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ヒーロー来ない

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うーん?やはり小説に書かれてない部分は様々なハラハラハプニングが実はあったという事なのだろうか?
それとも、作者様が非公開にしていた部分だったり?

考えてもわからない事は早々に考える事を放棄し、私はいよいよあのエタる直前の誘拐イベントまでこぎつけたのである。

ヤッター!!やっとここまできました!!ありがとう作者様!!

そんな訳で尻の痛さを我慢しつつ、真のヒーローの登場を待つ私。
別の意味で心臓をドキドキさせて、ドナドナされる私。


馬車は、そのままドナドナし続け、怪しさ満点のお屋敷に到着したらしい。……あれ?ヒーローは??

乱暴に荷台の布地を開けた、名前のなさそうな雑魚キャラ1が「……あれ、人質は?」と間抜けな声をあげる。
流石空気な悪役令嬢、荷台の隅に行っただけで気配を消したらしい。

「どけ」
その雑魚キャラ1を押し退け、「真っ黒」と形容される以外何者でもない背の高い男が、目敏く私を見付けて目を見開いた。
「……何故、彼女を縛り上げている?」
「え?あ、」
雑魚キャラ1の首が飛んだ。

ひぃぃぃぃ!!!
文では見ても、リアルで見た事ないんですよ、しかも気絶したいのに出来ないっっ!!

「丁重に扱えと言った筈だ。……何故、私の用意した馬車を使わなかった」
「あ、あの馬車じゃ目立ち過ぎますよ……!!」
そう言った雑魚キャラ2の首が……ああああ……

力業で捩じ伏せ、内輪揉めにすらさせなかったその男はガタガタ震える私をひょいと抱き上げる。
……ち、ちびってないよね!?ちびってたら殺されるっっ!!

何故ならこいつはヒーローじゃない。「悪役令嬢の能力が効かない暗殺者」であり、むしろ敵なのだ。
真っ黒な衣装に身を包む暗殺者は「軽いな」と言いながら私を屋敷内へと運んで行く。
 
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