
私がすすめられるままに足を踏み入れれば、嗅いだ事のないとても甘い香りが漂っていた。
「今、お茶でも入れる」
「うん」
お茶を用意してくれる真幌の背中をぼーっと見ていたが、私が一人立ちした時と比べて随分と背丈も体つきも大きくなっていた事に気付く。
私が里を出たのは16歳で、真幌は12歳。そこから3年しか経っていない筈だが、成長期なのだから当然と言えば当然だ。
「はい」
「ありがとう」
二人して、無言でお茶をすする。
「じゃあ、早速お願いしていいか?」
「その事なんだけどね、真幌……」
どくん、と身体が熱くなる。
「忘れちゃったみたいだけど、私、閨の指南……受けていないから………」
顔も、カッカと熱を持ち始めてきた。
「真幌の相手には、相応しくない……んだ、けど……」
身体がおかしい。
思わず身動ぎをすると、股の間から、ぐちゅり……という音がした。
真幌は、笑って言う。
「そんな話、忘れる訳ないだろ?煌は処女。俺が、初めてをこれから貰う」
「そんな……、閨も、大事な……修行だ、し………」
胸の先っぽが、ジンジンしている気がする。
「大丈夫だ。男の先輩から、閨の作法の指南は受けた」
駄目だ。身体がおかしくて、真幌の話が耳に入ってこない。
「真幌、ごめん……何か、今日ちょっと身体の調子が変みたいで……」
また来るから、その時に話そう、と続けるつもりだった。
「変?そりゃ大変だ。━━俺が、見てやるよ」
真幌がそう言って、私を抱え上げなければ。
☆☆☆
ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん━━と。
難なく真幌の男根を咥え込んだ私の膣は、淫水を垂れ流して喜んでいる。
「ふぁっ、………っっなん、で……」
「……凄い効果だな。香も、茶も……」
真幌が私の身体に触れれば、その触れられたところから電流が走って、私の身体はビクビクと痙攣した。
真幌は抱え上げた私を優しく大きなベッドに寝かせて、覆い被さってくる。
真幌は、既に私より大きくなっていた事に、その時気付いた。
私の手甲をそっと取ると、手の甲に口付けをし、舌を伸ばして指の間を一本一本舐め、更に私の指をも優しくその口に含む。
「真、幌……そんな、とこ……」
私は恥ずかしくてたまらないのに、真幌のその仕草から目が離せない。
私の手を真幌の唾液でベタベタにした後、真幌は満足したのか今度は質素な簡易装の腰ひもをしゅるりと解いた。
鎖骨をするりと撫でながら、そのまま胸のあわせへ掌を滑りこませる。
「んん………っっ!!」
真幌の指が、私の胸の頂きに触れ、私に流れる電流は強くなった。
「……勃ってる……」
真幌はぐい、と布を左右に開き、ポロンとこぼれた胸にむしゃぶりついた。
「ひあああっっ!!」
今まで感じた事のない刺激が胸から広がり、私の下半身に異変をおこす。
「ゃ、真幌、なんか、股に━━」
私の言葉を聞いて、真幌は私の膝を頭まで折り曲げてひっくり返した。
太腿までしかない簡易装は直ぐにはだけ、私の下履きが真幌の眼下に丸見えとなり、羞恥に震える。
「真幌………っっ」
「……凄い、濡れてる……」
言うが早いか、下履きの左右の紐を引っ張った。
私の膣が冷たい空気に晒され、ぶるりと震える。
「すげ……本当にあわびみたい。美味しそ……」
真幌は、私の膣をべろべろぐちょぐちょと舐め回した。
膣の上の突起を舐められると、違った快感が流れて「ひゃんっ!」と声が上がってしまう。
「……これか……」
真幌は、心得た様に器用に舌を使って、優しく突起をつつき、なぶり、たまに唇で噛んで伸ばす。
「ふあ、ぁん、あぁんっっ!」
その刺激が気持ち良すぎて、涙が一筋流れた。
「……腰が揺れてる。エロ……っっ」
真幌は一回舐めるのを止め、その恥ずかしい格好のまま、つぷりと蜜壺に指を一本ゆっくりゆっくり差し入れた。
「痛く、ないか?」
私は必死で答える。
「痛く、ないぃ………」
少し違和感はあるけど、全然痛くない。
差し入れられたところが熱を持って、じわりじわりと何かを待ちわびている気すらする。
真幌が指を動かしてくれた時に、私が何を待ちわびていたかを知った。
「真幌、もっと……してぇ………っっ」
「……っっ!!」
気持ち良い、何これ、凄い。そんな事を夢中で繰り返す私に、真幌は指を増やしながら言った。
「……挿れるぞ」
「ん、ぅんっ…………っっ」
抜けた指を求めて、切なくて。
早く、早く。そう言ってしまった気がする。
ぶちゅん!!
