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「ヤッベ!イケメンの上に金持ちとかヤッベ!!」
「……金持ちなのは俺じゃなくて親」
「そんな格好良い事言ってみてーわ。俺が女だったら、即國臣ロックオンだわ」
「……え?」
高校三年になって久しぶりに、勉強会と称して國臣の自宅にお邪魔した。
うちも結構広い筈だけど、國臣の自宅の広さは半端ない。
うちの庭には、プールは流石にないわ。
「お邪魔しまーす!」
國臣の部屋に入ると、 ヴィンテージ調に纏まったお洒落な空間が広がっていた。國臣の身体は、いつも香水みたいな良い匂いがするんだけど、その香りが部屋全体に広がっていて何だかドキっとした。
男の部屋に入って、何でドキドキするんやねん、と心の何で一人突っ込みながら「うわ!すげーベッド広いな!!ダイブしたら怒る?」と國臣に聞く。
「……え?いや、全然。むしろ……」
「ひゃっほー!」
何サイズなんだか良くわからないベッドにダイブし、ゴロゴロ転がった。國臣の香りが強く感じた。
「……ちょっと、おやつ取ってくるわ」
「お、サンキュ」
部屋から國臣が出て行ったので、ベッドの下をささっと見た。……つまらん、何もねーわ。
よいしょ、とベッドから降りて、ローテーブルの上に過去問の問題集を広げた。國臣は俺と同じ大学を受けるんだけど、國臣は余裕圏で俺はギリ圏だ。大学に行っても國臣とつるみたいし、浪人はしたくないし、学年別になって卑屈になりたくないから頑張らねば。
ひとまず英語の過去問を開いていると、そこに麦茶とポテチとケーキと煎餅をのせたお盆を持った國臣が戻ってくる。
「ありがとな」
「……もう……いや、珍しく真面目だな」
「俺だってたまには真面目なんですー」
國臣と確認しながら、勉強した。
「つっかれたー!」
「ん。……お疲れ」
ヤバい。何とか問題は解けるけど、読解が遅すぎて試験時間が足りない気がする。問題に慣れて、もっと早く解けるようにならないと俺の未来は暗い。
やたらデカいベッドにゴロゴロしてると、國臣がおずおずと聞いてきた。
「……希翔、この前さ……」
「ん?」
「……トラウマって言ってたけど」
おー、そこ今くるかぁ。俺はちょっと悩む。まぁ、國臣にならいっか。ケーキもくれたし。
俺は、まるで部屋の住人のようにベッドに片肘をついて頭をのせ、横向きに寝そべった。
「笑うなよ?」
「ああ」
「……俺さぁ、童貞捨てた時に、相手の女に嗤われたんだよ。短小だって」
「……は?相手の女が、希翔にそんな事言ったのか?」
國臣が、表情を失くした。
あ、これめっちゃ怒ってる時の表情だわ。いや今その女いないし、俺が怖いんだけど……俺の為に怒っているのがわかるから、少し嬉しくて胸があったかくなる。
「うん。で、まぁ、その時は中二だったし、あまりそんな自覚なかった訳。でもこう……そうだと現実を突き付けられたらさ、また女とセックスする度にそう言われるのかなぁ、とか。言われる事なくても、思ってるんだろーなぁ、とか。余計な事考えちゃいそうでさ……」
「……それはそうだろ」
「だから、付き合っても身体の関係までは良いってか……セックスまでは求めてないってか……」
「……でも、セックスの気持ち良さ知ってたら、またヤりたくならない?」
「んー、オナれればそれで良いかな。女の穴も、自分の手も、似たようなもんだし」
「……」
「ま、ヘタレって訳だ」
「……じゃあさ、他で、感じさせてやろうか?」
「……ん?」
國臣が、ずずいっとベッドに寝転ぶ俺に迫る。やたら真剣そうな顔してるけど、近い。すげー近い。
「……勉強が終わったら、オナニー以上の気持ち良い事、俺が教えてやるよ」
「わ、わかった!わかったからひとまず近けーよ!!」
俺は、國臣の身体をぐいと押し退け、ベッドから飛び降りた。
俺のプライベートに先に突っ込んできたのは國臣だ。だから、國臣のプライベートにも突っ込んでやろうと、シャーペンを走らす國臣に話を振った。
「……國臣の好きな子って、どんな子?」
「…太陽みたいな奴」
「へぇ。何で好きになったん?」
國臣は、手を止めて俺をじっと見た。
「……俺さ、中学生の時って友達いなくて殆んど話す事なんてなく過ごしたんだよね」
「えっ!?」
びっくりだ。今は、俺や友達と毎日つるんで馬鹿言い合ってるこいつが。だけど、確かに無口ではないけど、俺みたいにはしゃぐタイプではないという事は知っている。
「まぁ、中学の時は俺の事嫌いな奴が、俺の母親をヤクザの愛人とかって言いふらしたのがきっかけなんだけど」
「……んだよ、それ……!」
超ムカつく。俺が苛立ちを顕にすると、國臣は逆に優しく微笑んだ。
「……でも、高校入ってから、そいつがクラスの中心でさ。小説書いてるようなオタク認定される奴も、俺みたいな独りでいた奴も、みーんな纏めて仲間、みたいになって」
「……マジかよ!?國臣の好きな子って、クラスメイトだったのか!?」
一年生だった時、クラスの中心にいた女子を思い返す。……5人くらいに絞れた気がする!
