上 下
6 / 11

6

しおりを挟む
甲冑の人物は、そんなヴェラにそっと近寄り、彼女の身体にバスローブを掛けて、ベッドの上に座った。ヴェラは、見知らぬ甲冑男が登場すれば普通は沸き上がる筈の恐怖……それを感じない事を、不思議に思っている。

「これが、貴方の最後のお楽しみになると思いますが……続きはよろしいですかね?」
「何をっ!?貴様、さっさと顔を見せろ!!」
「見せても良いですが、初めましてですよ?横領容疑の領主様」
そう言いながら、甲冑の男は兜を取る。

「グラエム……!!」
「ただいま、ヴェラ」

懐かしい顔が、とはいえ別れた時よりずっと精悍な顔つきになった幼なじみがそこにいた。ヴェラは思わず抱き付こうとして今の自分の痴態を思い出し、真っ青になる。

見られた!見られた!!見られた……っっ!!一番見られたくない人に、自分の尻の穴にぺニスを突っ込まれているところを、見られてしまった……!!

「……っっ!!」
ヴェラは毛布を頭から被り、ガクガク震え出す。
「ヴェラ、皆を守る為に、よく頑張ったね。一番辛かった時に傍にいられなくてゴメンね」
「……っ、……っ」
事情を知っているらしいグラエムにそう言われて、涙がぶわりと溢れ出す。

「ちょっと拘束したら、外で待ってて貰っていい?」
「は~い」
「何だお前達っ!!ワシを誰だと思ってる!!」
「これから首都に連行される元領主様~」
「ふざけ……うがっ!むご、むぐ……」
「じゃあ、待ってるわ。明日の朝まで適当に部屋見つけて寝てるから、好きにしてて良いよグラエム」
「サンキュ」

扉が再び開き、そして閉まった音。どうやら部屋には、グラエム以外の人物がいて、その人が領主に何かして出てったらしい。
シン……と静まりかえった部屋のベッドで、ヴェラはそろりと毛布から顔を出した。
ヴェラの視線の先、ぐるぐる巻きにされて芋虫の様な格好の領主がいた。裸で性器をポロンと出したまま猿轡をされ、顔は怒りと羞恥で真っ赤になっている。

……何故、領主様が本人の屋敷でぐるぐる巻きにされているのだろう??ヴェラが首を傾げた時だ。
「ヴェラ、大丈夫?」
「きゃ……」
毛布ごと引き寄せれ、ベッドに座ったグラエムに横抱きにされる。あんなに会いたかった幼なじみが目の前にいるのに、全然実感が湧かなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

悪役令嬢なのに王子の慰み者になってしまい、断罪が行われません

青の雀
恋愛
公爵令嬢エリーゼは、王立学園の3年生、あるとき不注意からか階段から転落してしまい、前世やりこんでいた乙女ゲームの中に転生してしまったことに気づく でも、実際はヒロインから突き落とされてしまったのだ。その現場をたまたま見ていた婚約者の王子から溺愛されるようになり、ついにはカラダの関係にまで発展してしまう この乙女ゲームは、悪役令嬢はバッドエンドの道しかなく、最後は必ずギロチンで絶命するのだが、王子様の慰み者になってから、どんどんストーリーが変わっていくのは、いいことなはずなのに、エリーゼは、いつか処刑される運命だと諦めて……、その表情が王子の心を煽り、王子はますますエリーゼに執着して、溺愛していく そしてなぜかヒロインも姿を消していく ほとんどエッチシーンばかりになるかも?

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

R18 優秀な騎士だけが全裸に見える私が、国を救った英雄の氷の騎士団長を着ぐるみを着て溺愛する理由。

シェルビビ
恋愛
 シャルロッテは幼い時から優秀な騎士たちが全裸に見える。騎士団の凱旋を見た時に何で全裸でお馬さんに乗っているのだろうと疑問に思っていたが、月日が経つと優秀な騎士たちは全裸に見えるものだと納得した。  時は流れ18歳になると優秀な騎士を見分けられることと騎士学校のサポート学科で優秀な成績を残したことから、騎士団の事務員として採用された。給料も良くて一生独身でも生きて行けるくらい充実している就職先は最高の環境。リストラの権限も持つようになった時、国の砦を守った英雄エリオスが全裸に見えなくなる瞬間が多くなっていった。どうやら長年付き合っていた婚約者が、貢物を散々貰ったくせにダメ男の子を妊娠して婚約破棄したらしい。  国の希望であるエリオスはこのままだと騎士団を辞めないといけなくなってしまう。  シャルロッテは、騎士団のファンクラブに入ってエリオスの事を調べていた。  ところがエリオスにストーカーと勘違いされて好かれてしまった。元婚約者の婚約破棄以降、何かがおかしい。  クマのぬいぐるみが好きだと言っていたから、やる気を出させるためにクマの着ぐるみで出勤したら違う方向に元気になってしまった。溺愛することが好きだと聞いていたから、溺愛し返したらなんだか様子がおかしい。

本日をもって、魔術師団長の射精係を退職するになりました。ここでの経験や学んだことを大切にしながら、今後も頑張っていきたいと考えております。

シェルビビ
恋愛
 膨大な魔力の引き換えに、自慰をしてはいけない制約がある宮廷魔術師。他人の手で射精をして貰わないといけないが、彼らの精液を受け入れられる人間は限られていた。  平民であるユニスは、偶然の出来事で射精師として才能が目覚めてしまう。ある日、襲われそうになった同僚を助けるために、制限魔法を解除して右手を酷使した結果、気絶してしまい前世を思い出してしまう。ユニスが触れた性器は、尋常じゃない快楽とおびただしい量の射精をする事が出来る。  前世の記憶を思い出した事で、冷静さを取り戻し、射精させる事が出来なくなった。徐々に射精に対する情熱を失っていくユニス。  突然仕事を辞める事を責める魔術師団長のイースは、普通の恋愛をしたいと話すユニスを説得するために行動をする。 「ユニス、本気で射精師辞めるのか? 心の髄まで射精が好きだっただろう。俺を射精させるまで辞めさせない」  射精させる情熱を思い出し愛を知った時、ユニスが選ぶ運命は――。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

マッチョな俺に抱かれる小さい彼女

雪本 風香
恋愛
社会人チームで現役選手として活躍している俺。 身長190センチ、体重約100キロのガッチリした筋肉体質の俺の彼女は、148センチで童顔。 小さくてロリ顔の外見に似合わず、彼女はビックリするほど性に貪欲だった。 負け試合の後、フラストレーションが溜まった俺はその勢いのまま、彼女の家に行き……。 エロいことしかしていません。 ノクターンノベルズ様にも掲載しています。

伯爵令嬢のユリアは時間停止の魔法で凌辱される。【完結】

ちゃむにい
恋愛
その時ユリアは、ただ教室で座っていただけのはずだった。 「……っ!!?」 気がついた時には制服の着衣は乱れ、股から白い粘液がこぼれ落ち、体の奥に鈍く感じる違和感があった。 ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

処理中です...