ドロドロの泥濘に、指とは違った圧迫感が突き立てられて。
「ひぃいん!!」
たまらず、鳴いた。
気持ち良い、もっと、もっと。
「……ああ。煌の膣、凄く気持ちい。━━もう少ししたら、動いてやるから」
何で、早く、動いて。
焦れた私は、腰を揺らす。
「━━━━っ!!あ、ぶね」
真幌の焦った声がしたので、申し訳ない気がして動くのをやめた。
ねぇ、まだ?まだかな?
じぃ、と真幌の上気した顔を見ながら、大人しく待つ。
「煌……腰は止まっても、膣が凶悪に動いてんだってば……」
真幌は苦笑しながら、挿送を開始した。
その動きは、私を官能の渦に巻き込んで……
「も、イく……………っっ」
真幌が私の膣に、熱くて大量の白濁液を撒き散らしても。
「真幌、もっとぉ……」
私は、どくどくとその熱が流れていくところに、詮をして欲しくて何度もねだる。
「あぁ。煌が俺のちんぽ上手に欲しがれたらな」
「……真幌の、おちんちんで、私のおまんこ、埋めて欲しくてたまらないよぉ……」
ひくひくと蠢く花びらを押さえながら言ったら、真幌は望みを叶えてくれた。
「……俺の閨、これからも指南するよな?」
「うん、する、するからぁ………っっ」
「ずっと………ずっとだ、煌」
「うん、わかったよぉ………」
その日は翌日まで。1日甘い香りが漂う小屋で、私達はお互いの身体を貪りあった。
☆☆☆
「煌、俺の妻になれ」
「……へ??」
お互い、どろっどろの液体にまみれたまま起きた、翌朝……いや、昼。
真幌にそう言われて、目が点になった。
忍びの者は、孤児が多い。
弱味が増えるので、普通所帯は持たない。
けれども、全員が持たない訳ではない。
忍びの里にも、例外はある。
「俺は、今の長から、次期の長にと言われている。……だから、煌。これからは一緒にいてくれ」
真幌の気持ちは正直、嬉しかった。
━━けれども。
私の脳裏に、5才の少女の姿が過る。
一生守ると決めた、落ちこぼれの私にも優しいお嬢様。
「煌の気持ちはわかっている。長坂のお嬢様には、煌の代わりに檀と白をつかせる」
驚いた。檀も白も、真幌とまではいかなくても、この忍びの里を確実に盛り立てる人材だ。
私なんかがお嬢様の側にいるより、断然お嬢様には良い。
卑下しているのではなく、事実、それはお嬢様の安全に繋がる。
心が揺れた私に、真幌はダメ押しをした。
「1年に一回でよければ、煌にも直接お嬢様の成長を見届けさせよう」
━━こうして、私は翌年、真幌の妻となった。
☆☆☆
それから、5年。
「真幌、お帰りなさい。今日も疲れた顔をしてるね」
「煌、ただいま。……そうだな、意外と長ってやる事が多いな。まだ付いて回っているだけだから楽だが、来年からの事を思うと……」
「ふふふ、真幌なら大丈夫だよ」
「……ん。煌、ありがと。……なぁ、今日も……」
「勿論、お相手するよ」
「閨の相手は、お前だけしか出来ないから」
「私の閨の相手も、あなただけ」
私と真幌は、おでこをくっつけて笑いあった。
「煌、良い働きぶりをしているらしいな?先日も、先方からお褒めの言葉を頂いたぞ」
「…は、有難いお言葉です」
私は忍びの里から3年前に、長坂家のお嬢様付になった。
お嬢様は、まだ5才である。
忍びの里で私は落ちこぼれであったが、お嬢様が不届き者に拐われそうになったり、お嬢様が川に流された時に助けたり、お嬢様が転んで怪我をした時の処置が良かったとかで、長坂家から……特にお嬢様からは大変有難い事に信頼を頂ける様になった。
そんな中での、里からの呼び出し。
「…そして、今回私が呼ばれたのは…?」
忍びの里から一人立ちした者が、忠誠を誓った相手を放って帰郷する事は滅多にない。
滅多にないが、ない事もない。
しかし、落ちこぼれである私にそんな話が舞い降りてくるとは思えず、つい長に聞いてしまった。
ストレートに聞きすぎたのか、長は眉間に皺を寄せて