「……そいつといると、皆楽しくなる。たまたま一年生のクラスメイトが相性良かったのかと思ったけど、それは二年生になっても同じでさ」
候補が2人に絞れた!!どっちだ!?気になるぅ~!!
「……三年生になって、どうあってもそいつが好きだって気付いた。そいつが他の奴と親しげに話してるのを見ると嫉妬するし、独り占めしたくなる。毎日一緒にいるのが当たり前なのに、全然足りなくて。そろそろ、限界かな……」
……あれ?候補が……あれ??2人と國臣がそんなに話してるのを、見た事ない様な。むしろこいつ、俺達男としかつるんでないしなぁ……
???
俺が個人の特定に至らず首をひねっていると、國臣は俺のノートを指さして言った。
「……それにしても、希翔。全く進んでないみたいだけど……ちょっと休憩、しようか」
「んー」
俺は何気なしに言って、國臣の顔を見た。……肉食獣の様な表情で、國臣は俺を見ていた。
「……金持ちなのは俺じゃなくて親」
「そんな格好良い事言ってみてーわ。俺が女だったら、即國臣ロックオンだわ」
「……え?」
高校三年になって久しぶりに、勉強会と称して國臣の自宅にお邪魔した。
うちも結構広い筈だけど、國臣の自宅の広さは半端ない。
うちの庭には、プールは流石にないわ。
「お邪魔しまーす!」
國臣の部屋に入ると、 ヴィンテージ調に纏まったお洒落な空間が広がっていた。國臣の身体は、いつも香水みたいな良い匂いがするんだけど、その香りが部屋全体に広がっていて何だかドキっとした。
男の部屋に入って、何でドキドキするんやねん、と心の何で一人突っ込みながら「うわ!すげーベッド広いな!!ダイブしたら怒る?」と國臣に聞く。
「……え?いや、全然。むしろ……」
「ひゃっほー!」
何サイズなんだか良くわからないベッドにダイブし、ゴロゴロ転がった。國臣の香りが強く感じた。
「……ちょっと、おやつ取ってくるわ」
「お、サンキュ」
部屋から國臣が出て行ったので、ベッドの下をささっと見た。……つまらん、何もねーわ。
よいしょ、とベッドから降りて、ローテーブルの上に過去問の問題集を広げた。國臣は俺と同じ大学を受けるんだけど、國臣は余裕圏で俺はギリ圏だ。大学に行っても國臣とつるみたいし、浪人はしたくないし、学年別になって卑屈になりたくないから頑張らねば。
ひとまず英語の過去問を開いていると、そこに麦茶とポテチとケーキと煎餅をのせたお盆を持った國臣が戻ってくる。
「ありがとな」
「……もう……いや、珍しく真面目だな」
「俺だってたまには真面目なんですー」
國臣と確認しながら、勉強した。
「つっかれたー!」
「ん。……お疲れ」
ヤバい。何とか問題は解けるけど、読解が遅すぎて試験時間が足りない気がする。問題に慣れて、もっと早く解けるようにならないと俺の未来は暗い。
やたらデカいベッドにゴロゴロしてると、國臣がおずおずと聞いてきた。
「……希翔、この前さ……」
「ん?」
「……トラウマって言ってたけど」
おー、そこ今くるかぁ。俺はちょっと悩む。まぁ、國臣にならいっか。ケーキもくれたし。
俺は、まるで部屋の住人のようにベッドに片肘をついて頭をのせ、横向きに寝そべった。
「笑うなよ?」
「ああ」
「……俺さぁ、童貞捨てた時に、相手の女に嗤われたんだよ。短小だって」
「……は?相手の女が、希翔にそんな事言ったのか?」
國臣が、表情を失くした。
