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ドク、ドク、ドク、と私の心臓が早鐘のように音をたてる中、じっとお互いがお互いの様子見をする。
私が固まってしばらくすると、痴漢は私のショーツの真ん中をぐっと押して、溢れた蜜を染み込ませた。
(これ以上は、やめてぇ……っっ)
私がアイマスクの下、涙目で祈りを捧げていたが、無情にもその指先は濡れた下着を片側に押し分けて、濡れた陰毛をかき分けながら、膣の周りの愛液を指に纏わせた。
そしてぷくっと膨らみ始めた膣の上の淫豆を、くりくりと弄くった後、そのぬるぬるした指で挟むと、コシコシ扱き上げた。

(怖い……っっ助けて、壱弥いちや……)
いる筈もない、一方的に別れを告げた相手の名前を、心の中で叫ぶ。
(壱弥いちや……ごめんなさい……きちんと言うことを聞いておけば良かった……!)
「ぅ、ふぅ……っっ」
俯いていた顔を、斜め上に上げた。陰核を弄ぶ指から逃れたくて、少し腰を持ち上げる。するとその指は、今度は陰核から膣にターゲットを変更したらしく、つぷ……と長く骨ばった指一本を、根元まで差し込まれてしまう。恐怖で、大事なところを壱弥いちや……元彼以外に踏みにじられたくなくて、きゅう……っと指を膣壁が締め付けたのを感じた。
とうとう溢れた涙がアイマスクに染み込んでいき、小さな悲鳴が口から漏れた。
「~~っ、ゃ、ぁ……っっ」
私はもう我慢出来なくなって、下半身を苛めるその腕をぎゅ、と両手で掴む。

痴漢は、アイマスクをした私の耳元で囁く。
「いーおり?僕だよ。大丈夫?」
(……え?)
私の胸を弄っていた温もりが離れ、そっと、耳にかかったアイマスクが外された。

「……怖かったね、伊桜里いおり
「壱弥……?」
私の目の前に、少し腕白な少年を思わせる、ふわふわした髪にメッシュが入った目元の黒子が印象的な、いる筈もないと思っていた男性が、いた。
「うん、僕だよ。伊桜里は今、誰に助けを求めてたの?」
「壱弥……壱弥ぁ……っっ」
へにょ、と私の眉が下がって、涙がポロポロ溢れる。
「ご、ごめんなさい……っっ」
「うん?謝るのは僕の方だと思うけど、伊桜里は何に対してごめんなさいしてるの?」
「わ、私……壱弥のアドバイス、適当に流してて……っ、後、一方的に別れて……っ、後、夜行バス乗るならジーパンでって言われてたのに……っ」

恐怖で流れた涙は、元彼を見た途端に安堵の涙に変わった。
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