「相変わらず察しが悪いね」
と飴の後の鞭をふるいながら言った。
「お前が呼ばれるのなんて、決まっているだろう?━━閨の指南役だよ。……ただ、お前はいささか特殊だからな……断っても、いい」
私の中で、(やはり)という思いと、(まさか)という思い。両極端な思いが同時に沸いた。
「……いえ、里で育ったからには任務ですので受けさせて頂きます。……因みに、私を指名した奇特な相手の名前を聞いても?」
「……真幌だよ。よく知っているだろう?」
知らない訳がない。
私より4歳年下の、落ちこぼれな私なんかよりよっぽど出来た、幼なじみを。
☆☆☆
「真幌、私に付き合ってたら、日が暮れちゃうよ。先に次の訓練に行って?」
まだ修行に明け暮れていた頃。
投げた手裏剣が一向に当たらず、私は半泣きになりながら真幌に言った。
「うるせぇ。煌が当てられないのは、教え方が悪いかもしれないだろ?どっちみち、煌が出来なきゃ連帯責任になんだし、だったらきちんと教えた方が早い」
結局、何度真幌に教えて貰っても、私がその日的に当てる事は出来なくて。
二人して夕飯抜きになって、真幌に泣いて謝ったが、真幌はふらりとどっか行ってしまった。
戻ってきた真幌の手には、瑞々しい桃があって。
「くすねてきた。ほら、これ食べて元気出せ」
と、3歳年下の男の子に私は慰められていた。
またある日の事。
私の身長は、他のどの仲間より伸びていた。
男の子には、「木遁の術の時、お前によじ登りそうだよな」と揶揄され。
女の子には、「土遁の術の時、煌の後ろに隠れていいかな?」と嘲笑された。
それだけで修行の前に大泣きしていた私は、少し遅れて骨法術の修行に出て驚いた。
私は当然、遅刻について師匠に厳しく指導されたが、その日の修行は真幌が私を笑ってからかった仲間達を全て「掌底」で気絶させた為に中止となったからだ。
真幌は、「忍びが体型とか変えられないものを話題にして誰かをからかうなんて、あってはならないだろ。煌を泣かせるな」と怒ってくれたらしい。
次の日、仲間は皆して謝ってくれた。
そんな、幼なじみで優しくて、ここ最近では忍びの里で一番の腕になるであろう真幌。
私は、「私が落ちこぼれである事」を泣いて話した筈なのに、何故私を指名したのだろう??
━━不思議でならなかった。
☆☆☆
「煌、どうした?何でまた泣いている?」
……それは、私が一人立ちする一年前の事だった。
私が何処で泣いていても、必ず見つけ出す真幌。
真幌は昔から、私が泣いている理由を聞くまで、辛抱強く動かない。
さっさと観念して、私はとても恥ずかしい事実を話した。
「真幌……私、やっぱり出来損ないだったよ……っっ」
忍びの里の女(くノ一)は普通、諜報部隊として活躍する。
その為、敵陣に潜入して情報を奪取する正攻法だけではなく、敵の中に自分への協力者を作りだす搦め手を使う……つまり相手から情報を吸い上げたり寝返らせたりする、五車の術に長けていなければならない。
大事になってくるのが、閨……いわゆる「ハニートラップ」だ。
この忍びの里では16歳から一人立ちする為に、男女共に15歳の誕生日が過ぎると「異性の先輩」から閨の指南をして貰うのが通例であった。
しかし、煌の場合は……身長が175センチもあり、五車の術を扱う女性としては高すぎた。
煌が15歳になった時、長に呼ばれて行けば「お前は目立ち過ぎる為、諜報ではなく護衛で活躍する様に」と、なんと当然受けるべき閨の指南をして貰う事が叶わなかったのだ。
「閨を知らずに忍びの里を出るなんて、聞いた事ない……恥ずかしいよ……」
真幌の顔を見るのも恥ずかしすぎて、顔を膝に埋めて、ずっと泣いていた。
真幌は、そんな私をぎゅ、と抱き締めて、背中や頭を撫で続けた。
☆☆☆
(私が閨の指南なんて出来ないって、真幌だけは知っているのに……何で私なんだろう?)