あ、これめっちゃ怒ってる時の表情だわ。いや今その女いないし、俺が怖いんだけど……俺の為に怒っているのがわかるから、少し嬉しくて胸があったかくなる。
「うん。で、まぁ、その時は中二だったし、あまりそんな自覚なかった訳。でもこう……そうだと現実を突き付けられたらさ、また女とセックスする度にそう言われるのかなぁ、とか。言われる事なくても、思ってるんだろーなぁ、とか。余計な事考えちゃいそうでさ……」
「……それはそうだろ」
「だから、付き合っても身体の関係までは良いってか……セックスまでは求めてないってか……」
「……でも、セックスの気持ち良さ知ってたら、またヤりたくならない?」
「んー、オナれればそれで良いかな。女の穴も、自分の手も、似たようなもんだし」
「……」
「ま、ヘタレって訳だ」
「……じゃあさ、他で、感じさせてやろうか?」
「……ん?」
國臣が、ずずいっとベッドに寝転ぶ俺に迫る。やたら真剣そうな顔してるけど、近い。すげー近い。
「……勉強が終わったら、オナニー以上の気持ち良い事、俺が教えてやるよ」
「わ、わかった!わかったからひとまず近けーよ!!」
俺は、國臣の身体をぐいと押し退け、ベッドから飛び降りた。
俺のプライベートに先に突っ込んできたのは國臣だ。だから、國臣のプライベートにも突っ込んでやろうと、シャーペンを走らす國臣に話を振った。
「……國臣の好きな子って、どんな子?」
「…太陽みたいな奴」
「へぇ。何で好きになったん?」
國臣は、手を止めて俺をじっと見た。
「……俺さ、中学生の時って友達いなくて殆んど話す事なんてなく過ごしたんだよね」
「えっ!?」
びっくりだ。今は、俺や友達と毎日つるんで馬鹿言い合ってるこいつが。だけど、確かに無口ではないけど、俺みたいにはしゃぐタイプではないという事は知っている。
「まぁ、中学の時は俺の事嫌いな奴が、俺の母親をヤクザの愛人とかって言いふらしたのがきっかけなんだけど」
「……んだよ、それ……!」
超ムカつく。俺が苛立ちを顕にすると、國臣は逆に優しく微笑んだ。
「……でも、高校入ってから、そいつがクラスの中心でさ。小説書いてるようなオタク認定される奴も、俺みたいな独りでいた奴も、みーんな纏めて仲間、みたいになって」
「……マジかよ!?國臣の好きな子って、クラスメイトだったのか!?」
一年生だった時、クラスの中心にいた女子を思い返す。……5人くらいに絞れた気がする!
「……そいつといると、皆楽しくなる。たまたま一年生のクラスメイトが相性良かったのかと思ったけど、それは二年生になっても同じでさ」
候補が2人に絞れた!!どっちだ!?気になるぅ~!!
「……三年生になって、どうあってもそいつが好きだって気付いた。そいつが他の奴と親しげに話してるのを見ると嫉妬するし、独り占めしたくなる。毎日一緒にいるのが当たり前なのに、全然足りなくて。そろそろ、限界かな……」
……あれ?候補が……あれ??2人と國臣がそんなに話してるのを、見た事ない様な。むしろこいつ、俺達男としかつるんでないしなぁ……
???
俺が個人の特定に至らず首をひねっていると、國臣は俺のノートを指さして言った。
「……それにしても、希翔。全く進んでないみたいだけど……ちょっと休憩、しようか」
「んー」
俺は何気なしに言って、國臣の顔を見た。……肉食獣の様な表情で、國臣は俺を見ていた。
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