上 下
25 / 94

25.顔が赤いのは酒のせい(side保)

しおりを挟む
「先輩」
「んー?」
「保先輩、まだケーキとか食べてませんよ」
「んー……」

やば、寝そうになった。
暗い視界が更に翳った気がして、目を開ける。
「うわ」
「起きてましたか、保先輩」

目の前に修平の顔がどアップで現れ、俺はビビる。
更に俺の手に何やら硬いものが当たっている気がするのだが、修平は退く様子がなかった。

「先輩、お口開けて」
「ん?」
「はい」
言われた通りパカッと開いた俺の口に、たっぷりの生クリームが入ってくる。
「んま」
「保先輩がコンビニで一番に買ったケーキじゃないですか。二人で食べましょう」
「俺は修平に買ったのにー」
「こういうのは、分け合った方が美味しいですよ」
「……ん。ありがと」

修平は、一本のフォークでそのケーキを自分と俺とで交互に口に運び、あっという間にペロッと食べ終えた。

「んまかったー」
「ですね。御馳走様でした」
修平が俺の上から離れて行って、圧迫感からは開放された筈なのに、何故か少し寂しく感じた。

俺は体育座りをして、両腕に顔を埋める。
今だったら、酔った勢いで聞けるだろうか?
「……あのさー」
「はい」
「修平は、しないの?」
ケーキの入っていた空き箱をゴミ箱に入れた修平は、ピタリと動きを止める。
「……何をですか?」
「えっと、その……ナニー……」
「え?」

修平に聞き返されてしまい、俺は顔を上げ、やけっぱちで叫んだ。
「だ、だから、ァナニーだよ!!」
「……え?」

ちょっと待ってくれ。
何で、修平が「何聞かれてるんだかわからない」って顔するんだ。

「お、お前が言ったんだろ?前立腺刺激した方が気持ち良くなるって。でも、一人じゃ流石に勇気が出ないって」
「……ああ!」
修平は、やっと理解したのか、怪訝そうだった表情を明るくした。

「その、修平も元気になってるのに、俺が何もしないのは悪いかなって……」
「あはは、バレましたか」
いやバレるだろ、そのデカさ。
ケーキ食べてた時の俺の手に、やたら硬くて熱いモノが当たってたし。

「いや、やってみたんですけど、俺には合わなくて」
「そーなんだ」
俺は気持ち良かったけどなぁ、と、夕方の行為を思い出せば、尻がヒクリと反応した。
「保先輩は、合ってましたね」
「……う、ん」

尻を掘られて快感を得るなんて、恥ずかしい。
でも事実だから、正直に頷いた。
缶チューハイの残りを飲んで、顔の赤味を隠す。

「で。今日は俺ばっかり気持ち良くして貰っちゃったから、お前にもしようかなって」
考えて見れば、俺は三回も抜いたけど、修平は一回も抜いてない。
酔ってる今しか、こんなこと聞けないし、あんなこと出来ない。
酔っ払いの戯言だと思って、笑い飛ばしてくれれば、それでもいい。
少なくとも、俺から聞いたことで罪悪感だけは消える。

徐ろに修平が俺の隣に座り、俺はビクッと肩を揺らした。
「……それは、俺のオナニーに先輩が手伝ってくれる、という理解でいいんですか?」
「うん」

修平の顔は見れなかった、けど。
修平の周りの空気が変わった、気がした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん
ファンタジー
⭐︎書籍化決定⭐︎  『拾ってたものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』  第2巻:2024年5月20日(月)に各書店に発送されます。  書籍化される[106話]まで引き下げレンタル版と差し替えさせて頂きます。  第1巻:2023年12月〜    改稿を入れて読みやすくなっております。  是非♪ ================== 1人ぼっちだった相沢庵は小さな子狼に気に入られ、共に異世界に送られた。 絶対神リュオンが求めたのは2人で自由に生きる事。 前作でダークエルフの脅威に触れた世界は各地で起こっている不可解な事に憂慮し始めた。 そんな中、異世界にて様々な出会いをし家族を得たイオリはリュオンの願い通り自由に生きていく。 まだ、読んでらっしゃらない方は先に『拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』をご覧下さい。 前作に続き、のんびりと投稿してまいります。 気長なお付き合いを願います。 よろしくお願いします。 ※念の為R15にしています。 ※誤字脱字が存在する可能性か高いです。  苦笑いで許して下さい。

婚約者に会いに行ったらば

龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。 そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。 ショックでその場を逃げ出したミシェルは―― 何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。 そこには何やら事件も絡んできて? 傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

魔力ゼロ令嬢ですが元ライバル魔術師に司書として雇われただけのはずなのに、なぜか溺愛されています。

氷雨そら
恋愛
ある事件を切っ掛けに魔力ゼロになった私は、魔術師になるという夢を失った。さらに婚約破棄され、家を追い出され、失意の私の前に現れたのは王立学園時代のライバルだ。「魔力がないから都合が良い」と彼の魔術書を管理する専属司書に任命されたけれど……。これは、かつてのライバル(周囲はジレジレだったケンカップル)がハッピーエンドを迎えるまでの物語。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。 * 最終話まで予約投稿済です

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】旦那さまは、へたれん坊。

百崎千鶴
恋愛
私の大好きな旦那さまは、ちょっぴりへたれで甘えん坊のお花屋さん。そんな彼との何気ない日々が、とても幸せでたまらないのです。 (🌸1話ずつ完結の短編集。約8年前に書いた作品の微修正版です) (🌷表紙はフリーイラストをお借りしています)

立花家へようこそ!

由奈(YUNA)
ライト文芸
私が出会ったのは立花家の7人家族でした・・・―――― これは、内気な私が成長していく物語。 親の仕事の都合でお世話になる事になった立花家は、楽しくて、暖かくて、とっても優しい人達が暮らす家でした。

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

処理中です...