閨の指南役で人気なのは、私より1年先輩の華花か、3年先輩の春維……後、昨年度に忍びの里を一人立ちした後輩だ。
久しぶりに真幌に会えるのは嬉しいが、真幌の貴重な1年を無駄にさせてはいけない。
私から指南役を断る事は出来ないが、指南役は途中で交替する事も場合によっては可能な為、真幌から希望を出して貰えば良い。
もしかしたら、私が閨の指南を受けていないという話を真幌は忘れてしまったのかもしれないと思いながら、私は真幌の小屋に向かった。
☆☆☆
「真幌?いるー?」
私が慣れ親しんだ真幌の小屋の外から声を掛けると、竹の暖簾がサラリと動いて中から真幌が顔を出した。
「……煌。久しぶり。入って」
私がすすめられるままに足を踏み入れれば、嗅いだ事のないとても甘い香りが漂っていた。
「今、お茶でも入れる」
「うん」
お茶を用意してくれる真幌の背中をぼーっと見ていたが、私が一人立ちした時と比べて随分と背丈も体つきも大きくなっていた事に気付く。
私が里を出たのは16歳で、真幌は12歳。そこから3年しか経っていない筈だが、成長期なのだから当然と言えば当然だ。
「はい」
「ありがとう」
二人して、無言でお茶をすする。
「じゃあ、早速お願いしていいか?」
「その事なんだけどね、真幌……」
どくん、と身体が熱くなる。
「忘れちゃったみたいだけど、私、閨の指南……受けていないから………」
顔も、カッカと熱を持ち始めてきた。
「真幌の相手には、相応しくない……んだ、けど……」
身体がおかしい。
思わず身動ぎをすると、股の間から、ぐちゅり……という音がした。
真幌は、笑って言う。
「そんな話、忘れる訳ないだろ?煌は処女。俺が、初めてをこれから貰う」
「そんな……、閨も、大事な……修行だ、し………」
胸の先っぽが、ジンジンしている気がする。
「大丈夫だ。男の先輩から、閨の作法の指南は受けた」
駄目だ。身体がおかしくて、真幌の話が耳に入ってこない。
「真幌、ごめん……何か、今日ちょっと身体の調子が変みたいで……」
また来るから、その時に話そう、と続けるつもりだった。
「変?そりゃ大変だ。━━俺が、見てやるよ」
真幌がそう言って、私を抱え上げなければ。
☆☆☆
ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん━━と。
難なく真幌の男根を咥え込んだ私の膣は、淫水を垂れ流して喜んでいる。
「ふぁっ、………っっなん、で……」
「……凄い効果だな。香も、茶も……」
真幌が私の身体に触れれば、その触れられたところから電流が走って、私の身体はビクビクと痙攣した。
真幌は抱え上げた私を優しく大きなベッドに寝かせて、覆い被さってくる。
真幌は、既に私より大きくなっていた事に、その時気付いた。
私の手甲をそっと取ると、手の甲に口付けをし、舌を伸ばして指の間を一本一本舐め、更に私の指をも優しくその口に含む。
「真、幌……そんな、とこ……」
私は恥ずかしくてたまらないのに、真幌のその仕草から目が離せない。
私の手を真幌の唾液でベタベタにした後、真幌は満足したのか今度は質素な簡易装の腰ひもをしゅるりと解いた。
鎖骨をするりと撫でながら、そのまま胸のあわせへ掌を滑りこませる。
「んん………っっ!!」
真幌の指が、私の胸の頂きに触れ、私に流れる電流は強くなった。
「……勃ってる……」
真幌はぐい、と布を左右に開き、ポロンとこぼれた胸にむしゃぶりついた。
「ひあああっっ!!」
今まで感じた事のない刺激が胸から広がり、私の下半身に異変をおこす。
「ゃ、真幌、なんか、股に━━」
私の言葉を聞いて、真幌は私の膝を頭まで折り曲げてひっくり返した。
太腿までしかない簡易装は直ぐにはだけ、私の下履きが真幌の眼下に丸見えとなり、羞恥に震える。
「真幌………っっ」
「……凄い、濡れてる……」
言うが早いか、下履きの左右の紐を引っ張った。
私の膣が冷たい空気に晒され、ぶるりと震える。
「すげ……本当にあわびみたい。美味しそ……」
真幌は、私の膣をべろべろぐちょぐちょと舐め回した。
膣の上の突起を舐められると、違った快感が流れて「ひゃんっ!」と声が上がってしまう。
「……これか……」
真幌は、心得た様に器用に舌を使って、優しく突起をつつき、なぶり、たまに唇で噛んで伸ばす。
「ふあ、ぁん、あぁんっっ!」
その刺激が気持ち良すぎて、涙が一筋流れた。
「……腰が揺れてる。エロ……っっ」
真幌は一回舐めるのを止め、その恥ずかしい格好のまま、つぷりと蜜壺に指を一本ゆっくりゆっくり差し入れた。
「痛く、ないか?」
私は必死で答える。
「痛く、ないぃ………」
少し違和感はあるけど、全然痛くない。
差し入れられたところが熱を持って、じわりじわりと何かを待ちわびている気すらする。
真幌が指を動かしてくれた時に、私が何を待ちわびていたかを知った。
「真幌、もっと……してぇ………っっ」
「……っっ!!」
気持ち良い、何これ、凄い。そんな事を夢中で繰り返す私に、真幌は指を増やしながら言った。
「……挿れるぞ」
「ん、ぅんっ…………っっ」
抜けた指を求めて、切なくて。
早く、早く。そう言ってしまった気がする。
ぶちゅん!!
ドロドロの泥濘に、指とは違った圧迫感が突き立てられて。
「ひぃいん!!」
たまらず、鳴いた。
気持ち良い、もっと、もっと。
「……ああ。煌の膣、凄く気持ちい。━━もう少ししたら、動いてやるから」
何で、早く、動いて。
焦れた私は、腰を揺らす。
「━━━━っ!!あ、ぶね」
真幌の焦った声がしたので、申し訳ない気がして動くのをやめた。
ねぇ、まだ?まだかな?
じぃ、と真幌の上気した顔を見ながら、大人しく待つ。
「煌……腰は止まっても、膣が凶悪に動いてんだってば……」
真幌は苦笑しながら、挿送を開始した。
その動きは、私を官能の渦に巻き込んで……
「も、イく……………っっ」
真幌が私の膣に、熱くて大量の白濁液を撒き散らしても。
「真幌、もっとぉ……」
私は、どくどくとその熱が流れていくところに、詮をして欲しくて何度もねだる。
「あぁ。煌が俺のちんぽ上手に欲しがれたらな」
「……真幌の、おちんちんで、私のおまんこ、埋めて欲しくてたまらないよぉ……」
ひくひくと蠢く花びらを押さえながら言ったら、真幌は望みを叶えてくれた。
「……俺の閨、これからも指南するよな?」
「うん、する、するからぁ………っっ」
「ずっと………ずっとだ、煌」
「うん、わかったよぉ………」
その日は翌日まで。1日甘い香りが漂う小屋で、私達はお互いの身体を貪りあった。
☆☆☆
「煌、俺の妻になれ」
「……へ??」
お互い、どろっどろの液体にまみれたまま起きた、翌朝……いや、昼。
真幌にそう言われて、目が点になった。
忍びの者は、孤児が多い。
弱味が増えるので、普通所帯は持たない。
けれども、全員が持たない訳ではない。
忍びの里にも、例外はある。
「俺は、今の長から、次期の長にと言われている。……だから、煌。これからは一緒にいてくれ」
真幌の気持ちは正直、嬉しかった。
━━けれども。
私の脳裏に、5才の少女の姿が過る。
一生守ると決めた、落ちこぼれの私にも優しいお嬢様。
「煌の気持ちはわかっている。長坂のお嬢様には、煌の代わりに檀と白をつかせる」
驚いた。檀も白も、真幌とまではいかなくても、この忍びの里を確実に盛り立てる人材だ。
私なんかがお嬢様の側にいるより、断然お嬢様には良い。
卑下しているのではなく、事実、それはお嬢様の安全に繋がる。
心が揺れた私に、真幌はダメ押しをした。
「1年に一回でよければ、煌にも直接お嬢様の成長を見届けさせよう」
━━こうして、私は翌年、真幌の妻となった。
☆☆☆
それから、5年。
「真幌、お帰りなさい。今日も疲れた顔をしてるね」
「煌、ただいま。……そうだな、意外と長ってやる事が多いな。まだ付いて回っているだけだから楽だが、来年からの事を思うと……」
「ふふふ、真幌なら大丈夫だよ」
「……ん。煌、ありがと。……なぁ、今日も……」
「勿論、お相手するよ」
「閨の相手は、お前だけしか出来ないから」
「私の閨の相手も、あなただけ」
私と真幌は、おでこをくっつけて笑いあった。
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